二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方 夢想朱 ( No.8 )
- 日時: 2016/08/29 21:27
- 名前: 瑠愛 (ID: qUUtOunA)
「魔理沙……?」
魔理沙の瞳は、澄んだ青色と、そして憎悪に紛れた黒色が交じっていた。
睨みつけるように魔理沙は少女を見ている。
私の視線には気がつかずに、ただ少女を。
「そんな険悪そうな顔しないでくださいよ……貴女に言ってるんです、魔理沙さん?」
「……これが普通の顔なんだが」
魔理沙の視線に気づいたのか、少女が楽しそうにそう言うと、魔理沙は先程までの明るい声から一転して、低く、黒い声を出す。
今にも蹴りかかりそうな魔理沙を、私は横目に少女に警戒心を抱いた。
「あは……それにしても、私のことを覚えていないだなんて、少し悲しいですねえ。私は鮮明に覚えているんですけど。記憶操作でもされたんですかねえ」
「はあ?記憶操作なんてご都合主義の能力持ってるヤツなんて、この幻想郷にはいないわよ。ま、最も、他も大分ご都合主義の能力なんだけど」
淡々と、ただ楽しそうに、面白そうに話を進める少女に苛立ちを覚えてきた私は、荒く声を上げた。
ヒートアップし始めた私と魔理沙に、少女は宥めるように言う。
「でもまあ……今日はもう帰ろうかな」
「……別に帰るのは勝手だが、名前ぐらい名乗れ」
少女は、ゆっくりと答え始める。
妖艶に笑みを浮かべながら。
「美月……月白美月です」
「私は博麗霊夢よ。アンタは知ってるみたいだけどね」
「私は……霧雨魔理沙だ」
「ええ……知ってますよ……とても、良く、ね」
少女__________美月はそう言って私達に背を向けた。
本当に、彼女はただの少女なのか。
もしも、美月が敵であるのだとすれば、彼女からすれば私達は敵であり、絶対に背を向けてはいけないはず。
美月は、背を向けても、襲いかかってきても大丈夫という、絶対的自信があるのだろうか。
そう私が思っている時には、既に美月はいなかった__________
「…………博麗の巫女、ねえ」