二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方人妖録【短編集】 ( No.9 )
- 日時: 2016/08/12 15:39
- 名前: シュヴァルツ (ID: nXkUt35K)
【フランドール・スカーレット編】
人間というのは酷く脆く、馬鹿な生き物だと思う。
自分の大切な人の形見など、ただの物でしか無い。
人は度々、死んだ大切な人から貰ったの、なんて言って、形見でもある、なんて言う。
そんなの、ただの醜い慰めにしか過ぎない。
.....そうでしょ?死んだ人なんて帰って来ないのに、どうして物でも、と失いたくないと足掻くのか。
それが理解できなかった、変だと思った。
「あーあ、つまらないなぁ〜」
通常の人ならば家族に貰った物なら大切に扱うだろう。
けど、私は何かと違ったらしい。
私の唯一の本当の家族、姉のレミリアから貰った縫いぐるみを壊しては縫い付け、壊しては縫い付けた。
何故かそうすることで安心感を得た。
何度でも再生した縫いぐるみは、まるでどんな致命傷を負おうが必ず生きるお姉様みたいで、
何だか面白かった。
お姉様が頑丈過ぎる故に、周りの人間は脆い。
手を握るだけで、遊ぶだけで壊れちゃう。
そんなの、つまらなかった。本当に‘‘ただのオモチャ,,だと思う。
遊ぶだけで壊れちゃうなんて、有り得ないでしょう?
そう、それは『不良品』と呼ぶのに相応しいわ。
「うふふ、今日はどんなオモチャ(人間)を連れてきてくれるのかしら?」
考えただけで、笑みが零れる。
最高のオモチャだったならどうしましょう?
壊れるまでいたぶり続けて、動かなくなったら一から組み立て直す?
ふふっ、それが良いわね。面白そうだし。
「ん....!?...........あれ、ナニコレ」
少し時のズレを感じた後、目の前に料理が置かれる。
お姉様が言っていた、咲夜とか言うやつかしら?
でも、時を操るなんて凄いよね、一回だけでも良いから遊んでみたいわ。
「うーん...でもこの料理は初めて見るなぁ.....。あ、パチュリーから借りた本に載ってるかしら」
ペラペラと捲る。
縫いぐるみはすぐ壊しても、本は絶対に壊さない。だって、怒ったパチュリー、怖いし...。
「あ....!!あった....!!!...えっと、はん、ばぁぐ...?」
まぁ良いや、いただきます!!
*****
ご馳走さまでした!!
ふう、以外とはんばーぐってのは美味しいのね。また食べてみたいわ。今度、お姉様にでも
言おうかしら....?
「ひ、ひいぃ!!...いやだ、まだ死にたくないんだ......っ!!」
突如、魔方陣で防御が高められた扉の向こうから声がした。
死にたく、ない......?ってことはようやく遊び道具が来たのね!!
ふふ、待ちくたびれたわ、どうやってお迎えしようかしら。
そうねぇ........。
- Re: 東方人妖録【短編集】 ( No.10 )
- 日時: 2016/08/12 18:06
- 名前: シュヴァルツ (ID: nXkUt35K)
ガチャン
「ひ、ひいぃぃぃぃいい!!」
「あら?....何を怯えているの?」
今回はじわじわと恐怖を与えてみよう。
うふふ、最期はどんな顔をしているか見物だわ。
...とはいえ、お姉様も随分と強引ねぇ。
この人、服が少し破れちゃってるじゃない。少し衛生面に引っ掛かるわ。
人間っていうのは、汚い人も居るのかしら?
「って、あれ.....幼い少女じゃないか」
どうやらこの人には幼い少女に見えるらしい。
なら、少女らしくおねだりをしてみようじゃない。
....そ、勿論遊びのね?...って、私は誰に話してるんだ...?
遂に無意識妄想癖でも付いたのかな?
「ね、お兄さん...。遊びましょ?」
少し微笑んでみる。
きっと、恐怖か可愛さに押しやられて利いてくれる筈だ。
......ああ!!しまった、手には壊れたままの縫いぐるみが!!
ま、良いか。...どうせこの人も恐怖に支配される事になるもの。
この館に招かれたが最後、オモチャになるしか無いのよ。...全く、憐れな話よね。
はぁあ、可哀想な人間さん、どうしようかしら。
「遊ぶ......?おままごとでもするのかい」
「おままごと.....?そんな軽いものじゃないわ、もっと楽しいの。人形遊びと、弾幕ごっこよ」
そう言い切った瞬間、好きに出来るという喜びで顔がにやける。
端から見れば歪んだ笑みを浮かべている事だろう、人間さんも怯えていた。
恐らく、理由は2つあるだろう。
一つ目は私に怯えた。
二つ目は弾幕ごっこで死人が出ると聞いているから。
ふふ、少し弄り甲斐がありそうな者だ。
さて、どうやって楽しむとしようかしら...。
- Re: 東方人妖録【短編集】 ( No.11 )
- 日時: 2016/08/15 12:14
- 名前: シュヴァルツ (ID: nXkUt35K)
「あっ、があああああああああああ!!!!」
人間の醜い声が轟く。
人間は一生を終えた様で壊れたオモチャの様にガラクタと化した。
....つまらないものだ、人間と遊ぶというものは。
「簡単に壊れちゃったね、人間さん」
壁にだらんと凭れた人間、いや人形に声を掛けるが、返事は無い。
....顔を近付けると、腐った様な、鉄のような臭いがする。
私にとっては、最高で甘い香りだ。正にこの臭いを嗅ぎたかったと言っても過言ではない。
「.....フラン、まだ生きてる?」
「ううん、死んじゃったわ。...今回も直ぐにね」
キイイ、と嫌な音を立ててドアが開く。
そこにはお姉様が居た。
....お姉様は人形を見た瞬間に顔を歪ませるが、どこか恍惚そうな表情を浮かべている。
「派手にやっちゃってるけど....この男、血が美味しそうね」
「何を一丁前に。お姉様は少食なのに」
お姉様の言葉に共感はするが、偉そうに言っている様に聞こえちゃって笑う。
お姉様は直ぐに顔を赤くして私を睨む。...妹の私が言うのも可笑しい話だけど可愛い姉だ。
「さ、これを咲夜に調理してもらおうかな」
「フランは人間しか食べないしね...基本的に」
「うん。あの人間の肉で作られたはんばーぐって奴、美味しかったわ」
「えぇー.....」
私の言葉に驚いたのかお姉様が目を見開く。
ま、吸血鬼でも流石にここまでしないとは私も思う。
「お姉様、次は良い人間を連れてきてよ」
「何で私をパシんのよ」
「何となくよ」
こうして、本当は怖いフランちゃんの真相が暴かれた。