二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.7 )
日時: 2016/09/05 21:44
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

第4話 キラキラした朝


 風呂からあがり髪も乾かし終わる午後8時——
タイミングよくポケギアに着信が。もちろん、相手は決まっている。

「ゴールドさん?」
「おー」

 ゴールドしか登録していないのだから決まって彼しかいないのだが。
家の電話の癖にでつい名前を呼び、確認してしまう。

「旅の話の前に……マイ、怪我はないか?」
「は、はいっ(心配してくれてるんだ)だいじょうぶです、ありがとうございますっ」
「そりゃよかった。何があったか話してくれるか? 嫌ならいいんだけどよ」

 嫌なわけがない。こうして心配してくれる友達がいるなんて幸せ者だと改めて確認できる。
 研究所で図鑑が盗まれたことに対してゴールドは、前からゴールドも博士より図鑑を受け取っていたので怒りを覚えているようだった。
 そしてバトルで引き分けのような負けのような、今まで味わったことのない感情になったことも、すべて話した。その感情は博士には伝えていない。きっとゴールドだからこそ自然と言えたのだろう。

「なるほどなあ。まあ、旅の途中にでも見つかるかもしれねえしな。情報を集めながら旅をしていこうぜ」
「はいっ」
「で、いつ出発にする? 来月か?」

 旅の準備だ。それなりに知識やらをつけなくてはならないが、マイの応えは。

「あした」
「は? 悪いがもう一度言ってくれっか?」

 はい、明日です。と同じ答えを述べる。

「ったくお前はよォ……。まぁいい、明日迎えに行くから」
「はいっお願いしますっ」
「任せとけって」

 ゴールドも準備があるし、マイにも準備がある。その日の電話はすぐに終わった。
しかし、準備が終わってもマイは中々寝付けずにいた。遠足前の夜、のような。

(でも旅は遠足なんかじゃない。ぜんぜん違うんだよね。でもゴールドさんがいるから、絶対にだいじょうぶ)
(絶対に守り切る。何があってもやり遂げるんだ)

 知らないとろこで相手を信頼しきっている2人。人見知りだったマイも3年間でずいぶんと成長したものだ。


◆◆◆

 旅立ちの日。ゴールドがいつも通り迎えに来た。いつもと違うのは背中にはリュックを背負い、腰のベルトにはモンスターボールをぶら下げていることだ。
 格好は赤いジャケットに白いパーカが付いていて、黒いシャツが少しだけ見えて、下はふくらはぎから肌が見える黒い短パンをはいて動きやすさを重視しているように思える。
 マイはというと、ピンク色のパーカーを着ていて白くてミニのフレアスカートをはいている。さすがにミニスカートだけでも心細いのか黒いニーハイも忘れずに。

「ゴールドさんその帽子お気に入りですね」
「まあな、これがないと落ち着かねえ(髪型も決まらねえしな)」

 黒をベースにした帽子に黄色い太いラインが入っている帽子にゴーグルをつけているゴールドはいつも通りでなぜか安心を覚える。

「博士にちゃんと挨拶してきたな?」
「はいっ」
「俺も少し博士と話しをしてくるから。マイはここで待っててくれるか?」
「へ? わかりました」

 トラブルに巻き込まれたらゴールドが責任を取るつもりなのだろうか、金の瞳が力強く光りながら研究所に入っていく。
 マイと同じ金色の瞳なのに、どうしてこう違うように見えてしまうのだろうか、とガラになく考えてしまうマイ。

「マイちゃん!」
「あっゴールドさんのお母さん!」

 ゴールドを見送りに来たのだろう、ゴールドの母親がマイに声を掛けた。ゴールドの母親は彼に似て、いや彼は母に似て、とても気さくでいい女性だ。
 毎日お世話になっているようなもので、彼女に会えないことも寂しさを感じる。

「頑張りすぎないでね、はいコレ。たくさん走れる靴よ。もうひとつはゴールドのね」
「わあ! ありがとうございます! これってゴールドさんと色違い……?」
「ええ、ゴールドは黒、マイちゃんは白。可愛いでしょう?」
「はいっ」

 マイの背後から花が舞い散るように見える。よっぽど嬉しかったのかミニリュウに見せている。

「マイー待たせたな……って母さん!」
「あらゴールド! 長かったわね、ほら、アンタにも!」
「おー靴か! サンキュな!」

 先ほど、マイに渡したのと色違いのたくさん走れる靴——まあいわゆるランニングシューズを渡す。
 ゴールドもすぐに色違いと気づき口角を少しだけ上げた。

「じゃ、母さんに博士! 行ってくるわ! なーにすぐに戻ってくるかもしれねえからな! 心配すんなよ!」
「博士、ゴールドのお母さん、行ってきます!」
「ああ、2人共気を付けるんだよ」
「ご飯はちゃんと食べるのよ〜!」

 ゴールドとマイが見えなくなるまでその背中に手を振り続ける2人。
マイは少しだけ涙が目にたまったが、ゴールドに雑にふき取られた。そうだ、これから先泣きたいことはたくさんあるに決まっている。こんなとろこで流してたまるものか。


「なあ、マイ。俺さっき博士からポケモンもらったんだけどよォ」
「えっどんなポケモン? あっポケモンですか?」
「こいつだぜ、ほら」

 旅に浮かれてつい敬語が抜けてしまうところも可愛く思えてしまうのは面倒をみすぎたせいか。ゴールドにしたら敬語なんてさっさと辞めてもらいたいところだが。
 そういえば2人は何か忘れているような——

「そういや、あいつらに何も言わずに出てきちまったな」
「あっ……」 

 よくあるこった気にすんな! とおなじみのセリフを言い捨て歩みを早める2人の旅は始まったばかりだ——!