二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【東方】霊夢の声が出なくなった ( No.8 )
- 日時: 2016/12/25 15:46
- 名前: 鈴苺 (ID: G0MTleJU)
「すまんな、急に」
「別に…貴女が急に来ることなんて、もう慣れてるわ」
それは褒め言葉か?貶してるのか?
……まあいいや。
お互い椅子に座り、私が先に口を開いた。
「……アリス。お前に相談がある」
「……霊夢の事でしょ」
!!
なんでわかったんだ?
「なんでわかったのか、って顔してるわね」
私の驚いた顔を見たのだろう。アリスはフッと微笑んだ。
するとアリスはキッチンへと向かい、赤いバラが描かれたティーカップと、青いバラが描かれたティーポッド、そして、サンドイッチが二枚置かれた皿を、お盆に乗せて戻ってきた。
アリス曰く、「少しぐらい気が落ち着くでしょ?」とのことらしい。
一体どういう意味なんだ…?
そんなことを考えていると、もう紅茶を注ぎ終わっていた。
ん、なぜ紅茶とわかるのか、だと?
まあ、そりゃ、あれだ。よく来てるからな。ウン。
「どうぞ、熱いから気を付けてね」
「ああ、ありがとう。あと、このサンドイッチは?」
「さっきの話を聞く限りじゃ、朝ご飯を食べてないと思ってね」
「なるほど」
アリスから紅茶の入ったカップを受け取る。
「熱…っ」
一口口を付けると、舌に熱さが伝わってきた。
猫舌って辛いぜ……。
フー、フーと、息をふいて紅茶を覚まし、やっと一口喉を通った。
紅茶の暖かさが、体の中を蹂躙している。
私が紅茶を飲み始めたのを見て、アリスが話し始めた。
「…朝早く、霊夢が家に来たの」
「え?」
霊夢がアリスの家に?珍しい事もあるんだな…。
「最近、霊夢、全然喋らないじゃない?そのことについて話しに来たのよ」
「あ、ああ……霊夢の奴、全く言葉を発さないんだ。何か嫌な事…というか、そんな感じのことがあったのか?
あ、そ、それとも、私が何かしたのか!?」
私がそう尋ねると、アリスは首を横に振った。
「いいえ、違うわ、魔理沙。
まず、霊夢は魔理沙のことで来たわけじゃないの」
「そ、そうなのか…?じゃあ、なんで…」
「……霊夢はね、どうして自分が話さなくなったかについて聞きに来た……いえ、尋ねに来たのよ」
「尋ねに…?何を?」
「自身の……病気について、よ」
その言葉は、私にとって衝撃的だった。
「…は?病気?霊夢が?
で、でも、霊夢はいつも通り元気だったぞ!?昨日も、一昨日も、その前から!あるとしても、一体、何の病気だってんだよ!」
私はアリスに対し、つい怒鳴ってしまった。
でも、アリスは少し悲しそうな表情をしながら、話を続けた。
「………簡単に言えば、ちょっとずつすべての機能が停止していく病気よ。霊夢は、その初期症状にかかっているの」
「……なんだ?その初期症状っていうのは?」
すると、アリスは一瞬口ごもり、何かを決意したような顔で口を開いた。
その初期症状が、霊夢が話さなくなったことについて関係があるのだろうか?
少し緊張してしまい、顔を強張らせ、アリスの言葉を待った。
「その初期症状は、声が出なくなるものなの。つまり、霊夢は話さなくなったんじゃない。
『話せなくなった』のよ」