二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】佐多くんは今日も能天気 / 祭り篇 \ ( No.9 )
日時: 2016/11/13 16:00
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: XM3a0L/1)

「佐多、次は射的行くネ!とっととついてこいヨ!」

「ちょっ…待ってください!こっちは焼きそばとたこ焼き抱えてるんですよ!」

「しょーがないアルな、…ほら、手貸せヨ」

「(´・ω・`)(トゥンク…)」

「なんて言うと思ったか死ねヨ奴隷」

「とても辛い」


■ 三.佐多くんはお祭りに行きます【後篇】


神楽に連れられて(奴隷)祭りに来た佐多だったが、自分の買いたいものは買えず、神楽の荷物持ちのみをしていた。
おまけに同伴していた新八も佐多に荷物を預けて来る始末で、もうお祭りを楽しむどころではない。

そんな三人は射的の屋台の前で足をとめた。


「あ、おじちゃんだ」

「げっ!激辛チャイナ娘!」


屋台の主はサングラスをかけた男だった。どうやら神楽と新八は知り合いのようだ。
男は佐多に気がついたようで、佐多も軽く会釈した。


「なんだなんだ、この綺麗な姉ちゃん!前はいなかったよな!?」

「最近入って来たペーペーアル」

「あとこの人男の人ですからね、長谷川さん」

「ええっ!?まじかよ!?こ、こりゃ失礼!」

「いえ、平気ですよ。佐多といいます!以後お見知り置きを!」

「こちらこそよろしくな!万事屋には以前依頼を引き受けてもらった仲でなぁ。どうだい、射的やるか?」

「当てれば何でもくれるアルか?」

「ああ、あげるぞ〜〜!よーくねらっ……」


その瞬間長谷川のかけていたサングラスがパンっと割れた。割った張本人である神楽は先程買った焼きもろこしを食べながら、よこせよグラサンと言った。
さすがの長谷川も慌てたようで、狙う景品を改めて教えようと景品の方を指差したその時、彼が腕に付けていた腕時計がパンっと割れた。


「腕時計ゲーーッツ」


突如隣から聞こえたその声に慌てて佐多がそちらを見ると、黒い隊服に身を包んだ青年がいた。どうやら腕時計を割った犯人はこの男のようだ。
長谷川もさらに慌てて、二人に注意をしている。が、全く聞いていないようだ。
二人は揃って銃を構え直すと、同時に景品(長谷川)にそれを向け、発砲した。


「ヒゲもーらい」

「ぐふっ」

「上着ゲーーッツ」

「ごえっ」

「乳首とったりィ!!」

「べほっ」

「……新八さん、これあとは頼みますね!」

「は!?ちょ、佐多さん!?」


突如現れた青年と射的に夢中になっている神楽を見て佐多は今がチャンスだと思ったのか、新八に荷物を預けて走り出した。
新八は慌てているようだが、おそらく神楽は気づいていないだろう。


(祭り…!!来て見たかったんだ…!!)


佐多は幼い頃からずっと祭りというものに興味があった。なぜなら、彼は祭りに参加したことがなかったからだ。
キラキラとした表情で佐多はキョロキョロしながら屋台を見回す。とその時、ドンっと誰かにぶつかった。


「……ああ。すみません」

「……いや」


相手は派手な着物を着た男で、ニヒルな笑みを浮かべていた。
ふっと佐多も笑い、再びキョロキョロと屋台を見始めた。りんごあめ、わたがし、かき氷、いろいろあるが、いまいち佐多はピンとこないのだろうか。足をとめることなく屋台を見続けている。
その間もなんども人とぶつかり、その度に佐多は声をあげて、相手になんども頭を下げた。
そういえばそろそろ平賀のカラクリ芸が始まる頃だろうかと佐多が思った時、視界にふわふわの綿菓子がうつった。


「おい、誰の頭がわたがしだ」

「一人で何につっこんでるんですか。というかぼっちですかモジャ公さん」

「誰がモジャ公だもやしがァァ!!さっきまでじーさんと一緒だったんだけどよ、最後の調整があるとかでいっちまった。おめーこそ神楽はどうした」

「荷物持ちに飽きてばっくれてきました」

「正直か」

「銀さん僕お腹が空きました。まだ何にも食べてないんです。切実にお金がほしいですください」

「あぁ?神楽にお前の分の金も……アイツは自分の分として使っちまうか」


しょうがねぇなぁといいながらも懐をさぐってくれるこの男は、やっぱり優しい奴だ。
懐から千円を出して佐多に手渡しした銀時は、とても嬉しそうな表情をしている佐多を見て、こんな顔もするのかとなぜか感心した。


「すぐに買ってくるので、ここで待っててください!」

「あー?なんで俺が……ってもういねぇ」


仕方なく銀時は道の端により、佐多が戻ってくるのを待つことにした。
その時、大きな音とともに、空に花がさいた。どうやら平賀の見世物が始まるらしい。銀時もふと空を見上げた__その時だった。


「やっぱり祭りは派手じゃねーと面白くねェな」

「!」


突如自分の背後から聞こえた聞き覚えのある声に、銀時は目を見開いた。