二次創作小説(紙ほか)

悪魔さんの歌と少女のオーボエ(その1) ( No.248 )
日時: 2017/05/19 18:20
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

今回は前回に負けず劣らずのシリアスなお話・・・。ヘドさんの過去です。ヘドさんが周りの対岸の火事の中でも歌い続ける理由とは・・・?






同い年の子供(ガキ)と一緒に遊んでも楽しくなかったし、


学校で勉強する意味がなかったし、


家にいても親とは喧嘩ばっかりで苦しいだけで、


救いなのは歌だった。


今思えば俺は、






歌に居場所を求めていただけだったのかもしれない。






三年前。ある日、ヘドは中学に行っていた。その不良だったヘドに他の同級生は怯えながら陰口を叩く。


同級生A(ヘドだ;)
同級生B(学校に来るのめずらしー;)


俺に近づく奴なんて、学校(ここ)には一人もいない。


???「ヘド!」
ヘド「?」


ーーーそう。






???「なんで先に行くんだよー!?同じ方向だから一緒に行こうって言ったじゃん!」


こいつ、オーボエ奏者の上条真央(マオ)を除いて。






マオ「子供の一人歩きは危ないんだよ!?」
ヘド(ウザ・・・;今、朝だし;)


家が近所だか大学で勉強中だったバーテブラに頼まれたのか知らないけど昔から何かと絡んでくる。将来を嘱望されているオーボイストなのに吹奏楽部にも入らずに。変な奴・・・。


ヘド「スタジオに行って帰るわ」
マオ「あっ、ちょっと!?自分でお金をコツコツ貯めて買ったオーボエを見せたいんだ!」
ヘド(いや、音楽バカの奴)
マオ「ほら!」


マオはそのオーボエでモーツァルトのオーボエ協奏曲のソロを吹く。その音にヘドは思わず見惚れた。他の同級生も見惚れる中、外ではダブルリードがパサパサになるため演奏を終えたマオは言う。


マオ「これね、ヤマハのYOBー432なんだー!ずっと欲しくてお母さんのオーボエを使いながら自力で貯めてたんだ!」


「自分のだから」と或いは母親と離婚したあとの一緒に暮らしても離婚前から愛人の女を作ってる父親と上手くいかないのか貯めてたからなのか。どんだけ頑張り屋なんだよ。俺には到底理解できない。
すると、ヘドが所属している不良バンドが来た。彼らは楽器をアクセサリー代わりに使っているコピーバンドだ。


杉谷「ヘド。お前も付き合えよ」
ヘド「・・・」
マオ「・・・あれって・・・窃盗とかの事件を起こしてる不良のコピーバンドだよね!?ヘド、まだあいつらと関わってるの!?」
ヘド「お前に関係ねーだろ」
マオ「ヘド!待ってよ!どこに行くんだ!?」


マオの引き止めもむなしくヘドは向こうに行ってしまう。マオは新しく買ったオーボエのケースを持ちながら言う。


マオ「ーーーヘド・・・」


一方、ヘドはライブハウスで歌っていた。杉谷は言う。


杉谷「流石ヘド。中学生とは思えねー歌声だな。お前が切れたらどうなるか見てみてーわ。ハハッ」
ヘド「・・・別に」


俺の居場所はここ。お前とは住む世界が違うんだよ。






その夜。ヘドは不良バンドと一緒に何をしようか雑談していた。不良バンドのギタリストは言う。


不良バンドのギタリスト「ヘド、どうするー?」
ヘド「なんでもいい」
不良バンドのギタリスト「ハハッ、お前いつもそれじゃん!」
ヘド(・・・そろそろこいつらといるの飽きたな。まあ、俺の居場所はここしかねーけど)
マオ「ヘド!」


すると、マオがヘドを迎えに来た!ヘドは驚く。


ヘド「マオ・・・?」
マオ「ほら、帰ろう!こんなところで歩くのは危ないよ!(ヘドの手を引っ張る」
杉谷「!待てよ。ヘド、嫌がってんじゃん。帰るなら一人で帰りなよ嬢ちゃん」
マオ「うるさいどけよ(杉谷の股間を蹴る」
杉谷「いだー!!!何すんだてめー!!!」
マオ「ヘド、こっち!」
ヘド「ーーーっ・・・」


バカじゃんこいつ。俺のことなんてほっとけばいいのに。なんでそんな必死な顔してんだよ。
しばらく走った後にヘドは止まる。

ヘド「・・・」
マオ「ヘド?」
ヘド「バカじゃねーのかこんなことして。あいつらに目を付けられるぞ」
マオ「あー、うん・・・ま、いいや。そしたらあたしが倒してあげるよ」
ヘド「!・・・バーカ、普通逆だろが」


ヘドの泣きそうな顔にマオは慌てる。


マオ「えっ、あたしが泣かしちゃったのかい!?泣かしちゃっただろう!?」
ヘド「・・・るさい」
マオ「あっ、こんな時はあたしのオーボエで元気付けてあげるよ!」


マオはオーボエで世界に一つだけの花を奏でる。それに泣きやんだヘドは思わずその歌を歌う。これにマオは気付く。


マオ「ヘド?」
ヘド「はっ!?」
マオ「やっぱり、ヘドは不良よりもボーカルか歌手が似合うよ」
ヘド「!・・・マオ、いちいちくせーんだよ」
マオ「えっ、あたし、ちゃんと洗ったよ!?」


マオといると俺の冷めきった心は溶け出して、涙が出そうになる。俺の居場所は、マオのそばにあるかもしれない。
その1ヶ月後、ヘドは杉谷に不良バンドを抜けると伝える。


杉谷「俺達のバンドを抜けるだぁ?はっ、認めねえな」
ヘド「ーーーなんだよ。それなら勝手にやめてやる!」


すると、杉谷はマオの写真をヘドに見せる。


ヘド「!!」
杉谷「将来を嘱望されているオーボイストの上条真央(マオ)、今オーボエのコンクールの最中なんだってなあ?お前が裏切ったりしたら、こいつがどうなるか分かってるよなぁ?」
ヘド「・・・(拳を握り締める」


その翌日、マオが歩く中でヘドを見かけて声をかけた。


マオ「ヘド!あたしはオーボエのコンクールが今本選に行ってるんだ!それを見にバテ兄と一緒に来てよ。・・・ヘド?」


すると、ヘドの顔には傷があった・・・。マオは聞く。


マオ「あいつらと・・・まだ関わってるのかい・・・?もうやめようよこんなこと・・・」
ヘド「うるせぇ黙れ!別にどこでやろうが俺の勝手だろ?いちいちお前に指図されるのめんどくさいんだけど?それにお前にはオーボエのコンクールがあるしな。目障りだから二度と俺の前に現れるな」


ヘドはそう言い放って立ち去った・・・。






大丈夫。俺は強いから大丈夫。マオがオーボイストとして大成してくれたら、そこが俺の居場所になるんだから。






その後日、ヘドはスタジオの前に寄っていたが、ある声が聞こえた。


不良バンドのキーボーディスト「ハハッ!死ねや!」
ヘド「ーーーなんだ?集団リンチ?」
不良バンドのギタリスト「あー、やっと来たかヘド。ムカつくからみんなでシメてんだよ」
マオ「ーーーお願いします!!」


すると、ヘドの前に不良バンドに殴られているマオがいた。大事なオーボエの入ったケースを握りしめながら。


不良バンドのドラマー「るせぇーんだよ!(マオを蹴る」
ヘド「(マオ!?)オイッ・・・」
杉谷「お前を不良バンドから抜けさせるためにわざわざお願いに来てくれたんだぜ?泣かせる話だよなぁー」
ヘド「(そんな・・・)マオ、何やってんだよ!もういい!もういいから!」
マオ「やめろ・・・これはあたしの大事なオーボエなんだ・・・お願いします・・・ヘドは本当は優しい子なんだ・・・こんなこと、やめさせて・・・」
杉谷「あ?聞こえねえな」


すると、杉谷はマオの背中を蹴る!マオが倒れる中、他のメンバーはやりすぎと思いつつ笑う。


不良バンドのキーボーディスト「す、杉谷、ひでー;」
不良バンドのドラマー「気絶しちゃってんじゃん」


これにヘドは怒りが湧き上がってきた。ヘドは杉谷を呼ぶ。


ヘド「ーーー杉谷」
杉谷「あ?」


バキッ


ヘドは杉谷を蹴る。これに他のメンバーは驚く!


不良バンドのギタリスト「うわああああああー!!!」
不良バンドのキーボーディスト「ちょっ・・・待てよ!」


許さねぇ・・・。こいつらのやり方だけは、絶対許さねぇ・・・!


不良バンドのギタリスト「うあああああー!!!」
不良バンドのドラマー「ヤベェこいつ、強すぎんぞ!!」
不良バンドのギタリスト「誰か止めろー!!!」
マオ「・・・っ(目を覚ます」
ヘド「離せ!!」
マオ「ヘ・・・」
杉谷「チッ、子供(ガキ)がなめやがって・・・ビビらせてやるよ・・・!(バイクに乗る」


すると、それに気付いたマオは立ち上がり、言う。


マオ「ーーーあたしだって、好きな人ぐらい自分が守ると決めたんだ。ヘド・・・」


しかし、マオはヘドをかばった反動で・・・






キキィッ、ドンッーーーーー






ヘドはその光景に呆然としていた。それに気付いた不良バンドのギタリストは恐怖で叫んだ。


不良バンドのドラマー「オイッ、誰か救急車!!」


ヘドは事故で倒れたマオを見ながら彼女の名前を呼ぶ。


ヘド「・・・マオ・・・?」






ヘド「いや・・・だ、マオォォォォォー!!!!!」

悪魔さんの歌と少女のオーボエ(その2) ( No.249 )
日時: 2017/05/19 18:30
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

その後日、児童相談所にいたヘドは無表情で「バイク事故、将来を嘱望されたオーボイストは重体」の記事を読んでいた。これを見た職員は言う。


職員「ーーーええ、生活態度はいたって真面目なんですが、・・・本人の様子がねぇ・・・まるで無表情なんですよ・・・」


ヘドは今は昏睡状態となったマオの見舞いに来ていたが、しかし、彼は・・・


看護師「あら、ヘド君、今日もお花を持って来てくれたのね。さっ、早く中へーーー・・・」
ヘド「ーーーいいです」


マオに合わせる顔がない。俺がもっと大人だったら、守れたのにーーー・・・。






ーーーその2年後の春。唯一受け入れてくれた七彩高校の一年生になったヘドはあれから理由もなく猛勉強をして七彩高校に入学した。当時の担任の先生は言う。


担任の先生「いやー、ヘド君が入学できてよかったよ!あの事件から猛勉強して試験で留年はなしになったもんなー。軽音部があるけど、近頃は楽器をアクセサリー代わりに使っていてなー・・・」
ヘド「・・・」
担任の先生「あっ、ヘド君のことじゃないよ!?全く音楽をやるならプロ目指せって話だ!」
ヘド「・・・先生」
担任の先生「えっ?」
ヘド「この本に写っているオーボイストは・・・何?」


すると、そこにあったのは・・・






歴代のオーボエのコンクールの順位表の本に第1位に上条真央(マオ)の名前が載っていた・・・。






担任の先生「ああ、この子は将来を嘱望されたオーボイストだよ。この子は人の背中を押す音色を奏でるらしいけど、今留学してるのかな?」
ヘド「・・・!」






マオ『あたしはオーボエのコンクールが今本選に行ってるんだ!それを見にバテ兄と一緒に来てよ』






ヘド「・・・マオ・・・」


お前の居場所は、舞台(ステージ)にあったんだな。
ヘドが涙を流す中、先生は気にかける。


担任の先生「?ヘド君・・・?」
ヘド「軽音部があるって言ったな?」
担任の先生「はっ、はいっ!」


上等じゃねぇか。
ヘドはマオの居場所を守るためにバンドを立ち上げることを決意する!






それからヘドは軽音部に入部し、同じ年に入学し、同じクラスだったストルナムがギターの神業級のテクニックを持っていたため、軽音部に入部もといヘドのバンドにギタリストとして加入し、ストルナムの中学時代の後輩で別のコピーバンドに加入していたコスタがヘドと利害が一致したためにそのバンドを抜けてベーシストとして加入し、バーテブラが一度断るものの実はメンバーのために教免を取るための勉強の真っ最中でそれに合格したため元から並行して続けていたドラムでドラマーとして加入し、ペルヴィスが元々ピアノを演奏していたが、バンドをやりたいと考えていたためにヘド達のオーディションに自ら立候補しそれに合格したためキーボーディストとして加入した。そのバンド名の「devil」はヘドは一見「五人の悪魔だから」と言っていたが、実は幼なじみのバーテブラしか知らないが、「一人の少女の居場所を守るためにたくさんの人の背中を押す悪魔五人の演奏」という意味が込められていたのだ・・・。






そして半年後に中小だが粒揃いの事務所リトルモンスターにスカウトを受けてメジャーデビューし、軽音部を本気にプロになる気持ちを目覚めさせた結成から1年後(本編の時間軸)そのライブで今日も多くのファンを湧かせた。devilのチーフマネージャーであり紅葉の暴走族の三代目副総長だったフランクな性格の石森すみれは言う。


すみれ「はっろーん、devil!今日も絶好調ね!これから紅葉と吟遊月華などを呼ぶから打ち上げに来ない!?なんなら好きな食べ物でも・・・」
ヘド「俺、用事があるから行かなーい(立ち去る」
ストルナム「ちょっ!?ヘド!?可愛い子猫ちゃんが来るのにー!」


ヘド(面会時間が過ぎるっつの。見てろよ、マオ。これ以上、不良バンド(あいつら)みたいな奴の好きにはさせねぇ。お前の居場所は、俺がずっと守ってやるからな)


俺の居場所は、ずっとステージ(ここ)にある。






お前が目を覚ました時、すぐ舞台(そこ)にたどり着けるようにーーー・・・。


おしまい






「後書き」


今回はヘドさんの桜オリジナルの過去でした。某少女バトル漫画を元ネタにしたし、ヘドさんの過去がみなさんに受け入れられないんじゃないかと心配です;
ヘドさんが「自分のせい」だと言っていたのは多分今回の話が理由です。闇天使主体編を書き始めた時からずっとあたためてた奴なので満を持して書きました。
さて、これからマオちゃんが目を覚ますのか、そしてそれを某闇の太陽神様が知ったらどうなるのか。いつかブタのヒヅメ決着編のどこかのシーンで書きますのでお楽しみ!星座シリーズの子達の話もあるのでいつか書かなきゃね。






感想OK