二次創作小説(紙ほか)

四葉宮高校とのアンサンブル対決!(その1) ( No.582 )
日時: 2018/08/08 21:55
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)
プロフ: http://sp.nicovideo.jp/watch/sm33308723

今回は四葉宮高校とのアンサンブルでの対決!果たして勝者は・・・!?






その5日後、シグレは練習の帰り道を歩いていた。彼はため息を吐く。


シグレ「技術は底上げしたけど、まさか四葉宮高校のキョクさんにライバル視されるなんて・・・;」


シグレはややバツの悪そうな顔をしながらも歩く中ですると、ある人物に遭遇した。月宮学院高校の制服を着ていた小柄な男子だ。


シグレ(あれ?確か、タクトさんと同じ高校の制服だ)
???「オレのチェロ・・・今日でお別れだ・・・さよなら・・・オレのチェロ・・・」


小柄な男子はチェロを投げ捨てようとしていた!事態に気付いたシグレが声をかける。


シグレ「待って!やめて!どした!?楽器を投げ捨てるなんて!(男子のチェロを奪う」
???「!?な、なんですかあなた!?」


すると、シグレが男子のチェロを持ったままつまづいて転ぶ!幸いにも転んだ場所が野原だったためにチェロもシグレも無事だった。


???「だ、大丈夫ですか!?」
シグレ「いや、大丈夫。チェロも無事だ」
???「よかった・・・!」


すると、男子が自分のしでかそうとしていたことに気付く。


???「また・・・何やってんだろオレ・・・また自信なくして・・・」
シグレ「えっ?どした?」
???「・・・オレが悪いんです・・・よく考えれば、みくる部長の言うことは正しかったのに・・・」
シグレ「みくる部長?(タクトさんが言っていた月宮学院の管弦楽部の女部長か」
???「オレが技術的にまだ未熟で・・・みんなについて行くだけでも必死なのに・・・」


小柄な男子は泣く中でシグレはただ励ますように彼のそばにいた・・・。その数分後、男子はようやく泣き止む。


???「あなたにこんな姿見せれるなんてオレもまだまだだ・・・ありがとうございます」
シグレ「いや、いいよ。泣いてる奴をほっておく方がおかしいだろ」
???「ありがとうございます。あなたにそう言われるだけでも救いでした・・・最後にあなたの名前を聞かせて下さい。オレは月宮学院高等部の音楽科一年の島瀬忠臣って言います」
シグレ「じゃあ、俺も名前を言う。俺は吟遊月華のシグレ」
忠臣「シグレさん!?」


忠臣がその名前に驚く。シグレは聞く。


シグレ「知ってるのか?」
忠臣「いえ。タクト先輩があなたのことを話してましたから」
シグレ「えっ?」
忠臣「タクト先輩の従弟が下の名前を呼んで気を許す数少ない人物だと言うことは話してましたから。タクト先輩が興味を持った人物として一度チームムーンライトとして対決したいと言ってました。オレはチームムーンライトの新入りなのでまだまだかもしれませんが・・・」
シグレ「ほー」
忠臣「あなたに会ったことでチームムーンライトとしての自覚が生まれました。だから、もう少しチェロを続けてみることにします。だから、もうこんなことが起こらないように・・・」


すると、忠臣はシグレに自身のLINEのIDを渡す。


シグレ「えっ。いいのか?」
忠臣「はい。何かあったらお互いに連絡します!」
シグレ「じゃあ、俺も教える」


シグレと忠臣はお互いにLINEのIDを交換した後に忠臣は立ち上がる。


忠臣「では神戸に帰って西日本大会、頑張りますのでっ。ではまたっ」


忠臣がその場を後にする中でシグレはあんぐりの顔になる。


シグレ(びっくりした。タクトさんはキョクさんとは別の意味で俺をライバル視してるってことかな・・・現に忠臣にも懐かれるし・・・)


そして東日本大会当日の一日目になる中、星ノ宮学園の出番はその一日目だった。その1日目の午前の部で四葉宮高校以外の高校とぶつかることになるーーーーー。


宮島「午前の部は実力が拮抗している奴らばかり・・・俺、緊張してきた〜;」
金城「大丈夫だ。俺達は俺達の演奏をすればいいだけだ。それに俺達が出ないで誰が出る?」
夏目「流石景ちゃん!カッコいいな〜!「そのあだ名で呼ぶな」(´・ω・`)」
まほろ「でも、フルートソロ部門は私達の学校の吹奏楽部からフルートのトップ奏者が出るから大丈夫!」
雨季「まあ、シグレにそれだけ負担がかかることはないだろうからあの子なら大丈夫だと思う」
シグレ「ああ」


そして午前の部で勝ち上がったのは星ノ宮学園の吹奏楽部のアンサンブルメンバー(+夏目&シグレ)と四葉宮高校の吹奏楽部のアンサンブルメンバーだった!これを観客席から見ていた一人であるゼオは言う。


ゼオ「さて、実力が拮抗状態の中で勝ち上がるのはどれかな〜?(魔法でおみくじ」
クルーク「ゼオ、魔法でおみくじするのやめてくれない?」
ププル「控え室に行きたいけど、警備が厳重だから、顔パス持ってても入れないんだよね・・・」
アイオーン(シグレ達だけじゃない。圧倒的に演奏技術を持ち他者を喰らい尽くす曲山と人の心を掴む紺野、平均点が全国レベルの服部・・・他の二人にも粗いが総じての粒ぞろいだ。あやつらに勝つ方法はシグレのマエストロフィールドの完成度を上げることだーーー。だが、シグレはマエストロフィールドがあるとはいえまだ発展途上。その短期間で完成度を高めることはできるのかーーー。そしてお前達はシグレの完成度を上げたマエストロフィールドについて行くことはできるのか、金城景吾)


空「金城先輩達、無事に午前の部を勝ち上がったみたいだね」
勇飛「金城先輩達、大丈夫かな・・・」
樹「金城先輩、本番に強い人だから大丈夫だよー」
琴「午後の部の後はソロ部門みたいだね」
太陽「今日はフルートソロ部門だから、うちの学校の吹奏楽部のフルートパートのトップ奏者が出るみたいだな」
スザク「問題はシグレ君のマエストロフィールドが完成度を上げるかどうかでしょう」
セイリュウ「あいつのマエストロフィールドはまだ発展途上だからな・・・」
ゲンブ「でも、シグレさんは発展途上とはいえマエストロフィールドはすごかったデスよ!」
ビャッコ「ああ、シグレのアレはオレでもヤバかったもん!」
キリン「またマエストロフィールドを見せてくれるかな〜?」
フレッド「シグレのマエストロフィールドか・・・まだまだ成長の余地があるとはいえ見る価値はあるかもな」
ハクウ「マエストロフィールドってどれだけの価値があるの?」
カーチェス(絶対フレッド船長の統率力の方が価値がある!)
マルチウス「おい、カーチェスがまた暴走しかけてるぞー」


王ドラ「珍しいですねえ、シェゾさんが来るなんて」
シェゾ「ああ、黒木に行って来いと言われたんだよ。いいオーボエの勉強になるからって。それにメガネちゃんのせっかくの演奏だしなー」
タママ「・・・アホじゃないですか?」
ドラリーニョ「シェゾ君はアホじゃないよ?」
ラン「つか、シェゾさん、誰ですかメガネちゃんって?」


ナルカミ「シグレ達の出番は後者ですか・・・頑張って欲しいですね」
エニシ「ところでお前のその格好は?」
ナルカミ「好きな芸能人なら一度はファンがする格好です(シグレのファンクラブ衣装」
エニシ「ブラコンかっ!!!」
理人(フラウト)「シグレ、頑張れー!」


そして午後の部になる中で出番は前者である四葉宮高校では火原が星ノ宮学園の演奏に驚いていた。


火原「・・・やっぱりレベルは高いな」
小倉「そこから俺達がどう演奏するかだな〜」
曲山(どんな演奏が来ようが、シグレの演奏を食い荒らすだけだ)


そして四葉宮高校はステージに出て、お辞儀をし、曲を奏でる。曲はラヴェルのダフニスとクロエ第二組曲だ。


BGM:四葉宮高校のアンサンブルメンバー版ラヴェルのダフニスとクロエ第二組曲


ダフニスとクロエは元々はバレエ曲として作られたが、ラヴェルの方は古代ギリシャの田園から生まれたインスピレーションの方が大きかったようで結果的にバレエの方は酷評されたが、今や名曲の難曲として世界に愛されつつある。四葉宮高校の演奏はやはり圧巻の演奏だった。特に曲山と紺野の演奏に会場全体が飲み込む。


観客A「すごい・・・あれが四葉宮高校のアンサンブルなの・・・?」
観客B「特に曲山っていう人、私達の心を喰らい尽くしてるかのような・・・」


曲山(ふふ・・・甘さも辛さも酸いも苦味もかき分けろ・・・)


そして曲山のマエストロフィールドが発動した!それはお菓子の国にいるかのような無邪気な姿だった・・・!そして曲が終わり、会場からは大拍手と歓喜が巻き起こる!これを見た金城は思わず口元が緩む。


金城「あれが曲山のマエストロフィールドか・・・まるでお菓子の国にいるかのようだな。・・・」
シグレ「・・・金城?」
金城「シグレ。1曲目で俺の出すマエストロフィールドについてこれるか?」


金城の問いにシグレは強気に答える。


シグレ「ついてこれる!俺達ならできる!」
金城「ーーーその言葉を信じる。行こう」


そして星ノ宮学園のアンサンブルメンバーがステージに立ち、お辞儀をした後に曲を奏でる。曲はマスカーニのガヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲だ。


BGM:星ノ宮学園アンサンブルメンバー版マスカーニのガヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲


この曲は元々はジョバンニ・ヴェルガによる小説から同人による戯曲から生まれた一幕物のオペラだ。オペラは今に至っては有名で題名は「田舎の騎士道」という意味である。星ノ宮学園のアンサンブルメンバー達はこれを軽々と吹き、そして観客のムードは一気に星ノ宮学園に変わった。


金城(そろそろか・・・)


そして金城は自身のマエストロフィールドにを出す!そこには月の明かりの下にいるかのような姿だった・・・!そして演奏が終わり、会場からは大拍手と歓喜が聞こえた。


宮島「よし!これで観客のムードは俺達に来たな!」
シグレ「ああ・・・」


一方、これを聞いた服部は金城の実力を高く評価していた。

四葉宮高校とのアンサンブル対決!(その2) ( No.583 )
日時: 2018/08/08 21:59
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)
プロフ: http://sp.nicovideo.jp/watch/sm33308723

服部「なるほど・・・彼も人畜無害そうな端整な顔立ちによらず、なかなかキバをむきますね」
紺野「でも、部長。シグレの音は曲山の演奏に喰らわせられてませんね。流石メンタルは強めというか・・・」
曲山「メンタルは強め?何をバカな。これぐらいなら歓喜のムードを一気に俺達に変えさせることは当然だろう。なにせ俺の他に人の心を掴む紺野がいるからな」
紺野「・・・うん。頑張るよ!」


そして四葉宮高校のアンサンブルメンバーがステージに上がり、勝負の2曲目を演奏する。曲はベートーベンの交響曲第6番田園の第一楽章だ。


BGM:四葉宮高校アンサンブルメンバー版ベートーベンの交響曲第6番田園の第一楽章


ベートーベンの交響曲第6番田園はベートーベンが難聴に悩まされながらも自然の風景に励まされそこから生まれたのがこの田園である。曲山はこの曲をやや抑え気味で吹いているが、それでも圧倒的な演奏だった。


観客C「人の心を・・・引き寄せて離さないかのようにぐいぐい掴んでくるような・・・」
紺野(そろそろ・・・いいかな)


すると、紺野のマエストロフィールドが出てきた!そこには木々が徐々に生えてくる自然の風景。その演奏が終わった後に会場からは大拍手と歓喜が聞こえた。一方、星ノ宮学園アンサンブルメンバーの方はまほろが緊張していた。


まほろ「あ〜、運命の2曲目;どうしよう〜;」
宮島「お、おお、おおお、落ち着け!な!」
雨季「あんたもね」
金城「シグレ。今の四葉宮高校の演奏は・・・」
シグレ「・・・確かに上手い。だが、これぐらいの如きで怯えるわけないから」
金城「!・・・そうだな。行こう!」


そして星ノ宮学園アンサンブルメンバーがステージに立ち、2曲目を演奏する!曲はシューベルトの楽興の時第三番だ。


BGM:星ノ宮学園アンサンブルメンバー版シューベルトの楽興の時第三番


このシューベルトの楽興の時は元々はピアノ組曲として作られ、多数のCMで起用されたが特にこの第三番が名高い。ピアノ組曲であるが、今回は管楽器+打楽器のアンサンブル用に金城の祖父の知り合いの編曲家に編曲された。星ノ宮学園のアンサンブルメンバーはその演奏で歓喜の心を四葉宮高校よりも掴んでいた。そしてシグレのマエストロフィールドが発動する!


シグレ(えっ!?この感じ・・・ミュージカル演奏会よりも・・・雛菊の花畑・・・気持ちいい・・・!)


シグレは無意識のうちにマエストロフィールドを発動していたが、これを金城達は見抜きながら軽々と演奏していた。そして演奏が終わり、沈黙にシグレは気付いていた。


シグレ(えっ・・・ダメ、だった・・・?)


ゼオ「ーーーいや」


すると、ゼオがパチパチと拍手する。


ゼオ「ブラボーだ!」


ゼオの拍手に進んで観客はどよめきが巻き起こる。正に四葉宮高校を超えた圧巻の演奏だった。この全国学生音楽コンクールは地方大会の後に全国であるセミファイナルに進む。ということはセミファイナルに進むのは・・・!


宮島「うそ・・・俺達、全国行けんの?信じらんねー・・・」
金城「宮島。全国でのセミファイナルに行けば、必ず全国常連の学校がセミファイナルでは激戦区になる。だから、今までの倍以上に練習しないと、だな」
シグレ「ああ!」


一方、敗退した四葉宮高校では服部が敗北を受け入れながら何かが終わったかのような感じがした。


服部「(この夏が終わったか・・・)みんな。帰ろう」


一方、曲山は何かしらの過去を思い出していた。


曲山(終わった・・・結局、最後までがむしゃらだったな・・・そのがむしゃらが原因で・・・)






部員A『千葉の吹奏楽の強豪中学から来たらしいよ』
部員B『千葉は吹奏楽の王国らしいし、なんでうちなんだろ』
部員C『千葉の強豪高校に行けばいいのに、もったいない』


実は曲山はその才能と性格から1年の時に同じ吹奏楽部員との溝ができていた。ただ一人を除いてはーーー


服部『あ、曲山。ちょうどよかった、今音楽室の掃除をしていたんだ』
曲山『服部先輩・・・なんで俺と関わるんですか?』
服部『曲山?何を怒ってるんだ?』
曲山『俺と関わることで陰口を言う奴もいる、あんたは・・・変なんだって』
服部『「変」か、はは、ひどいなみんな』
曲山『なんであんたは怒らないんだよ俺を突き放さないんだよ!あんたにとっちゃその程度のことなのかよ・・・!』
服部『・・・。僕は自分の選んだことに間違いだなんて思ってない。変だからって切り捨てる音楽にどれほどの価値があるのだろう』
曲山『音楽の・・・価値?』
服部『それに・・・曲山はトランペットが好きだろう?だから・・・居場所を作っていたんだ、居場所がないからってやめて欲しくなかったんだよ。それにーーー』






部長・・・俺はあの時あんたが口をつぐんで言おうとしたのかはわからない。だからーーーあいつらを黙らせるためには、あんたに反感を持っている奴らを黙らせるためにはーーー全国に行くしかないんだ。それができなかったのは・・・






すると、曲山は立ち尽くし、涙を流しながら謝る。


曲山「すみま・・・せん。すみません、すみません!」
小倉「曲山・・・」
紺野「どうしたの曲山君!」
曲山「俺の・・・せいだ・・・俺の、せいで・・・」
服部「・・・。立て、曲山」
曲山「こんな無様な・・・負け方しちまうなんて・・・」


すると、服部は曲山の胸倉を掴みながら言う!


服部「立て!」
小倉「おいっ、服部!」
服部「お前が無様か?今日の僕達は最高の演奏ができていたじゃないか!星ノ宮学園には及ばなかったとしても、敗北したことを誰に中傷されようとも一緒にステージに立てたじゃないか!それなのにお前が自分の演奏を貶めるのか?」
曲山「でも・・・勝って、もっとみんなで演奏したかった・・・なのにもう・・・夏は終わりなんだ、これでもう・・・終わりなんだ・・・」
小倉「終わりだなんて・・・そんな悲しいこと言うなよ」
紺野「そうだよ!これからだって・・・!」
火原「俺も・・・このメンバーでもっといろんな曲を吹きたかった。もっと部長と小倉先輩と、たくさん・・・」
服部「みんな・・・ありがとう。一緒に全国ーーー行けなくてごめんな」


一方、勝利した側の星ノ宮学園のアンサンブルメンバーはシグレが何かに気付いていた。

四葉宮高校とのアンサンブル対決!(その3) ( No.584 )
日時: 2018/08/08 22:10
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)
プロフ: http://sp.nicovideo.jp/watch/sm33308723

シグレ「そういえば、この後はフルートソロ部門だよな?なのに肝心のお前らのところのフルートトップ奏者が来てないんだが」
金城「そういえば、遅いな・・・あと少しで時間なのに・・・」
まほろ「景吾君!大変!」


すると、まほろが走りながら二人のところに来た!


金城「どうした?」
まほろ「今連絡があって、愛子(白鳥愛子、フルートのパートリーダーでトップ奏者)ちゃんが・・・!」


話を聞いた金城は来た愛子の元に駆けつける。しかしながら愛子は左手首にサポーターが巻かれていた。原因は過多な練習による腱鞘炎だ。


金城「白鳥・・・」
愛子ママ「すみませんこの子、聞かなくて・・・」
愛子「すみません、部長・・・私、吹きますから」
金城(左手首が痛むまで相当練習していたのか・・・このままでは・・・)


すると、金城が意を決したかのように言う!


金城「白鳥、もう出なくていい!ゆっくり休め」
雨季「ちょっと金城!」
宮島「確かにこのままだと負担をかけさせるわけにはいかんしな」
夏目「でも、代役はどうするの?」


すると、金城は何かを思いついたかのように言う!


金城「シグレ!お前、吹け!できるよな?」
シグレ「えっ!?あー、この曲なら聞いたことがある!」
金城「OK!正直優勝できるかできないかはわからないが・・・もしセミファイナルに進んだら俺はお前をソロ部門での優勝を託す!」


そしてシグレは金城に代役を任せられステージに立つが、そこには急いで最前列に座った他のアンサンブルメンバーがいた。


シグレ(正直セミファイナルに進むかどうかはわからないけど、俺は吹く!)


そしてシグレはその曲を吹く!曲はフルート用に編曲されたショパンの別れの曲だ。


BGM:シグレ版ショパンの別れの曲


シグレの演奏は技術的の底上げに成功したために立派な演奏のみならず、圧倒的な表現力がある演奏だった。これに宮島は涙を流す。


宮島(シグレ・・・幼き日の雨が見えるよ)
金城(この難しい曲を、あそこまで・・・)


そしてシグレが吹き終える中で会場からは大拍手と歓喜をもらった!シグレはやりきった表情に微かになっていた。


シグレ(俺・・・やった?)
雨季(シグレ・・・今頃になって・・・!)


一方,シグレが代役としてフルートソロ部門に出たことを知らないクルークはゼオに聞く。


クルーク「フルートソロ部門は見ないのかい?」
ゼオ「みんな俺以外は同じようなもんだからいいよ」
ププル「ゼオ,星ノ宮学園の吹奏楽部のフルートパートリーダーも可愛くて実力あるのにそんな言い方は・・・えっ!?」
アイオーン「どうした?」
ププル「シグレ君,なんでフルートソロ部門に出てるの!?しかもセミファイナルに進んで!」
クルーク「そういえば、金城達が何か慌ててたのを目撃したね。星ノ宮学園の吹奏楽部のフルートのパートリーダー、腱鞘炎疑惑出ていたから・・・」
ゼオ「・・・ふん。面白い。セミファイナルは必ず見に行くぞ。シグレ」


そして東日本大会は星ノ宮学園の勝利のまま幕を閉じた・・・。






西日本大会の会場の近くではリサーチのために行こうとしてシグレが遅刻していた。幸いにも偶然遭遇していたクルーク達が西日本大会会場を案内していた。


クルーク「ほらほら、もうすぐだよ」
シグレ「あ、ありがとう・・・」
アイオーン「礼ならいらぬ。金城達には俺からも詫びよう」
ゼオ「ところでなんでアイレーンまでついて来てんの?」
アイレーン「シグレばっかりお兄ちゃまとクルークを独り占めしてずるいのだ!だから、私も行くのだ!」
ププル「別にいいけど・・・」


すると、シグレのスマホに電話が来た。宮島からだ。


シグレ「どしたー?」
宮島「シグレ!すぐに来い!」
シグレ「ごめん遅刻してーーー」
宮島「そんなことはいいからすぐに来い!出ないとーーー」






宮島「ーーー午後の部は、ないかもしれねえんだ!」
シグレ「!?」






シグレが走る中でゼオ達も異変に気付いたのか彼について行く。


ゼオ「なんなんだ一体・・・」


そして西日本大会の会場にたどり着くが、そこにはまるで何か圧倒的な力を見せつけられたかのように泣いている学生達の姿だった!


学生A「うっ・・・うっ・・・うっ・・・」
学生B「もう・・・あたし・・・ヴァイオリンなんてやめるっ!」
アイレーン「なんなのだこれは・・・一体何があったのだ・・・」
アイオーン「・・・」
クルーク「!」


すると、クルークは少女が絶望に立ちすくんでいる姿を目撃する!この少女はクルークは雑誌やクルミとしての共同取材で知っていた。


クルーク「この人・・・羽生芸術大学のオーボエトップ奏者の吹越舞だ」
ププル「えっ?そんな子が・・・どうして立ちすくんでいるの・・・?」
舞「いやよ・・・いやよ・・・いやよ!私はもう・・・ステージになんて立ちたくない!無理にステージに引きずり出すなら私はここで死ぬ!」
大会係員「吹越さん、落ち着きなさい!キミが出なければ羽生芸術大学付属は棄権になってしまうよ」
舞「棄権?いいわよ、棄権なんていくらでもするわよ!もう月宮の勝ちでいいわ!あの悪魔みたいな連中が優勝でいいじゃないの!」
大学係員「困りましたね・・・これでは・・・」


すると、タクトやみくる、忠臣を含めた月宮学院高校管弦楽部のチームムーンライトが現れた。チームムーンライトのピアノ担当の香月美雨がその羽生芸術大学の姿を前にして無表情ながら嗤う。


美雨「やれやれ・・・あっけないですね、みくる部長。あれが西日本大会の覇者だって言うんだから、笑わせますね」
タクト「みくる、ダメやないか。俺は感じなかったけど、もう少し他の学校の演奏者のことを思いやらへんと」
みくる「ふん。思いやったさ。奴はオーボエを吹いているだけの凡俗な演奏家だ。弱者の学校相手でも全力でやっただけだ」
楽我「まあまあ。無事に西日本大会を勝ち抜けたんだからいいじゃん」
忠臣「あの!みなさん立派な演奏でした」
みくる「そうだな。帰るぞ。車を出せ」
忠臣「は、はい」
アイレーン「ーーー待つのだ!」


すると、アイレーンが学生達に力を見せつけたチームムーンライトに食ってかかる!


アイレーン「お前ら一体何やったのだ!他の演奏者にどんなことをーーー」
みくる「!どこかで見たことあるような顔だなと思えば、厨二病すぎるバンドのリーダー兼ギターボーカルか。どけ。貴様に用はない」
アイレーン「その前にこいつらに何をしたのだ!この私よりもちっこいの!」
美雨「何様ですかあなた。無礼な口を利かないで下さい」
クルーク「ーーーアイレーン!」


すると、クルークは食ってかかるアイレーンを止める。


クルーク「今喧嘩じゃ何も解決しないよ!現状を悪化させるだけだ!」
アイレーン「・・・わかってるのだ。こいつらに説明を求めたって無駄なのだろうしな」


すると、みくるはゼオを見た瞬間に可愛い顔をしながら睨みつけた瞬間に彼は気付く。


ゼオ「ーーーおい」
みくる「残念だな、お前の先輩の女のあいりが見に来れなくて」
ゼオ「!」
みくる「今頃はその先輩と楽しそうにしているだろう?」


すると、ゼオはみくるの言葉に言い返す。


ゼオ「あー、確かに楽しそうすぎだな。でも、あいりは幸せそうなんだ。お前らのことは片隅にもないと思うよ」
みくる「・・・何も知らないくせに」


みくるはボソッと言い捨て、他の仲間とともに立ち去った。アイレーンは舞に声をかけるが・・・


アイレーン「おい。お前、大丈夫か?」
舞「・・・。私は・・・オーボエを持つことなんて許されるべき人間じゃなかったんだ・・・私はもう・・・オーボエをやめるわ・・・」
アイレーン「あっ、おい!」


舞が立ち去る中でアイレーンは自分の無力さに打ちひしがれそうになる。


アイレーン「やめるなんて・・・簡単に言うなのだ・・・!」


一方、ようやくシグレ達は金城達と合流し、金城は月宮学院高校にシグレ達が会ったことをゼオの口から話された。


金城「そうか・・・タクト達と会ったのか・・・」
ゼオ「一体何があったんだ・・・?」
夏目「・・・西日本大会は午前の部のトリは厳しいだろうし、そのトリが月宮学院高校だったから、羽生芸術大学付属の勝利だと思ったよ。吹越舞さんも意気揚々としていたし・・・」






舞『聞いてくれましたか?みなさん!』


金城『羽生芸術大学付属、審査員受けのいい安定した演奏をするなあ』
夏目『強い相手としては受けて立つよ』
まほろ『次は・・・タクトさんのところだね』






夏目「彼らがステージに上がるまではーーー・・・ヴィバルディの冬の第一楽章。絶望に追いやられそうな曲だよ。そこには極寒の冬、冷房が効いている会場、そんなことはわかっていたのに・・・一瞬で僕達は死と隣り合わせの極寒の夜に連れていかれたんだ」
ゼオ「要するにマエストロフィールドってことだろ?それなら金城とシグレだってーーー」
金城「俺やシグレのマエストロフィールドとは違う。まるでそこにいるかのように五感に訴えかけるほどの・・・抗いようがない表現力だった」


金城はその言葉を言ったまま全員が沈黙してしまった・・・。すると、クルークは沈黙を破るかのように言う。


クルーク「まあ、星ノ宮学園だって地方大会を勝ち抜けたんだからいいじゃん」
雨季「そうね。ここまで来たからには練習量を増やすわよ。ゼオも手伝いなさい」
ゼオ「えっ、いいの?」
雨季「こういうのは専門的に指導した方がいいからね」


セミファイナルに向けて星ノ宮学園のアンサンブルメンバーが話し合う中でクルークはふと目をやるとある指輪を拾った。赤いルビーの指輪だ。


クルーク「?何これ?」


続く・・・!






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