二次創作小説(紙ほか)
- 8月31日のポルックス(その1) ( No.605 )
- 日時: 2018/08/31 23:05
- 名前: 桜 (ID: exZtdiuL)
今回はある某少女ファンタジー漫画の話を元にしたポルックスとエルドゥールさんの過去のお話です。ポルックスとエルドゥールのコンビ(カップリング?)はツイッターで見かけてからめちゃくちゃ可愛いです。さくら先生・・・(´;ω;`)
野菜王国の王族の城のある部屋ではエルドゥールは自分の生まれ育った国を滅ぼした敵討ちのための「悪魔狩り」の合間に義妹のポルックスにクッキーを作っていた。そのクッキーを持ちながら彼女の部屋に入ろうとする。
エルドゥール「・・・・・・ポルックス。クッキー焼けたぞ」
ポルックス「えっ?ああ。お兄ちゃん、ちょっと出かけてくるっ」
エルドゥール「・・・・・えっ?ああ・・・・・・えっ!?どこに行く気だ!」
ポルックス「すぐに戻って来る!」
ポルックスが出かける中でエルドゥールは何事かと頭を抱えていた。
エルドゥール「・・・・・・全く何があったんだ・・・」
すると、エルドゥールはふと八月のカレンダーを見る。その8月31日を見た時に彼は気付く。
エルドゥール「・・・・・・そうか、今日は・・・・・・」
それは1、2年前。エルドゥールは既に野菜王国の国王であるサルザーゾに剣の実力を見出されめきめきと頭角を現していた中で同じく頭角を現した同僚であるフリードがエルドゥールの方に駆ける。
フリード「エルドゥール!ピョンっ★」
エルドゥール「・・・・・・なんだ、フリードか」
フリード「なんだとは失礼な!ピョンっ★今日は他国の音楽学校のパーティにチェロ奏者として招かれたって?ピョンっ★」←ちなみにうちのフリードはクラリネット奏者も兼ねています
エルドゥール「・・・・・・ああ。今や呪われた五英雄のトップである俺が呼ばれたんだからな、来るなよ。・・・・・・また女性を口説く気だろう?」
フリード「ケチー、ピョンっ★」
そしてエルドゥールがチェロを持って、そのパーティに出席する中でチェロを弾いた後に多くの女性に囲まれていた。
女性A「可愛いー!目つきは怖いけどチェロを弾けるギャップを持ってるなんてー!」
女性B「あなた、どこの国のチェロ奏者?」
エルドゥール「・・・・・・野菜王国だ」
女性C「へぇー」
すると、人々の叫び声がした!叫び声をあげた男性の近くには巨大な鳥だった!
女性D「な、何!?」
エルドゥール「!?」
すると、その巨大な鳥はエルドゥールに向かった途端に消えた。エルドゥールはこれに戸惑う。
エルドゥール「・・・・・・?」
???「クス、クスクス、クス」
すると、エルドゥールの前にいたのはハープで巨大な鳥を出現させたオッドアイのまだ幼い少女だった。彼女は言う。
???「こーとりさんがにーげたヨー♪」
エルドゥール「・・・・・・あ」
すると、少女が笑顔のままその場から逃げ出す中で大半の女性達が彼の無事を確認しに駆け寄った。
女性E「エルドゥールさん、大丈夫ですか!?」
エルドゥール「・・・・・・今の子、誰だ?」
女性F「パーティを主催している音楽学校の生徒のポルックスよ」
エルドゥール「・・・・・・じゃあ、なんであんなことを?」
女性G「いつもの悪戯よ、ああいう子なの。ハープの実力はかなり優秀だけど、親が生まれつきいない子だったのよ。あの子が入学してから怖いわよね、その音楽学校に不幸なことばかり起こるんだもの。ヴァイオリン首席だったユノが病気になったのはきっとあの子のせいよ。呪われてるわ」
女性H「そうなの?なんか不吉ね・・・あんな子と関わったらダメですよ、エルドゥールさん」
エルドゥール「・・・・・・え・・・?」
エルドゥールは話の内容と彼女を見た瞳からある空気を感じ取る。
エルドゥール(呪われた子・・・?あの子のせいで不幸が起きるのか?だから、みんなあの子が嫌いなのか?)
エルドゥール(だから、あの子は・・・あんなに悲しそうな目をしていたのか・・・?)
エルドゥール「・・・・・・すまん、ちょっと抜ける(あの子を探しに行こう。なぜか気になるーーー・・・」
一方、ポルックスは鳥が飛ぶ際に落ちた羽根を数えながら歌っていた。
ポルックス「小鳥さん、おいでなさい、来ないと、足をもぎ取るよ」
すると、ポルックスはエルドゥールに気付く。彼女は言う。
ポルックス「誰?」
エルドゥール「・・・・・・あ・・・・・・歌が聞こえたから、ここかと思って・・・・・・」
ポルックス「?」
エルドゥール「・・・・・・よかったら・・・俺のチェロと合わせてくれないか?」
ポルックス「アタシと・・・遊んでくれるの?あなたはだあれ?」
エルドゥール「・・・・・・俺はエルドゥールだ。呼び名はなんでもいい。・・・・・・よろしく、ポルックス」
エルドゥールに優しく接されたことに内心戸惑いつつもポルックスは彼に対して愛らしい笑顔を見せた・・・。
それからエルドゥールがその国に滞在する中でポルックスはとある日にハープの音色が鳴らないことに気付く。
ポルックス「エルドゥールさん!音が鳴らないよ!」
エルドゥール「!・・・・・・いくら万能なハープでも音色は星座だからな。夜の星が必要か?」
そして夜になった後にポルックスのハープは音が星座の力により鳴ることに成功した。
ポルックス「エルドゥールさん!アタシのハープの音色が鳴るよ!」
エルドゥール「・・・・・・そうか(たまに星座の力を借りないとダメなのか・・・」
ポルックス「エルドゥールさんもチェロに星座の力を与えてもらおうよ!」
エルドゥール「・・・・・・えっ、ちょっ・・・うわっ!」
すると、引っ張られた途端にエルドゥールは崖に落ちた!エルドゥールは幸いにも無事だったが。
エルドゥール(痛い・・・;でも、ポルックスが受けてきた傷を考えると・・・)
???「あら?異国の方?」
すると、エルドゥールはガラス越しの部屋でベッドで寝ている少女を見つける!
???「何か御用?」
エルドゥール「・・・・・・いや、何も・・・」
すると、ポルックスがエルドゥールを探しにその場所に駆けると、少女を発見する!
ポルックス「エルドゥールさん!あっ!ユノ!」
ユノ「ポルックス!」
エルドゥール(えっ;この美少女がお前の親友なのか!?でも・・・ああいう笑顔もするのか・・・)
すると、ガラス越しに話す二人にある怒声が挟んできた。とある国の音楽学校の理事長だ。
理事長「そこで何をしている!ユノと会うなと言っただろう、ポルックス!早く行け!」
ユノ「待って、理事長!もう少しだけ話を・・・!」
ユノの叫びも虚しく二人は理事長に別の場所へ連れ出される中で理事長は呆れながら言う。
理事長「全く油断も隙もないな。明日からはガラスの窓はなくして部屋一面壁にしよう。もう二度と会うなよポルックス!お前が近づくとユノの病気が重くなるんだ。呪われた子め」
理事長が立ち去る中でエルドゥールはその言葉に反論しようとするが、ポルックスはエルドゥールの袖を掴む。
ポルックス「・・・いいの、エルドゥールさん。言いつけを守らなかったアタシが悪いの」
エルドゥール「・・・・・・ポルックス・・・」
エルドゥールはとある国の音楽学校の理事長のポルックスに対して横暴な態度に腹が立っている中で二人は星空を見ながら話していた。
エルドゥール「・・・・・・あれがお前の学校の理事長か。何かすごく嫌な感じだったな。偉い人じゃないのか?」
ポルックス「理事長はアタシのことが嫌いだもん。ユノの病気はアタシのせいだから。アタシは「呪われた子」だから・・・アタシがそばにいるとユノが死んじゃうんだって」
エルドゥール「・・・・・・そんなのおかしいな・・・」
ポルックスは振り向きながらあることを言う。
ポルックス「でもね、おまじないをしてるの」
エルドゥール「・・・・・・おまじない?」
ポルックス「ユノがね、いつも笑ってたらいいことがあるのよって、言ってくれたんだ。アタシが笑うとユノの病気も治るかもしれないから、いつも笑ってるようにしているんだ」
しかし、彼女は穏やかな声色ながら言う。
ポルックス「・・・でもね、いくら笑ってもユノの病気が良くならないの。いいことが起きないの。いつも笑ってるはずなのに。なんでかなあ」
彼女の暗そうな顔にエルドゥールは口には出さないまま思う。
違うよ、ポルックス。いくら笑ってても、ユノの病気は良くならないし、笑顔も楽しくなくちゃ意味がないんだ。俺は思ったけど、お前を傷つけない、言葉が上手く見つからなくて。ただそばにいて、ただ手を繋いで、ずっと隣に座ってた。
ずっと、ずっとーーー・・・。
- 8月31日のポルックス(その2) ( No.606 )
- 日時: 2018/08/31 23:08
- 名前: 桜 (ID: exZtdiuL)
その数日後、誰かの葬儀が執り行われていた。そう、ポルックスの唯一の友達だった・・・
女子生徒A「ホント急だよね」
女子生徒B「可哀想に・・・」
女子生徒C「将来を嘱望されてたのに・・・ユノが死んだなんて。やっぱり呪われてるのかなあ」
ユノの葬儀に参列していたエルドゥールはポルックスに声をかける。
エルドゥール「・・・・・・ポルックス」
ポルックス「エルドゥールさん」
エルドゥール「・・・・・・大丈夫か?」
ポルックス「何が?」
エルドゥール「・・・・・・何がって・・・」
すると、涙ひとつ見せようとしないポルックスに女子生徒達が陰口を叩いた。
女子生徒E「聞いた?今の」
女子生徒F「友達だった人が死んだっていうのに、あの子には心っていうものがないのかなあ」
エルドゥール「・・・・・・!!バカなこと言うな!!ポルックスは普通の子だ呪われてなんかいない!いい加減なこと言うなよクソガキ!!」
女子生徒E&女子生徒F「ク、クソガ・・・!!?」
エルドゥール「・・・・・・行くぞ、ポルックス!」
ポルックス「エルドゥールさん!?」
エルドゥールとポルックスが葬儀を抜け出す中でエルドゥールはポルックスの手を掴みながら歩いていた。
ポルックス「一体なんなの、エルドゥールさん。痛いよ手。エルドゥールさん?」
エルドゥール「・・・・・・泣きたい時は、泣いていいんだ。悲しい時は・・・・・・」
すると、エルドゥールは振り向きながら自分の受けた呪いと戦いながら言う。
エルドゥール「我慢しなくていいんだ。笑うのは楽しい時だけでいい。俺の妹として一緒に来い。ずっとそばにいる」
エルドゥール「ポルックスの心の一番奥にいるから、俺の前では、泣いていい」
すると、ポルックスは目を閉じながらエルドゥールに抱きつく。その開けた目から・・・
透明な雫が流れていた・・・。
ポルックス「うわあああああーん!!!あああああー!!!」
ーーー後にも先にも、ポルックスが泣いたのを見たのはこの時だけだった。
そして現在。エルドゥールの義妹となったポルックスはある墓の前に花を置きながら座り込んでいた。そこにある声がした。
エルドゥール「・・・・・・ーーー今日はユノの命日だったな」
ポルックス「お兄ちゃん・・・」
エルドゥール「・・・・・・日本の花束だ。野菜王国とは違ってすぐに枯れてしまうが、綺麗だろう?枯れてしまってもそこに心は残る、だろう?」
ポルックス「・・・そうだね」
エルドゥール「・・・・・・なあ、ポルックス」
すると、彼は当時のことを思い出しながら言う。
エルドゥール「俺があの時言った言葉も、変わってない」
すると、エルドゥールは立ち上がりながら言う。
エルドゥール「・・・・・・帰るぞ。今日はクッキーが焼けたんだ。今日のは特別に美味しいんだ」
エルドゥールの言葉にポルックスは微笑みながら立ち上がる。
ポルックス「じゃあ、アタシはチーズケーキとフルーツケーキも食べたい!」
エルドゥール「・・・・・・;それならケーキ屋で・・・」
ポルックス「お兄ちゃんの手作りがいいのー!」
ーーーこれからもずっと、
ポルックスの心の一番そばにいるから。
おしまい
「オリキャラ紹介」
・ユノ
とある国の音楽学校でのポルックスの友達。将来を嘱望されたヴァイオリニストで病気を抱えながらも決してポルックスを色眼鏡で見ずに優しく接していた。
「後書き」
今回は合間を縫ってクロスオーバー要素はなしでポルックスとエルドゥールの過去話を書いてみました。差別は本当にダメで受けた側は一番辛いな・・・。
ちなみに差別を受ける理由は残念ながら色々とあります。容姿だったり、落ちこぼれだったり、あるいは身体や心に病気を持っていたり・・・。私も差別を受けた側の一人ですから、こういった差別は本当に受けた側の気持ちがわかります。差別、ダメ、ゼッタイ。
感想OK