二次創作小説(紙ほか)

秋のルビー、悲しみを歌いながら愛しさを(その1) ( No.616 )
日時: 2018/09/28 20:03
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

今回はタクトさんの今までの行動の意味がわかります。そして物語はようやく動き出します!






タクト「景吾が助けてくれないと俺の命は僅かなんや」
金城「え・・・?」


タクトの意味深な発言に金城が驚愕するが、すぐにタクトは金城の身体を離していつもの飄々とした態度に戻った。


タクト「なーんてな。これは女の子の心を掴むためのコツの一つなんやで。景吾もまほろちゃんに使えばまんま落とせるんやのになぁ」


すると、金城がタクトを殴った!金城は涙ながらに言う。


金城「・・・俺は・・・そういうのが一番嫌いなんだよ!!」


そして金城が逃げるように去った後にタクトは起き上がりながら誰かを呼ぶ。


タクト「どこに行ってたんや。クロラさん」
クロラ「あなたが金城君に嫌われるところを拝見させてもらいましたよ。一度許してもらったらしいですが・・・これで僕達の因縁を終わらせることができますね」
タクト「・・・それでも・・・ええわ・・・」


その翌日、これから開催される秋のコンサートに月宮学院や黒音学園、四葉宮高校とともに出演することになった星ノ宮学園の吹奏楽部は同じく出演するオーケストラ部(ミイが所属している)同様に練習に励んでいたが、金城だけは練習に熱が入っていなかった。まほろは金城を気にかける。


まほろ「景ちゃん・・・?どうしたの?大丈夫?」
金城「!ああ、大丈夫だ。こっちの問題だから」


金城がマウスピースを洗おうと学校の水道に向かうが、そこに忠臣が険しい顔をした見知らぬ女子達に囲まれていた。


女子A「酷いのよタクト。そっちから誘っといて」
女子B「あなた、タクトに会わせてくれる?」
忠臣「いや、しかし・・・;」
女子C「昨日の夜、突然別れようって」
女子D「メールも電話も全然出ないのよ?」
金城「おい、島瀬、どうした?」
女子達「!!!」


すると、女子達がタクトが別れ話を切り出した原因と怪しみ、金城を見る。


女子E「あなたがタクトが別れ話を切り出した原因の従弟君?」
女子F「ちょっと話いいかしら?」
金城(あいつ、何やらかしたんだ・・・;)


すると、誰かが金城の手を掴む!金城の父親違いの姉、凛音だ。


凛音「うちのバカ従弟が何かやらかしたんなら、私の方に直接掛け合って下さい」
金城「姉貴!」
凛音「逃げるわよ、景吾!」


金城はタクトのことで納得いかない様子の女子達を見てタクトが何かの事情を抱えただろうと薄々感づいたが、流石に確信には至らなかった。一方、アイオーン達四人は秋のコンサートのことで雑談していた。


ゼオ「秋のコンサート、シグレが特別に出演するらしいな」
ププル「そういえば、シグレ、全国学生音楽コンクールのフルートソロ部門でも優勝してたから、もし秋のコンサートが成功したらリトルモンスターにとってとんでもない快挙だよ!」
クルーク「それにしても気をつけないと行けないのはメグルや・・・彼女が言っていた吸血鬼のことだね」
アイオーン「ああ、奴の証言は明らかに意味深で・・・」


すると、アイオーンはある時計台の下に立っていた人物を見かける。エルドゥールだ。


エルドゥール「・・・・・・久しぶりだな」
アイオーン「エルドゥール!?」
ゼオ「お前、なんでこんなところに?もしやシグレ達の秋のコンサートを見に・・・」


すると、エルドゥールは頭を下げながら彼なりに何かを頼み込む!


エルドゥール「・・・・・お願いだ、俺達の探している花びらのルビーを探してくれ」
クルーク「えっ?」


エルドゥールは花びらのルビーについて説明する。


エルドゥール「・・・・・・花びらのルビーは星の楽器を強くさせるためのアイテムなんだ。もしお前らの持っている楽器が星の楽器だったら、星の楽器の耐久が上がることができるかもしれない・・・」
ゼオ&ププル「・・・!」


すると、ゼオとププルの頭に脳裏がよぎる。それはかつてゾーアとの戦いで星の楽器が一度老朽化で壊れたこと・・・すぐにアイオーン達の合奏によって戻ったもののそのことを顧みたププルは言う!


ププル「いいよ。花びらのルビーを探しても」
ゼオ「俺達も俺の初代フルート相棒がそろそろ寂しがってる頃だしな」
エルドゥール「・・・・・・ありがとう」


フリード『エルドゥール、これはお前のスターチェロを強化するための手段ピョン。そのためにはお前が今まで接触した奴らに探させるピョン★』


エルドゥールは自分の目的を思い出しながら四人に花びらのルビーの探索を託す。その数時間後の夜、秋のコンサートまでいよいよ明日でシグレはリトルモンスターの寮の窓の外を見てボーっとしていた。


シグレ「・・・」


そのシグレに誰かが声をかける。フラウトだ。


理人(フラウト)「シグレ。大丈夫?」
シグレ「ああ。大丈夫だ。ーーー俺は兄貴にも世間にもようやく認められたって思うと、ちょっと寂しくなったんだ。がむしゃらに頑張って、それが認めてもらえて、世間からも兄貴からも認められて、・・・それを嬉しく感じた自分がちょっと悲しくなった」
理人(フラウト)「シグレ。寂しいって言ったけど、それはシグレ自身がみんなに愛されるものを持ってるからだよ。だから・・・過信はしなくていいから、もっと自分に自信を持って、欲しいんだ・・・」
シグレ「理人・・・」


すると、フラウトはいつもの調子に戻り、笑顔でシグレを励ます。


理人(フラウト)「シグレっ、明日のコンサート、頑張ってね!僕のフルートもエニシさんにもようやく認められたし!」


フラウトが走り去った後にシグレはフラウトの迷いのない背中を見ながらボソッと言う。


シグレ「コンサートが終わったら遊んでやるか・・・」






そしてコンサート当日。シグレと金城達率いる星ノ宮学園中等部吹奏楽部はバスでコンサート会場に向かっていた。会場は全国学生音楽コンクールの会場でもある横浜みなとみらいホールだ。


宮島「このコンサートは大ホールが採用されてる。つまりどちらが客をより魅了できるかだな」
雨季「全国の強豪揃いだからまるで全国大会の緊張感ね」
まほろ「うん・・・!」
シグレ(金城・・・)
金城「・・・」


そしてバスが会場にたどり着き、そこに待っていたのは曲山率いる四葉宮高校だ。


曲山「来たな、シグレ」
シグレ「今日はよろしく、キョクさん」
曲山「全力でかかって来い!今度こそお前の音を喰らい尽くしてやる!」
シグレ「ああ。俺も楽しみ!」


すると、黒音学園も彼らの前に現れる。美代子は宮島に声をかける。


宮島「今日はよろしくお願いします!」
美代子「ああ。今日はよろしく」
樫野「美代子さん、なんか嬉しそうな顔してるね。宮島君とまた勝負ができると騒いでたことが叶ったからかな?」
美代子「言ってねーわ!!!」


すると、金城はタクトを見かけるが、気まずいのか目をそらしていた。タクトはその金城に少し気にしたが、金城を守るために態度に表すことはなかった。一方、観客として来ていた人達はアルルがシェゾとまほろに関する誤解でムスッとしていた。


シェゾ「・・・;」
アルル「ふん!」
夏美「一体何があったの?」
キッド「実はな・・・(ヒソヒソ」
夏美「うっわ、シェゾの優しさの犠牲者がまた出たわね;」
エニシ「そういえば、ゼオ達は?」
ヤマト「なんかある人に頼まれて探索らしいっすよ。シグレ達の演奏はモニターで見るって」
ユーリ(ポ)「ほう・・・」
ツースト「ゼオが人の頼みを優先するなんて珍しいなー。まあいいけど」
あいり「意外とあっさりしてますわね;」


そしてコンサートが始まった後にナレーションが進行する。


ナレーション「それでは秋のコンサートのアカデミックコンサート2018の主催者である指揮者のシュトレーゼマンから、お話があります」
ミルヒー「あー・・・このコンサートは優劣をつけるものではないとはっきり言いマショウ。それは賞レースでやればいいのデス。キミ達はどんな思いでここにきたのか。学校のレベルアップ、他校の偵察、学校の威信・・・または何かを成し遂げたいのか。それを私が真剣に耳を傾けてやりマショウ。遠慮は入りマセン。全力で来なサイ」←本名はシュトレーゼマン


一方、シグレは何かしら緊張しているかのような様子で、雨季はそれに気付き声をかける。


雨季「シグレ、大丈夫?・・・本当に大丈夫でしょうね?」
シグレ「ああ・・・わかってる。話したらみんな大騒ぎになってしまう。今俺の考えを知っているのは・・・雨季さんや今いないゼオさんを含めて4名だからな。本当に大丈夫かって言う空気に・・・ちょっと痛いよ・・・」


そのシグレの考えを知っている四人の中の一人であるフランツはシグレを真剣な眼差しで見ていた。彼はあることを不安視していたからだ。
そしてトップバッターである四葉宮高校が出る中でまほろはこれを舞台裏から見ていた。星ノ宮学園の出番は最後だ。


まほろ「ヤバい・・・曲山さん、上手くなってる・・・;」


すると、まほろのスマホにLINEが入る。美雨からだ。


美雨からのLINE「私の調査がみくる部長にバレたんです。話すから来てくれませんか?」


まほろが行くとそこには美雨がベンチで座っていた。美雨はすぐにまほろに気付く。


まほろ「美雨さん・・・あの・・・」
美雨「・・・みくる部長は、私の様子が少しおかしいと感じたんですよ。そして指摘された私は「もう本当の音を封じたのは今の顧問じゃないか」という質問をみくる部長に投げかけました。そしたら・・・」






みくる『やめてくれ、美雨。私はそんなことで憎しみを生み出したくないのだ。私のヴァイオリンも、美雨の純粋なピアノも、憎しみで変えてしまいたくないんだ・・・』






美雨「そう言って聞いてくれませんでした。あの人は自分の音や私の音を憎しみでいっぱいにさせたくなかったからだと思います。みくる部長を救うために調査したのに、そのみくる部長から憎しみを生み出すからやめろと言われたらどうしようもないですよね。私のやったことは憎しみを生み出すのではないかと・・・」


すると、まほろは美雨の小さな身体を抱きしめる。まほろは彼女を諭しながら言う。


まほろ「そんなこと言わないで。やり方が違うとはいえどちらも人を思いやることだったんだ!それは憎しみを生み出すことじゃない。本当に大切に想うからやり方が間違ったりするんだ。でも、二人がお互いを想う気持ちは、絶対に間違ってないから!それは悲しみを生み出すことではないんだよ」


まほろの言葉に美雨は涙を浮かべながら驚いた後に彼女に抱きつきながら言う。


美雨「ーーーはい、ありがとう」


一方、鳩宮扮したヴァハトはその会話を盗み聞きしながら見ていた。


鳩宮(ヴァハト)(ふーん。まさかあの子を使ってそこまで調べ上げるなんてね。まあ、あの子を潰せば大概は調べることはないなあ)


一方、美雨と別々に別れ戻って来たまほろは控え室でオーボエで基礎練をしながら何かしらの闘志を燃やし始めた。


まほろ(決めた。美雨さん達のために、絶対にコンサートを成功させる。シェゾ様や景ちゃん、うーちゃんや清ちゃん、そしてシグレ君達のためにも!)


すると、またまほろの方にLINEがなった。また美雨からだ。


美雨からのLINE「ちょっとピアノの方で確認したいところがあるから見てくれますか?」
まほろ「美雨ちゃん、ピアノが全国レベルなのに何かあったのかなぁ?」


まほろが目的の第一通路に行くと、そこに美雨の姿はなかった。


まほろ「あれ?美雨ちゃん・・・?」


すると、何かがけられた音がした。まほろが振り向くとそこにはヴァハトが立っていた。


まほろ「鳩宮・・・先生・・・?」
鳩宮(ヴァハト)「やあ、まほろちゃん。わざわざ時間をかけさせてすまないね」
まほろ「どういう・・・こと?」
鳩宮(ヴァハト)「あのLINEは美雨から勝手に拝借して僕が打ったものなんだよ。キミに用があったんだ。雫石みくると僕についてどこまで調べたか教えてもらうよ」


ヴァハトのただならぬ雰囲気にまほろは聞く。


まほろ「・・・言ったら・・・景ちゃん達のところに帰してくれる?」
鳩宮(ヴァハト)「さぁ、どうだかね。まあ、それも考えたんだけどねー」


一方、控え室でピアノで最後の準備に取り掛かっていた美雨はようやく終わり、美雨はスマホを開く。

秋のルビー、悲しみを歌いながら愛しさを(その2) ( No.617 )
日時: 2018/09/28 20:08
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

美雨「お互い頑張りましょう、と・・・え?私が送ってないLINEがありますね。このLINE、誰の仕業ですか?まさかーーー!」


すると、事態に気付いた美雨が駆け出す中で金城が気付く。


金城「おい、香月?どうしーーー」
美雨「来るな!」


美雨が金城をはねのける中、一方、ヴァハトはまほろをジリジリと近づいて追い詰めていた。


鳩宮(ヴァハト)「調べさせてもらったけど、キミは少しなんとなくやればなんでもこなせると言ってたよね。それは全てオーボイストの命とも言える手や指が関係してるんだね。でも、僕達には失うものなんて何もないんだ。だからーーーキミのその命をもらうよ」


ヴァハトがジリジリと追い詰めて行く中でまほろが後ずさるが、後ろは行き止まりだった。


BGM:英雄の証


鳩宮(ヴァハト)「無駄だよ。後ろには行き止まりになってる。僕にはそこが行き止まりだって最初からわかってるんだからね」


すると、何かしら走る音がした!


鳩宮(ヴァハト)「え?」


すると、まほろをかばうかのように後ろにやる。その人物はまほろを助けに来た美雨だった!


美雨「まほろちゃん!大丈夫ですか!?」
まほろ「美雨ちゃん!美雨ちゃんなら・・・助けに来てくれるって信じてたよ」
美雨「無事でよかった・・・」


すると、ヴァハトは聞く。


鳩宮(ヴァハト)「なんで来たの?ああ、まさかバレていたんだね。でも、いつもならそこでスルーするのにそんなにその子が大事なのかい?」
美雨「ええ。何より大事です。本当に大事な友達を守る理由は何もないでしょう?あなたはなぜみくる部長の本当の音を封じたんですか?なぜまほろちゃんを追い詰めようとしたんですか?きっちり説明してもらいます」


全てを気付かれたヴァハトはもう諦めたかのようにため息を吐く。


鳩宮(ヴァハト)「まさかそこまでバレていたなんてね」
美雨「あの月宮大学のコンサートホールにあなたがみくる部長といたという証言があるんです」
鳩宮(ヴァハト)「そんなことまで。まあいいよ、全てを話してあげる。雫石みくるがあの時何があったのかを」
美雨「・・・あなたの話じゃないんですか?」


ヴァハトは全てを話す。それは・・・






みくる「ふう。やはり喝采は十分すぎるほど疲れるな」
タクト「俺は大歓迎やけどね」
みくる「私、顔洗いに行ってくるからな」


みくるが演奏後のルーティンである顔洗いに行くが、すると、そこには鳩宮扮したヴァハトがいた。


みくる「誰だ貴様」
鳩宮(ヴァハト)「今日から新しく管弦楽部の顧問になった鳩宮だよ。ほら、学校だよりでも出ただろう?」
みくる「ーーーそれがどうした。貴様は何がしたい?」
鳩宮(ヴァハト)「人聞きが悪いなあ。まあいいや。キミがもっとヴァイオリンが上手くなるためにこの人がちゃんと演奏について指摘してくれるよ」


すると、ヴァハトの隣にはヴィオロンになりすましていたクロラが・・・


鳩宮(ヴァハト)「じゃあ、楽しんで来てね」






鳩宮(ヴァハト)「これがあの時のことの真相だよ。まあ、雫石みくるにはちゃんと厳しく言わないとね。キミも雫石みくるを崇拝していたから同じだろう?所詮キミと僕は同じムジナを求めていた人間なのだから!!」


美雨を責めるヴァハトにとうとうまほろが怒り出す!


まほろ「そんなこと言わないで!美雨ちゃんは・・・」


すると、美雨がまほろを制した。


美雨「まほろちゃん、いいんです。私をかばうことはありません。私がこいつの立場だったら同じことをしていたかもしれない・・・」
鳩宮(ヴァハト)「どう?香月美雨は所詮僕達と同じような低俗な人間なんだよ。決してみんなが思っているような純粋な人間じゃないよ」


すると、まほろはなおも食い下がる!


まほろ「私は・・・美雨ちゃんが純粋な人間か低俗な人間かはわからない。だけど、その程度で幻滅したりしない!」
美雨「そう・・・何ですか?私は・・・自分が許せないのに・・・」


まほろの言葉に美雨はようやく立ち直るが、ヴァハトは言う。


鳩宮(ヴァハト)「どこまでも人を信じ抜く勇気があるんだね・・・僕だって大切な仲間をあそこまで信じていたかった・・・!雫石みくるをも。それができないから・・・僕は雫石みくるから本来の音を奪った男として憎まれ続けるんだ。そうすることが僕がいる証だから・・・」


ヴァハトの言葉に美雨は否定する。


美雨「それは・・・無理ですよ」
鳩宮(ヴァハト)「え?」
美雨「みくる部長はもう知っています、あの時本来の音を奪ったのはあなただと。だけど、みくる部長は憎むことよりも自分の音楽を追求することだけを選んだんです。ーーー鳩宮先生。いくらあなたが何をしようがみくる部長の心を奪うことはできませんよ」
鳩宮(ヴァハト)「そんな・・・でも、そうなんだね・・・一体雫石みくるはどれほど音楽を愛しているんだ。どこまでも透明で、僕の手の届かない子」


すると、ヴァハトはそう言った後にテレポートで消えようとする!


美雨「鳩宮先生!?」
鳩宮(ヴァハト)「ああ、僕はもう鳩宮先生じゃないよ。僕は青の吸血鬼一族と手を組んでいた呪われた五英雄の一人、ヴァハトだよ。近いうちに月島あいりがエルドゥールにさらわれるかもね」


そしてヴァハトはテレポートで消える中で美雨はまほろに言う。


美雨「まほろちゃん。すぐに舞台裏に戻りましょう!それが終わったら大変なことになる前に一緒にあいりさんを探しましょう!」
まほろ「うん!」


一方、金城とみくるはまほろと美雨の二人が来なくてピリピリしていた。特にみくるが率いる月宮学院の管弦楽部は星ノ宮学園の前なので流石に待てないのだろう・・・。


金城&みくる「遅い!!」
シグレ(うわ・・・;)
夏目「せっかく僕がこのコンサートのためにドイツから帰って来たのになー」


すると、走る音が聞こえた!まほろと美雨だ。


まほろ「景ちゃん!」
美雨「みくる部長!」
みくる「遅い!私達の出番はもうすぐだぞ!」
美雨「すみませんっ!」
みくる「では黒音学園の演奏は終わったし、月宮の管弦楽部、いざ出陣だ!」
美雨「はい!」


そして月宮学院の約200名在籍の管弦楽部は美雨がメインのラフマニノフのピアノ協奏曲第1番が凄まじい上手さで鳴らす!


BGM:月宮学院管弦楽部版ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番


雨季「ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番!!」
宮島「有名なやつだ!」
夏目「確か超メジャー曲だよね!?」


超メジャーで難曲でもあるラフマニノフのピアノ協奏曲は聞いた観客全員を感動の渦に巻き込んだ。しかし、金城はこの演奏に違和感を持っていた。なぜなら・・・


金城(タクト!?)


タクトの演奏の異変に気付くが、そして観客全員はそのことに気付かないままスタンディングオベーションをする!そして2曲目はーーー


BGM:月宮学院管弦楽部版ショパンのピアノ協奏曲第1番


これも圧巻の演奏でこなす中で金城はタクトのマエストロフィールドを感じ取る。それは前の白薔薇に包まれたタクトの姿ではなく、青薔薇に包まれたタクトの・・・。そして演奏を終えた後にタクトは仲間達と共に舞台裏に行く中で金城にすれ違いざまに言う。


タクト「景吾。あんたの演奏、楽しみにしてるで」
金城「・・・励ましはやめろよお前らしくもない。お前はいつもならもっと挑発的にーーー「ドサッ」


すると、金城はその姿を見て驚愕する。そこには・・・






タクトが倒れていたからだ・・・!!!






金城「タクト!?」
みくる「タクト!!」
忠臣「タクト副部長、大丈夫ですか!?」


みくるがタクトの身体を起き上がらせる中でタクトは息を吐きながら言う。


タクト「やっぱり・・・景吾達の演奏を見たい人がいるんやな・・・」
みくる「ーーーっ、たわけが・・・従弟に嘘ばっかり吐いて・・・」
金城「!?嘘・・・?どういうことだよ・・・?」


すると、みくるが金城を睨みつけながら言う!






みくる「タクトがよく失踪するのは遊びに行ったからじゃない!タクトは白血病で入退院を繰り返してたんだよ!!」
金城「!!?」






みくるの啖呵を切った告白に美雨は制し、金城に助かる方法を言う。


美雨「でも、助かるためには骨髄移植が必要です。タクト副部長の従弟である金城君の骨髄が必要なんです」
金城「な・・・そんなの嘘だ!こいつ、そんなことも一度も」
美雨「金城君には話すなと口止めされてました!タクト副部長に何度も手術を受けて下さるようお願いしましたが」


すると、金城はタクトの言葉を思い出した。


タクト『景吾が助けてくれないと俺の命は僅かなんや』
金城「俺に・・・傷を付けないため・・・最初から・・・死ぬつもりで・・・?」


すると、スタッフが星ノ宮学園中等部の吹奏楽部に声をかけた。


スタッフ「星ノ宮学園の中等部の吹奏楽部のみなさーん。そろそろ出てきてくださーい」
まほろ「あ、はい!シグレ君、なっちゃん、待っててね!」
シグレ「!・・・ああ」
なっちゃん「こっちは何とかするから!」


星ノ宮学園の中等部の吹奏楽部がステージに出る中でみくるは言う。


みくる「それよりも医務室に行かせないと」
楽我「俺達がタクトを運ぶよ」
シグレ「ーーー待ってください!」


シグレの呼びかけに楽我が気付く。


楽我「なんだ?」
シグレ「あの・・・せめて・・・」

秋のルビー、悲しみを歌いながら愛しさを(その3) ( No.618 )
日時: 2018/09/28 20:13
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

そして星ノ宮学園の中等部の吹奏楽部の演奏が終わる中で続いてあと少しで2曲目という時にシグレと夏目がステージに出て金城達四人がステージに残り、あとの部員は退場して行った。


空「えっ!?そこは自由曲じゃないの!?」
勇飛「これは面白いことになったな」


一方、ランはこれを汗を垂らしながら見ていた。なぜならその数分前の休憩時・・・


ラン「ふう。トイレも楽じゃないなあ・・・;」


すると、天井からある人物が現れた!ヨシオだ!


ヨシオ「忍々!」
ラン「きゃあっ!!?」
ヨシオ「驚かせてすまないでござる;だけど、ユーリ殿と接点のあるキミを通じてユーリ殿に伝えてほしくて」
ラン「ああ、ユーリ?どうしたんですか?」
ヨシオ「実は、新堂殿とタクトという奴を見かけてな、だが、新堂殿はなぜか違う男の姿になってな、そいつがまた新堂殿の姿になっていて・・・」


ヨシオから話されたその事実にランは驚愕する。ヨシオは言う。


ヨシオ「まあ拙者も見ただけでござるから、わからんが・・・少なくともユーリ殿が調べていたことには役立つでござろうな」


そしてランはドラリーニョとしほみ達、ミニッツ達と一緒にステージを見ながら隣の席のフラウトと話すヴィオロンを見ていた。一方、フラウトは聞く。


理人(フラウト)「・・・どうして舞台裏にも行っちゃダメなんですか?」
新堂(フラウト)「今回のアカデミアコンサートは流石にあの世界的指揮者が主催ですからねえ、今回は彼に任せてみては」


一方、金城はトロンボーンを持ちながら舞台裏に行く前のシグレの言葉を思い出していた。


シグレ「みんな、ちょっといいか?俺達六人でやるサプライズの演奏曲・・・変更したいんだ」
宮島「!?」
金城「どんな曲だ?」
シグレ「それはーーー・・・」


一方、雨季は金城が思い出した時よりも前のことを思い出した。


雨季「よし、今日のレッスンはおしまい!」
シグレ「あの・・・雨季さん、次からはしばらくは第2音楽室じゃなくて・・・二人きりのところでやりませんか?」
雨季(ギャバーン!!!えー!?何これ!?落ち着け私!!人という字を三回書いて飲んで・・・いや、人間を三回飲んで・・・!!)
シグレ「あのっ、アカデミアコンサートの件なんすけど!!」
雨季「え?」
シグレ「あの・・・この曲・・・アカデミアコンサートまでに吹けるようにしたい!」
雨季「え・・・この曲、私達が聞いたジャズ曲じゃない!!しかもメジャー!!っていうか、前に決めた曲じゃないの!?」
シグレ「それでも・・・教えて下さい!」
雨季「でも、私達はオーボエで・・・!!」
シグレ「雨季さん!!全て、金城とタクトさんが分かり合えるためなんです!」
雨季「・・・!・・・。近い!!(照れ隠しでシグレを殴打)一応言うけど、オーボエだって楽じゃないから!全部あんた次第!弱音は一切許さないから!覚悟しなさい!」
シグレ「はい!」


一方、宮島は雨季の時よりも前のことを思い出した。


宮島「えっ?景吾がトロンボーンを始めたきっかけ?」
シグレ「ああ!教えてほしい」
宮島「そうだな・・・タクトさんが13歳の時に俺達が失意の底にいた時にジャズライブに出演してな、その時のゲストのギタリストがcranberryのトップギタリストのアキトで、時にはプロのトロンボーン奏者と交えたりしてな。その時景吾がトロンボーンでいつかタクトさんと一緒に演奏したいと思ったんだって」
シグレ「曲名は?」
宮島「俺も調べたらメジャーなジャズ曲でさ・・・曲名は・・・」






宮島「グレン・ミラーのムーンライト・セレナーデ」


BGM:混成六重奏版グレン・ミラーのムーンライト・セレナーデ






マホロア(始マッタ!!)
サタン(しかもムーンライト・セレナーデ・・・超メジャーなジャズ曲ではないか)
シェゾ(これでアドリブができるのかが曲の評価が左右されるーーー)


金城(シグレの奴め・・・この曲でいつかタクトと共演したいと思っていたのにそう来るとは・・・まあ良い。どうせタクトは俺とは演奏したいだろうし)


金城はただ普通に演奏しようとしたが、すると、雨季のオーボエのアドリブをまほろと夏目が合わせる!


金城(雨季もまほろも清も夏目もどうかしてしまったか。タクトとの共演を諦めるなと言うとは。ズケズケと俺達のことに踏み込むお前にタクトの何がわかる!)


一方、シグレはマエストロフィールドを発動し、そこにはカプセルの前にいた。すると、龍姿(マエストロフィールド)の金城が襲いかかろうとしたが、それを戦乙女姿(マエストロフィールド)のまほろが止める。


まほろ「私も景ちゃんが苦しみから解放されるなら、なんでもやる!」


マエストロフィールドが発動した四人はシグレをかばってマエストロフィールド内で大げんかを繰り広げ、龍姿の金城はシグレに手を伸ばそうとする!


金城『シグレ・・・それに触るなぁ!!』


すると、誰かがその曲を歌うのを聞いた。歌った本人のランは一瞬だけ口を噤んだが、仲間達達に背中を押され、大半の観客全員一緒に歌う!


シグレ(ようやくわかった。金城がこの曲を頑なに吹かないのはーーータクトさんと一緒に吹きたかったからだ。やっと見つけた。金城の思い)






シグレ(「タクトに褒めてもらえたら」ーーー)






シグレ(金城が頑なにタクトさんを拒絶していたのも優しくしたら自分が負けそうだから。俺はタクトさんじゃないし、タクトさんの気持ちはわからない。だがーーー)


すると、シグレはマエストロフィールド内で言う。


シグレ『金城は金城、タクトさんはタクトさんで、できることがあるだろ。俺は二人がもう一度お互い歩み寄っていいと思う。戦ってもいいと思う。だからーーー何年何十年経とうが信じて一緒に演奏する日が来るって、そう言えよ!!』


シグレのマエストロフィールドでの言葉を聞いて金城はタクトを助けるために大好きだった従兄に自身の骨髄を与えることを決意する!金城の音が変わったのを聞いたタクトは愛用のエレキヴァイオリンを持とうとする!


みくる「タクト!?」


そしてタクトは力を振り絞ってーーー






バンダで金城の音を自分のヴァイオリンの音にのせた・・・!






まほろ(うそ)
夏目(うそだ)
宮島(うそだ)
雨季(うそだ)
金城(だって、今まで一度も一緒に演奏しなかったんだ。今思えば病気を治すためかもしれなかったのに・・・自分が死ぬつもりで一緒に演奏しなかったんだ。何年も)


そしてシグレは全員分のマエストロフィールドをまとめながら思う!


シグレ(金城達と一緒に演奏して、一つだけわかったことがある。音は心に響くんだって。それで俺達のマエストロフィールドが発動するなら、それはーーー)






シグレ(綺麗な花達の音だ)






そして演奏が終わり、シグレは息を吐きながらそれを見る。それは・・・






タクトが駆けつけ彼ら六人がお互いを抱きしめる姿だった・・・。






その演奏を聴いた大半の観客が一瞬沈黙し、ランが始めに涙を流しながら拍手すると、会場にどよめきが聞こえてきた。まさに圧巻の演奏だった・・・!


金城「すまない・・・タクト、すまなかった・・・」
タクト「おや、泣いてるん?バカやな、景吾は。たかだか骨髄を移植されるだけや」
シグレ『せめて俺達の演奏を聴いて下さい。で、タクトさんが感動したらヴァイオリンの音をのせて下さい。無茶なのは分かってますーーー』


ようやく察した金城は涙を浮かべながら仲間達と泣き合った。それは残っていた鉛全てを取り出させるかのように・・・






空「ずごいよ〜〜〜!!ジグレ君達の音〜〜〜!!!」


あみゃーと空が泣きながら感動する姿を見ていたランはあることを思う。


ラン(シグレさんもマエストロフィールドをもう完成形に入った。私もそれに負けてられないように今までより歌のレッスンもがんばろう)


一方、ヴィオロンはシグレの成長にある程度は感服していた。


新堂(ヴィオロン)「シグレ君も一体どこまで成長するんでしょうね。ナルカミ君は天才ですが、私はああいうタイプも天才だと・・・フラウト君・・・?」


すると、シグレの演奏に感動したフラウトがヴィオロンに聞く。


理人(フラウト)「ヴィオロン大佐。僕は演奏はできなくてもせめてシュトレーゼマンさん達の手伝いをしたかったんです。なんでそれさえもダメなんですか?」
新堂(ヴィオロン)「・・・それは先程申したはずでしょう。今回はシュトレーゼマンが主催者ですから彼の力で、と」
理人(フラウト)「確かに彼がアカデミアコンサートの主催者です。だけど、シュトレーゼマンさんはそんなことを気にせずに手伝ってほしいと言いますっ。そもそもヴィオロン大佐はなんでダメだって言うんですか?シグレ達のこと嫌いなんですか・・・?」


フラウトの問いにヴィオロンは諭すように言おうとするが・・・


新堂(ヴィオロン)「・・・そんな難しいことは考えなくてもいいんですよ。フラウト君はただ「私も知りたいですね」
ラン「どうして考えたらいけないんですか?」
新堂(ヴィオロン)「・・・」
ラン「理人君がそんなこと考え出したら何か不都合でもあるんですか?答えて下さいよ新堂さん!」
ミニッツ「ちょっとラン!」
理人(フラウト)「そうですよ。教えて下さい!あ、そういえば、シグレ・・・」


一方、シグレはステージから去る時に独り言を言う。


シグレ「これで約束は果たせたな。理人に会いに行かなきゃ。寂しがってるかな・・・」
理人(フラウト)「シグレ・・・」


すると、フラウトが手を伸ばそうとした時にヴィオロンが彼の口を塞ぎテレポートでどこかに連れて行った!


紗和「どしたの?」
ラン(まさか、本当にーーー・・・!?)


すると、ランがシグレ達のところに向かうが、一方で王ドラは結局ゼオ達が来なかったことに苛立っていた。


王ドラ「ったく、ゼオさん達四人は結局来なかったじゃないですか!何してるんですか!?」
ラフィーナ「さっき休憩の時に電話をかけましたが、エルドゥールさんという方に頼まれてルビーの花びらを探してるって言って・・・」
王ドラ「!!!」
ラフィーナ「王ドラ!?」


自分を追うエルドゥールがゼオ達と接触していたことに気付いた王ドラは急いで観客席から飛び出す中で一方、金城はアカデミアコンサートの後に打ち上げを開こうとしていた。


金城「俺のじいさんの知り合いが店長をやってるイタリア料理店を貸し切ってやる。そこのイタリア料理店は美味しいし、きっと笛吹も気に入るだろう」
シグレ「ああ、ありがとう」


すると、何かしらの声がした!


スタッフ「参加者外の他校の生徒が入ったぞーーー!!!」
金城「え?」


すると、スタッフをはねのけて走ったランがシグレのところに来た!


ラン「シグレさん!あの、理人君が新堂さんに連れて行かれて・・・」
金城「ほら、お前がしっかり構わないから笛吹がおかしくなったって」
シグレ「!!ごめん・・・すぐに会いに行くから・・・もう金城達の問題は解決したので・・・」
ラン「違います!おかしいのは新堂さん!」
金城「えっ!?」
シグレ「どういうことだ?ランさん、ちゃんと説明してくれ」


すると、ランは自分の知っている範囲で言う。


ラン「前にヴィラリン軍の死亡者名簿を王ドラの受け持って私も手伝った書類に新堂さんの本名が入ってて、王ドラは何かにおうなと言いましたけど、私は最初嘘だと、きっと誰かが書き加えたんだろうと思って信じませんでした。だけど、ヨシオさんっていう忍者に聞いたんです。新堂さんが違う男に変わっていたと」
雨季「ヨシオ、そんなこと知ったの!?ヨシオから聞いたこと詳しく教えてくれる?」
みくる「お前ら落ち着け!動揺すれば損だぞ!」
楽我「・・・そ、そうだよ!うちらには関係ねーじゃん!」
ラン「関係あります!・・・その新堂さんと話していたのは・・・」


すると、物音が鳴った!タクトの方だ。


金城「タクト!?」


金城達が走るとそこにはタクトを押さえつけたヴィオロンだ!


新堂(ヴィオロン)「まずは骨髄移植の前に病気を治しましょう。タクト君」
金城「おい・・・どこに連れて行く気だ?ちゃんと病院だろうな?」
新堂(ヴィオロン)「さぁ。でも、病院なんてアテにならないですね」


すると、ヴィオロンが新堂を連れてテレポートで消えた中、金城は今起こっていることに驚愕しながら立ち尽くす。


金城「・・・タクト・・・」

秋のルビー、悲しみを歌いながら愛しさを(その4) ( No.619 )
日時: 2018/09/28 20:18
名前: 桜 (ID: exZtdiuL)

一方、ゼオ達四人はエルドゥールと待ち合わせに時計台の下に向かっていた。


ゼオ「えーと、確かエルドゥールがいるのはこの辺だな」
ププル「きっと近くにいるかもしれないからゆっくり探そう」


すると、クルークがエルドゥールが時計台の木のそばにいることに気付く!


クルーク「エルドゥールさん!」
エルドゥール「・・・・・・ようやく見つけたか」
アイオーン「ヴッ。花びらのルビーだ」
エルドゥール「・・・・・・ありがとう。じゃあ・・・「誰に大根役者みたいな芝居してるんですか!」


すると、あるヌンチャクがクルーク達とエルドゥールを引き離す!そのヌンチャクを投げたのは王ドラだ。


クルーク「王ドラ!?」
王ドラ「エルドゥールさん。あなたが私を殺すためにクルークさん達を利用したことはわかってるんですよ」


王ドラの発言にゼオが特に戸惑う。


ゼオ「何を言ってるんだ?エルドゥールは・・・」


すると、諭そうとしたゼオ達に王ドラからある写真を渡された。それはヴィオロンことクロラにエルドゥール達が忠誠を誓っていた写真・・・!


王ドラ「これを見たとしても信じられないのなら、エターニャさんが撮った動画もあるんですよ。それにエルドゥールさんはあなた達と前に二度も会った。その接触した目的はエルドゥールさんの今はなくなった故郷を復活させるべくあなた達を利用するために・・・!!」


王ドラの証言にエルドゥールはふっと嗤いながら言う。


エルドゥール「・・・・・・久しぶりだな、王ドラ。まさか仲間を助けるために自ら殺されに行くとはな」
王ドラ「逃げるのはもうやめることにしたんです」
エルドゥール「・・・・・・殊勝な心がけだな。自らの罪を悔い、贖罪しに来たというわけだな」
王ドラ「罪?私がどんな罪を犯したって言うんですか?」
エルドゥール「・・・・・・ふざけるな!お前が俺の故郷である音楽王国、エンジェルミュージックを滅ぼしたことはわかってるんだ!」


エルドゥールが激昂しても王ドラは眉ひとつ動かさない。


エルドゥール「・・・・・・当時エンジェルミュージックは音楽に囲まれた幸せな国だった。国民も音楽を愛し、音楽もまた国民を愛した。しかしながら突然の隕石により悲劇は訪れた。人々は隕石で滅ぼされ、国も滅び、俺一人が生き残った」
王ドラ「・・・ああ。そういえば、文献に載ってましたね」
エルドゥール「・・・・・・俺がエンジェルミュージックで愛した小さな王女様も国や王家とともに滅ぶことになった。だが、今の隕石は証言から犯人がわかったんだ。魔導師エターニャと共謀して隕石を降らせるように誘導した人物が王ドラ、お前だ!!」


エルドゥールが知らず知らずのうちに早口になっているのが四人もわかっていた。王ドラは相変わらず憐れみの視線をエルドゥールに向けていた。


王ドラ「名推理ご苦労様、と言いたいところですが、全部憶測にすぎませんよ。それに私はその時は古代の中国にいましたし、私がエターニャさんと共謀して隕石をどうして降らせたと?それにエンジェルミュージックは・・・」
エルドゥール「・・・・・・ドラリーニョが滅ぼしたという根拠はあると言いたいのか?」
王ドラ「私は大して疑ってませんが、まだ恋人同士になる前のドラミさんとキッドと一緒にドラリーニョがエンジェルミュージックについて自由研究で調べていた時のことです。キッドとドラミさんはドラリーニョのシュートのかなりの威力のサッカーボールが隕石と間違えられたと思っていましたがね」
エルドゥール「・・・・・・ハッ、それがどうした?俺も最初はそうだと思ったが、見張っていたらどうやら彼ではなかったようだ。ドラリーニョがその時にドラメッド三世に言っていた。「自分達がエンジェルミュージックがあった時代に行った時は既にエンジェルミュージックがなくなった」と。なんで彼がそんなこと言ったのかって?彼は親友を庇おうとしたんだよ。王ドラをな!」


エルドゥールの言葉に王ドラは少し驚きながら言う。


王ドラ「・・・ということはあの隕石は私達がその時代に放ったものではない・・・ありがとうございます。いいことを聞いて少し救われましたよ」
エルドゥール「・・・・・・いいこと?何がだ」
王ドラ「とりあえず事実だから言っときますが、私はその時にエターニャさんと会ってないし、隕石を落とさせてはいません。それだけは確かですよ」
エルドゥール「・・・・・・それを信じろと言うのか?」
王ドラ「むしろあなたがどうして信じられないか理解できませんよ。あなたは少なくとも私のことは知らないでしょう」
エルドゥール「・・・・・・それはお前がエンジェルミュージックを滅ぼしていないという根拠にはならない」
王ドラ「今の話では私がエンジェルミュージックを滅ぼしたという根拠にはならないような気がしますけどね」
エルドゥール「・・・・・・これ以上の言い訳はあの世で冥界の主に話すんだな」


すると。エルドゥールは装備していた斧を王ドラに向ける。


王ドラ「それとも私が犯人でないと困ることがあるとか?信じれないなら勝手にすればいいです。でも、復讐なんて考えるのはおよしなさい。虚しいだけですよそんなの。私もかつてはそうでしたけど。ーーー復讐なんて虚しいだけ。自分で敵を追って新たな敵まで作っちゃったらもう最悪ですね。ーーーこれから先を見ましょうよ。復讐なんかより夢や目標を追った方が現実的ですよ」


ーーー俺には夢があった。俺はあの国でチェリストになりたかった。だが、諦めざるを得なかった。隕石が邪魔をしたから。だから戦いでしか夢がなくなったんだ。・・・違う。俺には夢があった。俺はあの国でチェリストになりたかった。だが、諦めざるを得なかった。隕石が邪魔をしたから。だから、戦いでしか夢がなくなったんだ。
ーーーそしてあの時の俺を助けようとし、俺がガスパから助けた月島あいりに・・・
その時、エルドゥールは様子がおかしくなった。王ドラは声をかけようとしたが・・・


王ドラ「どうしたんですか?そんなに蹲って・・・」
カーン「離れよオレンジの猫!!」


すると、クルークが持っていたルビーの指輪から出てきたカーンが王ドラを庇うような形でエルドゥールに斬りつけられる!カーンは幸い軽傷だった。


クルーク「カーン!ボクはしばらくは忙しいからルビーの指輪の中にいろって言ったはずじゃ・・・」
カーン「主人の危機を感じてな。エルドゥールよ。私を使ってオレンジの猫を蹂躙しようとしていたが、もう今の私はクルークの魔人だ。私を封じていたルビーの指輪をうっかりとはいえ落としたからもうお前に蹂躙されることはない」


すると、エルドゥールは怒りに満ちた顔をしながら思う。


エルドゥール「・・・・・・王ドラ。絶対に許さない・・・・・・」


そしてエルドゥールはテレポートで消えるが、クルークは二人を気にかける。


クルーク「二人とも、大丈夫かい!?」
王ドラ「あなた達こそ最悪なことにならなくて良かったですよ。あの男、それを持っていなかったしね」
ププル「え・・・詳しく話してほしいんだけど・・・」


すると、カーンは何かしらの気配を感じ取る!


カーン(エルドゥールが・・・誰かを攫いにどこかに向かっている!?お前が愛した王女に似ていた、月島あいりを!!)


一方、あいりはラフィーナ達から話を聞いていた。その内容は・・・


あいり「斧を持った騎士らしき人に会ったのかって?」
ラフィーナ「はい。まあ、ツースト達にも会ったと思いますが・・・」
ツースト「そんな奴は・・・ああ。会ったな」
あやクル「クルーク達がそのことを調べた結果が、あの騎士と会ったことでわかったんだ。幼い時のお前を助けた斧を持った騎士は、エルドゥールだ。私も確信はできていないがな」
あいり(!)


すると、あいりはようやくそれらしき人物を思い出した。そう、水色の髪で、目つきが悪くて、本当は優しい騎士・・・それがぴったり合ったことで確信した。


あいり「(エルドゥールさんが!?エルドゥールが、私を・・・エルドゥールさんが・・・)私、ちょっとエルドゥールさんにお礼を言いにお礼を言って来ますわ!」
ツースト「あっ、あいり!?」


あいりがエルドゥールのところにお礼を言いに駆け出すが、誰かにぶつかった!ぶつかった相手はエルドゥールだ。


あいり「エルドゥールさん!?知ってたんですか・・・?私のこと・・・ツーストとのことも・・・」






ツースト「あいり?どこに行ったんだ?(あいりが他の男の話をするのは気にくわん・・・あとでオシオキ(意味深)してやるか」


すると、叫び声がした!あいりの声だ。


ツースト「あいり!?」


すると、そこにいたのはテレポートを使おうとしているエルドゥールと彼に腕を掴まれている・・・


あいり「ツースト!!助けて・・・!!」
エルドゥール「・・・・・・」
ツースト「待て!!」


すると、ツーストがあいりの片方の腕を掴む!すると、エルドゥールがツーストの腕を斧で斬りつけ、ツーストは身体を離され・・・






そしてあいりはエルドゥールにどこかに連れて行かれた・・・!!


ツースト「あっ、あいりいいいいいーーーーー!!!!!」






続く・・・!






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