二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方混垉憚ー願いを馳せる者達ー【東方project】 ( No.5 )
日時: 2017/01/06 11:27
名前: 玄蠢ーGenSyunnー (ID: 2QWuZ1bi)

ちらり、と後ろを振り返り床を見る。
生憎だけど、今の状態じゃ部屋は汚すぎて、とてもじゃないけど招き入れにくい。
立ち話...という方向性で行くか。ついでに墓参りに誘おう。

ガチャリとドアノブを回した音が重々しく響く。
扉を開けた隙間から見えるのは爛々とした瞳を見せるチルノだった。

「....で、何の用?」
「えっとねぇ、コレ」

私が首を傾げるよりも早く、チルノは素早く答えた。
チルノの手には小さな石。....化石にも見える。
どうやら、チルノの用は化石らしい。私にそういう趣味は無いんだけどなぁ...。
困惑していると、チルノは再び口を開き、話し始めた。

「これね、蛍の化石なのよ。蛍のあんたにぴったり...でしょ?」
「へぇ、蛍なんだ...。そういうことか、なら有り難く貰っとくよ」

チルノの考えに納得してしまった。なんて優しいんだチルノ。
蛍の化石とやらを確かに受け取って、軽く握りしめる。何だか、力を貰っているみたい。
「じゃねぇ〜!!」

..............は?
いや、は?

唖然として、口を開く。
そうしている間にも、チルノはみるみると離れていって、距離を作っていた。
私はチルノを追っ掛ける訳でも怒鳴る訳でもなく、ただただ化石とチルノを交互に見た。


          *****


カァァア、カァァア、カァァア
カァァア、カァァア、カァァア

阿呆な烏は何回も五月蝿く鳴く。
バタバタと一匹忙しく羽を動かすその姿は、何だか愛らしかった。
でも、綺麗な夕焼けに黒を塗り潰した様で、その姿はあまり好けない。

「...蛍の化石..か...」

蛍の化石をちらりと見る。一見、何の変哲もない普通の石だ。
蛍、だって。
蛍の特徴って、光を放つぐらいしかないじゃない?
そして儚く命は散る。
..........はぁ、ちょっと切なくなったな。止めよう、この話。

「....もう寝よう」

太陽はいつの間にか沈みきっていて、外はもう暗かった。
薄い毛布にくるまって、目を瞑る。

ーーー

『おはよう』

............え?
私は今、寝ている筈だよね?
否、寝ているのにこんなに意識がはっきりしている..っていうのもあんまり無いんだけど..。

『おはよう』

え、何?
何なの?
おはようおはようって...。ちょっと訳分からない。
とりあえず頭可笑しいのかあんた?おはよう連呼するぐらいだしさ...。

『ごめんなさい、一回目のおはようはテストだったのよ』

だったらテストって言えよぉぉ...!!頭可笑しいって言っちゃったじゃんかぁ..!!
わざわざおはようって言う必要ある!?絶対無いよね!?
というかテストって何?マイクテスト?

『貴女の思っていること筒抜けだから』

...はい?
待ってくれ、待ってくれ。それ一番最初に言ってよ.....。
というか、あんた誰?聞こえてるなら答えられるよね?

ーーー

「____ふぁあ.....ん、変な夢見たなぁ」

誰かと会話していた様な気もするけど...。
うぅん....思い出せないな、大した事じゃないんだろう。