二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケモン不思議のダンジョン〜光と闇の物語〜[リメイクver] ( No.11 )
- 日時: 2017/04/03 00:49
- 名前: サンセットドラム (ID: .uCwXdh9)
第3話 夕焼け色の空の下で
*
青空が鮮やかな夕焼け色に染まった頃。ボクは、とある田舎町の崖の上に建つ、「プクリンのギルド」の前で右往左往していた。
「うーん……。」
しばらくの間うろちょろしていたがやがて立ち止まり、フンッと鼻息を荒げる。
「いや、こんなことしてちゃダメだ。」
ボクは目の前の大きな穴を睨みつけながら、ゆっくりと歩を進めた。
町のポケモン達によると、ギルドに入るにはこの格子が貼られた穴の上に立ち、足型を確認してもらわなければならないらしい。恐らく、防犯の為なんだろう。でも、足型だけで怪しいとかそういうものが分かるもんなのだろうか。ボクには絶対無理だなあ。
穴の前にたどり着いたボクは大きく深呼吸をすると、とうとう穴の上に足を踏み入れた。なんとなく足がこそばゆいが、我慢我慢。少し怖いけど、それも我慢。ここで足型を見てもらい、プクリンに弟子入りの許可をもらえば、探検隊の仲間入りなんだ。
しかし、いくら待っても穴の下から声が聞こえてくることはなかった。それどころか、物音すらしない。
「おーい!誰かいませんかぁーっ!!」
試しにしゃがんで声を掛けてみるが、やっぱり静か。穴の中で自分の声が反響しているだけ。
「誰もいないのかな…。」
ここに弟子入りする為に、わざわざ遠くの街から来たっていうのに誰もいないだなんて。入り口の門も閉まっているみたいだし。うーん、ひどい。というか、本当に誰もいないのだろうか。
「おーーーいっ!!!」
一応もう一回叫んでみた。しかし、やはり返事はない。ボクはため息をつくと、ギルドにくるりと背を向けた。
「今日はもう諦めよっと。」
そういえば、今日は良い天気だから、近くの海岸で良いものが見れるはずだ。どうせこの後やることないし、海岸で夕日でも眺めてよう。
そんなことを考えながらボクは海岸へ向かって歩き出した。
「…って、うわあぁっ!」
地面に向かって一気に体が引き寄せられる。そして、両腕、両足に痛みを感じるのと同時に砂煙が舞い上がり、ズボンのポケットから何かが飛び出した。
「いたたたた……。」
どうやら、さっき立った大きな穴につまづいて転んでしまったらしい。今、こんなんでボクは探検隊になれるのだろうかと心底思った。
「そういえば、今何か落としたような……。」
服に付いた砂を落としつつ立ち上がりながら、ボクはキョロキョロと辺りを見回した。どこか遠くにいってないか心配だ。しかし、それは案外早く見つかった。
「あ、あったあった。」
落とした何かは、何故か真後ろに落ちていた。どうしたら真後ろに落ちるのだろうか。謎だ。まぁ、自分で言うのもなんだけど、そこら辺がボクらしいといえばボクらしい。
ボクは落とした何かを拾い上げると手の平に乗せ、安堵のため息をついた。
「良かった〜見つかって。」
落としたのは、不思議な模様が描かれている手の平サイズの石。この前海岸を散歩していた時に見つけ、拾ったものだ。名前は「遺跡の欠片」と名付けた。今ではボクのお守りであり、宝物でもある。
「さて、気を取り直して海岸行こっと。」
ボクは、遺跡の欠片をズボンのポケットに突っ込むと、海岸を目指してギルドの階段を駆け下りていった。
この時のボクはまだ知らなかった。まさか、あのプクリンのギルドの前に、ボク以外の誰かがいただなんて。
そして…
海岸で出会った少年と探検隊を結成して、世界を救うことになるだなんて。