PR
二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【文スト】夢から醒める ( No.1 )
- 日時: 2017/05/06 08:07
- 名前: 哀歌 (ID: 247YvwPY)
序章 目が醒めても夢の中
冷たく乾いた風が頬を撫で、重くなった瞼をゆっくりと開いた。
ぼんやりとした視界を徐々にはっきりとさせると、目の前に広がるのは木々は薙ぎ倒され、地面は所々大きく抉れている何とも狂った光景。
「……また、か」
その中心で独り、ポツリと呟いた。
そこで俺は理解する。
嗚呼、また、置いていかれたのか、と。
高ぶっていた熱がスッと冷める感覚に嫌気を覚えながら、力の無い足でよろよろと立ち上がる。
対ギルド共同戦線。
その協定の場で立たされたのが俺と太宰だ。
かつて、黒社会最悪のコンビと呼ばれた“双黒“。それを使うことが、非合法組織ポートマフィアの首領、森鴎外の最適解だった。
俺は首領の命令で元相棒である太宰がいる場へと重い足取りで赴き、見事に任務を遂行した。
昔のように“汚濁“を使って。
「クソッ……」
グッと拳に力が入る。
(任せなよ、相棒)
昔のように甘い声でそう囁いた言葉が、今も頭を過ぎる。
信用していても、また裏切られる。
目を覚ましたときに、本当にいて欲しい筈の人物は其処にはいなくて__________
清々しい顔の彼奴を思い浮かべ、腹を立てるが、それと同時に虚しさまでが込み上げてきて、それにまた腹を立てた。
嗚呼、結局のところ、俺は___________
「この感情は、何なんだろうな」
俺は今日も、醒めない夢の中だ。
PR