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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【文スト】夢から醒める ( No.5 )
- 日時: 2017/05/05 06:06
- 名前: 哀歌 (ID: eH6OJcrU)
「おはよう、中也」
目を覚ます。
視界に映り込んできたのは愛しい相棒。
中也は体を起こすと節々が軋むように痛みを感じた。
「いっ……」
「汚濁を使ったばっかなんだから、動かしちゃ駄目でしょ」
「だって、直ぐに報告……っは」
足に力が入らず、その場で膝をついてしまう。
こんな姿、とてもじゃないけれど部下には見せられない。
だが、それでも汚濁を使ったのは太宰を信じたからだ。
「仕方ないなあ、もう」
太宰はそう言うと中也の前で背を向けながら立膝をつく。
「え……」
「何してんの、早く乗りなよ」
「で、でも」
いつもなら、置いていく癖に。
中也はそう言おうとしたが、太宰がそれを遮った。
「私がこんな事するなんて金輪際ないんだからね。有難く思えば」
強がる言い方。太宰らしいと言えば太宰らしいが、耳がほんのり赤くなっている。
ふっと中也は苦笑を浮かべると、覚束無い足取りでゆっくりと太宰の背中に乗る。
細く見え、以外に広い肩幅や背中に身を預けると、太宰は軽々と中也を持ち上げた。
「あー重い重い。君、ちびっ子マフィアなのに重いのだよねぇ」
「あぁん?」
どういう意味だ、と声を荒らげると、けたたましく太宰の笑い声が聞こえてきた。
「だって蛞蝓サイズなのに重いのだよ?」
「だれが蛞蝓だこの糞鯖!」
ぎゃあぎゃあと騒いでいると、いつもの横浜の街が見えてきた。
夜の魔都はそれは美しく、水面に浮かぶ街灯が反射して街を幻想的に色づけていた。
思わず見とれていると、太宰はふいに言う。
「もしも、これが夢だったら、中也はどうする?」
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