二次創作小説(紙ほか)

Re: 【東方project】 夢の支配者 【ドレミー・スイート】 ( No.2 )
日時: 2017/05/04 14:32
名前: 霹靂神 (ID: VKUUDnij)

【夢の支配者:ドレミー】


突然ですが、私は一体誰でしょう。
........、こんな面倒臭い質問をするのは彼奴だ、と?
嗚呼、残念です。不正解だわ。

——本当、あなたはいつも親友の事を考えていますね。少し羨ましいです。



「霊夢さん、でしたっけ?」
「あんたも忘れているようならお互い様じゃない」
「いやはや、すみません。しかし、それはあなたも言えないでしょう?」


そう述べて、私は霊夢さんの唇に自身の人差し指を添える。
嫌味たらしくて生意気な口はお口チャックだ。こらこら、言い負かされたからと私を睨むでない。
ああでも、その表情は虐めたくなる魅力を秘めている気がする....。


「あんた気持ち悪いわね」
あ、いや、そうではない。そうではないのだ。ついでに言うとサグメさんでもない。
知らず知らずのうちに声に出てしまっていたようだ。会話中によく指摘されるんですよね、癖になっているのでしょう、多分。

嗚呼、いや、今はそれどころではない。私は夢...具体的に言うと悪夢を食しに来たのだから。
....と、言うことは、だ。
今、霊夢さんは悪夢を見ているのだ。.........悪夢とは言い難い気もするが、霊夢さんにとっては悪夢なんだろう。
しかしまぁ、妖怪に囲まれる夢をみるのもどうかとは思う。多分あれが巫女の修行とかいうのだろう。本当、恐らく。


「ちょっと話を戻しますけど、あなた今、悪夢を見ているんですよ」
「....へぇ、悪夢?....あの時の異変みたいな、かしら」
「いえ全く」


話を切り出した途端、霊夢さんはニタァと気味の悪い笑みを浮かべ始めた。
不格好過ぎるし笑みはひきつってるし、何とも言え難く実に滑稽な姿だ。
突っ込んでほしいのかは分からないが一先ずスルーだ。そもそもの話突っ込んだら突っ込んだで、とやかく言われそうな気もする。
そしてあの時の異変というのがちょっといまいち分からないが、とりあえず否定だ。全面否定だ。
多分、サグメさんに月の都を創れとか言われた時の異変だろう、間違ってたらごめんね霊夢さん。

それに、“今”悪夢を見ているのに悪夢だと気付かないのも如何かと思う。
博麗の巫女って案外ポンコツなのだろうか。それとも単純に霊夢さんが天然なだけなのか。
まぁどちらにせよ、私が食すのみだが。


「じゃあさっさと食べてよ」
「急に不機嫌__」
何をそんなに脹れる必要があるのか。
ようやく許可を頂けたことだし食べますが...。

「いやだって、夢じゃなくて現実で妖怪蹴散らせないっぽいし」


嗚呼、なるほど。
妖怪に囲まれるのが悪夢だとすれば、霊夢さんにとっての吉夢は現実で妖怪を蹴散らすことなのか。
ふむ、それなら合点がいきますね。
・・・・・・あら、丁度お腹が空いてきた。




「——それでは」

.........頂きます。
大きな口を開けて、夢を頬張る。
嗚呼、思った以上の美味しさに食べ頃の熟度、絶品と呼ぶに相応しいわ。




     ***




「............あれ?」


目を覚ますと、太陽は頂点に位置していた。
...珍しく寝坊したらしい、魔理沙が笑いながら声を掛けてきた。


「おはよう、霊夢。珍しく寝坊だな」


いつもの皮肉ジョークではない直接的な言い草に、大分寝てたんだなと察した。
ついでに魔理沙を殴りたいとも思った。
だって、仕方ない。

「こんな天気じゃ寝たくなるでしょ」
空を見上げると雲ひとつない快晴の青空が目に映った。