二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方印霊伝[仕切り直し] ( No.1 )
日時: 2017/06/17 23:57
名前: 霧滝禊 ◆.k1XJsDMDk (ID: zGyV0OIp)  


東方印霊伝 第一章 第一話「唐突に訪れる今までとの別れ」




ゴーン、ゴーン、と鐘を突く音が聞こえる、もう朝か、彼____霧雨霊夜はそう思って布団から出る。
まだ寝ぼけた頭で洗面所へ向かい、水道から水を出す。じゃぶじゃぶと顔を洗い、顔をタオルで吹き、居間へと向かう。

「適当にパンでも食うか。」

霊夜は台所の棚へと向かい、パンを取り出す。それを皿に乗せて目玉焼きを焼き始める、その時だった。

バァァァァァァァン!!!!

家の外から衝撃音が聞こえる、慌てて窓から外を除くと、外では頭から角が生えた人形の生物____おそらく妖怪が鉄槌とおぼしき物を降り下ろしている。

「おかしいぞ、妖怪は人間の里を襲わないはず、じゃああいつは何なんだ。」

霊夜はそのまま玄関へと走り、立て掛けてある剣を手に取ると、妖怪の元へと向かった。





「ほう、人間と言うのはなかなか弱い生物だな、博麗の巫女とやらもこの程度と予測できるな....」

妖怪は辺りを見回してそう呟くと、鉄槌を背負う、今だ、霊夜は走って妖怪へと切りかかる、

「人間ごときが私を出し抜こうなど、愚かなものですね。」

その妖怪は背負った鉄槌を一瞬で霊夜の元へと降り下ろす、急いでバックステップで回避するが、その妖怪は鉄槌を持っていない左手で霊夜を殴る、霊夜は吹き飛ばされて壁へと激突した。

「かはっ....痛ってぇ...」

「弱いですね、その程度で私に対抗しようなど、甚だしいですねぇ。消えてください。」

その妖怪が鉄槌を振り下ろす。ああ、妖怪なんかに対抗しようなんて考えた自分がバカだった、そう思い静かに死を受け入れようとしたその時だった。

ガガガガガガガ!!!

地面から鉄と見てとれる巨大な盾が精製され、鉄槌を弾き飛ばす。

「なんだこれ....ああ、死に様に能力が覚醒するみたいな奴か.....」

「ふん、そん盾が二度も通じるなんて考えないでください?」

「そうかい、そうかい。せいぜい抗って死ぬことにするよ。」

霊夜は立ち上がり、すぐ近くに落としていた剣を手に取る。

「(あまり長く戦うのは得策とは言えない、短期決戦で行くか。)」

「いくぞ妖怪。」

霊夜は持っていた剣を妖怪の足元に投げつける。

「自棄になりましたか....」

「ばーか、そんなんじゃねぇよ」

「何をいッ.....なんだその剣は!?」

剣を投げた直後に妖怪の後ろに回り込んでいた霊夜は、まだ効力もわからない能力を使用して巨大な剣を精製していた。

「ただの剣だよ、正し破壊力はピカイチだ。」

「下らない、砕くまでです。」

「ぜぇやああああッ!!!!!」

両者は持っていた剣と槌をぶつけ合う。

「切り裂けぇぇぇ!!!!」
霊夜がそう叫ぶと剣はオレンジ色の炎に包まれる。
ピシッ、ピシッと鉄槌にヒビが入る。
やがて鉄槌は砕け、妖怪を吹き飛ばす。

「これで終いだぁぁぁ!!!!スカイソード!」

霊夜は吹き飛ばされた妖怪に接近し、炎を纏った剣で妖怪を切り裂く、妖怪の体は分解され、何処かへと消滅してしまった。

「ッ.......」

バタッと霊夜はその場に倒れ混む、動かない体を無理矢理動かしていたので体に相当な負担がかかっていたようだ。

「これが唐突に訪れる今までとの別れって奴なのかな.....ははっ。」

彼は静かに目を閉じた。







ガサリ、近くの樹木の中から一人の青年が出てくる。

「ここまでは順調だ_____頑張って俺のところまでたどり着けよ、八年前の俺。」









東方印霊伝 第一章 第一話「唐突に訪れる今までとの別れ」完

東方印霊伝 第二章『御伽傀儡編』始