二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.18 )
日時: 2017/06/30 20:08
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第7話 里の男、幡中霧雲ハタナカムクモ


山に上る途中で、若い男性と老いた男性が下りてくるのを見た。

「ねえおじさんたち、だいじょうぶ?」

エレンは気さくに話しかけるが

「どうでもいい・・・・やる気出ないし、帰るか・・・・」
「というかわしら、なんでここにきているんかのう・・・・」

とブツブツ呟きながら降りて行った。
あまりの異常な様子に魔理沙は肩をすくめて

「なんだよあいつら、めっちゃ暗いな・・・・」
「おそらく、この上にいるミラージュにパフォーマを奪われたのだろう。」

マリクは冷静に分析していた。

「エレン、この先は危険です。あなたも降りた方が・・・・」
「大丈夫だよカチュア、私だってミラージュマスターだもん!」
「エレン・・・・」

カチュアとエレンは仲がよさそうである。

「ったく、のんきな物ね。」
「ははは、でもおかげで緊張がほぐれた気がするよ。」
「それよりも・・・」

カムイの笑顔に水を差すように霊夢は鋭く言う。

「この上にいる人物にミラージュが憑りついたなら、厄介よ。
 この上にはそれなりの力を持つ奴ばっかりいるわ。」
「・・・・・わかってる、ミラージュの気配も多分、相当の手練れだよ。」

全員の様子を見ながら文は後ろからついてきていた。

「しかし、皆さん、やはり互いを理解し合ってるというか、ものすごい仲良しですね!」















そして、鳥居を抜けて、洩矢神社にたどり着く霊夢たち。

「なっ・・・・!?」

その光景は、まるで地獄絵図だった。
辺りは、何か鈍槌で穴をあけたかのようにクレーターが点々とあり、
建物もまるで刃物で斬ったかのように大きな斬り跡がある。

近くには、人が二人倒れていた。

「神奈子、諏訪子!」

霊夢が駆け寄る。
エレンと魔理沙も二人に近づき、マリクとカチュアは、回復魔法を唱えていた。

「うぅ・・・・博麗の・・・・早苗は・・・・」
「その傷・・・・何があったのよ?」

弱弱しい神奈子を介抱する霊夢。

「あうぅ・・・・早苗が急に黒い靄に連れ去られちゃったんだよ・・・・」

少し回復してしゃべられるようになった諏訪子。

「あの、大きな横穴に・・・・あいつと早苗が・・・・」
「あの横穴・・・・イドラスフィアじゃない!」

神奈子の指をさした先にイドラスフィアへの入り口があった。
しかし霊夢は・・・・

「あんたたちをほおっておけないわよ、こんなにけがを・・・・」
「いや、あたしらの事はいい、早苗を追っておくれ・・・・」
「でも・・・・」

ふとエレンが

「魔理沙、霊夢、二人はイドラスフィアにいって、早苗さんって人を助けにいって!」

と言った。

「私たちはこのお二人を看ています。」

カチュアも回復魔法を二人にかけながら言う。


「よし、わかったぜエレンにカチュア、頼むぜ!」
「ありがとう、二人とも!行くわよカムイ!」

魔理沙は走り出し、
霊夢は少し安心して、イドラスフィアに入っていった。














「ほーん、ここが神社の近くのイドラスフィアか。」

魔理沙は頭の後ろで腕を組みながら言った。

その光景は、ビルと道路の迷路のような空間だった。
ミラージュたちがいそいそと歩いており、前に香霖堂に置いてあった「クルマ」というものが数え切れないほど走っていた。
そして、蓮子とマリーが言っていた「トウキョウ」の話を実際に見ているような・・・・
まるで外の世界に飛び込んだような光景だった。


「木と山がないわね・・・」
「あと空もちょっと濁ってるように見えるな。」

この空間のどこかに、早苗と早苗をさらったミラージュがいる・・・・
二人は確信した。

「二人とも、まずは周辺を探索してみよう。」
「そうそう、情報収集は大事だよ!」

マリクとカムイは二人を落ち着かせるべく、声をかける。
4人は顔を見せ合い、無言で頷く。













「お、なんかすげえあやしいとこみっけ!」

魔理沙はあるビルを指さした。

「えーっと、ファッションセンターし●むら?なにそれ」
「僕知ってるよ、服を売り買いするところでしょ、前チキが話してくれた!」

カムイはどや顔で説明する。
霊夢は呆れた顔で

「じゃあここじゃないわね・・・・」
「なんでさレイム!ここが一番怪しいじゃないか!」
「お、カムイ、お前分かってるな!」

「「ねー!」」

「なんでここでリンクすんのよ・・・・」

二人が顔を合わせてイチャイチャしているところを尻目に
マリクが霊夢をなだめた。

「まあまあレイム、入ってみよう。」
「仕方ないわね・・・・」










「おぉーなんか迷路みたいになってる!」
「すごーい!たーのしー!!」

魔理沙とカムイははしゃいでいた。

「あんまり離れないでよー!」

霊夢が二人に声をかける。


「だ、だれかいるんですかぁ〜?」

突如、背後から情けない男の声が聞こえる。

「だ、だれ!?」
「出てきなさいよ!」

魔理沙と霊夢はカルネージ・フォームの準備をする。
その気迫に驚いたのか、おどおどしながらその男は姿を現した。

「ん、あんた・・・・里の人間だよな?」

魔理沙は男を見るや目を丸くする。

その男は、長身で細っこい体つきだった。
紙は茶髪で髪の先が赤く、瞳は真っ青。
服装はスズランの刺繍が入った、蒼を基調とした和服を着ていた。
身分は高そうだが、情けなさが全身から滲みに滲んでいた。


「は、そういうあなたは・・・・魔理沙さん。こんなところでなにを?」
「あいや、私は野暮用だよ・・・・」

魔理沙とこの男は知り合いのようだった。

「魔理沙、この人は?」
「ん?ああ、こいつは私のパトロンだよ」
「パトロン・・・・」

パトロンとは、資金を投資してくれる人の事である。

「お金をもらう代わりに、こいつのために薬を調合したりするんだ。」
「ええ、いつも助かってますよ。」

男は情けない顔で笑いながら言った。

「あ、紹介するよ、こいつは幡中霧雲ハタナカムクモ。それなりに資産を持つ有力者らしいぞ。」
「へー。」
「あはは、と、ところで魔理沙さん、ここはどこなんですか?」

霧雲の問いかけに魔理沙は少し慌てた。

「霧雲、ここはすごい危険なんだぞ!はやく外に出た方がいい!」
「えぇ!?た、確かに変な化け物がうようよしてて危ないなって思ったんだよ・・・」
「いりぐりはあっちよ」
「はは、ありがとう、やっと出口に出られるよ。」

霧雲は霊夢の指をさした場所まで歩き始め、

「あ、ありがとう、魔理沙さんまたねー。」
「おう!」

魔理沙は手を振って霧雲を見送った。




「それじゃ魔理沙、奥まで行くわよ。」
「おう!」