二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.52 )
日時: 2017/07/10 00:22
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第五章 第三勢力との戦い

第19話 準備


霊夢が朝起きて、神社の居間に行くと、
カムイがちゃぶ台に竜石の欠片を置いて何か考え込んでいた。

「うーん、こんなに大きいのに欠片かぁ・・・・本来はどのくらい大きかったのかなぁ?」

「カムイ、おはよう・・・」
「うひっ!?あ、レイム・・・・おはよう!」

カムイは突然声をかけられ、驚く。

「何してたのよ?」
「いやね、竜石って本来はどのくらい大きかったのかな〜って考えてたんだよ。」

カムイは竜石を指先で転がせながら続ける。

「今はこのくらい小さくて、握りやすいけど、大きくなっちゃったら変身する時、大変じゃん?」
「案外、大きさが変わらなかったりしてね。」
「あはは、だったらいいなぁ〜」


「よ、おはようお二人さん!相変わらず仲がいいな!」

霊夢とカムイが談笑しているところへ、魔理沙とマリクがやってきた。

「おはよう、魔理沙・・・早苗とエレンと天子は?」
「あいつら、まだ準備できてない!つってたから、昼頃までかかりそうだぞ。」

魔理沙があきれたように説明する。

「女性は準備が多いって話だしね。エリスとピエリは、魔界の入り口で待っているという話だったね?」

マリクがフォローをする。






昨日、ブルームパレスにて


「よし、早速明日!魔界にいくとしよっか!サリエルには話しつけておくから、準備ができたら魔界の入口に来てくれ!」

エリスはにこっと笑う。

「ピクニックなの!楽しみだねお姉ちゃん!」

ピエリはいつになくはしゃぐ。

「ピエリ〜、魔界は割と危ない場所だぞ〜、
 急に魔物とか魔獣とか魔女が実験に失敗して生まれちゃった生物が襲ってきたりするからな」
「た、大変なの!殺しちゃうの!」


「何やら物騒な話が聞こえるんだけど・・・」

エリスとピエリの会話に霊夢が肩をすくめる。

「なーに、心配はいらない。ミラージュの力がある私たちなら余裕だよ。」
「お姉ちゃんとピエリがついてるの!心配はいらないの!」

「魔界ですか、初めていく場所ですね。」

早苗が少しワクワクしていた。

「サナエ、危ない場所らしいから、準備を怠らないようにね。」
「はい!」

「初出陣よエルフィ!気合入れていきましょうね!」
「うん・・・・テンシのチカラになる・・・・。」



「それじゃ今日はここでお開きにしましょう、明日は準備ができ次第、早急に神社に来ること!」

霊夢はそういうと、全員は了承した。














「で、あいつらまだ来ないのね」
「張り切りすぎたんじゃないかな〜あはは・・・。」

霊夢は呆れてため息を吐く。
カムイは乾いた笑いの後に溜息を吐く。

この分だと全員集まるのはお昼ごろになりそうだ。
そう思った霊夢は

「カムイ、あんた水の力で鳥とか作れない?」
「ん?まあできると思うよ。」

カムイは竜石を握り、竜石を握った右手の人差し指で鳥の絵を空中に描く。
すると、描かれた鳥は、水で具現化された。

「ハイ。」
「鮮やかな物ね・・・・」

霊夢は感心する。
そして、霊夢はその鳥の足元に何か紙を巻き付ける。

「これでよし、カムイ、こいつをエリスのところまで飛ばしてくれる?」
「あ、なるほど・・・わかったよ!」

カムイは、水の鳥に何か聞き取れない言葉を吹きかけ、
水の鳥を飛ばした。



水の鳥を飛ばした後に、神社の階段から誰かが昇ってきていた。

「変わってないなぁ、ここも。」
「そ、そうですね、冷也さん・・・・」


「ん、あれ・・・・。」
「どうしたんだ霊夢、誰か来たのか?・・・・お?」

神社に上ってきたのは、
青い服で埋め尽くした銀髪の咲夜に似ている顔の少年と、
銀髪の巫女服の少女だった。

後ろに、重騎士のようなごついミラージュと、ツインテールで、白いベールで顔を隠し、クリノリンのスカートをはいているかわいらしい少女のミラージュが
二人についてきていた。


「うん?・・・・その顔・・・・冷也に輪廻か?」

魔理沙は、冷也の顔を見るなり、指をさす。

「指をさすな魔理沙、お前は相変わらずムカつくやつだ。」

指をさされた冷也は顔を歪ませて言う。

「まあまあ、冷也さん・・・・」
「で、お二人の後ろのミラージュたちは?ていうかあんたたち、ミラージュマスターになっていたのね?」

「申し遅れました、私はフレデリク。こちらはリズ様です。」
「こんにちはっ!リズです!」
「よし、よくできましたねリズ様。」
「えへへ〜」

フレデリクはリズが挨拶できたことに、喜び、リズをなでる。

「茶番はそこまでだ、フレデリク。」

冷也は苛立ちを隠せずにいた。

「それよりも!お前ら、姉さんをどうして守りに来なかったんだよ!そのせいで姉さんは大けがしたんだぞ!」

冷也は怒りを露わにする。

「それについては言い訳しないわ、実際、私たちがもっと早くきていれば、あんなことには」
「御託なんてどうでもいい!姉さんが受けた痛みを、お前らにも味わってもらう!」

冷也は、カルネージ化したフレデリクを手にする。
すると、冷也は堅そうな鎧に身を包み、髪先も青色のグラデーションがかかった色合いになった。

「相変わらず喧嘩っ早いヤツだなあ・・・・」
「マリサ、迎え撃たなくては!」

「「カルネージ・フォーム!!」」

魔理沙とマリクもカルネージ・フォームで変身した。

「カムイ、いくわよ!」
「オッケー!」

「「カルネージ・フォーム!!」」

霊夢とカムイも迎え撃とうと変身する。
3人は、にらみ合う。

「あわわ、喧嘩しないでくださーい!」

輪廻もリズとカルネージ・フォームで変身した。
その姿は、白いべールで頭を覆い、ゴシック調の黄色のワンピース、髪はツインテールになり、髪先が黄色く染まっていた。

「レイヤ、回復は任せてね!」

と杖になったリズは冷也に言う。

「今日の敵はかなり厄介だぞ、霊夢!」
「そのようね。」

二人は構えた。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.53 )
日時: 2017/07/08 19:58
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第20話 冷也との戦い


「真っ二つにしてやる!」

斧で霊夢を両断しようと、頭上から斧を振り下ろす冷也。

霊夢は、竜化した腕で水の塊を生み出し、斧を防ぐ。
バシャン!バシャシャ!
両断された水の塊は、飛び散って音を立てて地面に落ちる。

その間に霊夢は冷也の後ろに素早く回り込むが

「見え透いてんだよ!」

と、霊夢の腕をつかむ。

「あら、見据えられてるのはどっちかしらね?」

霊夢は、竜化すると口から水のブレスを吐く。

「くっ!?」

すんでのところで冷也は水のブレスを避ける。




「リライブ!」

輪廻が杖をかざして、冷也を回復させる。
切り傷がみるみるなくなっていった。

「これじゃきりがないぜ、霊夢・・・」
「魔理沙、あんたは輪廻を引き付けなさい。」

霊夢は再び冷也の前に出る。

「なんだ、もう降参か?」
「まだまだこれからよ!」

霊夢はそういうと、素早く冷也に間合いを詰めて

「月影!」

剣を満月のように円になるように振って斬りつける。

「この程度・・・!」

冷也は剣を防ぐ。
しかし、

「防ぐだけじゃダメよ!」

霊夢は思いっきり冷也の腹を蹴る。

「ぐあっ!」


「冷也さん!」

輪廻は回復をしようとする

「させないぞ、トロン!!」

魔理沙は輪廻に向かって、稲妻の塊を撃つ。

「いやっ!」

直撃こそしなかったものの、腕に当たって、しびれて動けなくなった。

「リンネ!ど、どうしよう・・・」

「くっ、だから周りに注意しろとあれほど・・・」
「よそ見すんな!」

冷也が輪廻に気を取られている隙に
霊夢は竜化して大きく足踏みをした。

「竜穿!!」

足踏みした瞬間、周りに水柱ができて、冷也と輪廻を吹き飛ばす。
勢いよく吹き飛ばされた二人は、近くの木々にたたきつけられて、
のびてしまった。


「あらら、やりすぎたかしら」

霊夢は変身を解き、手や服の埃をはらう。

「で、どうするんだよこいつら。」

魔理沙も変身を解いて倒れている二人とミラージュたちを指さす。

「ま、このまま寝かせておいて、起きるのを待ちましょう。・・・それにしてもあいつら、遅いわね。」















「う、うう・・・・」

冷也が目を覚ますと、博麗神社の一室で布団に寝かされていた。

「あ、起きたんだねレイヤ。レイム〜」

カムイが冷也が目を覚ましたことを霊夢に報告しようとすると、

「待て」

と呼び止めた。

「どったの、レイヤ、どっか痛い?」
「いや、お前に聞きたいんだけど、あの日・・・・咲夜姉さんはだれにやられたんだ?紅魔館に行っても、咲夜は大けがしたの一点張りだったんだ」

冷也の問いにカムイは思い出しながら答える。

「グレン・スカーレットだって確かインバースが言ってた。レミリアも肯定してたし・・・・」
「てことは、クロノスが関連してるんだな、この異変。」
「・・・・クロノス?」

カムイは首をかしげる。












「おまたせ、霊夢に魔理沙!」

陽が天高くに上ったころに、エレンがカチュアと共にペガサスにのってやってきた。
ペガサスと言っても、身体の半分がバイクのようになっているが。

「遅いわよあんた!」
「えへへ、ごめんごめん、クッキー焼くのに手間取っちゃって」

と、エレンがバスケットの中のクッキーを見せる。





「すみませーん!遅れました!!」

早苗が階段を登ってやってくる。
ティアマトも一緒だ。

「遅いわよ早苗!」
「すみません、お弁当作ってたら手間取っちゃいまして・・・」

と早苗がバッグに詰めている人数分の弁当を見せる。





「ごめーん、待った?」

天子も階段を登ってやってくる。
エルフィに抱いてもらって。

「遅いわよ天子!」
「ごめんごめん、つい二度寝しちゃって・・・」

と天子が口元のよだれを拭く。






「あんたたち、遠足に行くんじゃないわよ!」

霊夢が雷を落とした。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.54 )
日時: 2017/07/09 11:00
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第21話 魔界へ


「おー、やっときたか霊夢!」
「遅いの、干からびちゃうとこだったのよ!!」

エリスは気さくに、ピエリは頬を膨らませていた。
エリスの隣には、
まるで宮司のような格好の黒髪の男性と、
赤い髪の角が頭から生えた女性が立っていた。

「霊夢さん、お久しぶりです。」
「まーったく変わってないからすぐわかっちゃったわよ!」
「あんたらも変わってないわね、神玉しんぎょく。」

神玉と呼ばれた二人は、霊夢の後ろの一同を見て、

「あなた達がサリエル様にお会いするって人達ね?今、魔界への門を開けるわね。」

女の方の神玉がそういうと、紫色の魔法陣に手をかざし、何か呪文を唱えていた。

「本来は、ここには誰も通さないよう言われていますが、
 今回は神綺様にも許可を頂いております。」

男の方の神玉が霊夢たちに説明をしていると

パキィン
ガラスが割れるような音がして、魔法陣が砕け散った。

「ハイ、これで通れるようになったわよ。ここからはエリス、案内してあげてね。」
「はーい。」

女の方の神玉がそういうと、神玉二人が道を開ける。
一行は、その道を進んだ。











「レイム、さっきレイヤから聞いたんだけど」
「どうしたのカムイ?」

カムイは歩きながら、霊夢に話しかける。
先頭にはエリスが歩いており、一同はエリスに続いて歩いている。

「うん、グレン・スカーレットが関与しているなら、クロノスって人が今回の黒幕かもしれないって。」
「またややこしいわね・・・・」

カムイの話にため息をつく霊夢。

「重要なのは、あの時僕が感じた、グレン・スカーレットを操ってる術者は、ギムレーだったかもってことだよ。」
「・・・・どういうこと?」
「あの時、術者のカンジをつかめたんだよ、あれは僕と同じ存在だった。」

霊夢の質問に拳を握りしめて答えるカムイ。

「でもそれじゃあ、グレンは、クロノスって人に紅魔館を潰すように命令されたってことなんだね?」

エレンはクッキーを早苗に渡しながら言った。

「ということは、イドラスフィアは、たまたまできていて、たまたまギムレーがいて、たまたまヘンリーが入っていったって・・・・虫が良すぎる話だろ」

霊夢とカムイとエレンの会話に割って入る魔理沙。

「イドラスフィアはたまたまできるものじゃない、ミラージュがつくる、ミラージュの世界の一部だ!」

「多分・・・・クロノスって人が紅魔館にいることを見ていて・・・・紅魔館ににイドラスフィアを作って出向いたんだと思う・・・・。」

マリクの説明を遮り、エルフィが突然口を開く。

「エルフィ・・・・なぜそのことがわかるんですか?」

カチュアはエルフィに質問する。

「私、ギムレーの部下だったことある・・・・。」


「・・・・!?」

一同は足を止めてエルフィを見る。
天子だけは頭の後ろに手を回していた。

「まさか、スパイ・・・・!?」
「違う・・・・私が逃げてきた・・・・。」

ティアマトが武器を構えるが、エルフィは静かに否定する。

「じゃあ、ギムレーの情報を教えてください!」

と早苗が言うと、エルフィは静かにうなずく。

「とりあえず、歩きながら聞こうよみんな。」

エリスはまだ見えない奥を指さしながら言った。







「私は・・・・記憶を失ってて、罪のない人たちからパフォーマを奪ってたんだけど・・・・、
 テンシがお腹が空いて動けない私に、桃を分けてくれたの・・・・。」

エルフィは嬉しそうな顔をしていた。

「とりあえず、ギムレーの話をするね・・・・。
 ギムレーは、水と闇の力を操ることができるの・・・・。
 だから今この時点でも見られていると思う・・・・。」

「じゃあ、エルフィが今こうやって情報を流してることも・・・・」

魔理沙の言葉にうなずくエルフィ。

「多分、魔界に来てることももうわかってる。」

「でもそれなら、ミラージュが待ち構えてても・・・」
「ギムレーは力を失ってるから・・・・多分、今はまだ、魔界に手出しはできない・・・・。」

カムイの言葉を否定し、エルフィは続ける。


「帰りは用心しないと・・・・。」



エルフィの話が終わると、

「あ、ホラ、あれが魔界の天使がいる扉だぞ!」

エリスが大きなレリーフが刻まれた扉を指さす。

「すごいの、おっきいの!!」

ピエリがはしゃぐ。


そこに、金髪のポニーテールの少女が現れた。
後ろに5つの目玉がこちらを見ている。

幽幻魔眼ゆうげんまがん!」

エリスは気さくに話しかける。

幽幻魔眼は、手を振る。
どうやら挨拶をしているようだ。

「サリエルに話があってきた、通してくれ。」

幽幻魔眼はエリスの話を聞くと、コクリと頷き、
巨大な扉に手をかざす。

ゴゴゴゴゴゴ

音を立てて、扉が開いた。

幽幻魔眼は開いた扉の奥を指さす。

「サンキュな!」

エリスは笑顔で幽幻魔眼の頭をなでる。
幽幻魔眼の頬が赤く染まった。

「あ、はいこれ、私が焼いたクッキー、食べてね!」

エレンが幽幻魔眼に近づき、クッキーを渡した。
幽幻魔眼はクッキーを受け取ると、会釈をした。


「相変わらず無口な奴だな。」
「確かに。」

エリスと霊夢は、ひそひそと話した。


そして、霊夢一行はさらに奥へと進んでいった。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.55 )
日時: 2017/07/09 14:11
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第22話 強襲


「お久しぶりですね、霊夢。」

扉を進んだ先に、ステンドグラスからの月明かりに照らされる、青銅のような場所にたどり着くと、
4つの翼が生えた青い髪、赤い瞳の女性、サリエルが待っていた。

「久しぶり、早速だけどエリスから話は聞いてるわよね?」
「ええ、ミラージュたちが各地で事件を起こしているというのは、魔界でも噂になっています。」

カムイは、サリエルにチキのこと、ブルームパレスのこと、ミラージュたちのことをすべて話した。








前日、ブルームパレスにて

「ギムレーが死人をミラージュ化させてる?」

その場にいた全員が驚いた。
チキはうなずく。

「生きている者をミラージュにすることは不可能だけど、もうこの世に魂を持っていない者なら、ミラージュとして再利用することが可能なの。
 ただし、屍人として。」
「だから屍人のくせに素早く動けたんだな、グレンのやつ・・・・」

「まあ、死人を動かすのは、それなりの生贄が必要なのよ。」
「え、じゃあ最近の行方不明事件は・・・・」

「おそらく、行方不明になっている人物は、死人のミラージュ化の生贄として使われているわ。」

その場にいる全員が息をのむ。
ただし、天子とエルフィを除いて。

「行方不明事件の真相はそういうことね・・・。」
「ひ、ひどい!」

霊夢は冷静に、カムイは激昂していた。

「そのことは、もう紫に?」
「話してる、あとユメミにもね。」

「そういや、ユカリって、ブルームパレスでも能力を使えてたよね、なんで?」

カムイはチキに質問する。

「ユメミが、「ミラージュの力を無効化するマッスィーン」というものを作って、ユカリに渡したそうよ。」
「え、そんな便利なものが!?もはやチートじゃないか!!」

チキの説明にちょっと興奮するマリク。

「でも、材料が材料だけに、量産不可能で現在は世界に一つだけのシロモノだそうよ。」
「何の材料を使っているのか・・・気になる!」



「とりあえず明日、サリエルにこの話を伝えておいてね。」














「以上が、僕らの知ってるすべてです。」

カムイが説明をしおわると、サリエルは

「なるほど、行方不明とミラージュは関係していたのですね。」

サリエルの周りに、目玉にコウモリの羽がついた何かが浮遊している。
サリエルは、そいつに話しかける。

「神綺、そういうことらしいですよ。」

「なるほど、ではそう魔界全土の住人に伝えておくわね。夢子ちゃん」

目玉から声が聞こえる。
どうやら、交信をしていたようだ。

「あ、あの、サリエルさん!」

カムイがサリエルに声をかける。

「どうしましたか?」
「サリエルさんが、竜石を持っているって聞いたんですけど・・・。」

サリエルは、それを聞いて、懐から青く光る石を取り出す。

「もしかして、これかしら?」
「そ、それです!」
「良かった、持ち主が見つかって・・・実はこの子が見つけてくださったんですよ。」

サリエルは誰かの名前を呼ぶと、
奥から、紫色の髪に仮面を被り、軽そうな鎧を着た女性のミラージュが現れた。

「こ、こんにちは・・・・ふ、フロリーナと申します・・・・」

フロリーナは自信なさげに自己紹介をする。

「フロリーナさんがあなたの竜石を見つけてくださったんです。」
「そ、それは、ありがとうございます!」
「い、いえ・・・すみません!私、それくらいのことしか・・・・」

「はい、カムイ。竜石を・・・・」

ドォォォォォン

サリエルがカムイに竜石を渡そうとすると、爆音に似た音と共に、天井が崩れた。

「ひゃあ!なんなの!?」

ピエリが驚きの表情を隠せず、慌てている。

「まさか・・・ギムレーが魔界に干渉できるなんて・・・・」

エルフィも驚く。


「むぅ、よし!ちゃんと目的地まで来れたな・・・竜石は・・・・」

砂埃が晴れてくると、上半身だけでも天井に届きそうな大男、ギャンレルがその姿を現した。

「竜石み〜っけ!」

ギャンレルは竜石を持ったサリエルを見つけると、手を伸ばす。

「エクスカリバー!」

魔理沙は素早くカルネージ・フォームで変身して、ギャンレルに風の刃を放つ。
ギャンレルの腕が切れて、断面からは黒い靄が出ていた。

「うっぎゃああああああああ!!」

ギャンレルは腕をおさえながら悶える。

「みんな、今のうちにカルネージ・フォームだ!」

魔理沙の掛け声で、怯んでいた一同が、カルネージ・フォームで変身する。

「小癪な!」

ギャンレルは、ふんっ!と力むと、腕の断面から、新しい腕が生えてきた。

「便利だな、あいつ。」
「感心してる場合ではないですよ、魔理沙さん!」

カルネージ・フォームで変身した早苗が魔理沙に近づく。
その姿は、緑の髪の髪先が赤色になっており、二つの三つ編みおさげを垂らしている。白を基調としたヘルム、甲冑、緑色のスカート、グリーヴでまとまり、騎士のようなスタイルだった。

早苗は斧となったティアマトを構えて、ギャンレルに攻撃する。

「行きますよ!星影!!」

早苗は思いっきり斧を足元から切り上げる。


「今のうちに、サリエル!」

カルネージ・フォームで変身した霊夢は、サリエルの手を引っ張る。

「クソッ、竜石をよこせ!!」

ギャンレルは、逃げるサリエルを手でつかもうとした。

ガキィン!

大きな音を立てて、ギャンレルの腕が弾かれる。
ピンク色の大きな盾に阻まれていたからだ。

「いやー、アーマーナイトも楽じゃないわね!」

ピンク色の盾が収縮し、カルネージ・フォームで変身した天子が姿を現す。
青い髪のポニーテールで、髪先が白くなり、瞳は右目が緑に染まっており、
ピンク色の重騎士のような鎧で身を包む姿だった。

「よっしゃ、今だぞピエリ!」
「この子、殺しちゃってもいいよね!?」

「「陽影!!」」

エリスは、槍となったピエリを持って、ギャンレルに突撃する。

「ぐあっ!」

ギャンレルに命中し、ギャンレルが怯む。


「エレン、セッションいくぞ!」
「まかせて!」

「トロン!」

「月光!!」

魔理沙が稲妻の塊を猛スピードで放出し、エレンが満月のように槍を回転させ、ギャンレルに攻撃を与える。

「ぐぎゃあ!!」


ギャンレルはブルブルと震え始めた。


「クッ、どいつもこいつもオレ様の邪魔ばかりしやがって!!」

ギャンレルは怒り狂い、腕を地面にたたきつける。
地面が揺れ、ギャンレルの近くにいる全員が立てなくなる。

「ぐ、グラグラする!」

エレンは体勢を立て直そうとするが、揺れていてままならない。


「カムイ、霊夢、これをお渡しします。」

サリエルは、霊夢に竜石を渡す。

「どうか、世界をお守りください。」

霊夢は、竜石を受け取る。

「当然よ!」
「僕らが、世界を救ってみせます!」



ギャンレルは、首が分離し、首の下の刃を回転させ、
その場にいる全員を襲う。

「オラァ、ミンチにしてやる!」


「いやあ!」「クソッ、ああ!!」

ギャンレルの周囲にいた全員がボロボロで斬り傷だらけになる。


「まずはてめえからだ!!」

ギャンレルは、無抵抗の魔理沙に向かって拳を振り上げて、一気に落とす。

「くっ、潰され・・・」
「させないわよ!!」

霊夢が、ギャンレルの拳を剣で受け止める。

「小賢しい!!」

ギャンレルは、霊夢をつかみ、握りつぶそうとする。

「くっ、ぎっ・・・」
「霊夢!クソッ・・・・!!」

魔理沙は魔法を放とうとするが・・・

「大丈夫よ、魔理沙。」

と霊夢が魔理沙を見て声をかける。


「翔竜翼!」

霊夢は、水の力でギャンレルの拳を押し切り、竜の翼を背中から生やして空を飛ぶ。

「何ィ!?」
「いくわよ、カムイ!」
「任せて!!」

霊夢は竜化して、力強く足踏みをする。
そして口から激流のブレスを吐きだした。

「「激流咆ォォォォ!!!」」

激流のブレスを受けたギャンレルは、自らが突き破った天井より高く吹き飛ばされた。

「クソォォォォ!こんな・・・・こんなヤツらにィィィィ!!」

ギャンレルはそのまま、月明かりが照らす空で爆散した。





「や、やった!やったよレイム!!」
「え、ええ。今日も苦しい戦いだったわ・・・・。」

カルネージ・フォームから戻った霊夢はげっそりとしていた。

「どったのレイム。」
「いや・・・・激流咆使った後、喉の水分がなくなるんじゃないかってくらい・・・・のど・・・かわいた・・・・。」

と言うと、霊夢はそのままその場に倒れた。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.56 )
日時: 2017/07/09 19:30
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第23話 カムイの過去


魔界の天使サリエルとの対談も終わり、早速ブルームパレスに戻ってきた霊夢一行。
竜石をチキに渡すのは霊夢とカムイ、
エレンと魔理沙は、冷也と輪廻の治療にかかるらしく、
エリスはサリエルや魔界の皆と共に襲撃された聖堂の修理、
早苗は妖怪の山へ全員に報告、
天子は天界へ報告するということで一旦解散していた。

「おかえり、レイム、カムイ。」

チキが出迎えてくれる。

「チキ、竜石を受け取ってきたわ。」
「ありがとう、レイム。」

そしてチキは、カムイに竜石を渡す。

「どんな記憶が見えても、残酷だけれど・・・・絶対に自分に絶望しないで。」

チキはカムイの瞳を見て、訴えかける。

「うん。」

カムイは強く返事をして、竜石に触る。


ズキッ

鋭い頭痛と共にカムイの中に記憶が流れ込んでくる。

「これは・・・・」

















「姉様!」
「カムイ!」

「お姉ちゃん!」
「カムイ。」

「カムイ」

「カムイ」


あの時、死んでた人たちだ・・・・

みんな穏やかな顔してる・・・・。

・・・・そうか、僕はみんなの事が大好きだったんだ。
だから・・・・


「こっちだ!」

あの時泣いていた赤い鎧の人が僕に手を伸ばす。

「ね、姉様・・・・」

後ろから、あの時赤い鎧の人が抱いていた女の子が僕を心配そうに見つめる。
後ろからも、数人僕を見ていた。

「お姉ちゃん・・・・」

金髪のツインテールの女の子が僕を見ている。
こちらも後ろから、数人僕を見ていた。

「・・・・戻ってこい」

金髪の男性が僕に手を差し伸べる。

 みんな・・・・ぼ、僕は・・・・
「みんな・・・・わ、私は・・・・」





「汝ガ望ムノナラ・・・・」

っ!?
・・・・・誰だ!?


「汝ガ望ムノナラ、我ガ手ヲ貸ソウ・・・・」

この声・・・・まさか・・・・


「・・・・っ!あなたの力が手に入ったら、私は自由になれる?この争いも止められる・・・・?」

僕の中から声が聞こえる・・・・
この声、あの時僕に囁いてた声!

「我ノ元ヘ来イ・・・・我ハ地下デ眠ッテイル・・・・」
「・・・・ッ!!」


「待て、カムイ!どこへ!!」
「お姉ちゃん!」
「カムイ!」
「待て!待てってば!!」


後ろから聞こえる声に構わず、「カムイ」は走っている。
涙で顔がくしゃくしゃになりそうだ。





「カムイ」がたどり着いた場所・・・・そこは、
おぞましい気配がする場所だった。

「ここは、メディウスの封印されている場所・・・・」

「私を呼んでくれたのは、メディウス・・・・!?」

「メディウスの力に取り込まれたら、私は・・・・」


「カムイ」はいまだに迷っているみたいだ。

「カムイ、待て!ここに近づいてはいけない!!」
「待って、お願い!!」

赤い鎧の人の声が聞こえる。

「・・・・・っ!!」


「カムイ」は中に入って走った。





どれだけ走ったんだろうか、
やっとのことでメディウスが封印されている場所にたどり着いたみたい。

なんだか、ドクンドクンって重い鼓動が聞こえる。
多分、メディウスが此処で眠っているんだろう。
黒くて禍々しい巨大な何かが目の前にあった。


「カムイ!!」
「お姉ちゃん!」

みんながなだれ込むように入ってきた。

「カムイ、戻って来い・・・そうすれば・・・・」

「そっちへ行くな、カムイ!こっちに帰って来い!」

金髪のお兄さんと赤い鎧の人が「カムイ」に手を差し伸べる。
「カムイ」は・・・・

(このまま、どちらかについたら、きっとまた争いを始めてしまう・・・・)

(どうして・・・・!?みんな仲良くしてほしいだけなのに・・・・!!)

「カムイ!」

「姉様!!」

(うるさい!うるさい!!もう、私の名前を呼ばないで!!)
「うるさい!もうしゃべるなぁッ!!」

「カムイ」が渾身の叫びでその場にいる全員を黙らせた。

「なんでみんなそんなに争うの!?誰かが死んで、その憎しみを誰かにぶつけて!また死んで!!
 ・・・・・もうやだ・・・・これ以上みんなが争うくらいならッ!!」

「カムイ」はメディウスの方に向き直る。
次の瞬間、「カムイ」は、メディウスを・・・・

ブヂィ グジュ グジュ

・・・・!?喰った!!?

「カムイ、何を・・・・!?」


「カムイ」は、口元の黒いモノを拭きながら

「もうこんな世界はいらない!全部壊して壊して壊して・・・・跡形もなく消し去ってやるッ!!!」

「カムイ」は涙を流しながら、メディウスを喰らい続け、
やがて、体が変異した。


ゴゴゴゴゴゴゴ

地鳴りが響く。

「クッ、ここは全員、退避だ!」

「退け!潰されるぞ!!」

「姉様!どうして!?」
「カムイ!クソッ、なんでこんなことに・・・!!」


やがて、「カムイ」は蛇のように細長く3対の翼を生やし、頭部には巨大な角を生やしている黒い竜へと姿が変わった。

「この世界の愚かなミラージュに告げる!
 私は「邪竜ギムレー」!争い続ける貴様らミラージュをすべて喰らい尽し、
 この世界を破滅に導いてやる!!」


邪竜ギムレーがそう宣言すると、手始めに、近くの王国を鞭のように尻尾でたたきつける。
王国は吹っ飛び、跡形もなくなくなった。

・・・・なんて力だよ、これが本来のギムレーの力だっていうのか!?

うわっ、目の前が真っ白に・・・・





ってあれ、見たことない人たち・・・・
黒髪のミラージュと6人のミラージュが、僕に剣を向けている。

「アハハハッ、クロム、そんなナマクラで私に逆らおうというの!?
 この「邪竜ギムレー」に!!」

「この剣は、お前を倒すための力だ!決着をつけるぞ、ギムレー!」

「小賢しい小僧が調子に乗るなよ!!」


ギムレーは人型になっている。
それは、僕と同じ姿だけど、髪の長さが違っていた。

クロムと呼ばれたお兄さんは、ギムレーと激しい攻防戦を繰り広げる。
後ろのミラージュたちもクロムに続いている。





「あぐぁ・・・・」

ギムレーの剣が弾かれて、空中に円を描き、床に突き刺さる。

「終わりだ、ギムレー!」

「このままでは終わらない!!うああああああああああああぁぁぁっ!!!」

ギムレーは、黒い魔法陣から、闇の力を放出する。
地響きが激しくなり、世界全体が揺れているような感覚だ!
もしかして、世界を破壊しようとしてる・・・!?

「させるか!!」

クロムがギムレーを真っ二つにする。

「あ・・・・がっ・・・・」

ギムレー真っ二つになったかと思うと、黒い光と白い光に分かれた。
と、次の瞬間、

バキィ

世界にヒビが入った。

「ま、間に合わなかったか!」
「うふふ、もうダメみたいね。」
「・・・・・。」

クロムとクロムの仲間たちは、その場で立ち尽くして
大きく世界が揺れ、壊れた。













「・・・・はっ!!」

カムイは勢いよく起き上がる。

「あ、目が覚めたみたいねカムイ。」
「れ、レイム・・・・。」

カムイはサリエルから受け取った竜石を見つめる。

「僕、全部思い出した・・・・。」
「?」

霊夢が首をかしげる。

「僕は・・・・ギムレーは、争いをなくして、みんなを救いたかっただけなんだよ。」

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.57 )
日時: 2017/07/10 07:52
名前: ミヅキ (ID: Uj9lR0Ik)

第24話 邪竜と時空を操る男


「僕は、ギムレーを倒す。」

翌日、ブルームパレスに集まったみんなの前で、
カムイはそう宣言する。

「お前、昨日より顔つきが変わったな。」

魔理沙はカムイを見て率直な感想を言う。

「今のカムイならなんだってできるよ!」
「そうですね、いつだってあなたを支えますよ」

エレンとカチュアは、カムイの態度に賛同している。


「カムイはもう、大丈夫そうね・・・・ところでチキ。」

霊夢はチキに向き直る。

「「クロノス」って名前に、記憶はある?」

「・・・・・・いえ、わからないわ。」
「まあ、でしょうね。」

チキの答えに、こめかみに指をあてる。

「そいつも、このミラージュ事件に関与してるらしいのよ。多分、ミラージュに加担してると思う。」
「なんでそう思うのよ?」
「巫女の勘ってやつ。」
「うさんくさ。」

霊夢の答えに、呆れる天子。

「でも、勘は大事よ、その直感は信じるべきだわ。」

ティアマトが腕を組みながら頷く。

「ま、信じましょうかね。」
「テンシ・・・・素直になったね・・・・」
「そ、そうでもないわよ?」

エルフィが天子をなでると、天子は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

「でも一体、クロノスという人物は誰なんでしょう?」
「黒出にももう一度聞いてみる必要があるわね。」

早苗と霊夢は腕を組んで悩んでいた。














「クロノス・・・か。」

水鏡に霊夢たちの様子を映し出してみていたギムレーがつぶやく。

「私の邪魔をしなければ、放置してもいいけどなあ。」





「邪魔などしないさ、むしろ協力したいと思っていたさ」
「・・・・!」

唐突に背後から声がしたため、振り返ると、
緑のマントに黒い髪、そして赤と青の瞳の男が立っていた。

「キミがクロノス?意外に若いんだね。」

ギムレーはクロノスを嘗め回すように全身を見る。

「まあ、年齢は時を止めているのでね。」
「ふうん、で、どういう風の吹き回し?」

「と、いうと?」

ギムレーは殺気立った目つきでクロノスに言う。

「わざわざ私に協力するなんて・・・・グレンを返せっていう話?」
「・・・・やはり、君がグレンを操って連れ去ったんだな。」
「そうだよ、操ろうと思ったら動かなくなっちゃったから、生贄を数人使って蘇生の術で私の人形にしたの。」

クロノスは表情を変えずに拍手をする。

「なるほど、まあ、グレンの方はそのまま君の方で使ってもらって構わないさ。何せ私たちは、仲間だろう?」
「勝手に決めないで。私には仲間はいない。友達も、家族も、きょうだいも。」

ギムレーは拳を握りしめる。
しかし、あることに気づき、表情を変える。

「ま、でも利害の一致はしてるみたいだね、キミも私と同じ目的ってところ。」
「そうだ、だから仲間じゃなくてもいい、互いに協力する・・・ということで、同盟を結ばないか?」

ギムレーは、にやりと笑う。

「なるほどね、だったらいいよ、こっちもミラージュを少し貸してあげる。自由に使ってよ。」
「助かるよ、何せ、こちらにはミラージュがいないからね。」

そしてクロノスとギムレーは左手で握手をした。




(こいつ、何考えてるか知らないけど、まあ、利用するだけさせてもらうよ。
妙な行動に目がついたら、首でも潰せばいい。)

ギムレーは、表情を変えずにそう考えていた。