二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.63 )
日時: 2017/07/14 00:24
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第28話 カムイとカムイ


「ぐはっ・・・・クソッ・・・・こんな・・・」

ジョルジュは膝をついた。
周りの炎は鎮火して、竹藪が真っ黒な煤をかぶっていた。


「妹紅を放しなさい、えーっと・・・・」
「ジョルジュさんです。」
「そう、ジョルジュ!」

「ま、まだだ・・・・」

ジョルジュは弱弱しい炎を手の上に生み出したが、すぐに消えてしまった。

「宿主がもう体力の限界なのよ、いくら不死でもね。」
「クソッ・・・・」

「ジョルジュさん、もう一度・・・・もう一度話しましょう!あなたは優しい人だったではありませんか!」

ゴードンがジョルジュに近づく。
その姿は、緑のマフラー、緑の髪、腕には弓が生えている
小柄で少年のような姿である。

「ゴードン・・・・・」

途端に、霊夢の胸の上に光の玉が輝いた。

「!・・・パフォーマ!!」

霊夢は、その光を手で包み込むと、妹紅の胸の上にそっと置いた。
すると、パフォーマは輝きを増し、妹紅を包み込んだ。


「こ、これは・・・」
「早苗がティアマトにした時と同じじゃんか!」

マリクと魔理沙が驚愕していた。
そして、妹紅の中から、ゴードンと同じ容姿だが、金髪で赤いマフラー、腕に金色の弓が生えたゴードンより身長が高いミラージュが姿を現した。

「お、俺は・・・・ここは一体?」

ジョルジュは周りを見渡す。





「あーあ、正気に戻っちゃったんだ。」

竹林の奥から姿を現したのは、
カムイと同じ姿だが、髪が長く、華奢な見た目の少女だった。

「せっかく竹林と里を燃やしてめちゃくちゃにしようと思ったのに、ざんねん。」

・・・・ドクン

カムイの胸がざわつく。

(こ、こいつ・・・・竜石の記憶で見た・・・・)

「あんた、大方予想はついているけど、一応聞いておくわ。何者?」

霊夢の質問に、クスクスと鈴のように笑う少女。

「じゃあ一応答えてあげるね。
 私は邪竜ギムレー。この幻想郷を壊すために来たよ。」






「やっと姿を現せたみたい、マルス。」
(・・・・・ついに、この日が・・・・)

「ユカリ、この邂逅での戦闘は不可避だ、あなたの能力で、レイムの元に仲間たちを送ってほしい。」
「・・・・わかったわ」

ギムレーとの邂逅を見ていた紫とマルス。
紫は、霊夢の仲間たちを隙間で霊夢の元へ送り込み、
マルスは、走ってどこかへ去ってしまった。














「やっぱりギムレーか。」
「こいつが、ミラージュの世界を壊した張本人・・・・!!」
「同時に、僕自身でもあるよ!」

ギムレーが名乗ったことにより、その場にいる一同がざわつく。

「ふふ、やっぱ私、有名人ね。
 まあ挨拶がわりに・・・・・あなた達の実力を見せてくれ な い?」


ギムレーが腕を天高く伸ばすと、
ギムレーの周りから黒いオーラと威圧感、何かどす黒い力が放たれた。

「くっ、なんて力!?」
「これで力を失ってるってのか!?嘘だろ・・・・!?」
「エレンが気絶から回復していないのに・・・・!!」

「アハハハハッ!動揺してるみたいだね!!まだ本気も出してないのに!!」

霊夢たちの動揺に高笑いをするギムレー。
そして、ギムレーは自分の影に手を突っ込むと、その中から、刀身も柄も漆黒で染まった剣をゆっくり取り出す。


「さーて、どこから斬りおとされたい?足?腕?指?それとも、首かな?」

どす黒い笑顔で霊夢たちを見るギムレー。

「ふふっ、その前にジョルジュ、死んでくれない?」
ギムレーはそうジョルジュに近づくと、
彼を肩から斬り捨てた。

「じょ、ジョルジュさん!!!」
「ジョルジュ!!」


ゴードンと影狼が、ジョルジュに近づいた。
その瞬間


「エリスだぞ!待たせたな!!」
「お、お待たせしました皆さん!!」
「ごめんごめん、寝てたわ。」

変身したエリスと早苗、天子が空から降ってきた。
上空に紫の隙間が見える。

「助かったわ、ちょうど人手が足りないと思ってたのよ。」


「ありゃ、仲間が増えちゃったか、でもいいよ・・・・遊んであげるよ」

ギムレーは不敵に笑う。






「でやああああああっ!!」

霊夢は竜化した腕で水の塊を生み出し、ギムレーに投げつける。

「ふん!」
ギムレーはその水を手でつかむ。

「ティアマト!」
「ええ!」

「「月虹!!」」

早苗は、斧を力いっぱい振り下ろす。

ガキンッ

ギムレーは斧を素手で受け止めた。

「ッ!?素手で!?」
「いくぞ、エクスカリバー!!」

その隙に魔理沙は風の刃をギムレーに向かって放った。

「畳みかけよう、ゴードン!」
「はい!!」

「「流星!!」」

放たれた無数の光の矢がギムレーを襲う!しかし・・・
ギムレーは早苗を斧ごと持ち上げたまま飛び上がり、早苗を地面に投げつけた。

「あがっ・・・!」
「サナエ!?」

たたきつけられた早苗は血を少し吐く。

「ラウアブレード!」

ギムレーは、剣の形をした魔法を、魔理沙と影狼に放った。

「ぐああっ!!」「クソッ・・・・あああっ!!」

二人に甚大なダメージを与え、魔理沙と影狼はその場に倒れ込んだ。


「ギムレーちゃん、覚悟してほしいの!!」
「いくぞピエリ!」

上空に飛び上がったギムレーに、槍から赤い光を放ち、ギムレーに当てた。

・・・・・かに思えたが、ギムレーがとっさに右手で光を受け止め、握りつぶした。

ダダダダッ!

ギムレーが飛び降りてきた瞬間に、霊夢がギムレーを斬りつけようと剣を振る。

ガキィン!!

大きな音を立て、黄金の剣と漆黒の剣の刃が交わった。


「この程度なの、あなた達って」

その隙に、天子も盾に仕込んでいた剣を出し、ギムレーを斬りつけるが、
素手で受け止められる。

「アンタ・・・・化け物ね・・・・!!」

霊夢は嫌味たっぷりにギムレーに言うが、

「マークス兄さんとリョウマ兄さんみたいなこと言うね。あの二人も、私がメディウスを喰らったときに同じこと言ってたよ・・・・
 「化け物、近づくな!」ってね。あんなにやさしかった姉さんたちも、兄さんたちも、妹たちも、同じ顔をしてたんだよ?
 やっぱり私はいつまでもどこまでも・・・・ひとりぼっちだった!!」

ギムレーは、口調を強めると、霊夢と天子の剣を弾き飛ばす。

「あぁ!」「くっ・・・・!!」

「ああ、鬱陶しい!!」

ギムレーは巨大な黒い塊を地面に放つ。
地響きと共に、霊夢たちの立っている地面が爆発し、霊夢たちを吹き飛ばした。

「いやあっ!!」
「ぐあっ!!」
「ぎゃああっ!!!」


「みんなひどいよね・・・・・どんなに信じても、どんなに愛しても・・・化け物は好きになってくれない!!」

ギムレーは表情を変えずにうつむいて誰に言うでもなく、叫んだ。
右目から涙がこぼれ、ギムレーは右手で拭う。

「あれ、涙が・・・・ふふっ、おかしいな・・・・・」

ギムレーは両腕を天空にかざし、黒い塊を生み出す。

「カムイ、よく見てるといい・・・・・お前の仲間が死んでいく様をね!!」
「や、やめっ!!」


ドオオオオオオォォォォォォォォォン!!!

ギムレーが爆音のする方を振り向いた。
その隙に、マルスが現れ、ギムレーを斬りつける。

「・・・・!!?」

ギムレーは驚き、バランスを崩してその場にへたり込んだ。


「チキ!」
「はい!」

マルスが叫ぶと、神竜となったチキが霧のブレスを吐く。
すると、辺りは濃霧に包まれ、視界が悪くなった。

「アクア、フレデリク、リズ、レイヤ、リンネ!今のうちに、皆さんを!!」

「しょうがねえな!」
「姉様!」


霧の中、マルスとその一行は、
ダメージを追っていた霊夢一行や、倒れている妹紅、ジョルジュを抱きかかえたり、
持ち上げて、紫の隙間の中に入っていった。










「・・・・・ちっ」

ギムレーは霊夢たちを逃がしてしまったため、舌打ちをする。

「失敗したな、ギムレー。」

クロノスが濃霧の中から姿を現す。

「まさか未来から来たミラージュに邪魔されるとは思いもしなかった。」
「あの仮面の少女かな?」
「よくわかったね、アレが女だったって。」

クロノスは不敵に笑う。

「まあね、それより—————。」
「わかってる、キミには近日中に動いてもらうよ、カムイをどんな状態でもいい、確実に私の前に「生きて連れて」きてもらう。」

ギムレーは笑った。

「期待通りに動いてくれよ、クロノス?」
「ああ、わかってるよ。」