二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.84 )
日時: 2017/07/25 00:21
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第41話 エリウッドとニニアン


「ギシャアアアアアアッ!グオオオオオオオオオッ!!」

里では氷竜が暴れ続けており、苦戦を強いられるミラージュとミラージュマスターたち。


「いくぞ・・・・・エルファイア!」

サナキは炎の魔法を氷竜にぶつけるが、動きが止まらない。

「リライブ!」

レナは、仲間たちの回復を遠方から行っていた。



「く、ルフレ・・・・なんかこう、逆転する方法はないの!?」
「確証はないけど・・・・ある!」

アリスは雷魔法を放ちながらルフレに問いかけると、
ルフレは冷静に答えた。

「策って・・・・なんなのだ、ルフレ?」
「みんな、足元を一斉に攻撃するんだ!」

ルフレの指示で、全員地上に降りる。

氷竜は気にするそぶりも見せず明後日の方向を目指して進みだした。

「いくぞ、みんな!!」

ルフレの掛け声で全員一斉に氷竜の足元を攻撃した。



「ウギャアアアアアアアアアアアッ!!」

氷竜の足元の氷が砕け、氷竜はバランスを崩して倒れた。

ズウウウウゥゥゥンッ
バキバキバキッ

氷竜はその場に倒れ、倒れた場所の氷が砕ける。


「よっしゃあ!」

魔理沙がガッツポーズを決めた。

「いや、マリサ、まだのようだ。」

マリクの言葉に氷竜を見る魔理沙。


「・・・・・っ!?まだ動けるのか!?」

慧音は驚く。
氷竜はなおも立ち上がろうとゆっくり体を起こしていた。




「え・・・・リ・・・・ウッど・・・・」

氷竜がつぶやく。


「クソッ、まだ駄目か!?」

妹紅が弓を引く。

「いや、彼の氷竜は正気を取り戻しつつある・・・・何かきっかけがあればいいんじゃが・・・・」

サナキが腕を組みながら考えるが・・・・


「ギ・・・・・グオアアアアアアアアアアアアッ!!」

突然、氷竜が咆哮を上げて尻尾を振り上げて妹紅を狙った。

「うわっ・・・・」
「妹紅!!ぐああっ!!!」

妹紅を突き飛ばして氷竜の尻尾をまともに受けた慧音は吹き飛ばされ、氷の柱にたたきつけられた。

「慧音!!」
「畜生、もうやるしかねえのか!!」

魔理沙は氷竜に向かって風の魔法を唱えた。

「エクスカリバー!!」

風の刃が氷竜に当たる。
が、強靭な氷の鱗に傷一つつかない。

氷竜は魔理沙を爪で引き裂こうと腕を振り上げた。

「うわっ!!」
「魔理沙っ!!」

アリスは魔理沙の元へ急いだが、間に合わない。
だが、アリスの横に素早く動く影が、魔理沙に近づく。


ガキィン!

氷竜の腕の氷と剣がぶつかり合い、鈍い音を出す。


「ニニアン、やめるんだ!」

氷竜の腕を剣で受け止めたのは、赤髪の青い鎧を身にまとう男性ミラージュだった。

ニニアンと呼ばれた氷竜は、ミラージュの姿を見ると腕を引っ込める。


「えり・・・・うっど・・・・」

氷竜はミラージュの姿をじっと見つめる。

「君はそんな人じゃないだろう、ニニアン。一緒に帰ろう。」

氷竜に手を差し伸べるミラージュ。
氷竜は唸りながらも、青年の手を取ろうとした。




「ウガアアアアアアアアアアッッッ!!」

氷竜は頭を抱え、苦しんでいる様子を見せる。

「ニニアン!気をしっかり持て!!」

ミラージュは氷竜に叫び続けるが、氷竜は暴れ続ける。
そこに魔理沙が近づく。

「あんた、この氷竜とどういう関係なんだ?」
「・・・・この人は、ニニアン。私の大切な人だよ。・・・・そんな場合じゃない、早く元に戻さなければ!」

ミラージュが焦りを見せていた。
そこへサナキが近づいて、一喝を入れる。

「こら、そんなに焦ってはいかんぞ若造!・・・・・時におぬしの名はなんという?」
「エリウッドだよ」
「エリウッド、かの氷竜・・・・ニニアンの思い人なのじゃろう、ならばこの状況をなんとかするために、皆の知恵を借りるのじゃ。そんなに焦ってはいかんぞ!」
「・・・・・。」

サナキの言葉に考え込むエリウッド。

「確かに・・・・君の言う通りかもしれない・・・・すまないみんな、ニニアンを元に戻すために、協力してほしい。」

エリウッドは全員を見て、一礼をする。

「サナキさん、ケイネさんはうごけそうにありません・・・・」
「ふむ・・・・」

レナの言葉に考え込むサナキ。
すると、ルフレがサナキに近づいて、提案した。

「一つ作戦があるんだが・・・・」
「なんじゃ、申してみよ」


「—————・・・・ってのはどうかな・・・・」
「・・・・・・皆はどう思う?」

サナキはルフレの作戦を聞いてその場にいる全員に聞く。

「悪くないんじゃないか?」
「もうそれしか方法はないな・・・・・」

妹紅とエリウッドは同意した。
他の皆も無言でうなずいた。

「では、今すぐ結構しよう、エリウッド・・・・苦だとは思うが、トドメはおぬしに任せるぞ。よいな?」
「・・・・・任せてくれ、ニニアンのためだ。」


そして、慧音とガイア、レナ以外の全員は再び氷竜の足元に一斉に攻撃した。


「いくわよ、グルンレイヴン!」

アリスは魔導書を手にし、魔法陣から多数の烏を生み出して、
氷竜の足元に仕掛けた。

「マリク、いくぜ!エクスカリバー!!」

魔理沙も同じく、氷竜の足元に風の刃をぶつけた。


「ウグオォォォォォ!!?」

氷竜はバランスを崩してその場に四つん這いになった。

「今だ、エリウッド!!」

魔理沙の掛け声で、カルネージ化したエリウッド・・・・炎を纏う剣を持った妹紅は、その剣を思いっきり氷竜に向かって投げつけた。

「うおおおぉぉぉ!届けええええええええぇぇぇぇーっ!!!」

投げつけた剣は、氷竜の袂まで飛んだ瞬間、
剣を構えたエリウッドへと戻って・・・・

「ニニアーーーンッ!!」

腹の近くにある青い結晶を砕いた。


「ウグアアァァァァァッ!!!」

氷竜は断末魔を上げてミシミシとヒビが全身に入り、ガラス細工のように壊れた。

ガシャアアアアアアアンッ


「やった、やっぱりあの青い結晶は、あの人の竜石だったんだ!」
「すごいじゃない、ルフレ!」



砕けた氷から一人のアイスブルーの髪のロングヘア、白いドレスを纏う女性のミラージュ・・・・ニニアンが現れ、
エリウッドはニニアンを抱きかかえた。




「ニニアン・・・・・」
「エリ・・・・ウッド・・・・!!」

エリウッドとニニアンは抱き合ったまま、お互いを見つめ合い、地上へと近づく。
そこへ、下半身がバイクのような形をした馬がエリウッドとニニアンを受け止め、魔理沙たちの元へ運んだ。





「ひやひやしたぞ、エリウッド。ようやってくれた!」

サナキはエリウッドを褒めるが、そこへレナが

「今はお二人だけにして差し上げましょう・・・・」
「む、なぜじゃ?」
「あんたも大人になって恋をしたらわかるわよ。
「な、なんなのじゃ・・・・?」

レナとアリスの気遣いに目をぱちくりさせるサナキ。


「よっしゃ、ここはなんとか解決したな、マリク・・・・紅魔館に戻ろうぜ、ヤバい感じがする。」
「そうだねマリサ。」

魔理沙は紅魔館側の空を見ながら少し慌てていた。

「魔理沙、お前のおかげで助かったよ。ありがとう。」

妹紅は魔理沙に握手を求める。

「おう!・・・・てあれ、お前は一緒に来ねえの?」
「私は里の事があるからな、先に行っていてくれ!」
「・・・・・俺もモコウに協力する。」

妹紅とジョルジュの言葉に、親指を立てて、

「ああ、任せろ!」
「あとの事はお願いするよ、モコウ、ジョルジュ。」


魔理沙はカルネージ・フォームで変身し、
風の魔法を足元から出して、紅魔館へと飛んで行った。



「しかし、嫌な予感がするのう・・・・」
「嫌な予感?」

サナキが魔理沙の飛んでいく様子を見ながら口にした

「いや、どす黒い力がどんどん膨れ上がってるのじゃ。
 肌でもピリピリ感じるほどにの。」
「・・・・・何も起きないとよいのですが。」
「うむ。」

サナキとレナは再び、空を見上げた。


「神竜ナーガよ、どうか7人の英雄たちを、お守りください・・・・・。」

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.85 )
日時: 2017/07/25 20:20
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第42話 人とミラージュのキズナ


「オラァ!!」

リュートは斧で黒出を狙う。

「「長盾!!」」

天子は大きな盾で防ぎきる。

「・・・くっ、ちょこざいな!」
「黒出!」

「でありゃあああああああああっ!!」

天子の掛け声で黒出はリュートに一撃を入れる。
鎧が砕けてゼフィールと思しきミラージュが姿を現した。

「お、おのれぃ・・・・」
「畜生、まだ・・・・」
「あんたたち、覚悟はいいわね!?」

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

リュートは息切れをしてその場で動けずにいて、
ゼフィールは光となって足元から消えてしまった。

「ミラージュの世界に戻ったか・・・・天子、あとは俺一人で十分だ。
 お前は紅魔館に行け。」

ガルドが姿を現し、黒出が天子に紅魔館側の空を指さして言った。

「クロデだけで、大丈夫・・・・・・?」
「ミラージュの力なしじゃ人間も妖怪も神だって敵わないぞ!」

エルフィの心配に、ガルドが答える。
天子は安心して、

「じゃあ、あとは頼んだわよ!」
「・・・・・。」
「おう、任せとけ!」

黒出の代わりにガルドが答え、
天子はエルフィを連れて紅魔館へと走り去った。



「・・・・!ギムレーが動き出したか・・・・」

黒出は何かに気づき、紅魔館側の空を見上げた。

「クロデ、レイムたちは・・・・」
「今はあいつらを信じるしかない・・・・・・」

















「くらえぇぇっ!!!」

霊夢はセイントを切り上げ、吹き飛ばした。

「こ、このわた・・・・」

セイントは飛ばされた場所で気絶した。


「レイム!」
「うえぇぇぇん、おねえちゃん・・・・ぶじでよかったぁぁぁぁぁ〜!!!」

チキと幼女が霊夢たちの元へ近づいた。
カムイが元に戻り、幼女を抱き上げる。

「おにいちゃんも、よかったよぉぉぉ〜・・・・」
「キミ・・・・マムクート?でもこんな女の子まで戦闘に出ないといけないなんて・・・」
「ねえねえ、ロイおにいちゃんは?」
「ロイ?」

幼女の言葉にチキが質問する。

「うん、ファ、ロイおにいちゃんといっしょにこっちにきたの」

ファは、うなずいてチキを見上げる。

「レイム、カムイ、あなた達は紅魔館へ。ファは私が責任もって保護者を探すわ。」

「・・・・・・そうね、すごい力が紅魔館側から肌で感じる。」
「うん、じゃあお願いします!」

カムイの言葉にチキが頷くと、霊夢とカムイはカルネージ・フォームで変身し、足元に水を生み出して紅魔館へとジャンプした。


















「コ・・・・コノ、我ガ・・・・・」

ハイドラはそう言い残すと倒れて、頭から光となって消えた。

「ハ、ハイドラ!」
「観念なさい、インテ!」

幽々子はその場に座り込んだインテに封印の剣となったロイを向ける。

「ま・・・・まだよ!ソウジ!!」

インテはソウジの名を呼ぶが・・・・

「侍ヤローは俺たちで片づけたぞ」
「年貢の収め時ですよ!」

妖夢とレイはふたりがかりでソウジを縄に縛り付けていた。
ソウジの後頭部にたんこぶができていることから、
レイか妖夢が一発殴りつけたのだろう。

「・・・・・くっ・・・・・エアブレード!!」

リンテは抵抗とばかりに風を生み出し、幽々子に当てるが、
打ち消されてしまった。

「ミラージュはミラージュでしか倒すことはできないわよ。
 ・・・・・クロノスはそんなことも教えてくれなかったかしら?」

幽々子は笑顔でインテを見る。
謎の迫力がある笑顔で、インテは目が点になり、ガクガクと震えた。

「観念したわね。妖夢、この子もきつーいお仕置きをするから、ソウジちゃんと一緒の蔵に閉じ込めておきなさい。」
「ハイ、幽々子さま!」
「あのユユコってやつ、絶対逆らわない方がいいな・・・・」

レイはぼそっとつぶやいた。


「さて、ご苦労だったわね、エレンに早苗。お茶を入れて・・・・といいたいところだけど、それどころでもなさそうね。
 あの紫が苦戦しているようだし・・・・」

幽々子は紅魔館側の空を見ながら言う。

「紫さんが!?」
「早苗、早くいこう!!カチュアっ!!」
「はいっ!!」

エレンはカチュアにペガサスの馬車を出させ、早苗を引っ張り、乗り込む。

「幽々子!ありがとう、またお礼にクッキーもってくるね!!」
「まあ、楽しみにしてるわ〜」

幽々子は手を振ってエレンと早苗を見送った。

「さて、と。幻想郷は今日で終わってしまうのか・・・・
 それとも、新たな英雄譚が生まれるのか・・・・
 お茶でも飲んで見物させてもらいましょう、ロイ。」
「いいのかい?手伝わなくて・・・・」
「いいのよ、私には力はない。」

ロイの言葉に首を振って幽々子は白玉楼の中へと入っていった。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.86 )
日時: 2017/07/26 21:42
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第43話 ひとりぼっち


「いくぞ、流星!!」

影狼は弓を連続で引いて、矢を大量に発射した。
発射された矢はオーバーとヴェロニカの動きを封じ込める。

「くっ・・・・!」
「・・・・・アイスブレード!」

ヴェロニカは氷の刃を影狼にぶつけたが、
持ち前の体力でひらりと避ける影狼。

「クソッ、ちょこまかと・・・・」

「お姉ちゃん!頑張れ!!」
「頑張ってください、カゲロウ、サトリ!」

こいしとシャロンは、影狼とさとりを応援していた。
すると、不思議と力が沸く影狼とさとり。

「アルフォンス、合わせましょう!」
「ああ!」

「「太陽!」」

さとりはアルフォンスを振り上げて、一回転で縦斬、もう一回転で横切りをグラルに決めた。
グラルの羽織るローブが斬れて、上半身裸になってしまった。

「な、なんだよ!クソッ、術師相手に近接は卑怯だろ!」
「すみません、これは戦です。卑怯とか意味わかりません。」
「ははは・・・・」

グラルのツッコミに冷静に答え、剣を振り上げる腕を止めないさとり。

「術を唱える暇が・・・・」

ブルーノはつぶやいて、逆転の期を窺っているが、
さとりは、隙を与えない。


オーバーはそれに気づいてグラルを助けようとするが、
影狼はその隙すら見逃さなかった。

「砕火!!」

影狼は、炎を纏った矢をオーバーの足元に放つと、
炎の壁に阻まれて身動きできなくなってしまった。

「火・・・・!やだ、おかあさま!!」

ヴェロニカはカルネージから元の姿に戻り、その場にうずくまって震えていた。

「お、おい、何やっているんだヴェロニカ!」

「・・・・・!ヴェロニカ!!」

ブルーノはヴェロニカの様子に気づき、
元の姿に戻ってヴェロニカの元へ近づいた。

「・・・・くっ、ヴェロニカ!!」

ブルーノは、ヴェロニカに近づき、ヴェロニカを抱き寄せて炎の壁から出てきて
ヴェロニカを守るように丸くなった。

「お、お前、何やってるんだ!?」
「カゲロウ、待って!様子がおかしいよ!」

追撃をしようとする影狼をゴードンが止めた。


ヴェロニカは元に戻り、ブルーノと見つめ合っていた。
ヴェロニカは涙でぬれた顔でブルーノに抱きつく。

「あついの、やだ・・・・こわい・・・・・」
「怖かったな、ヴェロニカ、もう大丈夫だ。」
「おかあさま・・・・おかあさま・・・・・」

ヴェロニカは泣きながら母を呼んでいた。

「大丈夫、大丈夫だヴェロニカ。」
「ひぐ・・・・ぐすっ・・・・・」

ブルーノは優しくヴェロニカを抱き、頭をなでる。



「・・・・アルフォンス、ここは和解の交渉をしてみませんか。
 オーバーとグラルに協力さえしなければ、あとはこちらでなんとかできますし。」
「・・・・・そうだね。ねえ、ヴェロニカにブルーノ。」

アルフォンスはヴェロニカとブルーノに近づく。

「・・・・なんだ」
「取引をしないか、簡単だ。君たちが従うギムレーという存在と縁を切ってほしい。」
「・・・・ギムレーをうらぎる?」

アルフォンスは要求を述べて、ヴェロニカが涙を拭いてアルフォンスを見る。

「いいや、他のミラージュたちを攻撃しないというのが僕らの要求だ。」
「で、そちらは何を差し出すというのだ」

ブルーノはアルフォンスを睨んだ。
アルフォンスの代わりにシャロンが出てきて、

「こっちは金輪際あなた達を攻撃しない!ってのはどうでしょうか?」
「・・・・・わたしたちにたたかうなっていうの?」
「そういうことだね、僕らも君たちを傷つけたくない。」

ヴェロニカの言葉に優しい顔つきでうなづくアルフォンス。

「・・・・・。」

二人は黙り込む。


その間に影狼とゴードンはオーバーとグラルを拘束していた。


「てめ、何しやがる!」
「そりゃこっちの台詞だ、あんな小さな子供まで戦いに巻き込んで!!」
「ギムレーが渡して来たん・・・・あがっ」

ゴードンは右腕でオーバーとグラルの頭を思いっきり殴って気絶させた。


そして、沈黙の後、ブルーノは

「いいだろう、我々もお互いを傷つけあうのはもうごめんだ。」
「・・・・・うん、しずかなところでブルーノとくらしたい。」

ヴェロニカと共に同意した。


「交渉成立ですねっ!」

シャロンは笑顔でブルーノの手を取った。




「影狼、あとは私たちに任せて、他の皆さんの元へ。」
「ん、もういいのか?」
「はい、なんとかこの場は収まりましたし、元々無理やり戦っていたというカンジの方々でしたから。
 それに・・・・」

さとりは、地上への道を見ながら、

「地上では何かとんでもない力が膨れ上がっています。手遅れにならないうちに。」

と影狼に囁いた。


「わかった、じゃあ頼んだぞ、二人とも!いくぞゴードン!」
「うん!」

「またねー!」

影狼とゴードンは走り去って、こいしが見送った。

Re: 東方異聞録♯TH 【オリキャラ募集中】 ( No.87 )
日時: 2017/07/27 00:39
名前: ミヅキ (ID: RSw5RuTO)

第44話 親友



キィン キンッ ガァンッ

「しぶといですね・・・・!!」
「そっちも・・・・ね!!」

剣と斧をぶつけ合うメイリンと夢月。
お互い引けを取らず、激しく戦っていた。

「あなた・・・・、もしかしてヴィガルド様!?・・・なぜ!?」

エイリークは斧にカルネージ化しているミラージュに気づいて驚く。
しかし

「このミラージュ、ヴィガルドと申しますのね、
 リオンが使っていいといっていたので、てっきり使い捨てのミラージュかと思いましたわ。」

「・・・・使い捨てのミラージュなんて存在しません!!」

エイリークが叫んだ。








「おい、リオン!目を覚ませ!!
 俺たちは親友のはずだろう!昔のように・・・・」
「黙れェ!!その口で僕の名を呼ぶなァァァーッ!!!」

必死の攻防戦の最中、エフラムはリオンの名前を呼ぶが、
リオンは拒絶していた。

「そういや、あなたも悪魔なの?奇遇ね、私もなのよ♪」
「へーそうなんだ!幻月ちゃんとは仲良くなれそうだねっ♪」

幻月とリントはなぜか波長が合い、
お互い楽しんでいた。

「ま、同じ悪魔として・・・・死んでくれや」
「それはこっちの台詞♪」

そして二人は急に悪魔のような黒い笑顔になり、
ますます武器のぶつけ合いが激しくなる。






「姉さ〜ん、私の分も残しておいてくださ〜い。」

夢月は幻月の様子に気づき、声をかける。

「え、「私の分」??」

メイリンは少し青ざめた顔をする。

「あら、気づかなかったのかしら?」

メイリンにどす黒い笑顔で語り掛ける幽香。


「この二人、かつては博麗霊夢と弾幕ナシで殺し合った強者よ。
 私もだけど。」



「隙ありです!」

メイリンがひるんでいる隙に、
夢月はメイリンの腹に剣の柄を思いっきりぶつけた。

「ごふぁっ!?」

メイリンはあまりの衝撃にその場に倒れて気絶した。
その時離した斧は分厚い鎧をまとう高貴なミラージュへと戻ったが、
光になって消えてしまった。

「あれ、大して傷もつけていないのに・・・!?」
「きっと、元から力尽きる寸前だったのでしょう、この戦いで・・・・」
「なるほど、えげつないやり方ね。」

夢月は、青い紐を取り出してメイリンを縛り付けた。

「まあ、でも悪魔の力ですら打ち消すのがミラージュですよ。」
「ミラージュ様様です、姉さんを助けましょう!」

夢月はリントの元へと駆け出した。




「リオン、目を覚ませ!お前はそんな奴じゃないだろう!!」
「エフラムに・・・・エフラムに僕の何がわかるんだ!!」

エフラムはリオンに語り掛け続けるが、聞く耳持たないリオン。

「リオン、あなたってサイテーね!」

幻月はリオンに叫んだ。

「なに・・・・・?」
「こんなにも思ってくれる友達がいるのに、それを拒絶しちゃって。
 それで今度は強い人の威を借りて友達を傷つけるなんてホントサイテー!!」

幻月の言葉に激昂したリオン

「お前に・・・・何がわかるというんだ!!」
「わかんないわよ、あなたの優柔不断な気持ちなんて!
 でもわかるわよ、エフラムとエイリークが親友以上の気持ちであなたを想ってることくらい!」
「・・・・・っ」

リオンは黙り込む。

「リオン!まだ戦いは終わってないよ!?」

リントはリオンに叫ぶ。
しかし、リオンは考え込んで、戦意を喪失していた。
だが

「だがエフラム・・・・僕はもう戻れないところまできてしまっているんだ。
 ギムレーに加担したその日から・・・・
 人の弱さを知らぬ、強く完全なる王・・・・・
 僕はそうあり続けるしか道はないんだ!!」

再びリオンはエフラムに牙を向けた。

「あははっ、そうこなくっちゃ♪」

リントは大鎌で幻月を両断しようと振り上げた。




「僕は、エフラムを殺して、進み続ける!」
「バイバーイ、幻月!」

「リオン・・・・お前は・・・・!!」

そして、リントは大鎌を振り下ろした。









「リオン!やめてください!!」

幻月の前に夢月が現れ、大鎌を受け止めた。

「姉さん、もしかして苦戦してました?」
「ナイスタイミング、あやうく右半分とお別れするところだったわ!」

夢月の問いかけに余裕を見せながら親指を立てる幻月。


「メイリンは!?」
「あの方でしたら、幽香さんに任せています。
 あなたは危ない存在っぽいので、私たちで処理させていただきまーす!」

「うぐぐ、2対1なんて卑怯だよ!」
「悪魔は卑怯でなんぼの生き物でしょ、覚悟!」

「リオン、もうやめてください!!」
「うるさい、僕は君たちを超えなきゃ・・・・超えなきゃ・・・・」
「・・・・・。」


幻月と夢月、リントは互いをにらみ合い、再び戦いの火ぶたは切って落とされた。







「リント、このままでは埒が明かない・・・魔導書を使おう。」

「・・・・あれだね!」

リオンはリントに声をかけ、大鎌が闇に包まれて、魔導書へと変化した。

「おおう!?」
「これは!?」

幻月と夢月は驚き、エフラムとエイリークがはっと気づいた。

「アレは・・・・・!」
「伏せてお二方!!!」

幻月と夢月はその場に伏せると、
二人の頭上を、ものすごいスピードで闇の塊が飛んで行ってしまった。


「な、なんだあれ・・・・」
「あれは、闇魔法ナグルファル。あれに当たれば大ダメージです。
 ですが、使用者とミラージュのパフォーマをかなり消費するため、リオンのように体が弱ければ、
 数回しか使えません・・・・。」

幻月の誰にかけるでもない質問にエイリークが答える。

「ヤバいですね!」

夢月が楽しそうに言う。

「だが俺たちも負けられない・・・・そうだろう!?」

エフラムは叫んだ。


「リオン、終わりにしよう、これ以上の戦闘には意味はない!」
「うるさいエフラム・・・・僕は進み続けなければ・・・・!!」
「ですがリオン、もうあなたはその魔法を使うだけでも・・・・」
「うるさいっていってるだろ!!」

兄妹の言葉に耳を傾けないリオン。

「はーい、じゃあやっちゃうよ〜!」

リントは天に向かって人差し指を振り上げ、
再びナグルファルを唱えて発射した。

「せいっ!月光!!」

夢月は素早くリントの間合いを詰め、リントを斬りつける。

「ま、まだ!」
「遅いっ!!」

幻月もリントが怯んでいる隙に槍でリントのカルネージ・フォームを砕いて
強制的に元に戻した。

「か、カルネージ・フォームが!」
「ぐあっ!!」

リオンも元に戻り、その場に転がって倒れた。

「勝負あり!ホラ、エフラム、エイリーク!」
「さーて、どうしてくれましょうかねぇ、ゆうかちゃんを傷つけた罪は重いよぉぉ?」
「ふ、ふえぇ・・・・うえぇぇぇぇん!!」
「泣いたからって許さないからねぇん♪」

幻月と夢月はリントを囲って悪魔のようなどす黒い笑顔で見下ろしていた。
リントはこの後自分に何が起こるかを予想してしまい、大泣きしてしまった。


一方、エフラムとエイリークは、倒れたリオンの介抱をしていた。


「リオン、もうあんな無茶しないでくれ・・・・それに俺たちはずっと親友だろう。」
「そうですよ・・・・リオンは優しい人で、いつも誰かの事を想う人です。」

「エフラム、エイリーク・・・・」

リオンは、二人の差し出す手を握ろうとしたが




「エフラム、エイリーク・・・・もう僕は・・・・・」
「リオン!」「嫌ですリオン!!」

光となって消えかかるリオンに抱き着くエイリーク。
その顔は涙を流していた。
エフラムもリオンの手を握った。

しかし、リオンは足元から光となって消えていく。


「エイリーク、最後に僕は・・・・・」
「なんですか、リオン?」












「僕は、君の事がす・・・・・」


リオンはそこで消えてしまった。



後には、その場でリオンのいた場所を涙を流しながら見つめるエイリークと、
顔に影を落として悔しそうにこぶしを握るエフラムの姿だけが残っていた。

















—————あ・・・・きみたちは?

「俺はエフラム、こっちはエイリークだ。」
「はじめまして。」

——————ぼ、僕はリオン。

「リオンか、よろしくな!」
「リオン、よろしくお願いします!」

—————うん。

「よし、早速遊ぼうよリオン!」
「もう、兄上ってば、リオンが戸惑ってますよ!」

—————ううん、いいよ。僕、友達いなくって・・・・。

「よし、じゃあ俺たちがお前の友達になってやる!」


—————ホント?

「嫌か?」
「ごめんなさい、兄上はいつも人を引っ張りまわすのです」
「そんなことはないぞ!」


———————あははっ

「わ、笑ったな!」

—————ごめん。

「うふふっ、でもリオン・・・・あなたは笑った方がいいですよ。」
「そうだ、いっつも泣きっ面じゃお先真っ暗だぞ!」







—————あの、さ・・・・・エフラム、エイリーク。

「どうした、リオン」

—————また・・・・遊んでくれる?

「おう、当然だろ!」
「明日も明後日も、これからもずっとずっと・・・・
 

 私たちは "親友"ですよ!」




————————ありがとう。

——————————こ、これからも、よろしくね!








「僕は・・・・最後まで一人ぼっちじゃなかったんだなぁ」

リオンはそうつぶやくと、消滅してしまった。