二次創作小説(紙ほか)
- Re: ただ喪っただけ。【東方project】 ( No.3 )
- 日時: 2017/06/28 22:19
- 名前: つくも (ID: VKUUDnij)
1.いつもの二人、奇妙な日常。
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昔々ながらの、年代を、歴史を感じさせる遺産物。
その傍らにはつい最近出来た、最新の且つ最先端でコンパクトな建物。
古びているが何処か落ち着く様な色みを抑えた、古代に造られた世界観と最近なまでに造られた無機質的な世界観が、ごちゃごちゃに混じっている。
空は昨日より鮮やかさを失い、機械的だとも感じた。
道往く人々は暗い雰囲気の佇まいで、人生に疲れきった様な表情を魅せている。
——此処は京都。
私達、秘封倶楽部はポピュラーからマイナーまで、様々なオカルト・不思議を探し求めている。
例により、私達は京都へと足を運んでいたのである。
......にしても、噂には聞いていたがこれ程までに時空が入り組んでいると、何が何だか分からない。
「...ああ、メリー?何処に在るか分かる?」
「分かる訳無いでしょ」
京都の風景に見呆けてても駄目だ。
現在、私の隣に同じように立ち尽くしている倶楽部仲間——マエリベリー・ハーン、通称メリーに声を掛ける。
私のいつもの問いを聞けば、彼女は呆れを通り越した薄ら笑いの笑みで“いつも通り”の言葉を返した。
此処まではテンプレ。いつも通り、他で表せば日常って奴だ。
次のメリーの返答次第で宛先が変わる。新しい情報を引き出す事が出来るかどうか、に掛かっている。
メリーの僅かに上がった口角に気付き、私も静かに口角を同じように上げる。
少しながらに、徐々に気分が高まっていくのが分かった。私も彼女も。
「...でも、博麗神社ってのが有るらしいから其処に在るのかも......」
.........ふぅん、博麗神社。
聞いたこともないその名前は、不思議とあたたかく懐かしいものを感じた。
又メリーの曖昧にする語尾と言うことは、御得意のあの夢の中に存在する境界って事なのだろう。
異世界であっても、別の世界にそれが存在する事が有るらしいから、そのパターンなんだろうな。
...だとしたら、我々はその異世界へと足を踏み入れる事となるのだろうか。否、それも面白いから良いが。
そう思いながら、長年も使い古したスマートフォンを取り出して「はくれいじんじゃ」と検索してみる。
不思議な事に、ヒット数は幾ら調べ直してみても0、すなわち情報が無かった。