二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【宝石の国】パパラチアサファイアの弟 ( No.4 )
- 日時: 2018/01/25 21:09
- 名前: わよーん (ID: E9wFY3OE)
第4話「後輩」
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「んっ......はーっ」
固い場所で寝た為か、少し怠さを感じつつ伸びをした。随分懐かしい夢を見ていた気がする。二百年ほど前だろうか、私が彼を緒の浜で見つけたのは。
「おはようございます。ルチル。」
そうだ、あの時も誰かが起こしに来てくれた。
振り返ると、オレンジ色の髪を煌めかせ、笑顔を見せる彼が居た。
「...おはようございます。オレンジ。」
オレンジサファイア、彼は今年で二百歳になっていた。
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日の当たる廊下を歩きながら、オレンジに訊ねる。
「わざわざありがとうございます。体調はどうですか?」
何故そんなことを訊くのかといった顔で、オレンジが答える。
「はい、良好です。」
「そうですか、それは良かった....。」
あれから二百年。当時持っていた恐ろしい考えは、都合良く、とうに私の頭から消えていた。
彼はとても賢く誠実な宝石で、若くして戦闘と補佐の仕事を掛け持ちしている。補佐というのは私の医務の仕事の補佐で、かなり前から忙しすぎるとぼやいていたのを、先生が任命して下さった。彼はとても優秀で仕事が速く、私としてはとても助かっている。
そのおかげで、以前よりパパラチアの改造に時間を割けるようになった。
彼はだいたいが医務や書類整理の仕事をしているが、先生がお昼寝....ではなく瞑想をしている時には強い戦力として戦闘に駆り出されている。
彼は戦闘のセンスも良く、その腕前はあのボルツも認めるほどだ。
「今日はどちらですか?」
これは毎朝訊くことで、最早主語は無くなっている。
「今日は見回りに入ると思います。この前大型の月人と戦われてから、先生、とても眠たそうにしているので。」
確かに、最近先生は少し動きが遅い。疲れていらっしゃるのかもしれない。早ければ午前中からお昼寝タイムに入るだろう。
「オレンジは良く見ていますね。さすがの観察眼です。」
そう褒めると、オレンジは
「いえ!俺...わ、私はまだまだです!」
と答えた。
「それ、まだ続けてるんですか?」
最近、オレンジは自分のことを俺ではなく私と言い始めた。何故かと訊くと、
「俺の憧れなんです!先生も、ジェードも....それに勿論ルチルもですよ!」
と少し照れくさそうにしていた。どうやら、先生や私の一人称を真似しているらしい。
「全く...貴方はそういう所で子供っぽいですね。」
「ええっ、そうですか?」
「貴方は、貴方なんですから。誰かの真似をする必要はないんですよ。」
と、少し先輩風を吹かしてみる。
こんなことを言っておきながら、私もあまり良いことは考えていない。
「(パパラチアに似ている貴方が、私と言っているのは違和感ありますし。)」
オレンジサファイアはパパラチアと同じ硬度九。今日も元気そうだ。
パパラチアは、あれから一度も目覚めていない。
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ここで主人公プロフィール。
オレンジサファイア
硬度9 靱性8
濃い夕焼け色のボリューミーな髪を頭の後ろで纏めている。硬度が高い為、他の宝石を傷つけないように手に黒い手袋を着けている。仕事はルチルの補佐と戦闘。ボルツの次の次くらいに強い。一人称は俺。年上には敬語で、年下にはフレンドリーに話す。オレンジサファイアとはコランダムの中のサファイアで、オレンジ色のものを指す。オレンジ〜桃色、濃い赤色のサファイアをパパラチアサファイアという。