二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【宝石の国】パパラチアサファイアの弟 ( No.5 )
- 日時: 2018/01/28 18:24
- 名前: わよーん (ID: E9wFY3OE)
第5話「似ている」
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「ふああ...」
目が覚めて窓の外を見ると、まだ空は薄暗く、静かだった。
「眠いい....」
この時間は光が薄く、起きているだけで辛い。しかし、ルチルを起こさなければ.....
「はっ!いけない。寝てた...」
危ない危ないと首を振りながら外を見ると、何故か明るくなっていた。
「え、あっれ〜?なんでえ...」
寝坊した。不味い。いつもより明らかに起きるのが遅い。こんなことでは、ジェードやルチルに顔向け出来ない...!
そう思い、急いで寝間着を脱ぎ、制服に腕を通す。剣を腰に着け、髪を縛った。
「良しっ、今日も『優秀なオレンジ』だ。」
こんなことを呟いているのは、決して俺が恥ずかしいナルシスト野郎だからではない。
急いでルチルの部屋に向かうと、彼は机に突っ伏して寝ており、目を開いた後腕を上げ伸びをしていた。
「おはようございます。ルチル。」
ただ、皆に俺を俺として見てほしいからだ。
「...おはようございます。」
『パパラチア』
「オレンジ。」
一瞬、自分のものではない名前で呼ばれた気がして、少しゾッとした。
しかし、平静を装ってわざとらしく微笑んだ。
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ルチルと別れ、朝礼に向かうと、皆が声を掛けてくれた。
「おはようオレンジ!」
「おはようオレンジ。今日はちょっと遅かったわね。」
「ごめんなさい。ちょっと二度寝してしまって...。」
「へえ、あんたも二度寝なんてするんだね...同じ宝石の子だと分かって少し安心したわ。」
「こら、アレキ!お前はオレンジを見習え!」
眠たそうな顔をしたアレキ先輩がジェードに叱られていた。
「アレキ先輩は昨日も徹夜だったんですね....」
「ん、ちょっとね。ほら、最近でた月人居たじゃない?あれの器が....」
「こら、アレキちゃん。今は月人の話やめような。」
「もう、アレキちゃんはやめてって言ってるじゃない!クリソベリル!」
皆口々に好きな話題について話しているが、それも部屋の奥から出てきた金剛先生の言葉で終わった。
「仲が良いのは良いことだが、そろそろ朝礼を始めなさい。」
「「「「「「先生!」」」」」」
「珍しいですね。先生がこの時間に起きていらっしゃるなんて。」
そう言ってから、口を滑らせた事に気付く。
「ごめんね(´・ω・`)」
「先生!落ち込まないで!」
やってしまった....と今度は私が落ち込んでいると、頭にゴーンという衝撃が響いた。
「うわ、」
突然の事にびっくりしていて振り向くと、拳を握ったジェードが立っていた。
「酷いですよ、ジェード....。」
痛くはないが、頭の中に鐘のような音が響くのは不快だ。
「なんでオレンジが落ち込んでるんだ?」
「だって、先生の痛い所を突いてしまいました...。」
「それ、自分で言うなよ...。」
ジェードは飽きれた顔でやれやれと首を振っている。
「若い頃は皆そんなもんだよ。ルチルなんてもっと酷かった....先生にあんなことやこんなこと」
最後まで言いきる前に、ジェードは誰かに肩を掴まれた。
「私がなんですって?」
「ル、ルチル!?」
どうやらいつの間にか朝礼に来ていたようだ。
「はあ、それで、私がなんなんですか?」
「私は別に何も言ってな....」
次の瞬間、ルチルが何故か持っていた金槌でジェードを殴った。
「ひっ」
キイイインと耳の痛くなる音が響く。
俺はついにルチルがおかしくなったかと思ったがどうやらそうではないらしい。
「百年に一度の靱性テストです。」
そう言いながらもう一度ジェードを殴った。
「それ前も言ってなかったか!?」
「いえ、今度は本当ですっ!」
「『今度は』って、前のはなんだったんだよ!」
「個人的な恨みですー!」
今日も学校は平和です。