二次創作小説(紙ほか)

Re: 【宝石の国】パパラチアサファイアの弟 ( No.7 )
日時: 2018/02/08 19:22
名前: わよーん (ID: E9wFY3OE)

第7話「襲来」


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「よし、次はおしろいだな。」

カチリ。と音を立てて最後の欠片を嵌めた。

「オレンジ、早く!はーやーくー!」

目の前で怒っているのはフォスフォフィライト。もうすっかり小生意気な口をきくようになった。どうやら、モルガとゴーシェと遊んでいて足をぶつけてしまったらしく、不貞腐れた顔で俺の所にやって来た。

「一体どんな遊びをしたんだ...」

おしろいを塗りながら、フォスを連れてきてくれた二人に聞く。

「いやー、わりぃわりぃ。こいつが『戦いごっこする!』なんて言うもんだからさあ。」

フォスが....やはり、まだ子供っぽいところもあるようだ。
たははと笑うモルガナイトに、少し厳しく言う。

「何度も言うようだけど、フォスは硬度三半なんだぞ!一緒に遊ぶなら気をつけてくれよ。」

「わーってるよ九のお方!さ、フォス!続きするか!」

「な、待て!フォスはまだ糊の接着が甘いから_...」

最後まで言い終わる前に、部屋にジェードが入って来た。

「オレンジ、モルガ達知らないか?...ってここに居たのか。先生が瞑想されるから、お昼寝シフトで出られるか聞きに来たんだが、どこか治したばかりならやめとけ。」

「あ、違うよジェード。割れたのは僕等じゃなくてフォス。だから出られるよ。オレンジはどうする?」

と、ゴーシェがこちらに話を振った。

「ああ、俺も出るよ。今はルチルも居るし。」

そう、先ほどから全く会話に混ざっていないが、ルチルはこの部屋に居る。くくく..どこだか見つけられるかな?

「あー!ルチル居たよ!」

どうやら見つけたのはフォスみたいだ。

「そうだよ。ルチルはちょっと昼寝してるんだ。」

フォスが指差した方向を見ると、日に当たりながら気持ち良さそうにルチルが寝ていた。

「まあ、そういうわけだから。俺も行ける。一緒に出るか?」

「えー、戦いごっこの続きは?」

「フォス、俺達はこれから本当の戦いをしにいくんだよ。だから学校で待っててくれ。な?」

そうたしなめると、

「んー、わかった...。」

フォスはすぐ了承してくれた。やっぱり成長している。前まではこちらが要求を飲むまでずっと駄々をこねていたのに。

「よし、偉いぞフォス。」

そう言って俺達は外に出た。この日、大切なものを失うとも知らずに....。

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「オレンジ。」

「わっ」

突然声を掛けられ、間抜けな声を出す。そうだ。先生お昼寝シフトでは、普段学校の中で仕事をしてる奴も外に出ているんだった。

「ゴースト。」

「こんにちは。なんだか久し振りね。君はいつも忙しそうだから...」

ゴーストクオーツ。彼は普段は図書室の整理をしている。とても影が薄く、話しかけられるまで気づかないので、毎回こんな反応になってしまう。

「そうだな。ところでラピスは?今日は一緒じゃないのか?」

「ああ、ラピスなら_...」

「つかまーえたっ」

「えっ」

突然視界が暗くなり、焦っていると目を塞いでいた手が退いた。

「どうかな?こんな感じ?コツ掴めたと思うんだけど。」

青い光が目に入り、犯人がわかった。

「ラピス、何してるんですか?」

私に悪戯した張本人は、髪を後ろに流しながらクスクスと笑った。

「ふふ、ゴーストに気配を薄くする方法を教えてもらってたんだ。試してみようと思って。」

「はあ....」

そうだ。彼はこういう宝石だ。知識に貪欲で、自分で良く考え、次々と新しい知識を取り込もうとする。そのせいで、戦っている最中に考え事をしてしまい、いつも危ない目にあっている。

(その後も、しばらく談笑をした。三人で。


だから気づかなかった。三人もいたのに。


いや、三人だからこそだ。ゴーストとラピス・ラズリだけだったら、こんなに話すことはなかっただろう。会話に夢中になり、反応が遅れることもなかったはずだ。


俺が居たからだ。俺のせいで、彼は。)





「っーー!ラピス!」

俺が気づいた時には、月人の矢は放たれていた。いつの間にか空に現れた黒点は、たくさんの月人が乗った器に変わっていた。

剣を抜いていては間に合わない。そう判断した俺は、左腕をラピスの顔の前に差し出した。

ガキィッッと嫌な音がして、矢は俺の左腕に当たった。不幸中の幸い。腕は完全に折れることはなく、あと一回衝撃が当たったら折れる、というところでなんとか繋がってくれていた。

「オレンジ!ごめん、反応が遅れた。」

そうラピスに謝られた。

「大丈夫です!それより_...」




俺達は、しっかりと手に得物を持ち、月人の方を向いた。誰の欠片も渡さない為に。