二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.14 )
日時: 2018/04/01 12:35
名前: テール (ID: xV3zxjLd)

複数の足音が城下町を駆け抜け、
その先にある港町までたどり着く。


「よし!船はまだ行っていないようです、陛下!」

頭上から声が響く。

青色の鱗の飛竜に乗る、青髪の青年がこちらに向かって叫んでいたのだ。
青年は青い髪を赤い髪留めでまとめ、左肩に垂らしている。
灰色のマントを羽織り、銀色の鎧を着込んだ騎士であった。
青年の叫びに呼応するように、飛竜が唸る。


「ラーマ、山賊などは見えませんか!?」

緑髪のショートヘアがなびく少年・・・・
テオドールが、ラーマに向かって叫んだ。

テオドールは、緑の髪の短髪で、後頭部から触覚のような2本のおさげを垂らしている。
緑のマフラー、緑の服装、左胸に白銀の胸当てと、少し地味なものであった。

「いえ、船員以外は見当たりません、安全です!」
「ありがとうございます!
 ・・・皆さん、あともう少しです、このまま走り切りましょう!」

テオドールは軍に向かって叫ぶ。
黄土色の髪を後頭部に縛って下げた女騎士は、
テオドールに応えるように叫んだ。

女騎士は、髪と同じく黄土色のマント、身体の割にかなり大きな斧を背負う姿である。

「みんな!殿下に続けー!!」








港には、今日最後の船が待機していた。
おそらく、テオドール一行を待っていたのだろう。

「殿下、陛下、ようやくたどり着きましたね。」

黒髪の少年・・・アルトが船を指さしながらテオドールを見る。
ラーマは、上空から敵軍が来ないか、見渡していた。


「テオ・・・それから、ルーネ。」

テオドールと、ピンク色の髪の少女ルーネを見て、
紫色の髪の女性・・・セリカリーズは、言葉を強めた。


「私は、王国に残ります。」


「えっ・・・・ど、どういうことですか、姉上?」
「そ、そうですよお姉さま・・・」

戸惑うテオドールとルーネ。
戸惑う二人を諭すようにセリカは続ける。

「帝国の狙いはおそらく私です。
 この場は私に任せて、あなた達は叔父上の下に行きなさい。」

セリカの言葉に、二人は慌てて反論した。

「で、ですが・・・帝国軍はすぐそこまで迫っています!
 このまま姉上を置いてなどいけません!」
「テオの言う通りです、お姉さま!
 それに・・・お姉さまがご一緒でないと意味がありません!」

「大丈夫よ二人とも・・・
 私もすぐに追いつきます。」
「し、しかし・・・」

「殿下、ルーネ様・・・お言葉ですが。」

アルトは申し訳なさそうに割り込む。

「もう急がねば船が出てしまいます。
 脱出されるのであれば、今しかありません。」
「で、でも・・・でもお姉さまが・・・」

ルーネは泣き出しそうな顔でうつむいた。

「お気持ちはわかります・・・
 しかし、殿下もルーネ様も、レヴィア王国の最後の希望なのです。
 おふたりがいなければ、王国は滅亡してしまうのですよ」

アルトは若干強い口調で二人を諭す。

「・・・・っ!」

テオドールは悔し気に拳を握りしめた。






セリカはにっこりと笑い、二人をそっと抱きしめる。

「あなた達が優しいことは知っています。
 それと同じように、私もあなた達を救いたいのです。」

「・・・姉上・・・」
「お姉さま・・・」



「姉上・・・一つ、約束してください・・・
 必ず、生きて再会する・・・と。」

テオドールは真剣な表情で姉の瞳を見つめた。


「わかったわ、テオドール・・・・
 アルト、ラーマ、エルドゥ!テオドールとルーネをよろしく頼むわね。」

「・・・陛下、承知しました!この命に代えても・・・!」
「陛下、どうかご無事で・・・・!」
「私は殿下の盾になります、陛下!」


セリカの最後の命令に、3人は応えた。







そして、船はテオドール一行を乗せ、ディーテ共和国へと旅立った・・・


















複数・・・いや、軍隊と呼ぶべきであろう足音がセリカに近づく。


「止まれ」

凛とした声に、軍隊の歩みが止まる。
そして、黒い魔道士がセリカの目の前までゆっくりと歩いた。

「突然のご無礼をお許しください、
 セリカリーズ・ルツ・レヴィア国王陛下でございますね?
 帝国で我が主があなたをお待ちですので、ご一緒願います。」

魔道士は一礼をしてから、にやりと笑う。

「陛下!そいつの言う事を聞いてはなりません!」
「お願いです、私たちはどうなってもかまいませんから、陛下だけは!」

後ろで兵士に拘束されているヒスイとコハクがセリカに向かって、
喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
それを見て、二人を抑え込んでいた兵士が殴り、蹴る。

「ヒスイ、コハク!
 ・・・・二人を解放してください、そうしなければ、
 私はついてゆきません!」

魔道士はセリカの主張に少し考えてから、
右腕を軽く挙げた。

「騎士と魔術師を解放しろ、抵抗するならば殺して構わん。」

魔道士の命令に、兵士たちはヒスイとコハクへの暴力を止め、
二人から離れた。

「では、帝国までお連れします、陛下。」

再び魔道士は一礼し、兵士にセリカを連行させた。





「セリカァァァァァーッ!!」
「そんな・・・待ってください!セリカを連れて行かないで!!」


その場に残された二人は、その様子を見て、
空しく叫んだ。











「テオ、ルーネ・・・王国の未来は・・・あなた達に託します・・・・。」