二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.180 )
- 日時: 2018/04/30 21:51
- 名前: テール (ID: AuRKGmQU)
キャラクターエピソード 「憎しみの代償」
「グレンシア兄上!」
紫色の長い髪をなびかせる、金色の瞳の高貴な女性が、
同じく紫色のショートヘアの高貴な男性に
赤い絨毯が敷かれた廊下を小走りで近づいた。
「なんだ「アリス」・・・余に何用か」
「説明してください!・・・・レヴィアの要衝を攻め落とすなど!
レヴィアに宣戦布告をしているようなものではありませんか!」
グレンシアは鼻で笑い、腕を組んでアリスを見下す。
「当然、そのつもりで攻め落としたつもりであるぞ。」
「なぜそのようなことを・・・!」
「貴様には関係あるまい。」
アリスは拳を握りしめる。
「先王の・・・父上の願いをお忘れですか?
父上は大陸に平和を望まれたのです!それを」
「黙れアリス!・・・・これ以上はいくら妹とはいえど、容赦はせぬぞ」
全く話にならず、アリスは怒りを露わにする。
「・・・・兄上、変わられましたね。
昔のあなたはそのような方ではなかったはずです。」
「またその話か・・・」
グレンシアはため息をつく。
そして、振り返って歩き始めた。
「貴様と話していると疲れる。」
「・・・・・。」
アリスは歩き去っていくグレンシアを見つめる。
「まっこと愚兄じゃったよ、我が兄は。」
アリスは書物の頁を開きながらつぶやく。
その部屋には、ロードとアリスがぐーたらしていた。
テーブルにはルカが用意してくれたティーポットと冷め切ったお茶が入ったティーカップが置いてある。
ロードは「ふーん」と一言言って、ソファに寝そべっていた。
「それで?てめえはその愚兄とてめえの姿になんの関係があんだよ」
「うにゃ、わしはあの後のう・・・神竜に対して
「兄上を殺してくれ!」って本気で祈ったり、呪術を使ったりしたんじゃ。」
「・・・そりゃ呪われるわ。」
ロードは呆れて肩をすくめた。
「そういうお前さんはどういった経緯でそんなちんまい姿になったんじゃ?」
「俺は神竜に叛逆したんだよ。
「理不尽な運命ばっかり与えやがって!殺してやる!!」つったら
寿命を引っこ抜かれちまった。」
「神竜への叛逆は「死より重い罪」じゃったんじゃな、覚えたわい。」
アリスはそういうと、用意されていた菓子を頬張る。
「ま、わしも神竜に寿命を引っこ抜かれた上にこんなちんまい姿になっちまって・・・
40年くらい前から姿が変わってねえんじゃわ。」
アリスはため息をつくと、書物の頁を開く。
「わしらは似た者同士じゃな。
共に寿命を奪われ、永遠にこの世界の運命を見届けねばならんくなった」
「・・・・めんどくせえなぁ」
「一生をかけて罪を償わねばならんよ、その一生もいつまで続くかわからんが。」
アリスはティーカップの中身を飲み干して、かーっと息を吐く。
「だからの、この大陸の危機が迫る今・・・
わしらが協力して、レヴィアの王子を導かねばならん。」
「・・・・めんどくせえな」
「面倒じゃが、わしらのやったことはそれだけ重いんじゃよ。」
アリスはそういうと、窓を開ける。
ホコリが舞い、ロードはせき込む。
「さて、そろそろ王子がこの村に来るころじゃな、
お主は手筈通りに頼むぞ。・・・この大陸のために、ファイトじゃ♪」
「はあ・・・しかたねえな。」
ロードは重い腰を上げて、ドアを開いて立ち去って行った。
「わしらに死は訪れん。
だからこそ、大陸の最期の時をこの目で確かめるまで・・・
この大陸に光を照らす者を手助けせねばならんのじゃよ、ロード。」
アリスはそういうと、背伸びをして、あくびをした。