二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.39 )
日時: 2018/02/18 21:34
名前: テール (ID: LAu9zylb)

「・・・ルル、状況を報告しろ。」


白髪の黒い魔道士がルルと呼んだ白いフードで顔を隠した少女に状況を確認する。
ルルは、感情のない声で静かに答えた。

「囚われていた傭兵と錬金術士は、
 順調に騎士団に近づいております。」
「・・・・イアンとアイスは役立ったわけだな。」

「はい・・・・クラウス様、騎士団はいかがいたしましょうか。」

魔道士・・・いや、クラウスはふっと口元を歪めた。

「捨ておけ、そろそろ首都のアッシュと軍にも指示を送らねばならんからな。」
「承知しました。
 バール他山賊団の処遇はいかがいたしましょう?」
「騎士団に任せておけ、こんなところで山賊如きに負けるようなやわな連中ではないだろう。」

「・・・・御意。」

ルルは無表情で答えた。



















鉱山の街レビジュにたどり着いた騎士団の目の前に、
血だらけのフィーを背負うクララが現れた。

「お、お姉ちゃん!?」
「クラルちゃん!お久しぶりだけど今は大変なのよ」

クララは弟の再会を感動する暇もなく、
背負っているフィーをそっと地面に下ろした。

「この人は?」
「わたくしを庇ってくれた傭兵さんよ。」
「お姉ちゃんを・・・」

そこへルーネが倒れているフィーに近づいた。

「杖で応急処置をしてみます。
 テオ、私たちに構わず山賊の制圧を。」
「わかりました、お願いします、ルーネ。」

テオドールは頷いて騎士団に進むように指示した。



「・・・・この傷は・・・・暗黒魔法ですね?」
「ええ、多分「ブラックガイドの書」。」

ルーネは頷いて別の杖を取り出した。

「母なる神竜よ、聖光を号し、再誕願い奉る!」

先ほどの杖の光とは比べ物にならないくらいの眩い光が、
フィーを包んだ。
するとフィーの大きな傷はみるみる塞がっていった。


「あとはこの方次第です・・・」

ルーネは不安を押し殺すような声で言った。
























「おいクラウス、急に出ていくとはどういうこった?」

レビジュの片隅にある洞窟内にて、
バンダナを頭に巻き、何日も風呂に入ってないような異臭がする
汚いシャツを着た大男・・・バールはクラウスに問いかけた。

「言葉の通りだ、騎士団がここにくるのでな。」
「騎士団が・・・!?」

クラウスのやれやれといった苦笑の混じった返事に
バールは烈火のごとく激しく怒る。

「貴様の不始末を俺たちに押し付けるつもりか!?」
「フッ・・・何を勘違いしてるか知らんが、
 俺の言葉を真に受けたマヌケな貴様らに非があると思うのだが?」

クラウスは心底馬鹿にした笑みでバールを見た。

「・・・・ってめえ!!」

頭に血が上ったバールはクラウスに向かって巨大な斧を振り上げたが
ルルがその斧を受け止め、弾き飛ばした。

「ぐあっ!」
「貴様らが死のうが騎士団に捕まろうが、
 俺には関係のない話だ。
 せいぜい牢獄に入る準備でもするがいい。」

クラウスは倒れたバールに背を向けて魔導書を取り出した。

「ボラール」

その瞬間、クラウスとルルは黒い光に包まれ、跡形もなく消え去った。


「・・・・くっ、所詮は貴族だ、頼りにならねえ!!」

バールは斧を持ち直して屋外に出た。

「騎士団の連中が何だ、クソッタレめ!!」

バールが外に出ると、すでに山賊団と騎士団は交戦を始めていた。
















「殿下、山賊達がいます!」
「よし、皆油断するな!突撃!!」

既に戦闘準備ができていた騎士団は
テオドールの指示により速やかに戦闘を開始した。


山賊たちは何の準備もできておらず、騎士団に掃討されていった。



「お、おかしらはどこだ!?」
「クラウスってやつとまだ話してる見てえだ!」

「ち、畜生!こんなことなら真っ当に暮らせばよかった!」

統率のとれない山賊たちは、あっけなく倒れていく。


「あんまり手応えがねえな、海賊の島の連中の方がもっと骨があったぜ!」

ジョリーはゲラゲラ笑いながら山賊たちを薙ぎ払っていく。

「ちょっと、油断しないでよジョリー!」

ジョリーの背後に忍び寄っていたアサシンを、
雷魔法で吹き飛ばしながらメルは叫んだ。

「だっはっはっはっは!」












「お、もう殿下達はレビジュについていたか・・・
 マリー、降下してくれ。」

上空で偵察していたラーマは、騎士団がレビジュまでたどり着いていることを確認し、
レビジュまで降下していった。






ラーマが地上に降り立ったころには、山賊団は全滅していた。

「殿下、ただいま戻りました。」
「ラーマ、たった今掃討が完了したところです。」

「そいつは」と切り出したラーマは周りを見る。

「しかしなぜこんな簡単に制圧できたんでしょうか?」
「・・・・わからない。
 あの傭兵の男の傷は、斧での傷ではないようでしたし・・・
 一体何が・・・」

テオドールは山賊たちの様子に頭を悩ませる。


と、上空から鳥と獣の声が混ざり合ったような咆哮が聞こえた。
テオドールとラーマは空を見上げる。

するとそこには、装甲を翼や身体に装備している
上半身は鷲、下半身は獅子の怪物・・・
グリフォンがこちらに向かって舞い降りてくる様子が見えた。
よくよく見れば、グリフォンの背中には人影が乗っていた。



グリフォンは地上に降り立ち、人影がグリフォンから降りるのが見える。
そして、人影・・・否、赤髪の軽そうな鎧を着込み、
赤色に白色のグラデーションがかかったマントを羽織った女騎士が
テオドールに近づき、跪いた。

「テオドール・ルツ・レヴィア殿下でありますね?」
「そうですが、あなたは?」

テオドールは、女騎士を見下ろして尋ねた。

「ハッ、私はディーテ共和国首都レーベンにて自警団「ウラノスネーバ隊」の隊長を務めます
 「ファラ・グルナート」と申します。」

ファラは顔を上げてテオドールの瞳を見る。

「殿下に火急の知らせが。」
「火急の知らせ・・・・?」



ファラは、頷いてから口を開いた。




「レーベンにて、オルダン率いるベラーディ傭兵団のクーデターが勃発しました。
 至急、レーベンにお戻りください。」