二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.47 )
- 日時: 2018/02/19 22:28
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
テオドール騎士団は、
フィーの提案を採用し、二手に分かれ都市内に侵入することにした。
北の運河側からは
テオドール、ルーネ、エルドゥ、ジョリー、クラルの5人。
南の港側からは
アルト、ラーマ、メル、クララ、フィーの5人。
騎士団は内部で会うことを約束し、進軍を開始した。
「王子、結構な数の傭兵がいるぜ」
運河にたどり着いたテオドールたちは、物陰に隠れ、
様子を窺っていた。
「・・・いや、帝国軍も混じっているみたいだ。
魔道兵が何人かいる。」
「なっ・・・、なんで帝国軍が!?」
「しーっ、クラル声大きい!」
そんなやりとりをしていると、ルーネが指をさした。
「あ、あれ・・・コハクとヒスイではありませんか?」
テオドールは指さす方向を見ると
白いフードをかぶる赤髪の女性と青髪の男性が歩き回っているのが見えた。
「なぜあの二人が・・・?」
「救援でしょうか?」
テオドールの疑問にエルドゥが答えた。
「おい、あの二人、こっちに気づいたみたいだぜ」
「えっ・・・」
ジョリーの言葉に二人を見ると、二人が近づいてくるのがわかる。
「ちょっと待ってください!様子がおかしいです!」
ルーネの叫びが合図かのように、コハクは光り輝く魔導書を開き、
テオドールたちに攻撃を仕掛けた。
「メリュジーヌ」
カッと光彩が広がり、光が包み込むが、
テオドールたちはギリギリのところで避けた。
「な、何するのコハ・・・きゃあっ!?」
エルドゥがコハクに抗議しようとすると、ヒスイが青く光る聖剣ウイルメックを持ってエルドゥに斬りかかった。
「ヒスイ!やめてください!!」
テオドールはレイピアを持って刺突するが、
ヒスイは剣で弾いてしなやかな動きで後方転回した。
ヒスイとコハクは目に光がなく、無表情であった。
「・・・・誰かに操られているみたいです、テオ。」
「術者はどこに・・・!?」
ルーネの言葉にテオドールは周りを見る。
しかし、術者らしき人物は見えなかった。
再びヒスイはテオドールに斬りかかった。
テオドールはヒスイの剣を受け止め、ヒスイの足を蹴り払った。
ヒスイはバランスを崩し、隙ができる。
コハクは再び魔導書を開いたが、
ジョリーとエルドゥによってそれを阻止された。
「・・・・!!」
コハクはジョリーとエルドゥに向かって手をかざした。
「メリュジーヌ」
「なっ!?」「この距離で!?」
エルドゥとジョリーは光彩に包まれた。
「エルドゥ!ジョリー!!」
「そんな・・・!!」
光彩が晴れて、その場に倒れた二人が現れた。
「コハク!あなた何をしているのかわかっているのですか!?」
ルーネが訴えるが、無表情のまま焦点の合わない瞳で騎士団を見ていた。
そこへヒスイは立ち上がって剣を騎士団に向けた。
そして状況は悪化し、騒ぎを聞きつけた傭兵と帝国軍が集まった。
「・・・・これは、多勢に無勢でしょうか・・・」
「うぅ、最後に一目だけでも兄ちゃんに会いたかった・・・」
テオドールはレイピアを握りしめ、
クラルは涙目で魔導書を開いた。
「うぎゃあ!」
「な、なん・・・・ごあっ!!」
そこに、傭兵たちの中から悲鳴が聞こえ、ざわざわと騒ぎ始めた。
「・・・!何が起こっている!?」
テオドールが驚いて傭兵たちの中から切り込んできた少女を見る。
「ご無事ですか、テオドール様。」
「あ、あなたは・・・!?」
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.48 )
- 日時: 2018/02/20 18:08
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
一方で港側から侵入を図るアルトたち。
「フィーちゃん、大丈夫なの?」
「平気だと言っているだろうクララ。
身体は問題なく動く。」
クララの憂わしげな表情にフィーは顔を見せずに答える。
「ところで軍師、港側には敵兵が少ないようだが・・・」
「それなんですよね。」
フィーの問いかけに表情に曇りを見せるアルト。
「敵将はあのベラーディ・イスカンダル。
種族はギガイアス、圧倒的防御と攻撃を誇る、ジェネラルです。
かつて首都レーベンに凶悪なアイスドラゴンが襲撃した際に
槍一突きで討伐したといわれるレーベンの英雄です。
そんな彼がレーベンを支配しようってんですから、
おそらく苦戦を強いられることでしょう・・・・」
「よく知ってるねアルト〜」
アルトの説明に感心するメル。
ラーマもそれを聞いて声と表情を強張らせる。
「手練れの戦士だからこそ、抜かりがないってわけだな。」
「あと、それだけではありません。」
アルトはラーマの言葉を遮って続けた。
「傭兵の他に帝国軍もいるみたいなんです。
帝国の息がかかっているということは、
オルダン卿、ベラーディ将軍のほかに、帝国と繋がっている人が」
「おい、侵入者だ!」
アルトが何かを言いかけると、傭兵が大声で叫んだ
「やばっ!?」
メルが慌てて魔導書を取り出すが、フィーがそれを止める。
「待て、様子がおかしい」
「あらら、こっちにはまだ気づいてないようねえ」
「殿下達の方に行っているんでしょうか?」
兵士たちの動きに戸惑うアルト一行。
すると、アルト一行にゆっくり近づく者が一人・・・
「!・・・何者だ」
フィーはすぐさま剣を抜いてその男に剣を向ける。
「ちょ、いきなり剣を向けるとか危ないヤツだな!」
ボサボサ頭の濃い茶色の瞳を持つ青年は、両腕を軽く上げて、
敵意はないことをアピールしていた。
フード付きの白いローブからして、おそらく魔道兵であろう。
肩から下げている鞄の中に、魔導書がちらっと見え隠れしている。
「あなたは一体?」
アルトが青年に尋ねた。
「いや、ただの魔道士だけど。
そこのオンバーンとボーマンダの兵士と一緒にこっちにきて
人を探してたらクーデターが勃発して混乱してるところだよ。」
「僕たちと一緒に?」
「ああ、一緒の船に乗ってた。」
アルトは「ああ、あの船に・・・」と頷いた。
「なるほど・・・・あ、いきなり剣を向けちゃってごめんなさいねえ。
ちなみに今の状況はどうなっているかわかるかしらあ?」
「都市全体に黒い鎧の兵士・・・多分帝国軍を交えた傭兵団が蔓延ってるよ。
ただ、気になることが。」
クララが問いかけると青年が答え、少し口ごもる。
アルトはすかさず質問した。
「気になること?」
「ああ、レヴィア王国軍も少数混じってた。
しかも、生気のない目で帝国軍に従ってるみたいなんだ。」
「王国軍が!?」
青年の答えにアルトは驚愕を隠しきれなかった。
正義を重んじるレヴィア王国軍が、わざわざディーテまできて
帝国に従うなど、ありえないことだからだ。
「だから気になる。
これは王国軍を操る術者がいるんじゃないかって。」
フィーは改めて傭兵の方も見る。
「傭兵の方もその術者とやらに操られている可能性がある。」
「これだけの規模・・・多分相当な手練れだと思うよ〜。」
メルは口元に指を寄せて指摘した。
アルトは、急いでバッグから資料を取り出してパラパラとめくって
ページを開いた。
「もしかしすると、暗黒魔法「デゾルドル」!」
「「デゾルドル」?」
ラーマは自分の辞書にない単語を口に出した。
「広範囲の人物を洗脳する魔術です。
かつて大陸聖戦の最中に実際に使われて、ローランド公国は滅びた
そう記録にありますからね。
厄介ですよ・・・。
敵になりえない人物が敵に回るんですから・・・」
「仮に、仮にだが・・・」
アルトの解説にラーマは推測を恐る恐る口に出す。
「王国軍がもし、その術にかかって
こっちにきていて、殿下達と対峙してたら・・・・」
「・・・・・。」
アルトは勢いよく振り向き、飛び出そうとした。
しかしそれをメルがアルトの身体にしがみついて止める。
「お、落ち着いてアルト!」
「お、落ち着いていられません!早く術者を探して止めないと!!」
「その術者・・・心当たりはある。」
青年の言葉に、一同は青年に視線を集中させた。
「そいつ、多分レーベンを見渡せる場所にいると思う。
さっき司令塔の上に魔導書を持つ神官がいたからな。」
青年が指をさした方向に、その司令塔は存在した。
「なるほど・・・あそこを叩けば!」
「そういうことだ、早速いこう!」
ラーマは希望が見えてきたかのように目を輝かせた。
一同は、司令塔のある方向へ進むことにした。
フィーは青年に尋ねる。
「・・・ところでお前、名前は?」
「俺はゼウラ・レム・クォーティ。ゼウラと呼んで構わない。」
ゼウラはにっと笑みを浮かべて答えた。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.49 )
- 日時: 2018/02/20 19:35
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
ヒュンッ!という風を切る音と共に、バリスタの矢がグリフォンの翼を狙うが、
グリフォンをそれを避ける。
「隊長!」
「私は無事です、リラ!」
フィルマーは鋭く咆哮した。
アタール達がいる館の前では、傭兵団とウラノスネーバ隊が交戦中であった。
ロックバードに乗り、天を駆けるバードナイト達は、
武器を持ち、傭兵団をなぎ倒していく。
傭兵団もウラノスネーバ隊を弓で応戦し、翼を奪って地上に撃ち落していった。
すると、ファラを狙う矢が飛び出した。
「隊長!!」
「・・・・ッッ!!」
リラの叫びにファラはそれに気づき、寸前で避ける。
「・・・・。」
ファラを狙った長弓を持つ、深緑のフードを被った男は、
すぐさま都市の木々の中に紛れ込んで隠れた。
「スナイパー・・・こんな場所に!」
ファラは、姿の見えないスナイパーに苛立ったが、
深呼吸をして落ち着かせる。
「隊長!状況は最悪ですー!
ウラノスネーバ隊のバードナイトが次々とやられてますー!!」
「・・・なんとしても、閣下とシアン様を護れ!
テオドール殿下がくるまで、持ちこたえるんだ!!」
サラの報告に、ファラは一層大きな声で伝令し、剣を天に掲げた。
ウラノスネーバ隊は、士気が下がりつつあるものの、
ファラの掛け声により、己を奮い立たせた。
「閣下、議事堂より通達です。」
一人の伝令兵が一通の手紙をアタールに渡した。
「・・・・。
わかりました。すぐに向かいます。」
「しかし閣下!」
「よいのです。私はリノンのためなら、命も惜しくはない。」
アタールは伝令兵に手紙を返し、館のエントランスへ出る。
「おとうさま!」
そこへシアンがアタールを呼び止める。
「いかないでおとうさま!
シアンをひとりぼっちにしないでください!」
シアンは涙を流しながら訴えた。
アタールは、シアンをそっと抱き寄せ、囁いた。
「大丈夫だよシアン。
でもここもすぐに危なくなる、シアンはファラ達に保護をしてもらい、
そしてテオお兄様の下に行き、事情を話して助けを求めるのです。」
「そんなのいやです!シアンもおかあさまをたすけにいきます!
おとうさまのそばをはなれるなんて、ぜったいにいやです!!」
アタールはシアンをゆっくり地面に下ろして、
優しくシアンの頭を撫でた。
「大丈夫だよシアン。」
アタールは膝をついてシアンの目を見る。
「私はお母様を連れて必ずシアンの下に戻るよ。
それにシアン、君は「海の神子」シアン・ディ・ユーファだろう?
君には神竜アナンタの加護がある。
神様が絶対に守ってくれるはずだ。
・・・・だから、勇気を持って前に進むんだ。いいね?」
アタールはそういって、エントランスの重い扉を開いて外へ出た。
バタンという扉が閉まる音がやけに大きく聞こえた。
「おとうさま!!・・・うっ・・・ううっ・・・」
シアンはその場に泣き崩れた。
「・・・・・」
「・・・・テオおにいさま!」
シアンは涙を拭いて立ち上がり、自分の部屋に戻った。
自分の部屋にはお気に入りのベッドと、母が買ってくれたぬいぐるみの数々。
そして机と椅子の隣に、神器「水槍フォンターナ」が壁に掛けてあった。
その水紋が広がるような紋章が刻まれた海色の槍を握りしめ、
シアンは館の外に出た。
「テオおにいさま、すぐにシアンはまいります!」
シアンはそうつぶやきながら、中央街へと走り出していった。
「アタールが見つかったか!」
議事堂にて、アタールとベラーディ、
そして兵士たちに拘束されるまるで人魚を思わせる青く長い髪の女性・・・
リノン・ディ・ユーファが兵士に拘束され、連行されたアタールを見た。
「妻を放してください。」
アタールは強気に要求した。
オルダンは笑いながら答える。
「その前に国庫の鍵を渡してもらおうか。今やこの国の最高責任者は私なのでな。」
「それはできません。」
アタールは首を振った。
「非合法な手段で実権を握った危険人物に、
市民からお預かりした大切な予算をおいそれとお任せすることはできません。」
「・・・貴様の妻である、リノン・ディ・ユーファがどうなってもいいのか!?」
オルダンの指示に、兵士はリノンに槍を向けた。
しかし、アタールはそれでも頑なに首を縦に振らなかった。
「私は国を背負っている責任があります。
何があろうと、国や民を裏切ることはできません。
それに、妻が大事であることと、国を背負う責任は、
全く別次元の話です。
仮にこの命が奪われようとも、
・・・・リノンが殺されようとも・・・
私個人ではどうすることもできません。」
「あなた・・・・」
アタールは強気な姿勢でオルダンにそう答えた。
オルダンは機嫌が悪くなり、苛立ちを見せた。
「くっ・・・・全く持って忌々しい!!」
オルダンは怒りを露わにし、アタールとリノンを拘束している兵士に命じた。
「止むを得ん!こいつらを元老院のいる監獄へ入れておけ!
あの悲惨な監獄でしばらく頭を冷やせば、
考えも改めるだろう・・・。」
「ハッ!」
兵士達は、アタールとリノンを連行した。
「・・・・申し訳ありません、閣下。私にも生活があります・・・・」
監獄に入れられる前に、アタールを拘束している兵士が、
涙ぐんで謝罪した。
「あなたにはたしか、妻や娘がいたはず。
謝罪などしなくていい、罪悪感なんか抱かなくてもよいのです。」
「・・・・申し訳ありません・・・・」
アタールの慰めの言葉に、兵士はまた大粒の涙を流した。
監獄の重い扉が閉まり、
光が微かにこぼれ落ちている冷たい監獄の中には、
元老院の議員達がうなだれていた。
「リノン、こちらに。」
アタールは、リノンを壁際によせ、そっと座らせた。
「あなた・・・・」
リノンは不安でたまらない顔でアタールに声をかけた。
「私は、シアンが心配でたまりません・・・・
あの子はだいじょうぶなのでしょうか?」
「大丈夫ですよリノン。テオが必ず守ってくれます。
それに確か・・・メルシアさんだったかな・・・・
彼女が動いてくれているはずさ。」
アタールは、不安ではあるものの、表情に曇りを見せず、笑みを投げかけている。
「メルシアさん・・・?」
「私の友人の娘さんだよ。
ハイランド公国の立派な騎士だった。」
「でも・・・こんな状況で本当に大丈夫でしょうか?」
アタールはリノンを心配させまいとにっこりと笑みを浮かべた。
「私はね、自分たちの状況も含めて、
何一つ心配をしていないのですよ。」
「・・・・。」
「信じましょう、若き騎士たちを。
今を戦う、神竜の子たちを・・・・。」