二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.55 )
日時: 2018/02/21 20:26
名前: テール (ID: LAu9zylb)



「あなたは・・・!?」

テオドールは、桜色に流れる髪の少女を見て、声を漏らした。

「テオ、後ろ!!」

ルーネの叫びにテオドールは振り向いて剣を受け止める。
ヒスイはただ無感情ににテオドールを見ていた。

そこにコハクが再び魔導書を開く。
しかし、少女がコハクに切り込み、魔術を阻止した。

テオドールはヒスイの腕をつかみ、素早く足払いする。
すると、ヒスイはバランスを崩して地面に倒れた。


「ここは引きましょう、ジョリーとエルドゥを連れて。
 クラル、ジョリーを共に運びましょう!」
「あ、うん!」

テオドールはクラルと共にジョリーの両肩を持ち、
ルーネはエルドゥを背負って運んだ。
少女は、それを追う。

ヒスイとコハクが起き上がった頃には、テオドールたちは退避していた。




















「ここならしばらくは安全です。」

少女は周りを警戒しつつも、そうテオドールたちに伝えた。

街の運河にかかる橋の下・・・
橋の上では、傭兵や帝国軍がバタバタと音をたてて走っていることがわかる。

ルーネは倒れているエルドゥとジョリーに杖をかざして治療を行っていた。


「厄介な相手が敵に回ったものです。」

テオドールは、全力で走ってきたため、息を切らしていた。
クラルも座り込んで荒い呼吸をしていた。


「光彩の魔導書メリュジーヌ・・・あれは厄介だよ王子様!
 あれは光の女神メリュジーヌの力そのものだもん・・・・」

クラルは、コハクが持っていた魔導書を思い出しながらつぶやいた。

「何か武器か魔導書を強化して対抗できませんか?」

テオドールはやっと呼吸が整い、クラルに頼む。

「ボクの持ってる「アブソリュート」を「絶氷アブソリュート」に強化したら多分二人に勝てると思うよ。
 ただ、強すぎるから1回しか使えないし、
 避けられた時点でさっきみたいに逃げ回らないといけなくなるよ」
「いや、一か八か・・・やってみるしかないです。
 逃げ回ったところで、何の意味もありません。」

「・・・・わかった、すぐ準備するから待ってて。」

クラルはテオドールの頼みに承諾し、道具を取り出して
アイスブルーの表紙に氷の紋章が描かれた魔導書の改造を始めた。


「そういえば・・・えっと・・・・あなたの名前はまだ聞いていませんでしたね。」

テオドールは、少女に尋ねた。

少女は桜色の髪をなびかせ、青く宝石のような瞳が美しい。
白いシャツの上にクリーム色の薄いカーディガンを羽織っていて、
とてもじゃないが、その格好はただの町娘で、戦闘に向いてるとはいえなかった。
首からはよほど大事なのか、ロケットペンダントを下げていた。


「はい、私はウォルメニアス・リー・メルシア。
 どうぞメルシアとお呼びください。」
「私はテオドール・ルツ・レヴィア。
 親しい人にはテオと呼ばれています。」


「あ、ボク、クランルーベ・ディリティリオ!クラルでいいよ!」

クラルは背中を向けながらメルシアに向かって叫んだ。

「私はルーネ・メルト・ネフィーアです!」

ルーネも振り向きながら自己紹介をした。

「クラルにルーネ・・・覚えました!」

メルシアはにこっと笑った。





「ところでテオドール様、先ほどの魔術師と騎士・・・
 多分暗黒魔法で操られています。」
「暗黒魔法で・・・?」

メルシアの推測にテオドールは驚く。

「では、帝国の神官がこちらに来ているのか・・・
 一体誰の手引きで帝国軍が・・・?」
「おそらく・・・オルダン卿か、卿に化けた誰かが息を吹き込んでいる者だと思われます。」

ルーネはそれを聞いてこちらを振り向く。

「ゾロアークではありませんか?」
「ゾロアーク・・・誰かに化けて自分の身を守っている種族ですね。」

テオドールは口元に指を寄せ、呟いた。

「・・・・」

メルシアも考え込んでいるようであった。






「とにかく、今はこの状況を打開するための策を練りましょう。」

テオドールは首を振って、白紙の紙切れと羽ペンを取り出した。