二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.62 )
- 日時: 2018/02/22 21:37
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
司令塔へと登るアルトたち。
螺旋階段を登る途中で、外の様子が見える。
「あ、あれ、テオたちじゃない?
・・・・コハクとヒスイと対峙してる!」
「えぇ!?」
メルが指さす方向を見るアルト。
その先には、テオドール一行が桜色の髪の町娘と共に
ヒスイとコハクと武器を交えているのがわかる。
「あ、あの桜色の髪の剣持ってるヤツ、メルシアじゃないか!
あんなところにいたのか・・・」
ゼウラは驚いて声を上げる。
「おいおい、大丈夫かよ・・・・
ヒスイはレヴィア王国で1、2を争う実力があるんだぜ・・・
しかもコハクと一緒だろ、まずいな、早く術者を叩かねえと。」
「そうですね、グリモアール兄妹は二人で一人前ですから・・・
急ぎましょう!」
アルト一行は急いで階段を登った。
階段を登り切ると、見晴らしのいい塔のてっぺんまで来ていた。
都市全体を見渡せるここは、弓や魔術を使って上から攻撃するのに
最適な場所であろう。
と、前を見ると、黒いローブで身を包んだ、帝国の神官が魔導書を左手に持ち、
右手をかざしていた。
しかし、アルトたちに気づいていない様子だった。
「今がチャンスです、一気に叩きましょう!」
アルトが気づかれないような声で一行に指示した。
すると、フィーが既に神官のすぐそばまで移動していた。
フィーは、神官の背中までくると、肩をたたいた。
「!?」
神官は振り向いた。
しかし、振り向き際にフィーが手に持っていた銀色に光る剣で
首元を斬った。
「カ・・・ッ!!」
神官は声にならない叫びをあげて、司令塔から落ちた。
「これでいいか?」
フィーは返り血を浴びた顔で、アルトたちの方に振り向いた。
ゼウラは信じられないという顔でフィーを見た。
「な、なにも殺すことは」
「やらなければこちらが殺される。悲しいがこれは戦争なんだ。」
ゼウラに向かってラーマは何とも言えない表情で呟いた。
「・・・・そう、だよな・・・・。」
「見てください皆さん!
神官を叩いたことにより、都市の傭兵と王国軍の洗脳が解けています!」
「これで攻略がスムーズになるわねえ、テオちゃんたちと合流しましょう!」
アルトは外を指さし、クララは手を合わせてにっこりと笑った。
一方、テオドールたちは、急にヒスイとコハク、
そして他の傭兵たちが崩れ落ちるようにその場に倒れたので、
驚いていた。
「こ、これは一体・・・!?」
「殿下ぁ〜!」
そこへ、テオドールを呼ぶ声が聞こえた。
テオドールは声のする方を見ると、
アルトたちが走ってこちらに向かってきていることがわかる。
「アルト!みんな無事のようですね!」
「はい!・・・・ってエルドゥ!ジョリー!ボロボロじゃないですか!」
アルトはエルドゥとジョリーを見て驚いた。
「たははは、コハクにやられちゃって。」
「強いんだよな、あの嬢ちゃん。流石宮廷魔術師だなあ。」
エルドゥもジョリーも笑っていた。
ラーマもアルトも呆れてモノが言えなかった。
「ゼウラ、お久しぶりですね。」
「ああ、メルシア。どこも怪我はないか?」
メルシアとゼウラは、久々の再会にいい雰囲気を醸し出していた。
「殿下、そろそろ閣下の館まで進軍しましょう、
閣下もウラノスネーバ隊の状況も気になります。」
アルトは、提案をした。
テオドールは頷き、騎士団に向かって
「これより、全軍を開始する!
帝国軍と傭兵を蹴散らしつつ、閣下を救出しに行くぞ!」
「・・・・・。」
その様子を街の屋根から白いフードで顔を隠した少女・・・・ルルが見つめていた。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.63 )
- 日時: 2018/02/22 21:25
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
ウラノスネーバ隊の交戦途中・・・
「隊長!アレ!シアン様ですよ!!」
サラが指さす方向に、槍を持って走るシアンの姿が見えた。
「すぐに・・・!」
ファラが下降をしようとするが、その間に矢が飛んできて、
フィルマーの翼に命中した。
キィ!という鋭い声を上げて、フィルマーとファラは勢いよく落下した。
「た、隊長ぉぉっ!!」
「いけない!隊長!!」
サラは悲痛な叫びをあげて、リラはすかさずファラとフィルマーを追った。
「はあ・・・はあ・・・
テオおにいさまはどこに・・・・」
シアンが街中でテオドールを探していると、
突然帝国軍の兵士が現れた。
「あ・・・・!ひっ・・・!!」
シアンは武器を持った黒い鎧の兵士を見て、
足がすくんで動けなくなった。
「なんだこのガキ、槍なんか持ってるぞ?」
「それ・・・・クラウス閣下が探せって言ってた「神器」じゃねえか?」
もう一人の兵士が口を開いた。
「はーん、なるほど。
てことは俺たちの任務はこれで終わりか。
嬢ちゃん、怪我したくなければ、その槍をよこしな。」
シアンの目の前の兵士がシアンに手を伸ばした。
「い、いやですっ!」
シアンは必死に叫び、くるりと走って来た方向に戻ろうとするが、
兵士に回り込まれていた。
「おいおい、その槍をよこせって言ってるのが聞こえねえのか?」
「あ・・・・っ、ああ・・・・」
シアンは恐怖のあまり、へたり込んでしまった。
「言う事をきかねえガキにはしつけをしてやらんとなあ。」
二人の兵士はシアンににじり寄った。
と、その瞬間、
二本の矢が兵士の首元を狙った。
「ガッ・・・・!」「ぐぇっ・・・・」
兵士二人は倒れ、そのまま動かなくなった。
「えっ・・・・?」
「おい、子供・・・・」
シアンが戸惑っていると、深緑のフードを被った弓兵が歩み寄ってきた。
そして弓兵はシアンの目の前でしゃがみ、懐から棒がついた砂糖菓子を取り出して
シアンに差し出した。
「驚かせてすまなかった、これをやろう。」
「えっ、あっ・・・ありがとうございます・・・」
弓兵はシアンが砂糖菓子を受け取ると微笑んだ。
その弓兵は、深緑のショートヘア、肌は死人のように白く、
朱色の瞳であった。
「子供、急いでいたようだが、どこへ向かっているんだ?」
弓兵は尋ねる。
「あの、あのあの!
テオドールっていうおうじさまをさがしているのです!」
「・・・・わかった。それじゃあ俺がそのテオドールってやつを一緒に探してやる。」
シアンはそれを聞いてぱっと明るくなる。
「ホントですか!?ありがとうございます、えーっと・・・・」
「俺はディーノ。ディーノ・ロビンフッドだ」
「シアンはシアンといいます!」
ディーノは柔らかい表情でシアンを見た。
「よしシアン、俺が兵士共をなんとかするから、
お前はテオドールってやつを探すんだぞ!」
「はい!」
ディーノはシアンと共に街中を歩いた。
「殿下、アタール閣下の館はこちらです。」
「よし、閣下が無事か・・・・」
テオドールたちが進軍していると
「テオおにいさまー!」
シアンがテオドールの下へ走ってきた。
「シアン!?」
シアンはテオドールに抱き着いた。
「テオおにいさま、やっとあえました!」
「シアン、君一人でどうしたんだ?・・・叔父上と叔母上は?」
シアンは涙を流しながらテオドールを見つめた。
「おにいさま、おとうさまとおかあさまをたすけて!
おねがいです、おねがいします!!」
「シアン、落ち着いて・・・もちろん、お二方は必ずお救いする。
僕はそのためにここにきたんだから。」
テオドールはシアンに目線を合わせた。
「だから落ち着いて詳しく教えてくれ、
一体何があったんだい?」
シアンは言葉足らずに事情を詳しくテオドールに伝えた。
テオドールは言葉足らずな部分を、事実と照らし合わせて、把握していた。
「そうか、そんなことが・・・」
テオドールはシアンの頭を優しく撫でた。
「シアンはよく頑張ったね、さあ、もう泣かないで・・・・
おふたりは僕が必ずお救いする。
シアンに約束するよ、絶対に大丈夫だから心配しないで」
「ホント?ホントにホント?」
シアンは涙を拭きながらテオドールを見つめた。
「ああ、絶対だ。
僕は嘘をつかない。
だからシアン・・・僕の傍を離れちゃだめだよ。
僕たちで叔父上と叔母上をお救いするんだから。」
「はい、テオおにいさま!」
シアンは笑顔で答えた。
するとそこに、ディーノが現れた。
「シアン、テオドールと会えたようだな」
「はい、ありがとうございます、ディーノさん!」
シアンはディーノに深く礼をした。
「シアン、この人は?」
「ていこくのへいしにおそわれたときに、たすけてくれたのです。」
「大したことではない、それよりも・・・王子殿。」
ディーノはテオドールに向かって口を開く。
「俺を雇ってくれ、俺は帝国軍の連中を傷つけちまった。
それは裏切りを意味する。
俺はもう帝国軍の弓兵ではいられない。」
「どういうことだ?」
「ディーノさんは、シアンをまもるために、ていこくぐんにこうげきしたんです・・・」
シアンの補足にテオドールは頷いた。
「雇ってもいいが、あなたは未練はないのですか?」
「ない。」
ディーノは即答した。
「では、これより・・・・えっと」
「ディーノ・ロビンフッドだ。」
「ディーノ・ロビンフッド。君を騎士団に入団させる、傭兵としてね。」
ディーノは口元が緩んだ。
「よろしく頼む。」