二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ募集】 ( No.72 )
日時: 2018/02/23 23:55
名前: テール (ID: LAu9zylb)


ウラノスネーバ隊の隊員たちもテオドール騎士団の後を追う。

「これより、隊長の代理として
 リラ・アクヴァマリーンが指揮をとります!
 全隊員はテオドール騎士団の援護をせよ!
 突撃します!!」

ウラノスネーバ隊のバードナイト達は武器を天空へと掲げ、
ベラーディ傭兵団の下へ突撃した。

あらゆる武器がぶつかる音が鳴り響く議事堂の前・・・
テオドールはあることに気が付いた。

監獄らしき場所にガードナイトやアーチャー、
魔術師などが数人入っていくのが見えたのだ。


「アルト、私はこれから単独行動をとる」

とテオドールが言い切る前に監獄らしき場所へと走り出した。

「え、ちょ、殿下!?」
「でぇぇぇぇっ!!」

「っ!!」

アルトがよそ見をしている隙に、傭兵の槍が飛んできたが、
アルトはとっさにしゃがんでやり過ごした。

「フレイムバースト!」

しゃがんだまま、魔導書を開き、指をさすと、
指から火炎が放たれ、傭兵は爆発した。



「殿下、今すぐ」
「ボクが行くよ!」

アルトより早く、馬に乗り、テオドールの後を追うクラルが
走り去ってしまった。


「・・・ここは殿下達に任せましょう・・・」

アルトは騎士団に指示を送りながら、魔術を放った。





















重い扉がゆっくりと開き、監獄へと兵士たちが入り込んだ。

「な、なんだ!?」
「何者か、貴様!?」

元老院達はざわざわとざわめいた。

鉄製の斧を持ったガードナイトが一番近くにいる老人に近づき、
手に持った斧を軽く振り上げ、老人の脳天を割った。

「ガァァァーッ!!」

悲鳴を上げて脳天を割られた老人は、多量の血を流して仰向けに倒れた。

その光景を見て元老院達は、悲鳴を上げて逃げ回った。


「あなたッ!!」
「リノン、見るな!!」

リノンの目を隠すように抱き寄せ、青ざめた顔をするアタール。
目の前の死神は、ゆっくりとだが確実に元老院達を次々と始末していく。

その光景はまさに地獄絵図であった。


武器を持たぬアタールはただそれを見ていることしかできず、
いつ自分の番が来るのかと、ただそれだけを考えていた。

元老院が一人、また一人と倒れていき、
ついに死神はアタールの目の前へとゆっくり、またゆっくりと
血が滴る斧を持って近づく。

恐怖と混乱が頭を回転し、息遣いも荒くなる。

「兄上、私も今そちらに参ります・・・・」

アタールはそうつぶやいて瞳を閉じた。














「叔父上ッ!!」

風を切るような勢いで飛び込んできた、緑色の髪の少年。
少年はガードナイトの斧を叩き切り、兜の隙間を狙って
レイピアを刺突した。


「ご、ごおぉぉ・・・・!!!」

ガードナイトはこもった悲鳴を上げてその場に倒れて動かなくなる。
兜から血が広がり始めるのを眺めながら、
少年は剣を鞘に納めた。

「テオ・・・」

アタールは少年の顔を見てつぶやいた。

「遅くなってしまい、申し訳ありません閣下。
 なんとかご無事で何よりです。」

アタールはよくよく少年・・・テオドールの後ろを見ると
傭兵たちが血を流して倒れていた。

「・・・・テオ、本当によく無事で・・・」

アタールはやっと落ち着いてきたのか、震える足で立ち上がった。

「テオ、よかった・・・どこも怪我はありませんか?」

リノンもテオドールを見て安堵したのか、涙を流し、テオドールに抱き着いた。
テオドールは頷く。

「大丈夫です、叔母上。
 本当によかった、無事でッ・・・・!」

言葉を遮るように、テオドールは背中に違和感を感じた。
背中から何か異物が刺さり、冷たくドロドロしたモノが流れてくる。

赤い・・・


「矢・・・?」

ふと入口を見ると、弓を構える人物がいた。
それに気づいたときには、テオドールは気分が悪くなり、その場に座り込んだ。


「いかがでござるか、拙者の毒の矢のお味は?」

弓を構える人物・・・黄土色の短髪の、黒い動きやすく、目立たない服装の少年がにまーっと笑う。

「くっ・・・・さむ・・・・」
「テオ!」

テオドールは身体をガタガタと震わせた。
グルグル回るような感覚が襲ってきて、吐き気もする。
アタールは弱ったテオドールを抱き上げる。


「これで任務完了、師匠にも顔向けできるでござる!」

少年は笑いながらテオドールを見下ろしていた。









「でやあっ!!」

と、その後ろをとったクラルが、フライパンで少年の頭を思いっきり叩いた。

「ぎゃんっ!」

小さく悲鳴を上げ、少年は倒れた。
が、クラルはそんなことに目を向けず、テオドールに近づいた。

「王子様!王子様しっかりして!」



「誰か、毒の治療をできる者は?」

アタールがクラルに聞く。

「お姉ちゃんが・・・って今はいないか、
 ボクは直すって言っても武器専門だしなあ・・・
 ルーネさんは隊長さんのとこだし・・・」

クラルはパニック状態に陥り、その場でバタバタと足踏みをした。



テオドールはだんだん気が遠くなり、ゆっくりと目を閉ざした。


「姉・・・・上・・・・」