二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.88 )
日時: 2018/02/27 20:02
名前: テール (ID: LAu9zylb)

リラとクラル、ジョリーとクララ、そしてフィーは、固まって行動をしていた。

「もう、サラったらディーノと一緒にどこか行ってしまうんだから・・・」

リラは腕を組みながら文句を垂れる。
ジョリーは腰に手をあてて笑った。

「まあまあ、いいじゃないの、若いうちは暴れまわってるのが華だぜ?」
「暴れまわって困るのは私なんだけどね・・・まあいいわ。」

リラはため息交じりに肩をすくめた。
一方、クラルは街の人々から聞いた情報をメモに書き写し、まとめていた。

「なんか、公爵は神官を集めているみたいだね。」
「神官を?・・・・なぜだ?」

クラルのつぶやきにフィーが突っ込む。
クラルは帽子を人差し指で直しながら答えた。

「わかんない・・・・けど心当たりはあるよ。
 神官の体内にある「魔力片プラグ」ってのが目的ならね。」

クララは勢いよくクラルに振り向き、叫ぶ。

「クラルちゃん!」
「あ、ご、ごめんお姉ちゃん・・・」

その声は今迄ほんわかしていたクララが発したとは思えぬ怒声であった。
はっと気づいてクラルは即座に謝った。

ジョリーもリラも「魔力片プラグ」の話題が出ると、顔を険しくし、黙りこくった。



「と、とにかく!神官を集めてるっていうなら、
 どこに連れて行って何をしているか調べなくっちゃ!」
「そうね、クラルの言う通りです。行きましょう皆さん。」

クラルにリラも同意して、再び各自走り出した。














そして、メルは一人城に忍び込んで、怪しい場所を調べていた。
メルは図書室で調べ物をしていた。
図書室は巨大な本棚に囲まれ、書物がぎっしりと敷き詰められていた。
メルのほかには誰もいず、メルは一人本を手に取って戻していた。

「確かこの辺に・・・」

メルはふと、赤い表紙の本を手に取る。
すると、ズゴゴという重い音を立てて本棚が独りでに動き、入口ができた。

「お〜!やっぱりここに・・・」

メルはその入口の中に入る。
中は薄暗いが、一筋の光が机と椅子を照らしている、周りが本棚に囲まれた空間があった。
机と椅子の奥には、ぼうっと薄く光る魔法陣が描かれており、
神秘的な雰囲気を醸し出す場所であった。


「うん、10年前とほとんど変わってないね。」

メルは頷きながらその場所を見渡した。




「兄さん?」

不意にメルは声をかけられる。
メルは振り向くと、プラタが入り口に立っていた。

「兄さん!やっぱり生きていたんだね!」

プラタは感極まってメルに近づいてメルの手を取り握った。
メルは驚きプラタを凝視する。

「プラタ・・・?プラタなんだね!?」
「うん、そうだよ兄さん!よかった、無事で・・・」

プラタはにっこりと笑った。

「プラタ、聞きたいことがある・・・・
 母上は何のために「魔力片プラグ」を集めてるの?」

メルの質問にプラタは真剣な顔つきになる。

「僕もそれを調べてるんだよ。
 多分、前に城に来た「黒い魔道士」が関連してると思う・・・」
「「黒い魔道士」?」
「うん、白髪の青くて鋭い目つきの黒服魔道士なんだ。」

メルは手を口元に近づけて考え込んだ。

「・・・・もしかして、「クラウス・アイン・フェルマー」かな?」
「知ってるの?」
「ここ数年で名将と呼ばれるまでに至った宮廷魔術師だって
 教皇から聞いたんだよ。
 その男がなぜ・・・?」

二人は頭を悩ませる。
ふと、プラタは机の上にある、ページが開かれた書物を見る。
近づいて手に取って読んでみると、そのページにはこう書かれていた。







遥かなるとき十世の昔 

暗黒の島に邪竜ありき

その名は邪竜ヒュドラ



不死の力と支配の力 

冥界に眠りし竜を呼ぶ

荒ぶる三竜地上を焦がし 

ヒュドラの軍勢世界を覆う

人に抗する力なく 

抗うものは死するのみ

ヒュドラの闇は世界に満ちて

人の苦しみ絶える事なし





人々は祈り 七年七月七日

天上から光の竜降臨せん

その名は神竜アナンタ



荒ぶる邪竜 鎮まれり

光の竜 天へと帰らん



邪悪なる魂 伍色の石と帰するなり

人々は伍色の石を 神器とし

伍色の神子に与えん



光の竜は 深き慈悲を以って

人を救い 施しを給えり





邪竜 再び目覚めしとき

光の竜は選ばれし者に

光を与え 闇を払わん










「神竜伝説の数え歌だね」

メルは書物に描かれている絵を指さした。

「神竜伝説?」
「邪竜ヒュドラがこの大陸に生まれた時、人々は貧困に喘いで、
 光の竜である神竜アナンタを呼び出そうと7年7月7日間祈り続けたんだ。
 そして神竜アナンタは「神剣アストライア」を英雄に授け、
 共に邪竜ヒュドラを鎮めて天に還った・・・
 っていうお話だね。」

メルの解説にきょとんとするプラタ。

「このページと母上が「魔力片プラグ」を集めることに何か関係が・・・?」
「・・・・。」

メルは考え込んだ。

「もし、母上がヒュドラ復活を目論んでいたとしたら・・・?」

プラタは勢いよくメルに振り向く。
恐怖にまみれた表情で。

「・・・・そんな恐ろしいことを・・・!?」

プラタは本を勢いよく机に置いて駆けだした。
が、メルにそれを止められる。

「ちょ、落ち着いてよプラタ!」
「離して兄さん!母上を止めないと大変なことに・・・!」
「確証のない推測で何の策もなく飛び込むつもり!?」
「・・・・!くぅ・・・・。」

メルはプラタを諭した。

「もっと調べよう、調べたうえで僕の仲間に相談しよう。
 でも時間がない、急ごう!」

メルの言葉にプラタは頷き、隠し部屋の書庫を調べ始めた。