二次創作小説(紙ほか)

Re: 喰種と人間 ( No.1 )
日時: 2018/02/22 15:39
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

1. 人間、喰種

「…うー今日もなんか喰種とかいうのが関わる事件で記事が
 いっぱいだよね…テレビも」
そうリアは呟き空を見た。青空に太陽が輝いている。

「そうだな。まぁこればっかりは俺たちじゃどうにもならねえよ。
 ていうかお前、気を付けてくれよ?」
「何に?」
レイトは大きくため息をついた。
リアは首を傾げレイトの顔を覗いた。

「喰種だよ。だってつい最近だって銀行強盗に巻き込まれかけたとか
 事故に巻き込まれかけたとか言ってたじゃねえか」
だが返事が返ってこない。
この辺は人通りも少ないし喰種の話もよく聞く。

「ひえええええええええ!!」
腰の抜けたような悲鳴が聞こえレイトは舌打ちをした。
「アイツ!…間に合ってくれよ」
レイトは悲鳴のした方向へした走って行く。

 ■

一方リアは二人の喰種にじりじりと壁に追い詰められていた。

「流石に女を捕らえるのは楽勝だったな」
「(こ、これが喰種っていう奴らなの!?)」
喰われる!そう思い目を閉じる。暗闇の世界からは悲鳴が聞こえた。
その後はグシャッという音がし、しばらくリアは目を開くことが
できなかったが意を決して目を開いた。

「え?レイト、くん?」
赤黒い九尾のような尾が動きを止めた。
ゴクリとリアは息をのんだ。

「うげっ!」
その尾はリアの目を隠した。

「ち、ちゃんと説明してくれなきゃ分かんないよ!ねぇ!
 わ、私も頑張るから」
未だに無言のままでグシャッという音が何度も耳に入ってくる。

「…私のこと、嫌いなの?」
音が消え沈黙する。
目を隠していた尾が消えリアは首を振って立ち上がり歩み寄る。
予想通り彼はレイトだった。

Re: 喰種と人間 ( No.2 )
日時: 2018/02/22 15:58
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

2.彼女と彼

口元に付いた血を舌で舐めとり、レイトは目線を下に向けた。

「…なんで分かった?」
「…私のことを助けるような怪物はいないし、なんとなくね」
「怖くないのか?俺は人を喰うバケモノだぞ?いつかお前も
 手にかけてしまうと思うが…」
リアは怒るわけでもなく、怖がるわけでもなく、逃げることもなく
にっこりと笑った。

「いやー特には何も思わないや。だってかいつだって私を食べることは
 できたはずでしょ?でも食べてないからさ。怖くないよ、私頑張る。
 こういうことでビビらないように」
しばらくの沈黙。

 ■

レイトに案内されリアは『あんていく』という喫茶店を訪れた。
そこで話をした後、リアはさっきの疲れのせいかそこで眠ってしまった。

「君にこんな彼女さんが出来ているとは知らなかったよ」
芳村はリアの寝顔を見てそう呟いた。
「そんなんじゃねえよ、ただの友だちだ。…人間にしちゃあ肝が
 座ってるけどな」
「君の姿を見ても嫌悪しなかったことかい?彼女も言っていたじゃ
 ないか、彼女は嘘を吐くような子には見えないよ」

リアは確かに理由を語っていた。
『助けてくれたんだし正直言って怖いよりも驚きの方が上回ってた
 かな?』
「…勘弁してほしいぜ」

Re: 喰種と人間 ( No.3 )
日時: 2018/02/22 17:10
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

3.共存ってできないのかな?

翌日、リアは再びこの喫茶店を訪れていた。

「また来てたのか?リア」
「また、って酷いくね?まぁ良いんだけど…」
バァァンッと扉が蹴破られ息を切らした青年が中に入ってきた。
それに驚きリアは椅子から落っこちた。

「あぁ?客か?」
「ったく…アンタは少しぐらい落ち着いた行動をとれないのか?
 カシュウ」

カシュウと呼ばれた青年は中に入りリアの顔を見た。
そして黙って手を差し伸べる。
「悪いな。少し急いでたもんで…」
「あ、あーいいえ気にしないでください」
カシュウの手を取り立ち上がりまた椅子に座った。
「自己紹介が遅れたな。俺は東野カシュウだ」
「お邪魔してます」
「それよりも何があったの?」
「カネキさん、嫌な話さ。といってもCCGに追っかけられただけだがな」
確かに彼の服は所々切り裂かれていた。

「…」
「どうしたリア?」
「人間も喰種も共存できればいいのに…」
リアは俯き出されたコーヒーに自身の顔を映した。

「まぁ出来ねえことはないだろうが、喰種が食えんのは人肉だけだ。
 悪い奴を俺たちが食えば人間も俺たちのことをちったぁ
 分かってくれるんだろうがな」
カシュウはそれだけ言い残した。

リアは天井を見上げた。

これが約数年前の話だ。