二次創作小説(紙ほか)
- Re: 喰種狩り ( No.1 )
- 日時: 2018/02/28 15:36
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
第一話 open
「竜輝くん何度も言うけど喰らう喰種は選ぶんだよ。君は
父親たちの復讐をまだするかい?」
「しねえよ。俺は空みたいな人間を護るために便利屋を
しようと思っただけだ」
空は今、いない。
空は自分が喰種だと知っていながらも友だちでいてくれた。
嘘ではなかった。
「竜輝くん空ちゃんに会えて良かったね。今度、君が護ってあげるのは
きっと彼女だよ」
出ようとしたときに芳村はそう言った。
「あぁ分かってるよ。それじゃ行ってきます」
■
少し言ったところに空き家があった。
中はボロボロ…と思いきや綺麗に片付けられていた。
「ここか…」
近くに荷物を置き見回す。
ぼろ屋敷ではなかった。
一安心しているとドアが開く音がした。
黒髪のショートカット、黒いズボンをはいたボーイッシュな
女だ。
「ちゃんと来たよ竜輝くん」
「空。わざわざありがとな」
「それにちゃんと分かってるよ喰種のこと、勉強してきた。
といっても竜輝くんみたいな記憶力はないけどね」
苦笑する彼女からは相当熱心に勉強していたことが
分かった。
竜輝にとっては嬉しいことでもあった。
「ホントに怖がらないんだな」
「もちのろん、そういう両親の間に生まれたからね。遺伝だよ
遺伝、こうやって友だちでいられるのもね」
- Re: 喰種狩り ( No.2 )
- 日時: 2018/02/28 16:05
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
第二話 一つ目のお仕事
大体依頼を受けてその日の夜に仕事をしに行く。
空はそれについていくだけであるが彼女は足手まといで申し訳ない、
という気持ちでいっぱいだった。
一方、竜輝の方は戦えないと悔やんでいる彼女とは違い、
戦えなくても足手まといだとは思っていなかった。
「ここ、だな。オイ大丈夫か?」
「え?うん大丈夫」
「そうか、じゃあ行ってくる」
彼は堂々と正面から入っていく。
■
そこには数人の喰種たちがいた。
その喰種たちが人間の匂いに気付き振り返る。
「人間がいるみたいだな」
「こんなところで何やってんの?お前ら」
別の人物の声がし振り返る。
入り口から堂々と入ってくる青年が一人いた。
「なんだ?テメェ」
「俺?別に誰でもいいだろ。どうせ俺に食べられるんだからさ」
その挑発的な物言いにキレて数人の喰種が赫子を現した。
どちらも甲赫だ。
その攻撃を簡単に避けていく。
左側にいた男の鳩尾に蹴りを入れ、男を吹き飛ばす。
男は壁にめり込み意識を失った。
「テメェ!!」
「隙だらけだな!」
右側にいた男の顎に膝蹴りを入れ骨を砕く。
男が痛みに堪えきれず倒れた。
「ガキが!なぜ赫子を出さねえ!?」
「別に出すまでもないだろ?で、どうするんだ?」
またも相手を挑発する。それだけの余裕が彼にはあったのだ。
暇そうに大きな欠伸をしていると左腕に痛みが走った。
「あー、斬られたか」
男の鱗赫が三本同時に竜輝の胴体を貫きそのまま壁に投げ飛ばした。
「油断してるからそうなんだよ」
男はそう言った。すると空の方を向き狂気じみた笑みを浮かべる。
「じゃあ次はそこの——ッ!?」
「いってて…流石にさっきのは効いたぜ。まぁすぐ治るけどな」
失った左腕も元に戻っている。
風穴も消えていて身に着けていた黒いコートが破けているだけだった。
その時に男はすぐ分かった。この男には勝てないと悟った。
「なぜだ!!なぜお前は俺たちの邪魔をする!?喰種のくせに!」
「人間だって生きてんだよ!だから人間を無差別に喰ってる奴は
俺が殺す、死ね」
男は膝から崩れ落ちた。
そのタイミングで空も竜輝の元へ駆けよる。
「竜輝くん、大丈夫?ケガはない?ってそんな心配いらないか」
「当ったり前だ」
空は照れ臭そうに笑っていた。
- Re: 喰種狩り ( No.3 )
- 日時: 2018/02/28 16:39
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
第三話 美食
「じゃあゴメン。行ってきます」
空はバッグの中にビニール袋に入れた原稿を入れ
編集者のいるところへ向かった。
この話で最後。
■
「確かこっちだったよね」
空はずんずん道を進んでいき建物の中に入った。
編集者の人に原稿を渡すのと行きの時間で少し時間が遅くなり
外は真っ暗だった。
「そうだった。この辺、夜はあまり人がいないんだった。
急がないと」
歩く速度を少し早め来た道を戻っていく。
「そこの女、止まれ!」
しまった、と思いつつ足を止めた。
下手に動けば余計逃げられなくなってしまう。
「な、なんでしょう?」
振り向くとそこには赫眼の青年が笑みを浮かべて立っていた。
間違いない喰種だ。
羽赫と鱗赫を持っている、逃げれそうもなかった。
「大人しく俺に喰われろ!!」
青年の鱗赫が目前に迫る。
だがその鱗赫は目前で止まる。
「え!?」
そこには紫色に光る黒髪の青年が立っていた。
九十九 蓮夜だ。
「すまねえな、こいつは俺の獲物なんだ」
鱗赫を掴む力を強め投げ飛ばす。
「ボケッとしてんな!行くぞ」
蓮夜は空の腕を掴み思いきり跳躍してビルからビルへ飛び移っていく。
「クソが!!逃げられた!!」
青年は飛び回る蓮夜を睨みつけた。
鱗赫で近くに隠れる喰種を貫き、目の前に置いた。
それをあっという間に食べ終え彼女たちの行った方向へ進む。
■
「蓮夜さん、ありがとう助けてくれて」
空は竜輝の竜輝店の入り口付近で頭を下げた。
「気にすんな。お前、あんま一人で出かけねえ方が良いぞ。
特に夜はな」
「?」
「空って不思議なんだ」
二人の話に竜輝が割って入った。
「不思議?」
「喰種に変わるきっかけを作ってくれる。それと同時に
食欲を掻き立てるような匂いがするんだよ」
空は未だにキョトンとしている。
「つまり喰種にとって一番美味な肉ってこと?」
「そういうことになるな」