二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケットモンスター -ラスト・メモリー‐ ( No.1 )
日時: 2018/03/17 07:21
名前: 雅人 ◆m58SZjly5A (ID: yU3pc2AF)

Prologue.

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レッド「んー。釣れないな」

マサラタウンに住む少年レッドは、小さな子供達と共に水辺で釣りを楽しんでいた。

少年A「へっへ! 俺が一番に釣りあげるんだー!」

素早く釣り糸を投げる。
近辺で釣れるのはコイキングぐらいだが、少年達はコイキングを捕まえようとしている。

レッド「あまり騒ぐとポケモンも寄って来ないよ」

少年B「うへぇ。俺ジッとしてるの苦手ー」

レッド「コイキング釣りたいんだろ?」

少女「うんっ。金色のコイキング!」

レッド「色違いは俺も見た事ないな。この辺にいるのかな」

少年A「いるよ! 金のコイキングって進化したら赤いギャラドスになるらしいぜ!」

レッド「へえ。ならもう少し奥に行ってみるか?」

少年B「いいの?」

レッド「あぁ。ただし、俺と一緒に行動する事。離れちゃダメだぞ?」

少女「わーい! じゃあ行こっ」

マサラタウンは人里離れた町。東へ抜けると森があり、その手前には湖がある。
恐らく、色違いのポケモンが出るのはここだろうと踏んだレッドは少年達の想いに応えるべく場所を移す。

レッド「さて。続きでもしようか」

少年A「よし! 今度こそ金色のコイキング釣るぞぉ!」

少女「先に釣った方のポケモンだからねっ!」

少年B「僕も負けないもん!」

レッド「慌てて湖に落ちるなよー」

レッドは三人の姿を後ろから黙って見つめている。

少年A「おおっ! これは……っ!」

どうやらポケモンがヒットしたようで、少年の釣竿が大きく反応している。

レッド「随分大物だな。どれ、手伝うよ」

少年の力だけでは引っ張られるだけで、このままでは湖に落ちてしまうのでレッドも助太刀する。

レッド「(どう考えてもコイキングじゃねえなこれ……!)」

少年B「わわっ。お兄ちゃん頑張って!」

少女「がんばれお兄ちゃん!」

少年A「金色のコイキングかなっ!」

レッド「いや……! コイツは——」

レッドはありったけの力を振り絞り気合を入れる。
このままでは釣り糸が切れてしまう——そう思った次の瞬間だった。

ギャラドス「ギャアアアアオオオオオオ!!!!」

少女「きゃ、きゃぁっ!」

少年A「ぎゃ、ギャラドスだ!」

レッド「どうりで全然引っ張れないわけだ……」

少年B「あわわ。ど、どうするのお兄ちゃん!」

レッド「お前たちは後ろに下がってるんだ!」

レッドは急いで指示を出す。慌ててレッドの後ろに身を隠す三人。

レッド「まあ。丁度退屈してたところだ。腕慣らしに頼むぜ」スッ

ギャラドス「ギャアアアアオオオオオオ!!!!」

先手必勝と言わんばかりにギャラドスはハイドロポンプを繰り出す。

レッド「うおっ! 危ないな」

少女「お兄ちゃんっ!」

レッド「もっと後ろに下がって! よし。行けストライク!」

ストライク「ストラアアアアアアイク!」

レッド「ストライク! 居合切りッ!」

ストライク「ストッ!!」

ギャラドス「ギャアアアッ!」

レッド「へへっ。特性テクニシャンの居合切りはどうだ?」

ギャラドス「ギャアアアアオオオオオオ!!!!」

ギャラドスは竜の怒りを繰り出す。

レッド「躱してつばさで打つッ!」

ストライク「ストライイイイイイク!!」

野生のギャラドスはレッドのストライク相手に攻撃を与える事無く終わる。

レッド「うし。有難うなストライク」

ストライク「ストッ!」

ギャラドス「ギャアァァォ……」

陸に倒れたギャラドスに近付くレッド。

少年B「危ないよお兄ちゃん!」

レッド「大丈夫だよ。もうコイツは暴れない」

レッドは鞄から傷薬を取り出し、ギャラドスに吹きかけた。

レッド「悪いな。俺もあの子達を守る必要があったんだ」

ギャラドス「ギャオ……」

レッド「住処を荒らしたのは悪かった。もう釣りはしないから許してくれないか?」

ギャラドス「ギャオッ」

レッド「ありがとうな。んじゃ、俺達は帰るから元気でな」

傷の手当を終わらせ、レッドは立ち上がる。

レッド「帰るよ。金のコイキングは諦めるしかないね」

少年A「ちぇっ! 折角ポケモントレーナーになれると思ったのに」

少女「しょうがないよ。だってあの子のお家なんだもん」

少年B「僕達じゃ勝てないしね……」

レッド「そうだな。まあお前達も何れポケモンは持てるようになるんだし。今回はいい勉強だと思ってさ」

少女「うんっ! 一生の思い出にする!」

レッドは三人を連れてマサラタウンへ戻っていった。

?「…………」

レッドの戦いをずっと見ていた少年もまた、レッド達の向かう方向へと歩き出していく——。