二次創作小説(紙ほか)

ホグワーツからの来訪者 ( No.3 )
日時: 2018/03/26 22:42
名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)

家に帰ると、戸口の前に女性が立っていた。彼女がホグワーツ魔法魔術学校から来た職員の方かしら。

エメラルド色のローブを着て、背筋をしゃんと伸ばした眼鏡を掛けた老婆がいた。手を×にして留守を知らせている蓬莱を興味深そうに見ている。声を掛けるのが憚られて静かに歩いていたけれど、蓬莱が私に気づいたのかやってきた。蓬莱に声を掛ける。
「ありがとう、蓬莱。」
「ホラーイ」
蓬莱との会話を見ていた老婆が聞いてくる。
「失礼しますが、貴方がミス・マーガトロイドで間違いありませんか。」

私を探していると言う事はやはりホグワーツの職員の人みたいね。
「ええ。」
老婆は挨拶をする。
「そうですか。私はミネルバ・マコグナガルと言います。ホグワーツ魔法魔術学校から貴方の入学案内にやってきました。」

来てくれたからには歓迎しましょう。
「そう。家へご案内します。上海、お茶の準備をお願い。」
私はドアを開けるとミス・マクゴナガルを家に入れた。棚に並んでいる沢山の人形たちを見て驚いているけど、初めて家に入った人にはいつものことだもの。
「どうぞ。」
居間の椅子を示してからキッチンに行くと上海がティーカップを二つとポットやお茶を準備してくれていた。
「ありがとう、上海。」
ティーカップを魔法で温めて、その間にお湯を沸かす。そっとポットに注ぎ入れてお茶が出るまで待つ。

「砂糖はいかが?」
ミス・マコグナガルが首を振る。
「結構です。さて、申し訳ないのですが、入学まであと三日しかありませんので簡単な説明だけさせて頂きます。」

私は蓬莱が注いでくれた紅茶を一口飲んだ。

「ミス・マーガトロイド、貴方にはこの手紙をお渡しします。」

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ホグワーツ魔法魔術学校 校長アルバス・ダンブルドア

 マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会長


親愛なるマーガトロイド殿

この度ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されました事、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封致します。新学期は九月一日に始まります。七月三十一日着で梟便にてお返事を御待ちしております。

 

敬具 副校長ミネルバ・マクゴナガル

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アリスは校長の経歴が随分と立派だ。国際魔法使い連盟会長が学校長などをやっていていいのだろうか。

そしてどうやらこの老婆は副校長だったらしい。わざわざ副校長が入学案内に来るような理由でもあるのだろうか。幻想郷という外の世界からしたら特殊な場所に住んでいるからだろうか。

「そうね。外の世界の魔術には興味があるので入学します。」

ミス・マクゴナガルが驚いたように目を見開く。
「そうですか。人形を操るほどの魔法の使い手のあなたなら入学しないものと思いましたが。」

「魔法界の魔法は私の魔法と理論が違いますから。私はこの理論の魔法では初心者と変わりないの。」
ミス・マコグナガルが頷く。
「分かりました。梟便の利用方法はご存知ですか?」

アリスは首を振った。上海がお茶のお代わりをに入れてくれる。
「いいえ。知りません。けれどきっと博霊大結界を梟は超えられないと思うので紫に頼みます。」

ミス・マコグナガルが頷く。
「分かりました。ミス・ヤクモに聞いておきます。それでは、今からダイアゴン横丁に行って教科書を買いに行きますよ。」

その時、いきなり耳の中に紫の声が響いてきた。どうやらイアリングの通信機能らしい。
「アリス〜、聞こえるかしら?ダイアゴン横丁へはスキマで行くわよ。幻想郷内では姿くらまし出来ません。それと入学承諾書、校長室に送り返しましたわよ。ああ、アリスは姿くらましを知らないのね。姿くらましは瞬間移動魔法みたいなものよ。失敗すると身体がばらけてしまいます。それに幻想郷に帰ってこれなります。そうそう、貴方の保護者はパチュリーという事になっていますわ。では、ミネルバに挨拶しておきます。今からスキマで行くわよ。」

私の横でスキマが開くと紫が出てきた。全く、いきなり出てくるとびっくりするじゃない。
「御機嫌よう、ミネルバ。お久しぶりですわ。」
紫は見事なカーテシーを見せるとすらすらと英語で話し始めた。紫は、ミス・マコグナガルと知り合いなのかしら。
ミス・マコグナガルは驚いたのか一瞬固まっていた。確かに、紫のスキマは不気味ね。

「...ミス・ヤクモですか。」

紫は胡散臭い笑みを浮かべて言った。
「幻想郷では姿現しができませんの。ですから貴方方お二人は私がスキマでお連れしますわ。」

ミス・マクゴナガルは礼儀正しく頭を下げた。
「ありがとうございます。」

紫は表情の読めない笑みを浮かべて扇子をぱちん、と閉じた。
「では、参りましょうか。」

紫が指先を動かすとすっとスキマが開いた。目玉がぎょろぎょろと蠢く空間にミス・マクゴナガルはゆっくりと首を振ってスキマに入っていく。私も入ったけれど、何回か入ったことはあっても不気味なことには変わらないわね。
紫がちらりとミス・マコグナガルを見た。
「では、行き先はダイアゴン横丁で宜しくて?」