二次創作小説(紙ほか)
- ハリーポッターとの遭遇 ( No.4 )
- 日時: 2018/03/26 22:44
- 名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)
ミス・マコグナガルが頷く。スキマが閉まり、辺りは暗闇と目だけになった。紫の声がする。今はイアリングから話しているみたいね。
「アリス、ダイアゴン横丁は漏れ鍋というパブが入口になっていますわ。パブの裏庭にある塀を三度叩くと横丁への道が開きます。教材を購入後スキマ移動で幻想郷に戻り、荷造りを済ませてから漏れ鍋で宿泊してくださる?当日まで二泊分の料金は前払いしてありますから。」
私はミス・マコグナガルに見えないように頷く。
またスキマが開かれた。スキマから出ると、そこは錆びれた古臭いパブの物陰だった。人が良さそうな顔の店主が大男と話している。大男はがりがりにやせ細った少年と手を繋ぎ、少年はきょろきょろと周りを見渡していた。
ミス・マクゴナガルが大男に声を掛ける。
「ハグリッド、ミスター・ポッターが待っていますよ。」
あの大男はハグリッドというらしい。
「おう、マクゴナガル先生、こんにちは。ハリー、この人がマクゴナガル先生だ。」
少年がハリー・ポッターだろうか。いきなり会うとは思わなかった。声を掛けた方がいいのだろうか。
そこへ久しぶりに聞く友人の声がした。
「ルビウス・ハグリッド、ホグワーツの森番よ。久しぶりね、アリス。」
パチュリーの声がイアリングから流れてきた。アリスは小声で返す。
「ええ。お元気かしら、パチュリー。」
パチュリーが小さくため息をついた。
「いいえ。魔理沙にしてやられたわ。全く、もう。レミィが暇だからって、貴方たちを見ているのだけれど。ハリー・ポッターってあのがりがりの子でしょう?実力があるようには見えないけれど。本当にヴォルデモートの呪文を防いだの?」
確かにやり手の魔法使いという風には見えない。それに漏れ鍋の中を見渡していることからして、魔
法界に慣れてい無さそうだ。
「捨食と捨虫の法を習得したという可能性もあるけれど、服装は魔法使いには見えないわ。それに森番が同伴しているもの。」
パチュリーは考え込んでいるのか何も聞こえてこない。
ミス・マコグナガルがアリスの方を向く。
「彼はホグワーツの敷地内にある森で森番をしているハグリッドです。ハグリッドの隣にいるのが貴方と同じ新入生のミスター・ポッター。」
ハリーはアリスに気づいた。続いて周りを飛び回っていた上海と蓬莱を見てぎょっとしている。
「えーっと...僕は、ハリー・ポッター。君は?」
アリスは上海を一瞥してから言った。
「アリス、アリス・マーガトロイドよ。魔法界は初めてかしら?」
ハリーは頷く。
「そうだよ。君は初めてじゃなさそうだけど?」
パチュリーの声がした。
「という事は本人が自覚していないうちにヴォルデモートの呪文を跳ね返したという事かしら。それとも記憶操作の類を受けているのかしら。」
興味深いわね。他人から護られたという可能性もあるわ。おもしろいのは魔法界ではなくてハリー・ポッターだと思うけれど。
「アリス?」
ハリーが私を不思議そうに見ている。
「あら、ごめんなさい。私は魔法界に関わるのは初めてよ。」
ハリーが蓬莱を目で追う。
「この人形は、君...アリスって呼んでもいい?」
アリスは安堵した。ハリー・ポッターへの接触は成功しそうだ。彼女の体質上、表情にはあまり出ないが。
「ええ、良いわよ。ハリーと呼んでも?」
ハリーは若干戸惑ったように頷いた。どうしたのかしら。
「いいよ。それで、その人形は君のだよね?」
アリスは頷いた。自分の相棒を紹介できるのは嬉しいことだ。特に上海と蓬莱には時間を掛けている。
「ええ、上海と蓬莱よ。二人とも、ハリーに挨拶して頂戴。」
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
ハリーは目を見開いた。
「その...シャンハイとホーライ?は魔法で作ってるの?」
アリスは笑みを浮かべた。
「いいえ、上海と蓬莱は半自律人形よ。彼女達には人工知能の様なものが搭載されていて、半分自律しているの。もう半分は私が操っているわ。それは魔法を使っているわね。」
パチュリーが呆れたように言った。
「道具に魔法が掛かっているかいないかも読み取れないのに、呪文を弾き返したのね。」
ハリーが困惑したように聞く。
「でもアリスはさっき魔法界は初めてって言ったじゃないか。」
魔法を使えるのは魔法族だけだと思い込んでいるのね。仕方が無いかもしれないけれど。
「魔法を使えるのは魔法族だけでは無いのよ。」
意味有り気なアリスの言葉にハリーは曖昧に頷いた。
ハグリッドがハリーを催促する。
「んにゃ、ハリー。グリンゴッツヘ行くぞ。」
ミス・マクゴナガルはアリスに言った。
「ご友人ができたようで結構です。では、私たちもグリンゴッツヘ参りましょう。これからダイアゴン横丁への行き方を説明しますから、よく聞いておきなさい。まずは、裏庭に参りましょう。」
アリスはそのまま飛び回っていた上海と蓬莱をドレスの中に仕舞い込んだ。