PR
二次創作小説(紙ほか)
- 薬問屋と陰気なコウモリ ( No.9 )
- 日時: 2018/04/04 17:47
- 名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)
アリスは、金属製の杖の持ち運びにくさに辟易としながら薬問屋に向かって歩いていた。ミス・マコグナガルは相変わらず背筋を伸ばしたまま歩みを進めていく。
店の前に着くと、様々な大きさの秤やビーカー、フラスコ等の器具、グロテスクな見た目の素材が店頭に並んでいた。いきなりイアリングから聞きなれた声が響いてくる。
「なんとも言えない所だな。本を借りに来たらパチュリーがイアリングに向かって話しかけていたんだが。レミリアのを見てると、魔法の森の方がきのこの質がいいな。聞こえてるか、アリス。」
アリスは思わず声を潜めることも忘れて言った。
「げっ、魔理沙。何の用よ?」
魔理沙はからかう様に言う。
「何だよ、酷いな。用が無いと駄目なのか?それより、面白そうな所に来てるじゃないか。そっちでは店に材料を買いに行くのか?」
アリスは返す。
「調査で入学する学校では薬学があるのよ。毎回材料を買えば劣化するでしょうし、リストにあるのは器具だけね。使う道具もあまり規定があると他に研究する時不便でしょうに。」
魔理沙が返す。
「全くだな。それより、休暇になったら戻って来いよ。レミリアが宴会をするそうだからな。パチュリーもああ見えて、外がかなり気になってる。」
ミス・マコグナガルは不思議そうにアリスを振り向いた。
「どうしましたか。」
アリスは咄嗟に取り繕う。
すると、薬問屋から男性が出てきた。
ミス・マコグナガルが男性に言う。
「珍しい。セブルス、買い出しですか?」
男性はアリスを一瞥した。アリスも見返す。ホグワーツの教諭だろうか。喪服かと思うくらい全身真っ黒のローブを着ている。不健康そうな印象を受けた。
「左様。」
魔理沙が感想を述べた。
「なんか、陰気なコウモリみたいな奴だな。」
アリスは心の中で苦笑いする。表情は微動だにしていなかった。
PR