二次創作小説(紙ほか)
- 一時帰宅とさようなら ( No.11 )
- 日時: 2018/04/06 10:02
- 名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)
アリスは薬問屋を出ると、漏れ鍋まで戻った。
ミス・マコグナガルが言う。
「ここで暫くお別れです。それでは、ホグワーツでまた会いましょう、ミス・マーガトロイド。」
「ええ。」
アリスはミス・マコグナガルが見えなくなるまで待った後、漏れ鍋の暗い隅へ移動した。イアリングを押す。
「買い物は終わったのかしら。では、今から貴方の所にスキマを開きます。ちょっと待ってくださる?」
紫の声がして、空にリボンが浮かぶ。すうっとスキマが開き、闇の中からぎょろぎょろと蠢く無数の目が覗く。
相変わらず何度見ても気味の悪いスキマね。
アリスは思いながら周りの目が無い事を確認し、スキマに入っていった。
スキマから出ると、そこはアリスの家の中だった。短時間の間に外の世界では忙しなく人が動いているのが見えたけれど、ここは何も変わっていないのね。
アリスは思い、上海に声をかける。
「上海、お茶を煎れて頂戴。」
すると、ドアがどんどんとノックされて声がした。
「アリス、いるか?」
魔理沙だ。アリスは教科書類の紙袋を置くと、扉を開けた。
「ええ、今帰ってきたところよ。」
魔理沙は紙袋を覗く。そして長い錫の杖を見た。
「あっちの世界では杖を使うのか。何とも不便な理論なんだな。面白い物はあったのか?」
アリスは返事する。
「ええ、子鬼を見たわ。銀行員なのだけれど、何だか滑稽だったわね。」
魔理沙は相槌を打って言う。
「ところで、いつから行くんだ?」
アリスは少し考えた後、手紙を取り出した。
「そうね、二日後かしら。一旦荷物を纏めて、紫がスキマで送ってくれるそうよ。ロンドンで宿泊するんですって。」
アリスは言うと、紅茶を一口飲んだ。
魔理沙は驚いているみたいね。
「そうなのか?随分と忙しいんだな。まあ、何か帰ってきたら土産でも買って来てくれ。じゃあな、本当はきのこを試してもらおうと思ったんだが。」
アリスは魔理沙を睨んだ。
どうして私が実験台にならないといけないのかしら。先にきのこの成分を確かめて欲しいわね。
魔理沙が帰ると、アリスは紅茶を飲み干して立ち上がった。
「さて、準備しましょうか。蓬莱、トランクを持って来て頂戴。」