二次創作小説(紙ほか)

計算の上での偽善者、ダンブルドア  ( No.4 )
日時: 2018/03/29 21:57
名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)

周りの景色が元に戻った。クレアレネッサはいつのまにか一人の老人の前に立たされている。あの圧迫感や回る景色、それにいきなり移り変わった場所にクレアレネッサは困惑した。おまけに酷い頭痛や吐き気、眩暈が襲ってきて真っ直ぐにも立っていられない。

「...校長。連れてきました。」
スネイプが言う。
「ご苦労じゃよ、セブルス。医務室に向かった方が良さそうじゃの。ポピーに連絡しておこう。」
老人が何かを言っている。

スネイプがお辞儀した。頭が回らない。クレアレネッサはあまりにも酷い眩暈に床に倒れ込んだ。足をひねったかもしれない。周りの景色がぼやけて見える。額に脂汗が浮かぶ。

何かが口に入り込んだ。毒を飲まされているのかもしれない。吐き出そうとしたのに、上手く行かなかった。
「珍しいくらい激しい魔力酔いじゃの。」
老人がまた何かを言った。

そのまま永遠と思うほど長い時間の後、やっと眩暈などの一連の症状が収まった。クレアレネッサは警戒心を高めながら立ち上がる。そのまままた倒れ込みそうになり、近くにあった椅子に掴まる。

「...何が、したいの?」
吐き気を抑えながらクレアレネッサは聞いた。老人の青い目と目が合う。
「セブルスの言った通り、入学勧誘じゃよ。」
老人はにこにこと人当たりの良さそうな笑みを浮かべた。
クレアレネッサは咄嗟にコートで隠したホルスターを確かめる。老人の笑みには裏がありそうな気がしたのだ。

「そんなに警戒せんでもよい。わしはアルバス・ダンブルドアじゃ。本当はもっと長いのじゃが、全て言っていると日が暮れてしまうからの。」
くだらないジョークだ。本気で言っているのだろうか。早く話を始めて欲しい。
「そんなに怖い顔をせんでも大丈夫じゃよ。さっきの眩暈は魔力酔いじゃ。セブルスは姿現しを使ってここに来てのう。見ての通り、魔法じゃ。魔法に慣れていないと眩暈や吐き気を起こすのじゃよ。」

意味が分からない。魔法?

「魔法の意味が分からんのじゃろう?とりあえず、信じてくれないかのう。信じて貰わん事には入学勧誘が進まんのじゃ。」

咄嗟に拒否の言葉が口から出た。クレアレネッサはほとんどの人が固まってしまいそうな鋭い目つきでダンブルドアを見た。

「信じるとでも?貴方は偽善者よ。計算した上で善を働いて、大人数を助けるためなら一人くらいは見捨てても良いと考えている。そうでしょう?」
ダンブルドアの顔が一瞬強張った。
「...それでも返すわけにはいかないのじゃよ。」