二次創作小説(紙ほか)
- 魔力の暴走 ( No.8 )
- 日時: 2018/03/30 10:41
- 名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)
何時間経ったのかも分からない程長い悪夢の体現が不意に終わった。目の前が段々と明るくなっていく。
何かの輪郭が動いていた。そのままぼやけていた輪郭がはっきりする。クレアレネッサは眩しさに目を細めた。
「意識が戻ったようですね。」
知らない女性が片手にゴブレットを持って言った。博物館のスタッフか何かだろうか。
ダンブルドア、マクゴナガルとスネイプが勢揃いしていた。クレアレネッサは身体を固くした。
また魔法で金縛りを掛けるつもりなの?
クレアレネッサは悪夢を思い出した。いつの間にかベッドに運び込まれていた様だ。ここはダンブルドアの言っていた医務室だろうか。
クレアレネッサはホルスター等が全て無くなり、患者衣になっている事に気が付いた。
「銃は、貴方たちが持っているのかしら?」
スネイプが苦い顔をする。マクゴナガルも顔を顰めた。
「意識が戻って一番に武器の心配をするんですか。その前に自分の心配をなさい。」
自分が姿現しとやらで塔まで運んだのが悪いのに、偉そうに。
「心配は無用よ。貴方たちが魔法を掛けなければね。」
クレアレネッサは上体を起こすと4人を冷たい目で一瞥した。
まずい事になった。武器が取り上げられているなんて。少なくとも今は逃げられない。クレアレネッサは大きく溜息をついた。
「入学勧誘は、人を誘拐してきて幽閉する事では無い筈よ。そもそも、私に入学する権利は無い。」
今まで通りの生活をしているので一杯なのに、これ以上学費なんか払えない。しかも入学すれば仕事が出来ないから更に学費が払えない。
「私は行方不明者って言う事になっているのに、見つかるじゃない。第一両親も居ないし一人暮らしで戸籍も無い。手続き辺りのややこしい事も出来ない。学費は払えない。これでも入学しろって言うの?」
マクゴナガルはてきぱきと説明する。
「奨学金制度が適用されれば、7年分の学費を半分払うだけで済みます。それに孤児の入学はこれまでにもありましたし、戸籍が無い児童の場合もそうです。偽名で入学する事も許可するそうです。」
どうしてそんなに入学させたいのだろう。どうしても入学させるつもりなら入学してすぐに途中退学した方が良いかもしれない。
クレアレネッサはうんざりした顔で髪を払いのけた。
「分かったわ、入学すれば良いんでしょう。正直に言って、魔法なんかを勉強する気には慣れないのだけれど。」
ダンブルドアは不思議そうに首を傾げた。
クレアレネッサは怒りを抑えるように手を握り締めて言った。
「今まで見た魔法を使えば、暗殺なんかせずに生きていけた。魔法が使えたとしても、喜べないと思うわ。」
クレアレネッサは言いながらきつく手を握り締める。血が手首に垂れた。
バン、と大きな音がして部屋の窓が割れる。カーテンがびりびりに裂け、ベッドや椅子が物凄い勢いで浮くと、クレアレネッサを中心に回転していた。