二次創作小説(紙ほか)

血の味と動揺 ( No.9 )
日時: 2018/03/30 14:59
名前: 未碧 (ID: eD.ykjg8)

ダンブルドアが杖を一振りすると壊れた窓や家具が全て元に戻った。

クレアレネッサは酷く動揺した様子で頬に走った長い傷跡をなぞっていた。爪痕が付いた手を開き、また固く握り締める。

クレアレネッサには気に掛けている事があった。彼女は密かに血の味を気に入っていた。だから手首に垂れた血を見た時、魔力が暴走して部屋が滅茶苦茶になっている事にも気が付かず目に見えて動揺していた。

「大丈夫かの。」
ダンブルドアが癪な程呑気な笑みを浮かべた。クレアレネッサは慌てて動揺を打ち消すと無表情になった。
「何の事かしら。」

ダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ以外の人物がゴブレットを掴み、急かすように言った。
「さあ、彼女は病み上がりなんですから早く。これを飲みなさい、ミス・ブランドン。」

入学させる相手に劇薬は飲ませないだろうと思うが、念のため香りを確かめる。
舌先に少しだけつけて確かめるが、物凄くまずい以外に何物でも無かった。そのまま一気に流し込むと、どこからか煙が出ているのが見えた。
「耳?」
耳から煙が出ている。思わず顔を歪めるとスネイプが口角を上げているのが見えた。
クレアレネッサは凍て付く様な視線でスネイプを一瞥すると、諦めた気分で毛布を被った。