二次創作小説(紙ほか)
- ホグワーツside 光の舞 ( No.7 )
- 日時: 2018/04/16 22:46
- 名前: アプフェルシュトゥーデル (ID: KpEq4Y5k)
浮かれ気味の生徒達と試合までに少しでも多くの知識を生徒に詰め込もうとする先生たちの攻防はとうとう終わった。四大魔法学校対抗試合がようやく始まるのだ。
エルナはその騒ぎを想像して憂鬱になったが、それでも楽しみな事には変わらなかった。何だかんだ言いながらエルナだって心待ちにしていたのだ。
「わしの目に狂いが無ければ2校がやって来たようじゃな。」
湖から巨大な潜水艦がせりあがって来た。分厚いコートを着た一団がぞろぞろと降りてくる。先頭の山羊のような髭の男がダンブルドアと抱き合った。
「久しいな、ダンブルドア。」
「これはこれは、イゴール。よく来てくれたのう。」
イゴール・カルカロフ。闇の魔術の専門家で元死喰い人だと噂されるドイツのダームストランク校長。エルナはカルカロフを見たが、彼はすぐに笑みを引っ込めた。
口は笑みを保っているけれど、目は全く笑っていないわ。
「ところで、クラムを暖かいところに入れてやってくれないか。」
「分かった、そうしよう。ボバートンも来た様じゃな。」
その時、誰かが空を指さしてあっと叫んだ。周りにざわめきが伝わり、ダンブルドアが空を見る。
空を翼の生えた馬の引く馬車が走って降りてくる。そのまま優雅に馬車が降り立つと、少年が馬車から出て来て足台を置く。
「ダンブリ、ドール、お久しぶり、で−す。」
きっと巨人の血が混ざっているのね。とても大きい人ね。
「こんにちは、エルナ。彼女、オリンペ・マクシームよ。魔法生物飼育学の専門家で有名なんですって。知ってる?」
ハーマイオニーが話しかけてきた。
「相変わらずお美しい、マダム。」
ダンブルドアのお世辞を聞き流しながらエルナはにっこりと微笑んだ。
「いいえ、知らなかったわ。天馬、素晴らしいわね。」
ハーマイオニーは目をきらきらと輝かせて頷く。
「天馬はホグワーツの魔法生物飼育学担当の者が責任をもって世話しよう。」
ダンブルドアが言った。
肌寒そうにして生徒たちが馬車から降りる。そんなに薄い生地の服では確かに寒そうね。
3校が大広間に集まったが、4校目の日本からの学校が来ていない。
「遠いから時間が掛かっているのかしら。」
ハーマイオニーが不安そうに呟く。
とりあえずボバートンのパフォーマンスが始まった。バレエの動きを織り交ぜた優雅なステップを踏んだ踊りは見事だ。エルナは時折細かく分析しながら踊りを楽しんだ。
次にダームストランクだ。荒々しいマーチ調の曲に揃った子気味良い動きと切れの良い踊りが披露され、時折爆竹のような火花が上がる。2校のパフォーマンスが終わってもまだ日本からは来た気配が無い。
すると不意に歓声が上がった。ダンブルドアが唖然としている。
空中に赤紫色のリボンが現れ、宇宙のような真っ黒い空間に赤紫の目玉が蠢く空間がすっと裂けた。中からは東洋人やフランス人らしき人など多種多様な様子の少女たちが現れる。
そのまま少女たちは3メートルはある上から何の躊躇いもなく飛び降りた。小さく悲鳴が上がるがなんと少女たちは杖を持った様子も無く浮遊していた。そのまま自由自在に空を動き回り、神秘的で妖しげな3次元の踊りが始まった。
ボブヘアの金髪の少女の周りでは色とりどりの人形がランタンを持って飛び回る。黒髪の東洋系の少女の近くを細長いまじないの様な者が書かれた札が発光しながら舞う。金髪金眼の少女は星形の光るよく分からない物体を自由自在に飛ばし、銀髪の少女はあちこちを瞬間移動を繰り返す。仕掛けが全く不明な手品も織り交ぜられている。どこか威厳のある少女は紅く光る槍をバトンの様に回す。呑気な顔の少女は氷と光のショーを見せていた。
みんな自由自在でばらばらなのに、物凄く素晴らしかった。エルナは圧倒的な差を感じる。