二次創作小説(紙ほか)
- 戦争の数年後 ( No.1 )
- 日時: 2018/05/06 10:44
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
黒の戦神と呼ばれていた青年はその寺を出ようとした。
「じゃあ俺は出ていくからな銀時」
彼は坂田銀時にそう言って背を向けた。
「本当に行っちまうのか?狂楽」
供華 狂楽(くげ きょうらく)、それが青年の名前だった。
「あの戦争は終わった。もうやるつもりも無いからな
もう解放されたんだ。俺は自由にやりたいことをやるさ」
「…変わらねえな」
◆
ある一軒家には一人の少女が住んでいる。
毛先が外にはねたショートの黒髪の少女だ。
彼女の名は巫女野 空絵。
「空絵、いるか?」
戸を自ら開けて中に入って来た青年。白髪に黒い瞳をした
少々焼けた肌の青年、高 友直(こうともなお)。
「友直さん!いつも来てくれてありがとう」
「礼はいらない。俺もアイツもお前の親代わりなんだからな」
空絵の両親はいない、友直はその両親に彼女を任されたのだ。
「…空絵、困ったことはないか?」
「ないよ。大丈夫、もう18歳だからね!」
空絵は歯を見せて笑った。
- 時間が経って ( No.2 )
- 日時: 2018/05/06 11:52
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
たまたま歩いていた空絵はある修羅場を見つけた。
数分前。
狂楽は妙を見て一言放った。
「き、綺麗…」
「え?そんな…でもありがとうございます」
「ちょっと待て!」
二人は声を出した男(ゴリラ)のほうを見た。
「(あの服…真撰組の)」
「お妙さんは渡さないぞ!決闘しろ、俺が勝ったら妙さんには
関わるな」
「ちょ、近藤さん「そこまで言うなら」」
狂楽の様子がおかしい。さっきまでとは打って変わり殺気が
籠っていた。
「刀を抜いたってことは覚悟があるんだよな?」
瞬間、目にも止まらなぬ速さで近藤に接近し長い刀を振り下ろした。
近藤もそれを刀で防ぐも…。
「なっ!?」
刀は無残に砕け散り、狂楽の刀は近藤の首筋に触れる。
「俺の…勝ちだな」
◆
その戦いを見て空絵は唖然としていた。刀ってそんな簡単に
砕けるのだろうか?
「空絵ちゃん?何してるのかな?」
驚いて後ろを振り向くと赤髪の青年が立っていた。
真選組の服を着ている。
「黎助さん」
山南黎助、真選組の第二副長の男だ。
「近藤さんを探してて空絵ちゃん来る?」
「え?」
二人は近藤たちの元に駆け寄った。
「山南!?どうしてここに」
「近藤さんを探してたんですよ。今日の分の仕事は終えました。
で、近藤さん。いつも言ってますがストーカーはやめて
あげてくださいね?妙さんが好きなのは自由ですがそこまでいくと
最早変態の部類に入ってしまいますから」
「おお、そうか。って後半は言わないで欲しかったんだが…」
「事実なので」
ガックリする近藤に止めを刺す山南。
「お、空絵。女らしくなったじゃねえか」
「久しぶりです狂楽さん!」
狂楽は刀を納め空絵を見た。癖っ毛は幼い頃と変わらず
だが彼女は変わった。昔よりも可愛らしくなった。
- 銀と黒、再会 ( No.3 )
- 日時: 2018/05/06 13:11
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「毎年ちゃんと墓参りはしてるんだな」
狂楽はそう言った。
「うん、罰当たりになるのは嫌だからね」
「空絵ちゃーん!」
空絵を呼んだのは新八(メガネ)神楽(ゲロイン)銀時(ニート侍)。
その三人だった。
「な、銀時!?」
「狂楽!?なんでここに」
「銀ちゃん、知り合いアルか?」
銀時は神楽の質問に頷いた。
「なんだ銀時、万事屋なんて始めたのか?」
二人の会話はどこか楽しそうだった。
二人は久しぶりの再会だったのだろう。
「空絵ちゃん、一人暮らし大丈夫アルか?」
「うん、無問題。友直さんとかも来てくれてるから」
「友直さんか。まぁあの人がいれば特に問題はなさそうだよね」
「お、最近は友直がお前の家に来てんのか」
狂楽は彼女の話を聞いていた。
「うん、色々助けてもらってるよ」
「成程な」
「そういえば狂楽、お前さ妙さんと結婚するのか?」
狂楽が石化した。
図星なのか?図星なのかぁ?
「冗談キツイぜ。惚れたのは事実だけど結婚しない」
「「(クソッ、リア充め)」」
銀時と神楽のその思いは新八と空絵も感じた。
「「(リア充…なのか?)」」
二人はそう思った。
- 目が合ったらバズーカとマヨネーズ ( No.4 )
- 日時: 2018/05/06 13:46
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
真選組のドS担当、沖田 総悟は道場を通りかかった。
中には今、人がいないはずだが風を切る音が聞こえた。
「…永倉、また鍛錬してるのか?」
短髪、頭に緑色の布を鉢巻のようにつけている男、
永倉 新一は竹刀を振るい剣術を練習していた。
「沖田さん?何見てるんですか?」
彼に声をかけたのは山南黎助だった。
特殊バカの集まり真選組の中で永倉と同じく常識人だ。
「成程、永倉が練習してるのを見たから…って」
山南は沖田の手にあるバズーカを見た。
完璧に殺る気だ。
「止めたら俺が狙われるんで止めません」
「分かってるな」
同時にバズーカが放たれた。永倉は手元にあった自身の刀を
手に取り弾丸を真っ二つに切り捨てて見せた。
普通なら突然のことで焦るのだが彼は冷静に対応した。
「ちょっと沖田さん!!?毎回毎回バズーカをぶっ放さないで
くださいよ!?ってか山南、お前この人止めろや!!」
「断る!俺が爆砕されても良いなら止めてやるけどな!」
◆
昼食が出され全員で食べ始める。
「って、土方さんのご飯、ソフトクリームにしか見えないん
ですけどぉぉぉ!?」
山南は同じ副長の土方のご飯を指差した。
そこには見事なソフトクリームが。
「何を失敬な、ソフトクリームなわけあるか!」
「山南」
近藤は静かに彼の名を呼び、山南は近藤のほうを見た。
近藤は満面の笑みで正論を語る。
「土方がマヨラーなのはいつものことじゃないか」
「そ、そうでしたね((笑」
「ちょっ!山南、茶碗がぁぁぁ「うわぁぁぁぁぁぁぁ
何してくれてんだマヨラー13!!?飯は食い終わってるけど」
喰い終わってるのかよ!!」
- 少年時に憧れる巨大ロボ ( No.5 )
- 日時: 2018/05/06 14:19
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「これで真選組を殲滅してやる!」
◆
晴れ晴れとした空の中。空絵は町を歩き回っていた。
「ん、友直さんと狂楽さん?」
団子を食べていた二人に空絵は声をかけた。
「おぉ、空絵か」
「どうもです。あのぉ…狂楽さんの団子が真っ赤なんですけど!?」
友直の団子は綺麗な三色(ピンク、白、緑)だが、
狂楽の団子は全て真っ赤になっていた。なんというか辛そうだ。
「あ、えっとな。唐辛子をかけてみたらやりすぎてこうなった」
「真顔で言うことでもないだろうけどな」
狂楽はその団子を空絵に差し出し「食べるか?」と聞いてくるが
空絵は首を振った。
「辛そうなのでやめときます」
ドシンッという音と共に辺りが暗くなってきた。
「「「な、なんじゃありゃああああああ!!!?」」」
「空絵、友直、狂楽、どうした!?」
銀時たちも走ってきた。
「銀さん、あれ!!」
新八が先に気付き指差した。
「「な、なんじゃありゃああああああ!!!?」」
男の子なら憧れたこともあるのではないだろうか?
そう空絵たちが見て同じ反応をしたのは巨大ロボットだったのだ。
『これで真選組殲滅だぁぁぁ!』
などという悪役のテンプレの言葉を言いながら何者かが操縦していた。
「銀時、さっきの声って」
「あぁ、おいヅラ!何してんだ!!?」
「(何を堂々とヅラなんて)」
「ヅラじゃない!桂だ!」
なるほど彼の名前は桂というらしい。
「桂って言ってるけどよぉ、ヅラもカツラも似たようなものじゃね?」
友直は呆れながらそう言った。
- 攘夷党vs真選組 ( No.6 )
- 日時: 2018/05/06 14:44
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「あ、ねぇあそこにいるのって」
ホントに人間か?と疑ってしまうほどの脚力で民家の屋根から
巨大ロボの両腕に乗り移り駆け上っていく。
「やぁやぁ、真選組ならすでにここにいるけど?」
『なっ、いつの間に!?』
「ついさっき、な!」
山南と永倉は同時に刀を振るった。
硬い鉄をいとも簡単に切り裂き、ロボが止まる。
「とりあえずロボットの機能停止完了だ」
ロボットに亀裂が走り、真っ二つに分かれた。
◆
「…桂小太郎、ねー。お前、俺たちでよかったな」
永倉は彼にそう言った。桂のほうは首を傾げる。
「真選組って結構キャラが濃い奴ばっかりでさ。ドS王子、
なんて呼ばれてる人もいるから」
「何はともあれ事は終えたな」
二人は刀を納め、元来た道を戻っていった。
- 隻腕剣士は美青年? ( No.7 )
- 日時: 2018/05/06 17:26
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「しかし空絵、なんでここで働くなんて言ったんだ?」
山南は両手で資料を抱える空絵にそう聞いた。
「私も仕事しないとな、っていうことで思い付いたのが
ここだった」
「成程、ホントに真面目で仕事熱心だな」
「山南、空絵!」
突然、飛んできた永倉が早口で二人の名前を呼んだ。
「どうしたんだ?慌てて」
「仕事は一旦中断して道場に来い!真選組全員だってよ」
山南と空絵は顔を見合わせ資料を置き、駆け足で
後に着いていく。
そこにはすでに自分たち以外の真選組全員が揃っていて
前には土方と水色の髪をした青年が正座していた。
「(カッコイイ)」
女子として空絵が一番初めに思ったことだった。
長い髪を結っていて青色の服を着ている。彼には左腕がなかった。
「三人とも座れ。これから試合を始めるんだ」
近藤はそう説明した。
「あの相手は…?」
「伊庭 七郎(いばしちろう)、だってさ」
近くに座っていた沖田がそう言った。
七郎と土方が立ち上がり構えた。
「それでは…始め!」
その合図で二人は同時に竹刀を振るった。
七郎は隻腕で土方と互角に渡り合っていた。
「(隻腕でここまで強いのか!?コイツ、相当の手慣れだな)」
「…流石、副長なだけあります。速度が私と桁違いです」
「褒め言葉は有難くもらっておく。だが七郎、お前の力も
凄いと思うぜ?隻腕でここまでやれるとは俺は思ってなかった。
だがなぜここに来て俺に勝負を?」
最もな質問だ。
「…どこまで通用するか試したかっただけです」
七郎は竹刀を引っ込めた。
「(居合の体勢か)」
その居合を土方は捌き、首に竹刀を当てた。
「やめ!土方の勝利」
- 江戸っ子美青年剣士 ( No.8 )
- 日時: 2018/05/06 18:08
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
七郎はすぐに土方に一礼した。
「やっぱり強いですね。俺如きでは相手にもならなそうです」
「そうか?俺は強いと思うが。少し仕事で出てる永倉も
剣術が強いんだ。手合わせをお願いするといいぞ」
七郎は唖然としていた。
彼をゴr…近藤は彼の肩を掴んだ。
「たまにここに来い。毎回、とは言わないから」
「…そうですね。たまに来ますね」
「よぉしじゃあ七郎、今夜はここに泊まっていけ」
近藤の放った言葉に全員が驚いた。
「いいんですか!?近藤さん」
「今日は、な。もちろん空絵も」
「私も!?」
◆
夜、月を眺める七郎に空絵は話しかけた。
「七郎さん?」
「ッ!確か空絵ちゃん、だったかな?」
「はい、どうしたんですか?月を眺めて」
「いや、見てただけだよ。空絵ちゃん、一人暮らしかい?」
その話し方に空絵は少し驚いた。
「あのその喋り方って」
「話し方?こっちが俺の喋り方さ、驚いたかい?」
「いいえ、大丈夫です。後さっきの質問、私は一人暮らしを
していますよ」
空絵はそう答えた。
「両親に会いに行ったりはもちろんするのかい?」
「まぁ…お墓参りに」
七郎は目を見開いた。
「お墓…ってことぁ、両親は死んじまったってことか…。
悪いこと聞いたな。俺も同じだ、戦争で両親を失っちまったし、
戦いで腕も斬られたんだァ」
七郎は右手で斬られた部分に触れた。
「…でもさっきの剣術すごかったです!速くて、なんか
凄く綺麗でした」
「そうかい。そう言ってもらえると有難いねぇ」
- 墓参り、お世話になりました ( No.9 )
- 日時: 2018/05/06 18:32
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「伊庭」
「…沖田さん、何か御用でもあるのかィ?」
沖田はニヤニヤと笑っていた。
「なんでも」
◆
後日、空絵は家に帰って来た。
その夜。
墓場に彼女は足を運んだ。友直も同行して、だ。
夜に女一人、出歩いていれば何に巻き込まれるか
分かったもんじゃないという理由で。
「…両親の墓参りか?」
青白い光のランタンを持った黄色の瞳をした青年が幽霊のように
現れた。
墓守の霊山だ。
「はい」
「行ってきな。先客がいる」
そう言われ、墓に行くと三人の男がいた。
「沖田さんたち」
「あれ?空絵ちゃんかい?」
沖田と土方、そして近藤がいた。
「両親の墓参りをしてくれたんですね」
「あぁ、俺たちもお世話になってたからな」
全員が手を合わせた。