二次創作小説(紙ほか)
- 第1訓 髪の色なんて関係ない ( No.1 )
- 日時: 2018/06/11 20:50
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「来てやったぞ〜千尋ー」
銀時は千尋が住む家の戸を開きそう声を上げた。
だが返事は一つもない。
「可笑しいですね。いつもなら返事ぐらい来るのに」
「いないアルか?」
新八と神楽は見える範囲にいないことを確認する。
綺麗に片付けられている。流石としか言いようがないのかどうか。
「千尋ちゃんは出かけてるよ?銀」
銀時のことを『銀』と呼ぶ人物。後ろを振り返ると
夜色の髪をした青年がいた。
「小松、いたのか」
小松帯透(こまつたいとう)だ。
「うん、まぁ少し前だけどね。その時に千尋ちゃんが
出かけるって言ってたから…両親を失ったとは思えないよね」
小松は目を細め微笑む。その微笑みが悲しそうに見えた。
「千尋ちゃん、どこ行ったんですか?」
「さぁ?僕もそれは知らないよ。聞けばよかったって少し
後悔してる」
「まぁ元気なのは良いことじゃね?こんなところで引きこもりに
なられても面倒だし」
◆
「最近暑いな」
服の袖を捲り手で扇ぐ一人の男が呟いた。
「そうですね。ハァ、こんなときに仕事なんて…。山南さん
俺の仕事全部やってくれません?」
山南悠助、真選組第二の副長で常識人である。そのことは
誰もが分かっており究極のアホ集団の中でもかなり人気だ。
暑がる二人の胸にひんやりとした物が触れる。
「お、千尋ちゃんじゃないか。こんな暑い日にどうしたんだ?」
「これ、どうぞ」
彼女が渡したのはラムネだった。ひんやりとしていたので
買ったばかりなのだろう。
「いいのか?」
「うん、私も持ってるから」
千尋はラムネを見せた。
「…ありがとう千尋ちゃん」
千尋がいなくなった後、山南はラムネを一口飲んだ。
「不思議だな…」
山南はそう呟いた。
「何がですか?惚れちゃったんですか彼女に」
ニヤニヤ笑いながら沖田は山南に迫る。
「暑いから離れろ、惚れてもねえよ。年の差考えろ。
両親が死んだことショックなのにあんなに元気で…
嬉しいだけだ」
- 第2訓 過去と変わらないところもある ( No.2 )
- 日時: 2018/06/11 21:09
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
万事屋銀ちゃん、今日そこには千尋に加え銀時にとっては
懐かしい友人が訪れていた。
茶色の髪に紺色の和服を着た男、久坂玄紀だ。
「銀ちゃんの友人アルか?」
「あぁ、昔のだけどな。それと久しぶりだな久坂」
銀時は久坂にそう言った。
「そうだな。お?その子が銀時の知り合い?」
久坂の興味は銀時から千尋に移った。
「あぁ、ほら千尋。挨拶しとけ」
「え?うん。えっと花咲 千尋です」
久坂は微笑み彼女に「よろしく」といった。
「そういえば久坂、この辺に住むことにしたってホントか?」
「うん、気に入ったから」
千尋が帰った後、少し真剣になり彼女に起きたことを
彼に話した。
「…そっか。彼女には両親がいないのか。だから銀時たちが
彼女を世話したり?」
「まぁ僕たちだけじゃないですけど。真選組とかも彼女のことを
世話してます」
「じゃあ俺もたまには相手してあげなきゃな。大人として、さ」
久坂はそう言って照れくさそうに笑った。
「相変わらず変わらないな」
「そうか?」
『相手してあげなきゃな。先輩として』
そんな言葉を昔の久坂から銀時は聞いたことがあった。
- 第3訓 完璧なんていない! ( No.3 )
- 日時: 2018/06/13 18:49
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
数人の侍たちが一人の男に同時に斬りかかった。
「ふっ!」
隻腕の男はそのひと振りで全員を倒して見せた。
不意打ちも彼、伊庭一郎の前では意味を為さなかった。
◆
「あ、の〜…なんで僕まで?」
水色の髪をした若い男、伊庭一郎は先を歩く近藤と土方に
そう聞いた。
「用心棒だよ用心棒、ほらさっさと行くぞ」
近藤たちにはある人物に出会ってしまうんじゃないかという
気持ちが伊庭には少し嫌な予感が過っていた。
◆
一方、銀時たちは先代の将軍である徳川定定に嵌められ牢屋にいた。
「まさかアンタまでいるとはね、千尋」
沖田は牢屋にいる千尋を見てそう言った。千尋は片手を頭の後ろに
回し苦笑した。
「いやぁ私まで借り出されるとは思ってなくて。この歳で牢屋
デビューなんて」
そのうち彼も消え代わりにそよがやってきた。
彼女は語り始めた、伝説の花魁の話を…。
「あ、そよちゃーん。それ取ってそれ!」
千尋は牢屋越しに指差した。彼女はそこに落ちていた鍵を
拾った。
同時に扉が開き見知った顔の人物が現れる。
「処刑は早朝だって…ほらよ。そよ様、そこ牢屋を開けてやんな」
山南は顎を使い牢屋を示した。
彼も抱えていた武器等を全て渡した。
「お前らは子どもまでこんな戦いに巻き込むのか?」
「違います。頼まれて決めたのは私です。自分で決めたことに
今頃後悔したって意味はないでしょ?」
千尋はそよの手を握った。
「私の方が少し年上、私にはお姫様を守る義務がある!」
「千尋ちゃん…!」
「おーい、二人とも行くぞ!」
銀時に呼ばれ二人は真選組の人々の間を駆け抜けた。
- 第4訓 女の子の泣き顔より強い顔はない ( No.4 )
- 日時: 2018/06/13 19:01
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「おらおらぁ!!道開けるアルゥゥゥゥゥゥゥ!!」
女性とは思えないヤバい顔で神楽は集団にそう叫んだ。
なんチュー顔!?
「道を開けなきゃこの子を殺す」
「うぇぇぇぇぇん!!?どうしてわだぢがこんな目にぃぃぃぃ!!??」
「(さよちゃん、演技上手いな〜)」
「面倒だから…こうする」
見回り組の信女は刀で彼女を斬った。
「「ちょっ!?やりすぎだろいくら何でもォォォォ!!?」」
新八と千尋は同時に叫んだ。
まぁ彼女らの演技でこの場を切り抜け先へ進むことができた。
問題はここからだった。
「やりましたね!」
「そうだね。さよちゃんの演技、すごく上手だった」
さよを斬ったと思った?ところがどっこい斬ってないんだな。
「それを言っている暇はない。わっちらは行かなきゃ行けないんだ。
早く行くぞ」
月輪に言われ二人も後に続いた。
同じように手を繋いで…。
「(大丈夫…)」
「(大丈夫…)」
「(みんながいるから…)」
「(みんながいるから…)」
二人は前を向きみんなの背中についていった。
- 第5訓良いタイミングで登場する仲間 ( No.5 )
- 日時: 2018/06/18 17:25
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「まずはこの門をどうにかしないと…」
全員が上を見上げる。
そこには大きな門が堂々と立っていた。
さすが、将軍様の城だ。
「大丈夫じゃない?たぶん」
千尋は呑気そうに呟く。
何が?と全員が思うが、すぐに吹き飛んだ。
大砲が発射され門が崩れた。
「道は開けたからな、お前ら」
声がした方には青みがかった短髪の
青年で服は近藤たちと同じ服。
「松原!?」
松原忠世、山南悠助に並び親切者だ。
「近藤さんたちに頼まれてな。ドカンと
一発撃っ手やれってな」
原田は悪戯っぽく笑った。
「さてと…ここは意地でも通さないぜ」
突然、男達が倒れた。
「ナイスだ、伊庭」
伊庭と千尋はアイコンタクトをし、千尋は
走り出す。
「伊庭、手伝え。千尋なら大丈夫だ」
「…そうですね」
- 第6訓大事なことは本人が知っていない場合もある ( No.6 )
- 日時: 2018/06/16 16:15
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「天照院奈落?何それ?」
天照院奈落、その言葉を聞き千尋は首を傾げた。
事実、彼女は聞いたことがなかった。
「暗殺集団だ」
月詠は彼女にそう説明した。
「は、はぁ…なんとなく分かったと思う」
なんとも曖昧な返事をした。
銀時と戦っている男、朧と千尋は目が合う。
——花咲千尋か。
そう呟いたように見えた。
◆
「無事か?千尋ちゃん、そよ様」
山南は倒れた男たちの真ん中から二人の近くに寄って来た。
数十人は倒したらしく疲労が顔に見えた。
「や、山南様!!手当てをしなければ!」
さよは自身のハンカチを取り出そうとするも山南がそれを
止めた。
「このぐらいで俺は死にませんよ。それにそんなに綺麗な
ハンカチを血で汚すわけにはいかないから…」
「そこにいるのは?」
声のしたほうを見るとそこには見知った顔が。
「ッ!?茂茂様!」
「(将軍かよォォォ!!)」
そよの兄で現・将軍、徳川茂茂がいた。
「全員、武器を置け!」
流石は将軍、全員を従わせた。
「あっちも決着がついたみたいだな」
山南は目を細めて笑った。
「おぉ、彼女が花咲の娘の千尋か?」
茂茂はさよたちにそう聞いた。
「えぇ…私を守ってくれた人の一人です」
「そうか。余の代わりに妹を守ってくれてありがとう。
花咲の娘」
将軍に礼を言われ千尋は少し照れた。
ここまで誇れることはないと思う。
◆
その翌日の裏。
定定を殺した第三者がいた。
「その人、殺しちゃって大丈夫なのか?高杉」
白い紐で長い黒髪を結った青年が彼の名を口にした。
「大丈夫さ。それとやっぱり来てくれたんだな游作」
蒼姫游作(あおきゆうさく)、彼は高杉たちに協力していた。
「にしても、あんな娘が游作の探し人だったとはな」
「勿論だ。花咲千尋…花咲家の娘さ」
- 第7訓花が咲く花咲家の花崎 ( No.7 )
- 日時: 2018/06/16 17:22
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
花咲家、そう書かれた墓の前には数人が立っていた。
銀時たちと真選組、そして千尋、全員が線香をあげ
手を合わせた。
「よーし、これで墓参り完了だな」
「ふぇ〜〜暑くて溶けそう〜〜」
千尋は手で自身を扇いだ。風は全く吹いていないし日照りが
強い。
「これも千尋の両親の力か?墓参りに来る日はいつも
晴れてるし」
土方の言葉に全員が頷いた。
◆
茂茂は驚いた。
「ッ!?」
「大丈夫?将軍様」
猿飛あやめは将軍の暗殺を防いだ。
「あ、あぁ…」
この暗殺から将軍は命を狙われることとなる。
◇
「将軍さ、まぁぁぁぁぁ!!!?」
彼はギリギリ転ぶ寸前、どうにか立て直した。
「は、花咲」
黒髪の男の名を花咲千歳。女のような名前の男、茂茂の
家臣の一人でありマブダチである。
「へへっ!驚かそうと思ったんだけどな、失敗した」
「お前、妻はどうしたんだ?」
「千弦ちゃんのことか?仕事が優先だ、仕事が」
女みたいな名前で虐められていて、それでも友達思いで
優しく誠実な男、彼の笑顔は娘に受け継がれた。
娘、母・千弦の千と父・千歳の千、そして引き継ぐ、繰り返すを
意味する尋で千尋に託された。