二次創作小説(紙ほか)
- 第12訓他の場所で必ずフラグ乙 ( No.12 )
- 日時: 2018/06/18 17:43
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「きゃあっ!?」
さよはある船の上で悲鳴を上げた。
辺りには生々しい死体がたくさん転がっていた。
「君がお姫様か。見つからないと思ったらそんなところに
隠れてたんだね」
彼女を囲んでいたのはたくさんの夜兎族。
そのうちには神威も含まれていた。
「いやぁ、さよ様!探しましたよ」
上から一人の男が飛び降りさよに目線を合わせるように
屈んだ。
「ま、松原!?」
「俺だけじゃない」
松原は親指で後ろを指差した。
そこには数人の夜兎を倒し息を吐く沖田が前に
立っていた。
「松原!姫様のこと頼んだぞ後、こぼれたのも任せた」
「人使いが荒いな。そこは嘘でもここは俺に任せろって
言うもんだぜ?」
二人は同時に笑い沖田はそのまま刀を握り突っ込んでいく。
「原田様!どうか私に構わず沖田様のほうへ!」
「行かねえよさよ様。あのな将軍様も狙われてるってのに
姫様も守れないようじゃ親切者の名が、真選組の名が
廃るってもんだ」
松原は口に溜まった血を吹き出し前を見た。
カバーできない人数もかなりいてどちらも押され気味だった。
「(なんだ?急に攻撃が止んだ)っ!?」
大量に血を流したせいで彼は突然倒れた。
「し、しっかりしてください松原様!松原様」
「おう。安心してくれよ、さよ様。生きてるから」
さよは松原を手当てした。
「…俺はさよ様のことを頼まれてんだ。ここで死ぬか」
「ま、松原様(ドカーンッ」
近くの壁に沖田が投げ飛ばされた。
同時に船が崩れてきた。
「残念、すごく楽しいところなのに」
「何言ってんだ団長。一旦退くぞ」
夜兎たちが消えそこにはさよたちが残された。
- 第13訓敵を呼ぶなら餌になれ ( No.13 )
- 日時: 2018/06/18 18:50
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
今、銀時たちは囮をしていた。
自分たちが将軍に化けて敵を誘い込む、というものだったが…。
「っだ〜〜何だよ。折角ここまでしたのに全然敵が来ねえじゃねえか」
「オラオラァ!もっと団子持ってくるアル」
「神楽ちゃん、ホントよく食べるね。ってこっちもか…」
全員の視線が大柄な男のほうへ向いた。
「いつ持参したんだよ…島田」
土方は呆れながら彼にそう言った。
彼の名は島田魁(しまがさきがけ)、怪力の持ち主であり
見ての通り大柄で甘党。
「へ?いつも何も今だけど?」
「食べ過ぎ!ってかあれ?山南さんは?」
千尋は辺りを見た。ここまでの間、山南悠助の姿は
見ていなかった。
「サンナンは別の仕事だ」
山南をサンナン通り呼ぶ人物は一人しかいない。
栗色の短髪に白い鉢巻を巻いた男、永倉新哉。
「そうだったんだ」
「「「敵さん出てこーい!!!」」」
銀時、神楽、新八はそう叫んだ。
「千尋、アイツらは馬鹿なのか?何普通に敵呼んでんだよ」
「私が知るわけない」
永倉の質問に千尋は溜息を吐いて答えた。
「おーい本気で来てるぞ奴さん」
「千尋あんまり離れんなよ!」
「分かってる」
◆
別の場所で…。
「山南さん、これって…」
山崎は山南に数枚の紙を渡した。
「これは…千弦さんと千歳さんが書いた手紙?」
「その二人って…千尋ちゃんの両親!?」
その手紙にはそれぞれ誰宛てか書かれていた。
勿論その中には山崎や山南の名前もあった。
【山南さんへ
千尋がお世話になっています。私たちがいない間、千尋は
どうですか?迷惑をかけていませんか?
暇なとき良ければ千尋の相手をしてあげてください。
どうか貴方たちだけは長生きしていますように…。
千弦】
「…山南さん」
「大丈夫、行こう」
- 第14訓本物はどっちか分からない ( No.14 )
- 日時: 2018/06/18 19:12
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「どりゃああああ!!!」
襲ってくる忍たちをズバズバ倒していく。
「向こうも忍を使ってきたみたいね」
「あやめさん!」
猿飛あやめはそう言いながら敵を倒す。
「そういえば千尋は戦闘手段なんてあるのか?」
「あるっちゃあるけど…」
千尋はすぐに身を屈めた。
真上を刀が通り過ぎまた一人、敵が倒れた。
「避けることに関しては流石だな、千尋」
「褒めてるん…だよね?土方さん」
二人はそう言い笑った。
「やはりこの忍を指揮していたのは貴方たちだったのね。
百地乱破、藤林鎧門」
あやめは二人の名前を呼んだ。
「まさかこんなところに子どももいたとは…ぐふっ」
藤林は突然血を吐き出した。
彼の急所にクナイが刺さっていた。
「百地、貴様!!」
「おーなんて美味しい場面」
「残念だがここで終わりだ。すまないな、だけどこの百地乱破の
首はお前には取れぬ」
包帯の人物の手首や足首が銃口に変わりレーザーが放たれた。
「って…」
「「本体そっちかいぃぃィィィ!!!!」」
銀時と千尋が叫んだ言葉は辺りに響いた。
- 第15訓怪我に気を付けてと言われても ( No.15 )
- 日時: 2018/06/19 19:25
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
伊賀、そこに将軍と百地らはいた。
「一先ず安心だな」
百地はそう言った。
「そういえば将軍様以外にも姫様のほうは大丈夫なんですか?」
新八は近藤たちに聞いた。
将軍が狙われるのだから彼女が狙われても可笑しくない。
「あぁ、無事らしいぜ。しかも無傷」
島田はそう言って茶を啜った。
「さっき松原から連絡があってな、姫様を守り切ったって」
全員がホッと胸を撫でおろした。
◆
別の場所、真選組本部内。
「松原様、他に痛いところはありませんか?」
さよはほとんど松原に付きっきりで手当てをしていた。
そこまでされると松原も照れ臭かった。
「特にはないですよ。沖田さんも無事みたいだし…。
何より姫様が無事でよかった」
「本当です」
声がしたほうを見るとそこには山崎と山南、隊士たちがいた。
「あ、ヤマナミ先生!無理はなさらないでください!」
山崎や山南の部下たちがフラ付く彼を支える。
「山南殿!?そのお怪我は!!早く手当てをしなければ…!!」
六転舞蔵は急いで救急箱を取りに行った。
「山崎、じいさんに付き添ってやんな。こんな物騒だから
一人で行かせるな」
「了解です」
二人がいなくなった後、松原は山南から話を聞いた。
「蒼姫…游作?それは本当ですか!?」
「あ、うん。まんまとやられたよ、彼の短刀の使い方、
並の使い方じゃない。しっかり急所を突いていた。
これがなかったら食い込んでたしね」
彼は上着を脱ぎ粉々になった胸当てを見せた。
- 第16訓からくりは上手く使えば兵器になる ( No.16 )
- 日時: 2018/06/19 20:40
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「どうやらここに気が付いたらしい」
百地は少し目を鋭くさせた。
「やっぱり奴さん耳が早いな」
「俺たちで逃げるぞ…しょ「将軍様は殺させないってね!」
それ…俺の台詞だぞ千尋」
銀時は千尋に台詞を取られ少し不服そうだが気を取り直した。
◆
将軍・徳川茂茂、銀時、神楽、新八、千尋は廊下を駆けていた。
茂茂は外を心配そうに見ながら走っていた。
「外を心配する暇があるなら脚を動かせ!将軍」
銀時はそう声をかけた。
ついさっき彼の耳にもさよが無事であることが届いた。
「余はこんなのうのうと生きていていいのだろうか…」
「心配いらないよ将軍様。私たちや永倉さんたち真選組が
何のためにここまでしてると思ってるの?
貴方は死んだ仲間の分まで生きなきゃ、そうでなきゃ
将軍失格だよ?」
千尋は走りながら微笑んだ。彼も微笑み返した。
突然、銀時たちが足を止めた。
彼らの武器ですぐに察した。
「銀ちゃんヤバいネ!コイツら…」
銀時は視線を下に降ろした。
「一か八か…将軍様、掴まってろよ!」
「まさか…」
そうそのまさかである。
「ほわあああああああ!!!!」
千尋の悲鳴が辺りに響いた。
「走れェぇぇぇ!!!」
通り過ぎたすぐあと、壁に4つの穴が開き顔が見えた。
島田、永倉、近藤、土方の4人だった。
「よし!タイミングはバッチリだったな」
- 第17訓怖い人は必ずいる ( No.17 )
- 日時: 2018/06/21 21:09
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
今、現在銀時らは森の中を走っていた。
「ここは足場こそ良くないし敵も潜伏しやすい。けど追ってきた敵を
撒くには丁度いいだろ」
「流石永倉さん!」
全員が逸れず森を抜けることができた。そこには一本の橋が
掛かっていた。
大人数で行けば大きく揺れ最悪、橋が壊れるだろう。
「あ、百地さんだ!」
千尋は彼女に手を振った。彼女も千尋に気付き彼女に手を振って
返した。
「この先に私たちしか知らない抜け道がある。お前たちは
先に行け」
「そんなの危ないアル!」
神楽はそう言った。
「なら俺たちが残る。島田、お前も残れ」
近藤と土方、そして島田が百地と共にそこに残ることに。
銀時、神楽、新八、千尋、永倉は百地の言う場所を目指した。
百地により橋を渡り切った後、橋は二つに分けられた。
◆
「この先だな。急ぐぞ」
全員が頷き合い先を急いだ。この先には摩利支天の像が立ててあり
その先が里の抜け道のようになっているらしい。
「あれ?この像、元の位置から動いてるみたいだけど…」
「あ!もしかするとさっちゃんさんが…」
「一理あるな」
永倉がすぐ刀を横に振るった。
「春雨さんが間に合ってよかった」
千尋は恐ろしいモノを見た。彼女だけでなく全員が…。
「な、なんで…夜兎いすぎでしょ!?」
「おーい千尋、逃げれるか?」
銀時はそう質問した。
「いやいやいや!!無茶ぶりだから!」
「面倒くせえ。神威、何で俺たちであんな弱小娘を相手するんだ…」
弱小、という言葉に千尋は少しカチンと来たが事実なので
否定できなかった。
「だって俺の戦いを邪魔されたくないし…水月と神霧だって
そうでしょ?」
そう神威が聞いた頃にはすでに二人は千尋の前に立っていた。
水月は千尋から見てすぐ思ったのは女性みたい、ということだ。
彼は髪が割と長い。自分の背丈と同じくらいの鉄扇を持っている。
「(あ、なんだ鉄扇か。一瞬ハリセンに見えた)」
神霧は水月とは違い随分と明るく見える。
水月と千尋の間にはピリピリとした空気が漂っていた。
- 第18訓約束は必ず守れるかは分からない ( No.18 )
- 日時: 2018/06/21 21:25
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「高杉…やっぱりか」
銀時はそう言った。
彼を見た後、すぐにこう声をかけた。
「新八、神楽、永倉、千尋!!行くぞォォォォォォォ!!」
『おう!!』
全員が同時に動いた。
それも全員が別々の方向に。
「千尋」
永倉は千尋の名前を叫んだ。
「俺はコイツらをどうにかするから助けてやれない。だから…」
「大丈夫!」
千尋は力強くそう言った。
「無理をする気もないし、絶対生きるから!」
「ッ!?あぁ」
千尋の言葉を聞き永倉は集団の中へ走り込んでいった。
それを千尋は見てすぐ前を向いた。
「…?殺さないんですか?」
「?」
水月は首を傾げた。
「だって可笑しいじゃないですか。貴方たちぐらいなら人間、
それもまだ子どもの私を殺すことぐらい簡単でしょ?」
「は?簡単に殺してもつまらないじゃねえか。それじゃ
卑怯だろ?数発ぐらい受けてやらないとな…ってことだろ?
団長」
夢月は水月を団長と呼んだ。それは事実以外何モノでもなかった。
それで千尋は自身の予想以上だと感じた。
「私の人生、15年それも今日で終わりそうなんだけど…
こんな人たち相手にどうすればいいんだあああああああああ!!!?」
そんな声が辺りに木霊した。
- 第19訓仲間が来るタイミングは遅れることもある ( No.19 )
- 日時: 2018/06/22 21:41
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「チッ!」
永倉はこの数に舌打ちした。
早約10分が経ったがまだ数が減ったようには感じなかった。
「永倉さん!」
「新八、将軍様を!」
永倉は何が何でも将軍を優先させた。
彼にとっては仕事の方が最優先だったからだ。
「将軍様、一つ言わせてくれ」
「…何だ?」
片膝をついて彼は口を開いた。
「俺たちがここまでやる意味を考えろよ」
◆
夜兎によく似た種族がいた。
種族のほとんど戦闘狂であり怪力だという。
夜兎が月の兎なら彼らは秋の兎、秋兎だという。
「ってのが俺たちのことだな」
「なるほどー…って申し訳ないけど私が不利だということは
変わりそうもないわ」
夢月の丁寧な説明を聞いて危険度が変わるわけがなかった。
その説明を聞いている間に水月のほうは近くの木に背を当て
眠りについていた。
「おーい水月…クソッ起きそうもないな。みっちゃ〜ん」
水月がすぐに右手を振り上げ夢月を殴り飛ばした。
彼は何本もの木々を薙ぎ倒してやっと止まった。
「起きてる。みっちゃんと呼ぶな」
その怪力と夢月の回復力の高さに千尋は舌を巻いた。
「ッ!?」
水月は振り向きざまに大きな鉄扇を振るった。金属同士がぶつかる音が
した。
「なるほどな。お前も真選組、か?」
千尋の前に立ったのは体中に包帯を巻いた男、山南悠助だった。
「山南さん、大丈夫なんですか!?そんな体で…」
「ん?あぁ、大丈夫だよ。俺よりもっと重傷な人も
近くにいるし」
山南はそう言うなり千尋の両肩に手を置き屈んだ。
真上を鉄扇が通り過ぎる。
「…アイツの言う通りホントに人間ってのはぁ、脆い玩具だな」
「確かにお前らにとっては玩具だろうけど。その子どもに
一撃喰らわせられるのはどこの誰かな?」
大きく跳躍し振り上げた本の角で水月の脳天を殴りつけた
千尋。
「だ、団長!ハァ、言わんこっちゃねえ」
水月は俯きざまに笑みを零した。
顔を上げると同時に山南の腹を鉄扇で殴り付けた。
「ちょっ、山南さ—「おっと行かせると思うか?」」
千尋の襟首を掴みひょいと彼女を夢月は持ち上げた。
それも片手で軽々と。
- 第20訓敵は別の敵に狙われてたりする ( No.20 )
- 日時: 2018/06/22 22:04
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「あ、オイ馬鹿!暴れんな!!」
足を振り上げ勢いをつける。ブランコを漕ぐように千尋は
動き回っていた。
「暴れないでとか言ったらもっと暴れるけど!?
当たり前じゃん!!拉致られたら何が何でも逃げるもん!」
「馬鹿か!?俺たちは良散ってねえよ」
「じゃあわいせつ!?こんな女子を弄ぼうとした強制わいせつ!?
余計逃げるのを頑張るよ!?」
そんなことを口にしていく彼女に仕方ないと夢月は首を
掴んだ。
「よし、これで暴れないな。暴れたら分かるだろ?」
「ここで、死んで…たまるか!!」
彼女の言葉に少し二人は動揺した。
「(マジで言ってんのかコイツ。勝てねえくせに…
死ぬのも怖くないってか?)」
「(威勢は良いが、震えてるな。だけどなぜアイツは
諦めない?)」
二人は幾度も戦争に参加してきた。
二人を恐れる人々は勝利を諦め死を確信し気力が失せていった。
だが千尋は何が何でも逃げようとしている。
「面白いな」
水月は掌で彼女の右頬を思い切り引っ叩いた。
それだけで彼女の体は地面に何バウンドかし放り投げられた。
彼女は右頬を抑えた。
「イッテテテ、親にも殴られたことないのに…」
「威勢は良いがやはり同じか。だがその威勢は面白いな」
千尋の胸倉を水月は掴み地面に叩きつけた。
それは彼女の意識を刈り取るには十分だった。
「…」
「あーあ、割とあっという間でしたね〜」
「予想はしてただろ?」
「まあね」
「夢月、あの山南とかいう奴は?」
「あーそいつは…」
夢月は片手で彼の顔面を鷲掴みした。
「邪魔しないでくれよー?会話の」
「千尋ちゃんに…何をしたんだ?まぁ予想はできてるけど…
この代償は結構重いですよ?」
「大…丈夫です。山南さん!!」
「なっ!?しまっ——」
同時に周囲から行脚僧のような服装をした男たちが現れた。
「どうやら俺たちは嵌められてたらしい」
- 第21訓倒れたと思ったら倒れてない生命力 ( No.21 )
- 日時: 2018/06/23 15:05
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「服装的に相手は天照院奈落、かな?消えたと思ったんだけど…
とりあえず」
山南は刀を横に振るい敵を薙ぎ払った。
水月や夢月たちも襲い掛かってくる敵を確実に倒していった。
「…大丈夫だろうけどやっぱり心配だなー…」
「千尋ちゃん、多分無事だよ銀時はね」
「話してるところ悪いが離す暇があるなら手足動かせ」
水月はそう言った。
千尋はそれを聞き真っ先に出口へ走っていった。
が、山南は彼女についていかなかった。
「…いいのかよ、アイツ死んじまうぜ?」
「死なないよ千尋ちゃんは。それにこの辺にはすでに
真選組が集まってきているし…君たちは捕まらないように
する方が良いんじゃない?」
「ばっ!余計なお世話だ!」
◆
森を抜けるとそこには倒れている二人がいた。
「銀さん!」
辺りに人の気配は無し。
それが分かって彼女はホッとした。
二人とも出血量が多いが大丈夫そうだ。
「千尋ちゃん!!」
神楽や新八たちが全員集合した。
「無事アルか?」
「とりあえずね、それに…味方になってくれたみたい」
森から出てきたのは山南と水月、夢月だった。
「っと!そんな身構えんなよ、特に夜兎を相手にするなんて…
それにその銀髪男が死んでもいいのか。それに100%味方に
なったわけじゃねえよ」
「あれ?コイツら秋兎族アルか?」
神楽は二人を指差した。
「神楽ちゃん知ってるの?」
「夜兎族同等の戦闘力を持つ種族。大昔に夜兎と戦争をして
降参した。だけど夜兎同等ぐらいの怪力を持つ…
だったはずだ」
神楽の代わりに説明した人物のほうを全員が見た。
首の辺りまで包帯を巻かれた松原がそこに立っていた。
隣には傷だらけの島田たちも。
「松原、それに島田や近藤さんたちも…」
「よぉお互い無事だったみたいだな」
- 第22訓努力しても報われない時だってある ( No.22 )
- 日時: 2018/06/23 17:06
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
後日…悲報が全国で流された。
徳川茂茂の死——。
「‥‥‥」
そして彼女の手にはある紙があった。
それもこの前出会った秋兎からのモノだった。
◆
「水月…ホントにあんなので千尋って奴は来るのかよ?
結構賢そうに見えたぜアイツは」
神霧は両手を頭の後ろに回し上を見上げそう言った。
「来るだろ。多分だから彼女が来たら誰もこの部屋に来るな、
緊急時以外」
『了解しました!』
全員がそう声を出した。
その中で水月は聞き逃さなかった。
「オイお前か?今、舌打ちした奴は…」
全員の背筋に冷や汗が流れ出す。全員の中にはもちろん神霧も。
水月はその部下を強制的に立たせた。
そして右の拳を振り上げる。
「へぶっ!?」
部下の顔面に彼の拳がめり込みドアの近くまで吹き飛ぶ。
立とうとするも水月が素早く馬乗りになり顔面を何度も殴り付けた。
「ふ、副長…止めたほうがいいのでは」
「そりゃあ分かってるがよ…お前らも口には気をつけろよ。
千尋って奴から聞いたが地球には口は災いの門とかいう
言葉があるらしいからな…」
彼の怒りに触れた相手は無事では済まない、例え部下であってもだ。
そしてそれを止めることができる人物がいるとしたら神霧ぐらい
だろう。
「あ、の〜〜〜〜…」
扉越しに申し訳なさそうな声がした。
水月は気を失った部下を他の部下に任せその場には水月と
神霧だけが残った。
「ちょっとこの扉重くない!?全く動かないんだけど!?
ビクともしないんだけど!!」
神霧は少し溜息を吐いて扉を開けた。
「さ、流石です…」
「何が流石です、だよ。まぁお前じゃ地球人程度の力じゃ
重くて開けられないか。でもお前、よく来たよな…。
普通罠かも、とか思わねえのかよ」
「その時はその時、臨機応変に対応するまでだから」
「花咲千尋、こっちに来い。席は用意してある、とびっきりのな」
水月は少し微笑んだ。嘲笑ではない心からの笑みだった。
- 第23訓ちょっかいも程々に ( No.23 )
- 日時: 2018/06/24 10:28
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「うお〜〜〜!!すごい桜も咲いてるんだね!!」
窓からは綺麗な満月と桜が咲いていた。
その景色を千尋は眺めていた。
「そういえばよ千尋は母さんとかいるんだよな?」
「え?いないよ?」
「は?いやいやちょっと待て!ってこたぁ、両親は死んだのか?」
「まあね。詳しくは私も知らないけど」
さっきまでの顔は一気に暗くなった。
「なぁみっちゃ——ぐぉッ!!」
みっちゃんと呼ぼうとした神霧の顎に水月のアッパーが入り
神霧は天井にめり込んだ。
「ひょえ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「安心しろ。神霧はああ見えても堅い。すぐ戻ってくる」
「それお前が言うか?」
天井の近くにある棒(手摺?)に片手だけで捕まっていた神霧は
そこから飛び降りた。
「俺たち秋兎族は夜兎族よりかは少し戦闘では弱いかも
知れないが回復力はこっちのほうが圧倒的に上なんだよ。
って前説明したような気がしたんだけど…まぁいっか」
刹那、重たい扉が丸ごとこちらに飛んできて千尋は目を伏せた。
目を開けると粉々の扉が床に。そして神霧は突き出した拳を
引っ込めた。
「何事だよ。随分と派手な登場だな、殺人僧侶共」
同時に千尋が念のためと持ち歩いていた携帯が鳴った。
銀時からだ。
「はいもしも『千尋、テメェどこにいるんだ!!』どこって…
水月さんたちのところ、だけど…」
二人が天照院奈落を相手している間に二人は連絡し合っていた。
『お前、そいつらと仲良くなったのか!?ならとりあえず手を貸せ!
人手が必要なんだ!場所は黒縄島だ、良いな!?』
「あ、え!!」
連絡が切れた。
一方の水月たちのほうも手間取っていたが退けることが
できるたらしい。
傷はないが服が所々破けていた。
「はぁ、面倒臭かったぜ。アイツら人数ばっか多くてよ。
で、どうしたんだ真剣な顔して」
「…二人にお願いがあるんだけど」
千尋は彼らにさっきの連絡で分かったことを説明した。
- 第24訓笑いの基本はテンプレ ( No.24 )
- 日時: 2018/06/24 11:04
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「…へぇ黒縄島にいる仲間を助けるために手を貸してほしい、か。
どうするよ?水月」
水月は着替える手を止めた。
「…手は貸す」
「へぇ、意外だな。てっきり断ると思った。どうしたんだよ
一体全体」
◆
そのまま三人は地球へ戻っていた。
疲れたのか千尋は伏せて眠っていた。神霧は彼女に近くにあった
自身も上着をかけた。
「なんかよぉ、ここには女なんて一人もいなかったし関わった
こともなかったし…でも結構楽しかったよな。結構良い奴だし。
なんか…あんな小せえのに母さんもいねえとか辛いだろうな」
「…面倒事は神霧に任せる」
「はぁ!?お前もやれよ!それどういう虐めだコラァ!!」
「黙れ」
「ぐぁっ!?」
神霧に水月は強めの腹パンをし強制的に黙らせた。
あまりの威力に神霧は腹を抱えその場に蹲った。
「あの…大丈夫?」
「ってて…いつものことだからな。って起きてたのか千尋」
「うん、神霧さんが殴られた辺りから、かな?」
「なら丁度良い…お前ら二人でちゃっちゃと行ってこい」
床が突然開き浮遊感に襲われそのまま真下へ落ちていった。
「いやァァァァァ〜〜〜〜〜!!!!」
- 第25訓朝日が昇り一日が始まる ( No.25 )
- 日時: 2018/06/24 11:35
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「ッ、あれが黒縄島!?」
眼をショボショボさせながら千尋はそう言った。
今、彼女は神霧に抱きしめられていた。
「あれかー、じゃああそこで戦ってんのが万事屋か?」
「ず、随分と楽しそうですね…神霧さん」
彼は下の様子を見てニヤニヤと笑っていた。
「当たり前だろ?俺も戦闘は好きなんだよ」
「(やっぱりそういうのは変わらないんだ…)」
「ほら地面が近くなってきたし構えとけよ」
その刹那、地面にクレーターを作り二人は地面に降りたった。
「千尋ちゃん!?それに確か君は…」
「すごいアル千尋ちゃん!」
真選組も万事屋も全員傷だらけで満身創痍といった感じだった。
「…ここは一つ取引しようぜ?真選組」
歩きながら神霧そう言った。
「俺は最大限お前らを助ける。戦闘面で俺は結構役に立つと
思うぜ?その代わり、お前らはどうやら俺たちをまだ敵視してる
みてえだからな。仲良くしようってことだ」
「…俺は賛成ですかね」
副長である山南は土方と共に賛成した。
「今、この場では敵に狙われている。ならこっちにも
手数は必要です。それも夜兎に続く戦闘種族である
秋兎族である彼が仲間になってくれるならこちらとしても
利益はある…近藤さん、どうしますか?」
近藤は少し唸った。だが少しして答えを出す。
「分かった。神霧さんだったか?俺たちに協力してくれ」
「いやぁ話が早くてたすかるぜ」
素早く拳を突き出し、辺り一面を吹き飛ばした。
「丁度やりたかったんだよな!コイツらを!」
「(コイツ凄い血の匂いがするネ。幾度も戦場を駆けてきたって
こと…)」
神霧は真っ直ぐ進んでいき邪魔する敵を全て倒して見せた。
◆
島を抜け、真選組の戦艦に乗り全員が江戸へ戻る。
丁度の頃で日の出が上がった。
その場所では真選組と信女が日の出に向かって敬礼していた。