二次創作小説(紙ほか)
- その1 主人公以外からスタートするのもアリかも ( No.1 )
- 日時: 2018/08/17 18:52
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
千葉早苗の母、伊月は軍医をしていた。そんな彼女の元に
一人の少年が運び込まれた。彼は早苗と関わることになる
伊庭七郎という。
「この怪我…」
彼の腕は治療などできないほどまでだった。
「(この怪我、もう腕を切断するしか。でも麻酔も何もない)
そういえば貴方、怪我は痛くないの?」
伊月は伊庭にそう聞いた。彼は顔色一つ変えず首を横に
振った。
「大丈夫です。切断する必要があるなら切断してください」
そう彼は言い放った。麻酔も何もない、危ないと伊月が
言っても彼は意志を曲げなかった。伊月は溜息を吐き
準備を始める。
「痛いけどごめんなさいね…」
そう言って彼の左腕を切り落とした。激痛のあまり悲鳴を上げるのでは
泣いてしまうのでは下手したショック死してしまうのでは?そんな
不安は消し飛んだ。彼は痛がらなかったのだ。
「あ、貴方、大丈夫?麻酔も無しで…本当にごめんなさいね麻酔が
切れてしまってて…」
「あの大丈夫ですよ」
「そう…よかったわ。私、貴方よりも年下の娘がいるの。私は
軍医だからきっといつか死んでしまう。だから——」
◆
そして現在。
「へぇ…伊庭さんの治療をしたのがお母さんだったんだね。
麻酔無しでよく切られて痛がらなかったよね。私は無理だよ」
「あはは、僕もなんで痛くなかったのか分からないよ」
なんて伊庭は笑いながら話した。笑い事じゃないでしょと早苗は
心の中で呟いた。
- その2 大丈夫って言ってる人が先にやられる ( No.2 )
- 日時: 2018/08/18 17:30
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「お嬢ちゃん、夜に歩いてると」
男は紅色の刀を抜いた。お嬢ちゃん、とは恐らく
早苗の事だろう。早苗の心拍数がどんどん上がっていく。
その刀が今、振り下ろされた。
「お前さん、何者だい?」
亜麻色の髪を一つに結った伊庭が刀を弾いていた。
「さぁ?何者に見える?人斬りさん」
「い、伊庭さん!?どうして」
早苗は伊庭の左腕の袖を掴んだ。そこにはやはり腕はなかった。
早苗は何かを察し、少し下がった。
目にもとまらぬ速さで二人の刀が動いた。
「お前、なるほど…噂で聞いた隻腕の剣士に会えるなんてね」
少し楽しそうに彼は話した。伊庭は少し警戒する。
「その刀…その刀を使ってはいけない何故、貴方がそんな
妖刀を手にしてるんだ!?」
「それは言えないねぇ。刀が君の血を欲している」
男の太刀筋がどんどん速くなっていく。
男の刀が止まると伊庭は地面を踏み切り跳躍し刀を上から
下に振り下ろした。それは躱されたが即座に横に振るい男の
頬に一筋の傷ができる。
「流石だねぇ。でも怪我、大丈夫かい?」
「ッ!?」
伊庭の左肩を妖刀が貫いた。それだけでなくいつの間にか頬に
掠り傷が出来ていた。
「七郎!!」
一人の男が走ってきて伊庭を刺した男に斬りかかる。
「ぎ、銀さん!?」
「銀さん、なんでここに来た!?」
「俺もアイツを追ってたんだよ。七郎はちゃっちゃと早苗を
連れて帰れ。酷い傷じゃねえか」
銀時にそう言われ大人しく引き下がった。そこに早苗は伊庭を連れて
自宅へと向かった。
早苗の家、救急箱から色々取り出し伊庭の手当てを早苗はしていた。
「伊庭さん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、このぐらいはね。にしても早苗も手当てが
上手いねぇお母さんにも負けないんじゃないかな?」
- その3 辻斬り要注意 ( No.3 )
- 日時: 2018/08/24 10:59
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「旦那、助けに来ましたよ」
傷だらけの銀時にそう声をかけたのは沖田総悟だった。
もう一人、沖田よりも少し背が低く色白の隊士がいた。
彼はもう一人の副長である山南黎助である。
「見つけましたよ、辻斬りの犯人。随分と物騒な刀を
持っているようですね」
「やり合っても良いんだがねぇ、今日はこのぐらいにしておくよ」
辻斬りは暗闇に消えていった。
銀時は新八に肩を借り立ち上がった。
「旦那も辻斬り、妖刀を追ってたんですかい」
「仕事だ仕事」
「仕事熱心なのは良いことですけど、気を付けてくださいよ。
銀時さん、今回は辻斬りを相手にしてたんですから」
山南の言葉は説教じみていた。だが顔立ちがあれなので
気迫というものがあまり感じられなかった。
「じゃあぼくたちは帰らせてもらいますね。お大事に。
沖田さん、このことを報告しに行きましょう」
「へい」
二人もまた暗闇に消えていった。
真選組道場内。素振りをしている近藤に土方、沖田、山南はそれぞれ
分かったことを報告した。
「トシ、鬼兵隊について調べてくれ」
「分かってる。後、近藤さん、素振りは裸でやらなくていいんですよ」
「…そんなんだから妙さんにストーカーなんて呼ばれるんですよ」
山南が放った言葉が彼の心に突き刺さった。
- その4 来てほしくないときに来るもの ( No.4 )
- 日時: 2018/08/24 15:25
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
鬼兵隊の居所を掴んだ真選組は銀時たちよりも
一歩早く駆け付けていた。
「近藤さん、アンタはここにいてください」
「?総悟?」
船で待っていてほしいと言われ疑問を持った。
「ここから先、死んでも可笑しくない。アンタが死んだら
この先、誰が真選組を引っ張っていくんだってことですよね?
沖田さん」
沖田が真意を言う前に山南が先に言った。そういうことか、と
近藤は相槌を打った。
「でもそうはいかないな。決めているんだ、絶対に俺は
真選組を守ると」
「…そうですかい。じゃあ行きますか!」
近藤が四人の中で先陣を切ったと思いきや。
「あああああれええええ!!!」
「こ、近藤さぁぁぁぁん!!!?」
船と船の隙間から近藤は真っ逆さまに落ちていく。
「(近藤さん、どうかご無事で)」
そう願うしかなかった。
「と、とにかく乗り込もう。無事であることを信じて」
「そ、そうだな。山南の言う通りだな」
意見がまとまり三人は乗り込んでいった。
「どうやら見つからずに済んだみたいだね」
先に隠れて侵入していた早苗と伊庭は新八と神楽と合流した。
神楽に案内され見つけたのは怪しい実験室のような場所だった。
「…妖刀、紅桜の戦闘記録…僕との戦い、銀さんとの戦いの
記録も載ってるね。これをもとに進化させていたということかな」
「紅桜は戦闘すればするほど強くなるって刀さ。そっちの兄ちゃんの
推理が正しいってことだ」
いつの間にか敵が三人も集まっていた。そのうちの白髪の青年は
夜兎だとすぐ分かった。
「ははは、冗談じゃない。夜兎までいるなんて…」
「ね、ねぇその夜兎ってどんな種族なの?」
「神楽も夜兎だってことは分かるけど」と早苗は付け足す。
「戦闘種族、彼らの特徴としては白い肌と番傘で全員が大食いで
怪力を持っているんだ。だからなるべく戦闘は」
刀を横に振るう。小さな音を立て真っ二つにされた銃弾は
落下した。
「避けたいんだよね」
- その5 バシッと成敗! ( No.5 )
- 日時: 2018/08/24 18:27
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
青年、名を陸斗という。彼の番傘を伊庭は刀で受け止めていた。
隻腕である伊庭のほうが不利なのだが彼は陸斗の攻撃を受け止めたのだ。
「そこまで手は抜いてないんだがな」
「何してんすか!陸斗さん!!早くそんな奴、押しつぶしちゃってください」
また子は発砲しながらそう声を発した。面倒くさそうに陸斗は
頭を掻き片手を握り伊庭に一発拳を突き出した。
「カハッ!!?」
壁にぶつかり咽返る。
「「伊庭さん!!」」
「また子、俺、この戦い終わったら出てくからよろしく」
「はぁぁぁぁぁ!!!?」
と、同時に何かが天井を破壊して降りてきた。
「オイオイ…」
「…紅桜に取り込まれたな」
「七郎、早苗、神楽、新八!!お前ら先に真選組と行ってろ!!」
止めようとする神楽を落ち着かせ四人は上へ向かった。
****
翌週。
「…紅桜も消えて鬼兵隊も退けることができた。一件落着、だね」
伊庭はそう呟いた。
「銀さんも無事でよかった。桂さんに感謝ですね!」
早苗は全員がとりあえず無事でよかった。紅桜に取り込まれた
似蔵はどうなったか分からない。でもこれを通して反省してほしい
というのが本心である。