二次創作小説(紙ほか)

一触即発の人里 ( No.1 )
日時: 2018/08/20 21:03
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

博麗神社に半人半妖である青年、幻魔天騎が訪れていた。
慧音からの伝言だと言って人里の現状を話した。
「そこまで喧嘩してんのか、人里の住民は」
魔理沙は呆れ気味にそう言った。だが人里だけではないのだ。
守矢神社へ続く道の途中で、時には妖怪同士が口喧嘩していた。
「零夜のところにも喧嘩していない人間たちが頼み込んでると
思うぜ?多分ここにアイツが…な?」
天騎が指差した方向から彼の予想通り天都零夜が歩いてきた。
「霊夢、少し手を貸してくれないか?」
「異変だって言うの?」
零夜が頷くと霊夢は長い溜息を吐いて仕方なさそうに零夜に
ついていった。
 ****
「じゃあ萃香、教えてもらうぜ?異変の黒幕、両面宿儺のことをな」
守矢神社内で萃香と響樹、那岐は向かい合っていた。
那岐は正座だが響樹は胡坐を掻いている。
「まぁ両面宿儺ってのは鬼神の一種さ。昔、私や勇儀で
コテンパンに倒したんだよ」
両面宿儺、名を宿儺凶阿すくなきょうあは山の四天王に挑んでいき
倒された。どうやら彼は鬼の中では浮いていて萃香や勇儀を
倒して見返してやろうと考えていたらしい。
「…異変が成功し更に博麗の巫女も倒せば見返すことができる、とでも
考えたのかねぇ…」
「確実だね」

「あ!そういえば聞いたことあるよ。人間を殺そうとした人が
いたらしくてその人が殺そうとした人の額から角が生えて虐殺
されたって話」
萃香はそれを聞いて驚く。
「…凶阿かもしれないね。アイツは角を隠し理性的な性格の
一面<表>を持ち、好戦的で恐ろしい鬼の一面<裏>を持つ」
「もしかすると霊夢や零夜たちがすでに動いてるかもな」
響樹は冗談交じりでそう言った。萃香がサッと立ち上がる。
「ダメだ!二人は強いけど危なすぎる!すぐに私たちも行こう!
二人ともついてきてくれ、恐らくアイツはあそこに」


二面の鬼神 ( No.2 )
日時: 2018/08/20 21:28
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

「お前が博麗の巫女だよな」
零夜と魔理沙と霊夢の前に炎のような赤髪の青年が
姿を現した。背も高くがっしりとした体格の青年だ。
「ちょっとそこ退いてくれるかしら?私たち今、異変の首謀者を
探してるのよ。邪魔すんなら容赦しないわよ」
「大人しく道を通したほうが身のためだぜ?」
霊夢と魔理沙の言葉を聞き彼は少し口元を歪める。
「てことは3対1ってことかー…楽しめそうだな。ついでに
博麗の巫女の首を討ちとれば…」
「お前、何て言うんだ?何のために霊夢の首を討ちとろうとするんだ?」
「宿儺凶阿、理由なんて必要ねえ。俺は首を取る、それだけだ!」
凶阿の額から二本の角が生え彼の拳が霊夢に向けて放たれる。
霊夢は避けられないと判断し、すぐに結界を張った。だが結界は
無残に散っていった。
「嘘だろ!!霊夢の結界だぜ!?」
「甘ェんだよ!!こんな結界はなぁ!!」

「そうはさせないぞ」
その場から消え零夜は凶阿の背後に回り蹴りを放った。その蹴りは
見事凶阿の鳩尾に入ったが凶阿はびくともしなかった。
「人間なんて所詮この程度…鬼の力、見せてやるよ。立ち上がれない
威力を受けろ!!」
凶阿の蹴りは零夜の何倍もの速度で放たれ零夜の体が吹き飛んだ。
「ぐ、ガハッ…」
「「零夜!!」」
霊夢と魔理沙が零夜の名前を呼ぶ。
「終わりだ」

霊夢と魔理沙、二人の前に何重もの結界が現れた。霊力ではない、
魔力の壁だ。
「間に合ったな、3分の2は」
「に、兄ちゃん!!それに萃香と那岐まで」
凶阿は萃香を睨んだ。二人の視線がぶつかり空気が重くなる。
「久し振りだね凶阿。霊夢の首は取らせはしないよ?」
「はっ、博麗の巫女なんざどうでもいいんだよ。テメェの首さえ
取れれば良いんだ。だから死ね!伊吹萃香ァァァァ!!」
二人がぶつかり、木々が何本もへし折れる音がした。


解決、反省 ( No.3 )
日時: 2018/08/20 21:49
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

萃香と凶阿の激しい殴り合いが続く。
「あの萃香と互角…か」
零夜は凶阿を見て呟いた。だが少しずつ凶阿が押されてきた。
殴り合いが終わり二人の息は荒く、凶阿はフラフラとしていた。
気絶寸前、といったところだろうか。
「アンタの負けだよ凶阿。いい加減にしときな」
「う、うるせぇ…ここで、負けたら…また弱くなっちまう…
だからこれだけはぁ…」
萃香の正拳突きが凶阿に刺さった。凶阿は腹を抱えて蹲る。
「グゥゥ…イタイ、クルシイ、死んじまう!!死んじまう!!」
「これに懲りたらふざけた真似はしないことだ」
「ま、待て!!…まだ…」
そこで凶阿の意識は消えた。
 ****
目を覚ましたのは永遠亭のベッドだった。心配そうな顔をした
萃香やその他、零夜たちが彼の顔を覗き込んでいた。
「な、何だよ…お前ら…今になって俺に罰を与えようってか?」
「オイオイ俺たちはそんな畜生になった覚えはないぞ?」
ベッドに潜り凶阿は目を閉じた。
「凶阿」
「何だよ」
「…今日、博麗神社で宴会があるってさ。久しぶりに私や勇儀と
酒でも飲もう。待ってるからな」
「…覚えてたらな」

宴会で覗く太陽 ( No.4 )
日時: 2018/08/21 09:08
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

曇り空の中、博麗神社は賑やかだ。勿論、賑やかなのは宴会だからだ。
「そういえば霊夢も兄さんっているのか?魔理沙の兄、響樹のことは
知ってるが…」
零夜はその話を霊夢に振った。霊夢は少し手を止めた。
「まぁいるわよ」
「あら、霊夢。勾時のことが心配かしら?」
紫が突然現れ霊夢の頬を突く。霊夢の頬が少し赤くなる。
「う、うるさいわね!!心配なんて…まぁ、少しは…」
「全く素直じゃないんだから」
周りで騒いでいた魔理沙たちが驚いて言葉を失った。
紫は少し微笑み、霊夢は目を見開き、零夜はキョトンとする。
「久し振りに帰って来たぞ霊夢」
「に、兄さん…!!?」
霊夢が嬉しそうに言った。焦げ茶の短髪で右手首に霊夢のリボンと
同じ色のバンドを付けている。

「俺は天都零夜、アンタは?霊夢の兄さんみたいだが」
「博麗勾時、よろしく零夜」
二人が握手を交わす。
「霊夢は怠け癖があるから大変な作業は仕方なく勾時にお願い
しているのよ」
紫は酒を一口飲む。
勾時は霊夢とは違い面倒くさがらない性格だろうとすぐに
分かった。
「お、永琳の予想通り日が出てきたな」
空からは太陽の光が射しこんでいた。
「天照大神が隠れ真夏にも関わらず太陽が隠れた。だから宴会を
しようって話になったんだ。それに多分来てくれるさ」

鳥居のほうから長い黒髪に白地に赤や黄色を使った模様が描かれた
和服の女性が歩いてきた。
「勾時さん」
「ぐおっ!!?馬鹿、抱き着くな!!変に誤解されることをするな!!」
和服の女性は勾時から離れて隣に座った。
「ま、まさかその人が…」
「天照大神!!?」
那岐の言葉に彼女、天照は頷いた。
「えぇ私が正真正銘、天照大神です」

蘇る記憶、終わる宴会 ( No.5 )
日時: 2018/08/21 19:40
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

幻想郷に彼、天都零夜が入った際、彼の記憶が消えた。
理由は特にないが天照が消したらしい。
「って、理由がねえと納得できねえぞ?」
「だ、だって私は…弟である貴方に幸せになってほしかったんです。
人間は宴会や祭りなどをたくさんしますから、ね?零夜、貴方だって
今の生活も楽しいでしょう?」
天照は悪戯っぽく笑った。零夜も少し照れながら頷く。
零夜の正体、それは須佐之男命という神だという。
「お、零夜、照れてるのか!?」
「ば、馬鹿!!」
魔理沙の言葉に本気で否定する零夜を見て天照は微笑む。

「さて、私は帰るとします。また会う時があれば会いましょう。
楽しみにしていますね零夜」
天照がどこかへ消えてから宴会は幕を閉じた。

宴会が終わり普通の賑やかな日常が始まる。


 第一部END