二次創作小説(紙ほか)
- 尸魂界 ( No.1 )
- 日時: 2018/09/08 15:41
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
黒い死覇装と呼ばれる服、斬魄刀と呼ばれる刀、その二つの特徴は
死神に当てはまる。一般的に黒いローブ、骸骨、大鎌などが
死神だと考えられているがそれは恐らく想像だろう。なぜなら今、
十朱命は死神になっているのだから。
「あの竜牙さん、今って私たち何処に向かってるんですか?」
黒い短髪と瞳をした青年に話しかけた。彼はミコトとは違い
袖のない背中に漢数字の六と書かれた白羽織を身に着けている。
彼の名は朽木竜牙、護廷十三隊の六番隊隊長なのだ。
「尸魂界、これでも隊長だからな顔、出しておかねえと色々あるんだ」
竜牙は面倒くさそうに頭を掻いた。
尸魂界に到着し門を潜りやってきたとある場所で一人の女性が
天狗並みの速さで駆けてきた。
「たーいーちょぉォォォォォ!!貴方って人は何度言えば分かるんですか!
帰って来たと思ったらいつの間にか消えてたり、時間は守らずフラフラ!
仕事も忘れずにやってるんでしょうね!?」
桃色の髪の女性に叱られ竜牙はどんどん押されていた。
この女性、実は彼の姉や母なのではないかと思えてしまうほどだ。
「って、あら?彼女は誰?」
「あー人間兼死神、十朱命だ」
女性は頷いた。
「私は六番隊副隊長、如月双葉よ。よろしく」
「悪ィな双葉、まぁ仕事はちゃんとやってっから許してくれ。これから
善処するからよ」
「むぅ…まぁいいでしょう今回は。その言葉、忘れませんからね!」
そう言われ竜牙はもう一度、双葉に謝罪した。
隊長がだらしない分、副隊長がしっかり者ということでバランスが
取れているのか。
「そうだ、俺コイツにここを案内してくる」
「え、あ、ちょっと!…もう全く自由な隊長ね」
二人の背中を見ながら双葉はそう呟いた。
幼い頃、両親を失い一人ぼっちだった双葉を拾った人物、それが
朽木竜牙だった。自由な性格で本当に隊長なのかと思うこともあるが
彼が隊長ならこの隊は良い場所になるだろうと感じる。
- 悪戯も程々に ( No.2 )
- 日時: 2018/09/08 17:56
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
街並みは現世とあまり変わらない。強いて言えばビルなどがほとんど
無いことぐらいだ。
「なぁミコトって、いとこいるだろ?どんな奴なんだ?」
「え?えーと…優しい人、かな」
ミコトは話した。竜牙はそのまま受け流した。
「いいなぁ優しい奴か〜…俺の家族にはいねえな〜…両親が
いなくなって自由になってから双葉を拾ったんだったな」
「拾った?双葉さんって捨てられてたの?」
「正確には捨てられてたんじゃなくて孤児院にいたんだよ。両親が
いなくなっちまってから孤独だったんだよ」
竜牙の表情が少し沈んでいるように見える。ミコトの体が穴に落ち
竜牙の体が傾く。
「な、何事だよ…」
「なんて古典的な…ってか結構深く掘られてるみたいなんですけど」
ミコトの体がすっぽりと穴に嵌っていた。竜牙はこんな悪戯を
する人物に心当たりがある。
「イタッ!」
金髪の女性が声を上げ額を抑えた。彼女の前には赤い髪に
半開きの目をした青年がいた。彼が彼女にデコピンをしたのだろう。
「凪咲ちゃん、赤の他人に悪戯するたぁな〜?次はデコピンじゃなくて
拳が飛んでくるぞぉ」
「ひ、ひょえ〜〜ご、ごめんなさい!!」
「あ、ち、ちょっと先に出してくれませんか!?思いのほか深すぎて
自力で出られないんですけど!!?」
竜牙は手を伸ばしミコトを引っ張り上げる。穴から出たミコトは
息を吐いて地面に座り込んだ。
「うぅごめんなさい!」
「あ、いや別に大丈夫ですよ。私が注意してなかっただけですし」
「こんにちは竜牙隊長」
「ん?おーやっぱり竜胆と凪咲だったか!偶然だな」
赤髪の青年が十番隊隊長の竜胆鈴兎、金髪の女性が青井凪咲という。
「すまないなぁ凪咲の悪戯で迷惑かけちまって…コイツには
俺からちゃんと言っとくから」
「あ、あははホントにごめんなさい…」
凪咲は苦笑してからすぐしょんぼりと頭を下げた。
「凪咲、悪戯も程々にしておかねーと卍解されちまうからな」
「そ、それだけは避けられるよう頑張ります!!」
- 十三番隊が揃うとき ( No.3 )
- 日時: 2018/09/08 22:03
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
竜牙が隊長で集合が掛けられたためミコトは双葉のもとで大人しく
している。
****
そこには隊長たちが全員揃っていた。
一番隊隊長 音江理玖
二番隊〃黒見信也
三番隊〃倉野因幡
四番隊〃鏡千歳
五番隊〃神楽坂優羽
六番隊〃朽木竜牙
七番隊〃白銀ルキ
八番隊〃月見姫香
九番隊〃道影冬華
十番隊〃竜胆鈴兎
十一番隊〃一宮剣八
十二番隊〃藤原夕陽
十三番隊〃明院月久
これから重要な話し合いが行われようとした
- 夜の遭遇 ( No.4 )
- 日時: 2018/09/09 11:20
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
現・総隊長、夜咲焔という男は数少ない竜牙の過去を知る人物だ。
焔side
破面の登場、そして俺たちのコピー…厄介だな。
死神代行・十朱命、歴史にも載っていた事件に似ているな。
朽木竜牙…彼も昔の性格が消え明るく前向きになった。
実験体だった頃とは違う。彼はその実験の被験者であり
すでに身体能力も化け物染みているが彼はやっとその身体能力を
制御することができたようだ。
彼も気になるが今はミコトに興味が湧いた。
「総隊長、報告が」
「理玖、どうした」
****
現世。
家でゴロゴロしているミコトはぼんやり自室の天井を見上げていた。
死神たちとも仲良くなり、あることを教えられた。
破面という存在のことだ。中でも十刃のメンバーは戦闘力が
とても高いという。
夜になりミコトは黒の死覇装を身に着け外に出た。
「ミコト?お前、休んでいいんだぞ今日ぐらい」
竜牙はミコトを見るなりそう言った。
「ありがとう竜牙さん、でも大丈夫です!それに破面がこの辺りに
よく表れてるんでしょ?私はここを護りたいから」
「…そっか。じゃあもう俺は口出しできねえな!」
手を腰に当て彼は笑った。
どうやら彼の他にも尸魂界から死神が来るらしい。
「…どうやら奴さんがきたみたいだぜ」
「へ?何処?何処?」
竜牙は斬魄刀を抜いた。
「俺もこれから手一杯になるからな。後は勘でどうにかしろ」
「あ、ちょっと!!テキトーすぎるよ!!」
ミコトの言葉に耳を貸さず何処かへ消えてしまう。
彼を追うのは諦め言われた通り直感で刀を振るった。何かに斬魄刀
「慧眼慧剣」の刃を掴まれた。それも素手で掴んでいたのだ。
その男の右側の脇腹には孔があり、右目の部分には仮面がある。
それは正しく破面の特徴そっくりだった。
男は十刃の一人、第10十刃レイド・グラディアという。
- 余裕を崩すために ( No.5 )
- 日時: 2018/09/09 11:54
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「うへぇ、素手で刀を掴むって…」
「このぐらいじゃ俺を斬ることはできないぜ?死神」
レイドはミコトを見据え笑った。
なったばかり戦闘経験も少ないミコトが勝つのは難しいだろう。
「そらよ!」
レイドは刀を掴んだままミコトを投げ飛ばした。ミコトの体は
空に留まり彼女は息を吐いた。
気を抜いたら負ける、少しも気を抜けない。余裕もないに
等しい。
「真理を明かせ、慧眼慧剣!」
刀の刀身が黒から白色に変わった。色が変わっただけに感じるが
使い手であるミコトの霊力がさっきより高くなった。
「霊力は上がったみたいだな。でも戦闘慣れもしてねえみたいだな?
それに本来はただの人間だろう?それも女と来れば脆い体だろうな」
ほとんど言い当てた。戦闘なんて経験少ないし、死神の姿は
してるが人間、もとよりミコトは運動が嫌いで体力も
少ない方だ。十刃であるレイドならミコトを殺すことなんて
容易いことだろう。
「まぁそりゃあ私だって戦いなんて嫌ですよ。動き鈍いし
運動もできないし、体力はないし、勉強もほとんどできないし、
足引っ張ってばかりだし…でも私はここを退くことはできない、
この戦いから逃げることもできない、そんなことする気は
ありません」
刀の切っ先をレイドのほうに向けた。
「…へぇ。こう見えて俺は寛容なんだ、だから利き手だけで
相手してやるよ」
右腕だけ構え左腕の力を抜いた。ミコトへのハンデ、ハンデを
やれるだけの余裕があるということだ。
「ならその余裕、私が崩します!」
ミコトはレイドに斬りかかった。
- 第5十刃 ( No.6 )
- 日時: 2018/09/09 12:42
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「…俺より先に襲い掛かってくるとはな」
竜牙は斬魄刀「雷光叫」で黒髪の破面、第5十刃レイディルの
蹴りを防いだ。
「邪魔…しないでくれるかな…?」
「邪魔ねぇ、こっちは仕事があるんだが…その言葉そっくりそのまま
返させてもらうぜ?雲貫け、雷光叫!!」
刀身が短くなり赤い不思議な文字が浮かび上がり白い電気が流れる。
短剣という奴だ。
「アンタも近接戦闘?」
「まぁな。普通の刀は得意じゃねえんだよ」
二人が同時に動いた。レイディルの拳と竜牙の短剣が交差する。
ダメージが大きいのは竜牙だった。左腕、肘より上の部分に
拳が辺り左腕は動かせなくなった。レイディルのほうは無傷だ。
「…もうそっちの腕は動かせないだろ?俺、外傷受けるの嫌だし」
「…まぁしばらくは動かせないな。にしても見かけによらず
頑丈なんだな、お前」
溜息交じりにそう言って少し笑った。
「俺の斬魄刀は電気を操れるんだ、避雷針みたいな奴でな。
外傷が無くても刃を当てれば電気を流すこともできるってワケだ」
レイディルが目を見開いた。
「ま、さか‥‥!」
「一万ボルト・内部感電」
レイディルが悲鳴を上げる。がくん、と膝を落とし咳き込む。
すぐに立ち上がり竜牙の額に狙いを定め拳を突き出す。
額と拳の間に竜牙の左掌が現れ拳を掴まれる。動かせないはずの
左腕を何故動かせるのか、そこに疑問を抱いた。
「縛道の六十三・鎖条鎖縛」
太い鎖が蛇のようにレイディルに巻き付いた。
「この程度」
レイディルは両腕に力を入れ鎖を千切った。
「教えろ、何故左腕が戻っている?完璧に折ったはず、粉々に
したはずなのに」
「そうだなぁ確かに粉砕されてたが残念なことに俺は化け物なんでな。
骨折程度で弱くはならねえよ」
- 破面の事情 ( No.7 )
- 日時: 2018/09/09 16:10
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「あ…もう時間かよ」
レイドはふと力を抜いた。ミコトも力を抜き息を吐いた。
その場にしゃがみ込み息を整えた。ここまで動けたことが
奇跡だ。斬魄刀を納刀し死覇装が消え、私服姿に戻った。
「…楽しませてもらったぜ、そして興味も沸いたしな」
レイドはミコトに背を向け、消えた。
****
虚夜宮。
「随分と遅い帰りじゃねえかレイド」
左胸部に孔がある男がレイドにそう声をかけた。
第6十刃、ソロ・ミュターズ、彼とレイドはかなり長い付き合いだ。
「楽しんでたら遅くなったんだ」
「へぇ…そういえばレイディルもなんか悔しそうな顔をして
帰って来たな。しかもフラッフラだったし…」
「アイツが?」
第5十刃レイディル、細い体格だがかなり頑丈な体をしている。
並の攻撃では傷一つ付けることはできないだろう。
「…珍しいこともあるものだな」
「あれ?レイド、帰ってきてたんだね」
白い和服のような死覇装を着た少年が声をかけてきた。
第2十刃ヨハル、少年姿をしているが第2位になるほどの実力者だ。
「ラードル様の様子はどうなんだ?」
ラードル、第1十刃の男でここの破面を束ねていた男だ。
彼は今、昏睡状態にある。
「ダメだね。起きる気配がないよ」
「…そう、か」
彼ら破面が死神と戦う理由、それはラードルを救うためである。
彼を救うには死神を殺せば良いのではないか、そんな答えに
辿り着いていたのだ。
「死神、代行…」
「レイド?」
「十朱命、死神代行の少女だったね」
レイディルはやってくるなり口を挟んだ。
「少し気になるんだよなぁ…」
- 取引へ ( No.8 )
- 日時: 2018/09/09 16:41
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
擬人化した慧眼慧剣は全隊の隊長らにあることを話した。
「破面の目的が第1十刃の復活?」
「そう。俺には見えるんだよ、他人の真意がな、第1十刃は
穏やかな奴で死神とも交友を深めようと頑張っていたらしいが
ある日、倒れたらしくてな。記憶の途中が途切れていたが
どうやら奴らは俺たちを倒せば第1十刃が復活するという考えを
持ったらしい。人間でもあり死神でもある人物なら確実に
ソイツを救える…死神代行のミコトなら、な」
彼はミコトを見て微笑む。
「これから起こるであろう事件、私たちのコピーが現れたらと
考えると人手は多い方が良いわね…」
冬華が呟いた。
「人手が足りずこれから犠牲を出すか、人手を増やし犠牲を減らすか」
慧眼慧剣はそう言い残しミコトの中に消えた。
「…ミコトちゃん、君には虚夜宮に向かってもらう。安心してくれ
一人で行かせるわけではない、月久と竜牙この二人にも行かせるから。
ということで月久、竜牙、構わないね?」
焔の問いに二人は頷いた。
戦闘は可能な限り控えることも付け加えられた。
****
「ッ…どうやら向こうから来たみたい」
廊下を歩く足音が近くなる。奥から見えた三人の人影、真ん中に
いる少女、ミコトは前を見た。
「少し、お話良いですか?」
ヨハルは全員を落ち着かせミコトの前に立つ。
「僕はヨハル、で話は何かな?」
「私の斬魄刀、慧眼慧剣は他人の真意を見ることができます。
それで私の力があれば第1十刃を救えると知ったんです。私は
手を貸します、ですがその代わりにこちらの用件も呑んでもらいます」
「…用件を先に教えてくれるかな?」
ヨハルの言葉に頷きミコトは話す。
「…一部の死神のコピーが現れています。それも彼らは敵対している。
もしかすると人手が足りないかもしれない。だから皆さんの力を
貸してほしい」
- レイド帰刃 ( No.9 )
- 日時: 2018/09/09 17:40
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「オイ、お前ミコトって言ったよなぁ」
三人の男に囲まれる。竜牙と月久は微動だにもしない勿論ミコトも。
「ソロ、レイディル、アルヴィス!」
「実力が分からなきゃアイツらはミコトを認めねえだろ」
レイドはそう言ってミコトに声をかけた。
「何だか昨夜よりも強気じゃねえか。だったら決着、つけようぜ?
お前が勝てば手を貸してやるからさ」
「…分かった。なら頑張ってみる」
レイドは笑みを浮かべた。そして一同は外の砂漠に出た。
その戦いは始まった。
「(また右腕だけで…)」
「どうしたんだ?早く来いよ」
挑発気味にレイドはそう叫んだ。その挑発にミコトは乗り
斬りかかる。レイドは素早く拳を突き出した。だがすでにそこには
ミコトはいなかった。下に屈みながらミコトは刀を横に振るう。
「コイツ!」
再び消える。現れては消え、現れては消えの繰り返しだ。
「瞬歩って奴か。そろそろ本気を出していくか」
現れたミコトに頭突きを喰らわし吹き飛ばす。ミコトは額を
押さえる。額の痛みを堪え立ち上がるもすぐに飛んできたレイドの
蹴りで倒れる。
「結構、根強いな」
「イタタ…慧剣・千手千剣!」
ゆっくり斬魄刀を振るい切る。千の剣がレイドに襲い掛かった。
「スゲェ数だな…」
砂が舞い視界が悪くなる。
「…ッ!?(なんてタフさ!ゴキブリ並の生命力ってあれか)」
「嘆け、虎牙!」
- 根気強いのは ( No.10 )
- 日時: 2018/09/09 18:26
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
角が一回り大きくなり首輪が現れる。
「よぉし、さぁ来い!我慢対決だ」
刀で斬りかかるも傷一つ付かない。弾かれてしまった。
根気強く斬りかかってくるミコトの細い首を掴み持ち上げる。
そのまま投げ飛ばそうとしたが手が離れない、離せなかった。
「慧剣・雷神爆破!!」
轟音、そして爆発。
しばらくして倒れていたのは——。
「っしゃああああ!!!」
竜牙の喜びの声が響いた。
気絶してないとはいえ反撃できぬようミコトは縛道の鎖を
何重にも回していた。
「嘘だろ…タフなアイツが」
「な、長いしタフで大変だったよぉ〜」
ミコトは息を吐いた。
「やっぱり強いよなぁ…まさか電気まで流してるたぁ」
ミコトの体が持ち上げられ肩車される。
「へ?ち、ちょっとレイドさん!?お、降ろして!は、はは恥ずかし〜!!」
「ははっ、遠慮すんなよミコト〜」
「まぁとにかくラードル様の眠る部屋へ案内しますね」
****
脳内に慧眼慧剣の声が聞こえる。言われた通りラードルの額に
手を当てる。しばらくして彼は目を覚ました。
「ラードル様…よかった…」
「ヨハル、君たちも…すみません心配をかけて…それと貴方には
礼を言わなければいけませんね。ありがとうございます、私たちに
できることはしますね」
「あ、はい」
彼も回復し虚圏は安定していた。
- 平和って良いな ( No.11 )
- 日時: 2018/09/09 21:35
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
目を開くと天井が見えた。自宅とは違う場所だ。
丁寧に毛布まで掛けられている。どうやらミコトはラードルを
復活させてから眠ってしまったようだ。
「お!なんだもう起きたのか?もっと休んでて良いんだぜ?」
上半身を起こす。腕や脚が痛い、筋肉痛という奴だ。どれほど
運動をしていないかよく分かる。
「そんな迷惑になっちゃうんで…じ、じゃあ私、か、帰ります!」
立ち上がりドアに手を掛けた時、重要なことを忘れていた。
「あ、道…忘れた」
「そこまで送ってやるよ。この辺、結構広いし」
****
ミコトは現世に帰った。
すでに時間は夕方で空が赤く染まっていた。
「(破面って悪い人だけじゃないんだね。なんか意外と優しい人が
多かったなー…)」
レイドが帰刃を使いミコトを攻撃したとき、あの攻撃には
加減があった。それに眠ってしまったときも放置ではなく
わざわざ毛布まで掛けてくれていた。
****
「やっぱり人間って不思議…」
レイディルは呟いた。
「?どうしたんですか?レイディル」
「あの子に似てる…人間なのに死神も俺たちも見える奴に」
その少女は長くふんわりとした黒髪が特徴だ。癖毛という奴だ。
「確か名前は…十朱美花。あ!も、もしかしてミコトちゃんは」
「美花って奴の娘かもなぁ…なんか雰囲気が似てるんだよな」
ラードルは微笑む。