二次創作小説(紙ほか)
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.9 )
- 日時: 2018/10/14 19:08
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「君、こっちに!速く!」
サジタリウス区に到着し、すぐに知らない男に手を引かれ物陰に
身を潜めていた。
「あ、あの「静かに」…」
さっきまでエマがいた場所に黒いフードを身に着けた人々が
集まって来た。
「くそ、どこ行ったんだ!?」「仕方ない、他をあたるか」
人々が消え男が息を吐いた。物陰から姿を現し男の姿がよく
見えるようになった。前を開けた黒いロングコート、その丈は
ボロボロだ。腰には二丁の銃がある。
「悪いな。急にこんなことして…」
「気にしないでください。助けてくれたんですよね?
ありがとうございます」
「俺はアンタを知ってる。エマ・ヴィーガだろ?」
エマは驚いた。
「ルーベルトって人がいるだろ?あの人とは知り合いでな、アンタを
任された、俺はサキト・エンブルーム。よろしく」
サキトはギルドの中でもマスターの次に偉いらしい。
そのギルドで彼女はお世話になることになった。
中に入るとサキト目掛けて拳が飛んできた。サキトは慌てて
避ける。黒っぽいマントを身に着けた少年が拳を引っ込めた。
「サキト…誘拐した?」
「馬鹿野郎!俺がするワケねーだろ、コイツだエマってのは。
驚かせたな、コイツはレンだ。誤解されがちだがな良い奴だ」
エマは頭を少し下げ会釈する。レンもまた会釈する。
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.10 )
- 日時: 2018/10/14 20:47
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
騒ぎを聞きつけたエマたちは轟々と燃える炎を見ていた。
「し、消火!サファイアの大雨!」
エマが唱えると燃えている建物の真上に青い魔法陣が現れ
キラキラと輝く雨が炎を消していく。
「(あれが…12魔法…)」
「へぇ俺の炎を魔法で降らせた雨で消すなんて…それにその魔法って
もしかして12魔法?」
笑みを浮かべながら赤髪の青年がエマの前に立つ。
「ッ、エマ!逃げろ——!!」
同時に大きな炎がエマを呑み込んだ。サキトの叫び声が炎に
消える。だが炎の中から二人の人物が飛び出てきた。
「レン、エマは…」
「私は大丈夫です。すみません色々…」
レンの服、主に右半身部は焼け焦げていた。
「あー!ここにいたんだ、ワゲート!暴れすぎじゃない?まぁ俺も
うっかり力入れすぎて壊しちゃったけど」
何かを持って少年が姿を現す。それを見て全員が固まる。
「(オイオイ嘘だろ…まさかあれって)」
「サキト…あれって」
「あれって?」
「あぁ間違いない…石像だな、硬化魔法が何重にもかかってた
はずだが、あれを壊すってことは相当な怪力、だな…」
「…握られたら、粉砕骨折するかも」
怯えるエマを見て少年は彼女に駆け寄る。
「お!お前が12魔法使う奴!?スッゲー俺、ヴェルガよろしく!敵だけど」
ヴェルガはエマの手をひっ捕らえる。
「(耐えろ私、耐えろ私、耐えろ私!!!)」
握られる手が悲鳴を上げていた。その時、声がした。
「彼女の手が悲鳴を上げてるから離してやれ、今にもエマが
死にそうだ」
エマの頭を下に押さえ付け、ヴェルガの額に真っ直ぐ拳が飛んでくる。
その早業にヴェルガは対応しきれなかった。
「フェイランさん!!」
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.11 )
- 日時: 2018/10/14 20:58
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「はぁ…暴れ足りないが仕方ない」
「あれ?随分と大人しいじゃん。まぁいいや、また来るね?まぁその時は
大きな戦場で、だけどね」
二人が姿を消す。エマがその場にへたり込む。
「エマ、大丈夫?手…」
レンが心配そうにエマの手を見た。
「大丈夫。フェイランさんが来てくれたからね」
「レン?もしかして君って…」
フェイランが言いかけたところでレンがうんうんと頷く。
どうやらレンは彼に憧れていたらしい。
「良かったな、レン。フェイランさんよぉコイツと手合わせ
してくれねえか?」
「私が、か?」
サキトが頷いた。フェイランは少し考え込み、頷いた。
「明日、早朝にやろう。私で良ければ手合わせするよ」
「あ、ありがとうございます!!」
****
早朝、サキトとエマも早く起き二人の試合を見守ることにした。
「じゃあ…はじめ!」
サキトの合図でレンが先に動いた。綺麗な弧を描くように放たれた
拳が放たれる。
「(軌道も威力も悪くない…)」
その拳を躱しフェイランはレンの鳩尾に回し蹴りを喰らわした。
その威力はレンの様子を見れば分かる。
「ッ…!!」
「すまない…大丈夫か?」
フェイランはレンの様子を見る。
「どうしたら…こんな力が?」
「…守りたいモノがあるから、とでも言っておこう」
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.12 )
- 日時: 2018/10/14 21:19
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
アリエス、サジタリウスなど全ての区代表のギルドが集まった
ギルド連携会、そこにはエマもやってきていた。
「リーダー会議、ですか…」
「そう、ギルドマスターだけでの会議、暫く俺たちは自由って
事だ。鍛錬も良し、観光も良し、昼寝も良しってな」
トリスは大きく伸びをしながら言った。
「レンとかフェイランが格闘家だってことは知ってるだろ?」
トリスが話し出す。その問いにエマは頷いた。
「その二人は珍しいんだぜ格闘家の中でも。結構格闘技使う奴らって
戦闘狂が多いんだぜ、絡まれたときはしっかり断っておけよ」
「じゃあ俺、別の場所にいるから」と言ってトリスはエマと別方向へ
向かった。「ティース!前!」その声で我に返ったエマの体に
衝撃が走り、彼女は床に倒れる。
「や、ヤッベェ!お前、大丈夫か!?ごめんな」
「き、気にしないで…私もボーっとしてたのが悪いので…」
ティースと呼ばれた青年は黒の指ぬき手袋を嵌めていた。
「あ!お前、12魔法使ってるっていう奴か?近くで見るとホントに
細いな!毎日ちゃんと喰ってるのか!?」
「し、失敬な!そんな朝、昼、晩、ちゃんと食べてますよ!」
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.13 )
- 日時: 2018/10/15 17:54
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「ごめんなさいねエマちゃん、ティースが失礼なこと聞いて…
私はタウラスのメイラ、こっちはティースよ」
メイラという女性は落ち着いた口調でそう言った。自分の存在は
そこまで広められていたのか…。
「よ、よかった〜メイラさんもティースさんも早いですよ〜!!」
息を切らしながらパステルグリーンのふんわりしたワンピースを
来た少女が走って来た。
「フィリア、ごめんなさいねティースを止めなくてはいけなかったか
ら。この子はフィリア・レイヴィルよ、エマちゃん」
「えっとよろしくねエマさん」
フィリアは治療士、ヒーラーらしく戦闘には参加しないという。
メイラはアーチャー、弓を扱う後衛、逆にティースはフェイランと
同じく格闘家だという。
「ねぇエマちゃん、貴方は魔法をどんな風に考えてる?」
メイラはエマにそう聞いた。エマはその問いに少し考える。
便利なモノ、だが…それだけではないだろう。
「…凄いモノ?とか?便利だし、魔法には様々な種類があるから
良いと思う。綺麗だし…でも、時には危険なモノ、かな〜…
でも私はこの12魔法はとても素敵な魔法だと思うよ」
「素敵…なぁ〜」
ティースは呟く。
「だってさこの魔法はライジェルさんが守るために使ったんでしょ?
危ないかもしれないけど、それだけ大事なモノでもあるのかも…」
「エマさん、すっごく良い考えを持ってるんですね」
「そうかな?とは言っても考えなんて人それぞれだしね、こういうのに
関しては正解も不正解もないでしょ」
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.14 )
- 日時: 2018/10/15 19:51
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「な、何者ですか!貴方たち!」
そう叫んだのは真っ白いふんわりとした長い髪の美しい女性だ。
彼女の名をミリア・メリアーネ、祈りの村に住む、姫巫女である。
「クサビ、クリクロスのクサビだよ。じゃあ答えも出したし、
連れてくね。だいじょーぶだって、多分12魔法の子が来てくれるでしょ」
「なっ!?(まさか12魔法を…!?)んっ!!」
****
ミリア誘拐、それは会議を中断してまで広がり彼女の捜索、
それを目指した。
「クリクロス?何じゃそりゃ」
トリスは首を傾げる。
「レクイエムの次に危険視されている集団さ。レクイエムと同じく
12魔法を探しているって話だ」
「まぁ流石、情報屋フェイランね」
一人の女剣士が言った。
「場所も検討は付いている…行くぞ、会議は一旦中止だ!」
全員が立ち上がり会議場を出た。
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.15 )
- 日時: 2018/10/15 20:32
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「いたぞ!」「あの娘を狙え!!」大量の敵軍勢が定めた狙いはエマだ。
敵の狙いは12魔法を扱う彼女だと分かる。
「一旦、別れるか…数人、エマと同行して行け!」
その声でエマたちも幾つかに別れる。
エマside…裏のほうに回りエマは息を整える。
「はぁ…ま、まさか狙われるとは思っても無かった」
「お前、大丈夫か?無理矢理引っ張ってしまったが」
薄い桜色の少し逆立った髪、きっちりと赤いネクタイを締めた男が
屈み込み、声を掛ける。
「すみません、有難うございます。あ、あの」
「こっちこそすまない。俺はバックルガン・ミュードル、長いから
バックとでも呼んでくれ。エマくん、こっちは弟のアクセル、まぁ
少々正確に問題はあるが…よろしく頼む」
何か視線を感じ、ゆっくり右に顔を向けるとすぐ近くに目元を
前髪で隠した青年が彼女をじっと見ていた。「うわぁっ!!?」
少し後ろに下がる。
「エマってお前?強そう、俺と戦え!」
「アクセル、その話は…」
「分かった。助けてもらったし少し考えとくね」
エマはそうあっさり答えた。
「ホントか!?この任務終わったら戦ってくれるのか!!?」
「う、うん!でも無理だったらごめんよ。まぁ出来る限りは
努力するけども」
アクセルはそれを聞くと笑顔になった。
「良かったなアクセル。エマくん俺たちに出来ることがあれば
迷わず言ってくれ、必ず力になる。頼ることは弱いことじゃねえ、
寧ろ一人で抱え込む方がよっぽど弱いことだ」
「ありがとうございます。心強いです、二人がいてくれると」
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.16 )
- 日時: 2018/10/15 21:26
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「さてと…回復したようだし先を急ごう。どっちにせよ敵に
会うことになるんだ」
裏口から中に侵入成功。
「あれ?もうここに来たんだぁエマちゃん!!」
クサビ、彼はミリアを捕らえた檻の上から飛び降りた。
「テメェか、黒幕は…」
「黒幕?実行したのは俺だけど…ここのボスはもう死んだよ?
それにさ、そっちばかり3人がかりって不平等だよね…」
エマの頭上に何かが着地しようとしている。それをいち早く
察知したバックはエマをドンッと押し、その場から離れ攻撃を
回避する。
「狂犬、グラニア…こりゃあガチのほうで狂犬だな」
バックの背中に冷や汗が流れる。
「エマちゃんがこの人を救うのが先か、お前らが死ぬのが先か…
じゃあ始めよっか!」
「嵐のように荒々しく、嵐が去った後のように冷静であれ…
アレキサンドライトの奇跡!」
何も起こっていないように見えるだろう。だがそれは他人には
見えない。アレキサンドライトの魔法は特殊だ、サポート特化と
アタック特化の二つがある。
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.17 )
- 日時: 2018/10/16 17:36
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「貴方は…」
ミリアはエマにそう聞く。
「エマ・ヴィーガ、助けに来ました全員で!」
エマは戦っている二人を指差す。
「ミリアさん、今助けるから!」
「ちょっと待ってエマさん…この檻、そう簡単には、彼らのほうが
先に倒れてしまうわ」
「大丈夫だよ。今は貴方を助ける方が先です!」
エマが目を閉じる。それをミリアは心配そうに見守る。
エマが集中し始めた頃、グラニアという男を相手していたバックは
違和感を感じた。相手の動きが普段よりも見極めやすい。
「(これは…そういえばエマくんはさっき)」
エマが詠唱していたことを思い出す。
「感謝する…さてといち早く終わらせるぞアクセル!」
二人の攻撃が相手を押していく。
「ふぎゃ!!?」
殴り飛ばされたグラニアはクサビを巻き込んで壁にぶつかる。
「!このぉ…!!」
クサビの蹴りを受け流す。回り込むようにクサビの首筋にフックを
喰らわせ彼を気絶させる。
「…任務終了だ」
「バック、俺も終わったよ!」
同時に何かに弾かれたようにエマの体が飛んでくる。二人の頭上を
越えゴロゴロと転がっていった。
「エマ!!」「エマくん!」
「(さてと困ったぞ…あんな術、一体どうやって)」
エマは一つの宝石のことを思い出す。
「それは真の友の証、そして何にも負けない友愛の石…
トルマリンの道!」
エマが唱えると空間が変わる。それは真っ暗な深海のようなそれが
分かるのはエマとミリアのみ。
ミリアに見えたのは真っ暗な闇の中に輝く光、そこから一人の少女
エマが手を伸ばす。その手をミリアが掴む、しっかり離さないように。
****
夜が明け、ミリアの救出に成功、クリクロスも撃退、その情報は
街だけでなく大陸中に広まったという。
- Re: テイルズオブスターダスト ( No.18 )
- 日時: 2018/10/16 17:51
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「そう貴方が12魔法を使うエマさんなのね?ありがとう、この恩は
忘れないわ」
「あ、いいえそんな…私、これぐらいしかできませんから…」
「そんなことはありませんよ。ライジェル様が貴方を選んだ理由、
よく分かりました」
ミリアはそう言って微笑んだ。エマとミリア以外は他の仕事で
今はいない。
「…今のこの大陸、表はとても明るく見えますが裏はあまりにも
暗すぎます。私も頑張ってはいますが元凶が現れれば私は対処する
ことができません、貴方に頼みます」
「…分かった。頑張ってみるよ私」
そう言ってエマは彼女と別れた。