二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.9 )
- 日時: 2019/01/27 19:00
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ハイセ「はぁ…今日もダメだったか」
ハイセは床に寝転がる。彼と組み手をしていたのは咲斗だった。赫子無しでもその戦闘能力は
クインクスたちをも超えていた。
咲斗「一応SSレートだからな。この程度で負けてはいられない」
咲斗は小さく微笑んで裏拳で殴りかかって来たウリエを殴り飛ばした。
すぐに彼は振り向きざまに回し蹴りでトオルの鳩尾を抉った。
美音「…まぁSSレートの咲斗さんでこれだから他のSSレートも、ね?」
ウリエ「とかいうアンタは鍛錬しないんだな。サイコと同じじゃないか」
美音「うぐ、それを言われると…。でも最近、私こういう仕事に就いたんで、それに
早く弓の扱いに慣れないと。ほら私は元カウンセラーで、こういう仕事とは程遠く…」
咲斗「それが最適だろうな。ハイセたちは今の特訓で十分だがお前は戦いにはまだ
慣れてない。それにクインケの扱いもまだまだだ。体力、筋力が無い分、クインケで
戦闘力をカバーするしか無い。っていうわけでお前にはこれから弓の扱いに慣れてもらう」
****
CCG本部に来て美音はある人物に声を掛けた。長い赤髪の男、特等捜査官、真田紅牙だ。
紅牙「美音さんに弓の指導を?僕がかい?」
ハイセ「はい。クインクス班のサポート役に美音さんがなりまして、それで彼女の
クインケは弓と太刀、主に弓の扱いを頼みたいんですけど」
美音も深く頭を下げた。
紅牙「…分かった。僕に出来ることなら頑張ってみるよ」
美音「いいんですか?」
紅牙「うん。僕的にも君に色々聞いてみたかったんだ、よろしくね」
美音はまた頭を深く下げ感謝の言葉を告げた。
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.10 )
- 日時: 2019/01/27 20:27
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
特訓初日、弓の引き方と姿勢など基礎的なことを紅牙は教えた。実際弓矢を放すと
的の真ん中とはいかないがとても惜しいところには当たった。
紅牙「…初めてにしては上出来だ。扱い方を覚えちゃえば右に出る人はいないだろうね」
美音「そうですか?ここで出来てもきっと本番、殺されかけた時は出来ないと思います」
美音は弓を引く手の力を緩めた。
紅牙「美音さんの髪、細くてクルクルしてるね。癖毛かい?」
紅牙は美音の髪を見ながら聞いた。美音は頷く。彼女の家系は全員癖毛で特に祖父母は酷い。
紅牙「…美音さんのカウンセラーとして力を見込んで上の人たちは君をクインクス班に
入れたのかもしれない」
美音「そうなんですかね?」
紅牙「きっとそうさ。じゃあ今日はこれでお終いにしよう。ハイセ君、今度手合わせしないか?」
ハイセ「はい、是非!今度彼女と来た時にでも」
****
新たに董香が開いた喫茶店「:re」に美音と咲斗はやってきた。
美音「あんていくみたい…」
董香「まぁ喫茶店だし。ていうか咲斗、よくCCGに入れたな」
咲斗「美音の土下座が決定打だろ」
少し間を開け咲斗はある話を持ち出した。
咲斗「…ノーマスクって喰種を知ってるか」
四方「少しだけならな。マスクをしていないからそう言う呼称で呼ばれている。そいつ
赫者らしいじゃないか」
四方はカップを洗いながらそう話した。
董香「どうしてその話を持ち込んできたわけ?」
美音「仕事のためです。風の噂でノーマスクがアオギリの樹に入ったと、今回ナッツクラッカー
という喰種の討伐が仕事になっているので」
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.11 )
- 日時: 2019/01/27 21:07
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ナッツクラッカーの居場所を突き止め、一足早く美音と紅牙が先に潜入していた。
ハイセ『美音さん、潜入しました?』
美音「うん、とりあえずね」
紅牙「さてと…このまま会場に突撃するワケだけど大丈夫?クインケの準備」
美音は頷いた。緊張気味だが彼女はすでに構えていた。紅牙は太腿にあるホルダーから
サバイバルナイフを抜いた。
紅牙「じゃあ僕はこれで前線で戦う。援護は任せたよ」
美音「了解です」
そしてタイミングを見計らい勢いよく扉を開け美音は弓矢を放った。その矢は空中で
爆発し会場を慌てふためかせるには十分だった。
???「女の人、新米の捜査官だね」
紅牙「美音さん!ッ!?」
美音「紅牙さん!(あの喰種…絢都って言う人…!?)あ、私は私でどうにかします!」
美音はそう言い切り振り向きざまに太刀、宵月を振るった。男はそれを軽々と躱すと
赫子を出す。骨のようなモノの先に鎌のような刃がついた鱗赫だ。
美音「私には分かります。貴方がノーマスク、ユウさんですね。実際に見て感じました。
優しい喰種ですね。でも仕事上、私は戦わざるを得ないので…」
ユウ「じゃあ殺されるのも覚悟はあるんだね…いいよ」
美音は身体を反らし赫子を躱し弓矢を放った。弓矢を放ちながら彼女は廊下を走っていく。
それをユウは追いかける。屋上の一階下の場所で美音は足を止めた。
ハイセ『美音さん、美音さん!今どこですか?』
美音「屋上の下の階で交戦中です!どうにか退けたら下に行きますね。行けたら」
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.12 )
- 日時: 2019/01/28 18:15
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
美音「いやぁ嬉しいね!ヒナミちゃんにも私の物語を読んでもらえてるなんてさ」
美音は自身の書いた本をヒナミに渡しそう言った。
ヒナミ「この物語に出てくる化け物の人たちのモデルってもしかして喰種ですか?」
美音「うん。因みにこの物語の2作目、ある人に視点を置いている物語です。さて、
誰でしょう?」
美音は悪戯っぽく『化け物事情』という本の二冊目を見せながら笑った。
ヒナミ「う〜ん…化け物の女の子が粗暴な男の人に恋をしてるから…お姉ちゃんとお兄ちゃん?
あ、でもお兄ちゃんはそんな性格じゃないし…分かんない」
美音「正解は君だよヒナミちゃん。化け物の女の子はヒナミちゃん、粗暴な男の人は
絢都君、なんかそういう関係に見えてね?」
ヒナミの顔がほんのり赤く染まる。
美音「きっと…出られるさ。この物語、知ってるでしょう?捕まった女の子をその男の人は
仲間と一緒に助けにやってくるの。きっと来てくれるさ、その時は私もいるよ」
ヒナミ「ありがとう美音お姉ちゃん」
お姉ちゃんと呼ばれ美音が照れくさそうに笑った。
ナッツクラッカー戦の後がこれだ。実はあの戦い、内緒でユウを逃がした。
その後、咲斗から金木が戻って来たと聞き、サポート役を辞めた。
咲斗も普通の喰種に戻った。
咲斗と美音は一旦外に出てある人物がいる場所に来ていた。
美音「あの時はごめんよ、仕事と立場上だから許してね」
ミザ「あのパンツスーツの癖毛の人!?女だったの!?」
美音は苦笑する。
絢都「…まさかアンタと共闘することになるとはな」
咲斗「俺は別に手伝わねえぞ、外で観戦してるだけだ」
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.13 )
- 日時: 2019/01/28 19:17
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
咲斗は美音と金木を連れ、ある店を訪ねた。店内に入ると近くの椅子に腰かけ
美音作の本を読む青年がいた。
???「誰かと思ったら…SSレートの黒狐じゃねえか」
咲斗「誰かと思ったら喰種狩りじゃねえか…」
二人が笑った。喰種狩りと呼ばれた黒髪の青年は本を置き椅子から腰を上げると
真っ先に美音の方を向いて本とペンを渡した。
???「月待美音ってお前だろ?サイン、頼むよ。俺は陸翔、Nice to meet you.」
美音「は、はぁ。よろしくお願いします」
美音は手早くサインした本を手渡した。
咲斗「ほぼ不死身といっても過言じゃねえクソチート喰種」
リクト「…で、お前は何しに来た?喧嘩でも売りに来たのか?」
美音「ちょっと待って!あの私たちの仲間になってくれませんか?金木君が作った黒山羊は
喰種への弾圧が強まった今、喰種たちが唯一いられる場所で人間との共存を目指しています。
私には分かります。貴方は人間が好きな喰種、可能な限り共存したいと思っているのでは?
私がこの本を作ったのもこれが目的です」
美音がそう語る。そのうちリクトは「OK」と呟く。
リクト「流石、作家さん。言葉が上手いな。そんだけ熱く語ってくれれば十分さ。
力を貸すよ」
****
リクト「咲斗、美音さんのことは女としてどう思ってるんだ?」
リクトは隣に立つ咲斗にそう聞いた。咲斗はそのポーカーフェイスを崩さない。
咲斗「…人間だったら付き合いたいと願った。今も願ってる。でも彼女に辛い思いは
してほしくはない。…俺に彼女を好きになる資格はない」
人間が喰種と結婚しているとなれば人間にはとても重い罰が与えられる。有名な作家で
純粋な人間である美音に辛い思いをさせたくない、それに自分がもし暴れ出したらきっと
彼女を喰らってしまうだろう。彼は彼女を殺せない。
リクト「美音さんだけにしか心は開かない、あの金木って奴が言ってた通りだな」
- Re: 東京喰種−夢月− ( No.14 )
- 日時: 2019/01/28 19:45
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
美音「絢都君は人間はまだ嫌いですか?」
美音は隣を歩く絢都にそう聞いた。
絢都「分からない。でもアンタは嫌いじゃない」
美音「それは良かったです。いつか…皆、人間に戻れたらいいですね!」
絢都「…はぁ?」
美音「そうすれば自由ですよ自由!人肉じゃなくてケーキとかお寿司とかも食べられるんだよ」
****
夜、咲斗と美音は夜空を見ていた。
美音「咲斗さん、最近とても話すようになったよね」
咲斗「おしゃべりって言いたいのか?」
咲斗はそう言って笑った。金木と董香は彼氏彼女関係になってお祝いみたいなものだ。
美音「…自分は喰種だから私とは付き合えないの?」
咲斗は視線を逸らす。
咲斗「…俺は喰種、お前は人間。お前の足枷に俺はなりたくないんだ…なったらキエチャウ…」
違和感を感じた。彼の右目が赫眼に染まった。美音の悲鳴に数人がやってきた。
絢都「オイ、美音!離れろ!!」
咲斗「キエチャウ!!!弱くなったらァァァァァァ!!!?」
美音が声を上げる。大きく太い鱗赫が暴れるように動き出す。咲斗自身も苦しみ出した。
咲斗「消えるノハコワイ…ひ、独りにシナイでェェェェェ!!!」
美音の放った弓矢は咲斗の右肩を貫く。その傷が一瞬で塞がった。
美音「咲斗さん、咲斗さん!!」
絢都「あ、オイ!危ねえぞ美音!!」
止めようとする彼を金木が止めた。彼を救えるのは彼女だけだと伝えて。
美音の手が咲斗の手を掴んだ。すると彼が首を傾げた。
美音「消えないし独りにしない」
咲斗「‥‥?オイ」
美音「ん?」
咲斗「暴走しかけたからって何抱き着いてんだ」
美音「えーこういうのお約束だと思うんだけど、おオオオオ!!?」
美音の体が宙に浮く。それをキャッチし咲斗が抱き抱える。
咲斗は絢都に絶対話すなと伝えた。